2026年06月11日

腹診でわかる病因・病機  そして腹部の血瘀と大腰筋の凝りとのオーバーラップ

お腹を手技で触られ、違和感を感じることがあるかもしれません。

たとえば、肋骨と腹部の境目を季肋部といいますが、通常は季肋部の肋骨の下(乳首の真下位置)に手を当てて乳首方向へ向かい押し込むと、肋骨と腹部の隙間が開いて苦痛なく手が入ります。こうして肋軟骨部分を軽くつまむことができるのが正常です。
ところがこのような手技をおこなうと苦痛(苦満)感を感じる人がおられます。この症状は左右ともに起こりますが、一般的には右側に現れやすい傾向があります。気管支炎、慢性胃炎の患者に本証が認められることがあります。自覚症状として、充満感があり、苦しい。他者からも上記の手技をすると季肋部下に抵抗があり入りづらさを感じ、さらに押さえ込むと痛みや不快感を訴えられることになります。

この症状、当社比でありますが割合的に軽症重症をあわせれば10名中7名に及びます。

この操作を受けているお客様は、私と同業者でもない限り、はたしてなにをやられているのか見当がつきづらいと思います。

こちらは腹診で(胸脇苦満)と呼ばれる状態です。


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(胸脇苦満図)

胸脇苦満の病因病機として考えられるのは、
・ストレスや過度の情緒の変化による肝鬱気滞などの気機の阻害がある
・肝胆の病変がある

ガスなどは気体ですが、そういった気体が腹部内に停滞すると上方へ泡が浮き上がるように移動して集まります。ゆえに比較的、みぞおち周辺は気滞が蓄積して満杯になってパンパンになりやすいわけです。そうした状況です。

胸脇苦満も手技で緩めていくことで、徐々に停滞したものが散り散りとなり、季肋部へ指を入れることもできるようになっていきます。



このように腹部を詳細に按じたり膨隆した状態を観察したりすることで、病因病機を発見して病証にたどりつくことを腹診と申します。


腹診で実証と虚証の違いを見分ける手がかりのひとつに、
按じても痛みが軽い----虚証《喜按(按じられて心地よい)》
按じて痛みが顕著-----実証《拒按(按じられて苦痛)》
軽く按じると痛む-----病位が表証、浅部
強く按じると痛む-----病位が裏証、深部
という別があります。
押されて苦痛を感じたたら拒按ですから胸脇苦満は実証とされます。
(これはざっくりしたわけ方で厳密ではありませんので、目安として使う程度と心得てください)


上述と季肋部を押してみると、硬い張りがあって、自分では痞えるような痛みが感じられるが他者が触っても胸脇苦満ほどの抵抗は感じないこともあります。
これを脇下痞鞭(きょうかひこう)といいます。気滞症状と同時に内部で『痞=つかえる』不調感がみられるときもあります。
この痞える(つかえる)とは、基本的には気滞や痰湿や胃脾の不調からおきるものです。ですが痞えた気滞証の状態が長期にわたり継続されたとき。それは同時に血流の停滞を引き起こし数ヶ月、数年と血流の停滞が起きれば血瘀が生成され、その血瘀が刺痛があらわれる固定痛を生じさせます。



臍周囲や大腰筋との絡みで血瘀が多く生成されやすい場があります。長期にわたり血流が阻害されて血瘀と化している部位は鋭利な針先で刺される痛みに例えられる刺痛が特徴で、痛みの箇所が固定しているため触診で探索しやすいものです。ただ、こうした腹部内に生成された血瘀は、周囲の臓器をも巻き込むセメントのような固定剤として働いています。すると無理やり血瘀の塊を強圧することがあれば、すでに血瘀が生成されている組織周囲は栄養不足・潤い不足・老廃物の蓄積そして新陳代謝が劣るため再生不良の状態に陥っていますから、容易に出血等のひどい痛みがでるといった不利益を被ることになります。
腹部での出血があれば腹部内の網脂のようなバンドエイド役の組織が急場を凌ぐため傷口にまでおりてきて止血をしてくれます。ですがそうした網脂は、止血後もずっとその場で居座り続けてしま、その大網自体が腹部内の癒着をしてしまい、事態が悪化してしまいます。

そうした血瘀の問題が腹部で腹診時に見つかったとします。そしていい施術者がいればいいですが、当面、頼めそうではないという場合もあるでしょう。
そうしたときは活血化瘀等の瘀血を対処する方剤をもちいて状態の改善をはかるという手もあります。



またここからは腹診とは離れ、施術手技に話が移されます。。。
腹部瘀血は臍周囲や少腹といった部分にてよく見受けられます。
これは大腰筋という筋肉が凝り固まって周囲に癒着を示すことがありますが、そのときに血行を阻害させて血瘀を生成させる原因を造ることもみられるわけです。
その場合、いきなり腹部を強く按じるのはよくありません。
それに先んじて大腰筋の緊張状態をリセットをしておきましょう。
そのためには脚部の大腿直筋や外側広筋、大腿筋膜張筋、内転筋群のリリースをしておいてください。それだけで腹部内の硬直した状態は半減していることに気づかれると思います。その後に大腰筋をカウンターストレイン等の、大腰筋事態を強圧する以外の手技である程度緩みを作り出してください。すると大腰筋の芯の凝りがどこに点在しているか、どこが膨隆し、どこがワイヤーのごとく筋張っているか、そしてそれらが腹腔内のどちらに癒着の根を持っているか。それらを確認いたし、手を出す手順の算段を付けます。もし経絡に詳しい方でしたら、先んじて大腿直筋や内転筋などを解いたときに、そこに腎経や脾経、胃経、その他の経絡の不良な張りが見つけ出せておれば、それが腹部内部の癒着に寄っていることが多々ありますから、それらを総合して状態理解の道具にすれば、大腰筋のどこの層を、どの位置を、どこまで緩めるかが見えてきます。



確か医道の日本社の腹診ビデオは参考になりましたが、どうしても本で全体を通して腹診がわかればと思って探しているものの、いまだ手に入れられていません。
入門 目で見る臨床中医診断学という本が、いまのところ私が持っている腹診のなかでもっともデータとして詳しい本となります。
なので内臓マニュピレーションがベースに絡まった自己流というしかない腹部の見方に偏ってしまっております。
いずれ五臓六腑の構造を直接触って理解もできる側面もある腹診ですから、ちゃんと一定のルールをもってみることができるようになれればと願っているところです。



最後に、AIで描いてもらった腹診のイラストをいくつか掲載させていただきます。


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(腹診10パターン)


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(腹診30パターン)



腹診30パターンをよくご覧いただけますれば、瘀血のタイトルを冠したものの多くは臍から下、少腹あたりに頻出していることがわかりますね。
腹部を按じられているときに刺されるような固定痛を、それらの部位に感じたときには瘀血がそこにあります。血瘀が血管内で生成されれば血液の循環が阻害されてしまうため、対処が速やかになされることをお勧めいたします。



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(気滞は季肋部と心下、瘀血は少腹や臍下)
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2026年06月10日

深い理解には人体の構造理解と機能および作用の理解が組み合わされるとよい。

昨夜はボディチェックのお客様がおいでになられました。
身体的な状態の後退は観られません。
以前お会いしたときより立位や階段を登る際の安定感は増していました。
うれしい限りです!

ただ根本的な脾の弱さは私同様に折り紙付きの方ですし、
梅雨の時期が過ぎた後の酷暑では相当に難儀しそうだと本人が語ります。
脾が弱ければ、気の生成能力が低下いたします。
気が正常値届かなければ、とにかく体力的に一般の方と比して劣ります。
そのため酷暑では暑さによる汗と気の固摂作用失調による自汗によって体力の消耗が著しさが増していきます。
そうしたときの前に歩き方などをチェックさせていただいたのが印象に残りました。
施術では新たなツールと中医学の理解のおかげで、以前はケアができなかった深部までリリースがかないました!!
予定以上に精密に対応できたツールの活躍は、いまさらながら納得できる手技ができるようになってきたというところはうれしい。






ここからは今日のお題、気虚証の種類となります。


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(気虚証の分類と病態図)

脾が弱いということは、消化器の消化吸収機能が低下して気血の生成に制限が課された状態です。ら
それで気虚証へ。気の不足が進めば気陥証となります。



■ 気陥証とは

気陥証の絵に書かれた〘中気下陥〙とは、中がお腹の中の意味でお腹の中にある気が足らなくなって下方へ望ましくない状態に陥った(おちいる)状態を言い表します。

よって、胃下垂、脱肛、下腹部墜脹、子宮脱、子宮下垂、遊走腎等。お腹のなかの内臓が垂れ下がってしまう症状があれば気陥証と考えられます。
そして気虚証の臓腑弁証上における詳細分類からは肺・心・脾・胃・腎に関係が深いのです。気陥証となったなら、脾胃が下垂すれば胃下垂、腎が下垂すれば遊走腎のような具合ですね。


中医学的には気が脾の昇清作用により臓器を定位置まで持ち上げるといいますが、それはいったいどういった事象でしょうか?

立位や座位では胴体が垂直に立つことで、臓腑は重力の鉛直方向へ下降する作用によりつねに落ち続けています。(重力による臓腑の下降)
では主だって下垂しやすい中焦、下焦の臓腑を観察してみましょう。


胃・腎・子宮・脾(大腸・小腸など消化器全般)などグラム数を調べてみました。

各臓器の重量(グラム数)
​胃(い):約 100g 〜 150g
​腎臓(じんぞう):約 200g 〜 300g (左右2個の合計。1個あたり約100g〜150g)
​子宮(しきゅう):約 40g 〜 70g (※妊娠していない成人女性の通常時。妊娠時は約1kgまで肥大します)
​脾臓(ひぞう):約 80g 〜 120g
​小腸(しょうちょう):約 200g 〜 300g
​大腸(だいちょう):約 200g 〜 300g
​【補足:大腸・小腸などの消化器全般について】
胃・小腸・大腸などの「管腔臓器(中が空洞の臓器)」は、中に含まれる内容物(食渣や便)を除いた臓器そのものの肉厚(組織)だけの重量です。

指定された臓器の総グラム数
​上記で挙げた臓器の重量をすべて足し合わせると、総重量は以下のようになります。
​最小値の合計:約 820g
​最大値の合計:約 1,240g
​したがって、これら一連の臓器の総グラム数は**約 800g 〜 1,200g(およそ1kg前後)**となります。


こうしたおよそ1Kg前後の中焦・下焦にある臓器を重力に抗して持ち上げる力が持続的に働き続けています。
1Kgの臓器を下支えしながら持ち上げ続けるにはインナーマッスルの力を得た仕事がなされているはずです。
であれば構造上、呼吸の力(呼吸筋)を使っているのは明らかです。
腹部の下焦と中焦に関係している呼吸筋肉は、骨盤底筋、横隔膜、腹斜筋等、そして大腰筋です。
大腰筋の上端の付け根は横隔膜の唇に付着している。それにより大腰筋が緊張収縮すれば横隔膜が下方に引き下ろされ、大腰筋の弛緩により横隔膜は上方に引き上げられる。大腰筋は個人差はあるが、理論上は90Kgの出力ができる(鍛えて出力方法を学べば、さらに飛躍を遂げますが)。この呼吸時の大腰筋のおよそ1Kgの臓腑を持ち上げるに十分な作用がおこなわれる。呼吸とは、息を吸う:納めるのは納気といい腎の力、つまり腎経の経筋となる大腰筋の力となり、息を吐く操作は肺の力によります。
(※横隔膜の筋力のにより横隔靭帯を通して横隔膜および骨盤底筋群の上下動を操作している。そして腰椎や脊椎全体を上下に収縮伸展、または前後にそらしつて腹腔内を拡張収縮をする仕事を腹部の呼吸を支える筋群がし続けている)

こうした理想的な機能が発揮できておればひ弱じゃございません。


ですが理論上90Kgの出力があるはずの大腰筋が、石のように、鉄棒のように、またはスチールワイヤーのようになっていて、背中側の腹腔にびっちり癒着が進んでいるなら、どうなってしまうでしょうか。

こうなれば大腰筋はすでに硬化萎縮したまま。収縮と伸長を繰り返して呼吸を助けることはできません。
背中側の腹腔に大腰筋が癒着したままでは、もし仮にその大腰筋をさらに収縮させれば腹腔壁を包む膜層がむしり取られ大腰筋の筋膜も同時に乖離のときに組織破壊がなされますから、乖離による激痛を感じるでしょう。別名、ギックリ腰という大腰筋の部分的な筋断裂症候群です。

一般の方には大腰筋と言われても、図や映像で観るものという感じでしょうが、施術者としてみれば、異なった見立てをしています。
私では、最低でも、みぞおち奥に位置する大腰筋の上端部、その直下5〜6cmの腹部側と背中側をわけて観察、大腰筋中腹のオヘソを含む部位の周囲約6cmほどの腹部側と背中側をわけて観察、下腹部から鼠径部までの腹部側と背中側をわけて観察、最後に鼠径靭帯にかかる部位とその下の小転子付着箇所。左右大腰筋で総計14箇所をチェックするのです。そして患部を発見して、さらに細分化して患部との関連を含めて検査の部位を厳密化していきます。それをした後に大腰筋を理想上に仕上げて行っています。急性の方はこんなに時間はかかるものではありませんが、慢性の方は構造上のトラブルがおきていれば、非常に複雑な状態を呈する場合が多いのです。それを緻密に計算しながらリリースを重ねることによらねば大腰筋は収縮と伸長による横隔膜操作や骨盤底筋群の動きを起こすことはできません。(ショートカットしてカウンターストレインのTポイントをインジケーターにして解くことで済ませることもできます。ですが、正直、もとに気虚が進む方には瞬間芸的な改善でしかないと考えています。・・・残念ながら、戻りがありますし、戻りが早いだけでなく、外的に急激にもたらされたバランスの変化についていけずに、別のところに歪みを設ける方の割合は少なくありませんでした。それを知っているので、手をかけるところでありかけた分だけ利が還るのが大腰筋の改善であると割り切って、丁寧にみていきます。)

ただし大腰筋だけみているのは問題で、腰椎を腹側で囲む左右大腰筋の対になる背皮で腰椎を囲む左右の起立筋を含めて計算して釣り合いをもったリリースをしなければ腰椎が垂直を得て積み重ねられることがありません。この対処が難しいのは、大腰筋から対処するか、起立筋から解くかです。それは立位でのチェックをするときのお客様の足裏の重心点を把握できれば、どちらを優先して解いて合わせるかがわかると思います。



そして以下の図をご覧ください。
左手は、正常な骨盤の位置で腹圧も一定しております。
対して中央と右手は、それぞれ骨盤前傾という構造的な変位における失調と気陥証という気が足らなくなって内臓が下垂するる状態の図です。


中央の骨盤前傾図と右手の気陥証図は合致しています。



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(気陥証と骨盤前傾図)


この場合、
1.構造的な乱れを正すことで改善させるか、
2.足らなくなった気を補う(補気)ことで改善を期待するのか。
3.または構造と作用と同時にサポートするべきか。


という3つにわたる対処法が考えられるようになったわけです。

1.構造的な乱れを正すことで改善させる:ときの問題は。
骨盤前傾による構造的な乱れを正しても、飲食不節や過労や睡眠不良などにより気が損なわれたままであれば気陥証から抜け出すことはなく、そのままとなる。

2.足らなくなった気を補う(補気)ことで改善を期待ときの問題は。
飲食に気をつけ睡眠を細心の注意をしながら気を補う食薬や方財を取り続けても、すでに慢性化した骨盤前傾の状態は大腰筋の組織が他の腹腔や臓腑や鼠径靭帯等の組織との癒着が進み自然にそれが乖離することは考えにくい場合は、そのままとなる。

3.構造と作用と同時にサポートするべき問題は。
これが一番、改善確率を高めてくれる積極採用させていきたいアプローチです。

いずれにせよ実行上の大腰筋の状態把握は癒着箇所を硬さ、太さ、炎症熱、筋張り、乾燥や大腰筋と癒着する他の組織の把握技術が必要ですしリリースの技術も必須です。
気陥証以外の証を合わせて持っている場合も考えられます。たとえば気滞証などがあれば補気をすれば誤治の失策となり副作用が起こり効果がでません。故に、浅い見立てでことをはじめることは、専門家としてはお勧めしかねます。




私には中医学の知識が考具となってつかえるようになってきたとき。手技療法上で臨床で観察して気づいたが理由が見当がつかないようなことが、多くあったのです。そうしたときに中医学の機能と作用の理解では行間が抜けて理解が表面化した部分が、手技による構造的な観察可能で事実から読み溶けるものだが、その裏側の理由が言語を通して説明できない場合があります。そうした手技の構造主体と中医学の機能・作用主体のふたつの事象を並べて思考のテーブルに乗せたとき。まさに表面的な理解から脱して腑に落ちるものが見つかります。
深い理解には人体の構造理解と機能および作用の理解が組み合わされるとよい。


実際、昨日の施術でも、そうした場面をいくつも遭遇しました。特に腹部のリリースでは。
posted by スズキ at 16:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 中医学診断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2026年06月09日

鬱証について

中国、元の時代の王安道は『疾病の原因の多くは鬱にある』というのです。


『鬱が、疾病のほとんどの原因に絡んでいるって?』
正直、驚きました。
いったいそれはどういう意味だろう。






Geminiで、鬱証の全人口に対する%を尋ねてみました。
すると​日本国内の割合(日本の厚生労働省や国立精神・神経医療研究センターの調査)

 ​今まさにうつ病である人の割合(12ヶ月有病率):約2%〜3%
​  100人におよそ2〜3人(50人に1人程度)が、過去1年間のうちにうつ病を経験しています。

​■ 一生のうちに一度は経験する人の割合(生涯有病率):約6%〜7.5%
​  およそ15人に1人(調査によっては6〜7人に1人とも言われる)が、生涯のどこかでうつ病を経験するとされています。

ただし厚生労働省の資料等では、うつ病の症状に悩んでいる人のうち、実際に医療機関を受診しているのは全体の4分の1程度に過ぎず、残りの4分の3は病気と気づかなかったり、受診をためらったりしている潜在的なケース(未受診)であるとも指摘されています。
この指摘を受けて、いままさにうつ病である人の割合(12ヶ月有病率):約2%〜3%に残りの潜在的ケースを含めますと、8%〜12%となるようです。
またWHOのデータでは55歳〜74歳の中高年層で発症率が高くなる傾向があり、特に60代前半の女性では人口比の約8%近くにのぼるとされています。








鬱が、なぜ、疾病を引き起こす原因になれるのでしょうか?

鬱は初期の段階では実証ですが、中期を過ぎれば虚証へと変わります。
虚証では鬱も多岐にわたり気を滞らせることで、血や津液の循環にも悪影響が及びます。血流が滞り《瘀血》が作られたり、津液が滞り《痰湿》へと派生するからです。これら瘀血や痰湿といった病理物質が生成され血や津液の流れが物理的障害となり臓腑や組織へと営養を運べなくなり正常な機能発揮の妨げとなります。



鬱とは、《気が滞り流れなくなった状態》を指します。
気の滞る原因には、《臓腑失調・環境変化:遺伝、過労、加齢、更年期、定年》などと《七情(精神的刺激)》があります。



ここでは「鬱証になる感情」を考察していきましょう。
主に鬱に関わる感情は次の3つ。

1.怒り(怒りの抑圧、理不尽への耐え忍び)

2.憂思(思い悩む、考え込む)

3.悲・憂(深い悲しみ、憂い)




多少の感情の波風は収まりますが、過度な感情は気の動き(気機の昇降出入)の異常をもたらされ、健康な気血津液の循環が阻害された状態になります。

1.怒りは気を激しく〘上昇〙させる感情で、気機が上昇し続けて他には巡りづらくなり滞りを生みます。(気滞・気鬱)

2.憂思では気の動きがピタッと止まり一箇所にかたまってしまいます。(気結)

3.悲・憂では 深い悲しみは肺のエネルギー(肺気)を文字通り消耗させ、気機を内向きに消沈させます。(気消)

※憂思や悲・憂が鬱の引き金を引く核心ではありますが、その根底には怒りの抑圧があるとされています。たとえば、ナフサ価格の高騰による生活出費の高騰を思い悩む心の奥底に、戦争なんかはじめやがってといった自分のせいじゃないが不利益が押し付けられたといった怒りがありますよね。


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(鬱証の図)

鬱証の初期段階は実証で気血の詰まりから起こる、
@肝気鬱結証
A気鬱化火証、(肝気鬱結が長引いて熱化)
B気滞痰鬱証、(津液が滞り痰を形成)

などがあげられるでしょう。
肝気鬱結から徐々に長引くに連れて気の詰まりが強まって血や津液にも滞りが飛び火していきます。

憂思では脾の消化吸収による運化の働きと昇清作用(脾気により水穀精微を肺・心・脳に送る作用)と、
悲・憂では肺のエネルギーが消耗して呼吸機能が大幅に制限を受け、清気を取り込み水穀精微と混ぜて宗気を造り呼吸機能と心の血の血液循環機能を低減させたことによるのでしょう。
それにより前期では気が停滞した実証でしたが後期の気の滞りから気血津液の消耗による不足があらわれてきます。

鬱証の後期段階は虚証で気や陰液(血と津液)の消耗が激しくなります。
C 心神不安証(心気・心血の不足)
D 心脾両虚証(心血虚 + 脾気虚)
E 陰虚火旺証(長期化による腎陰枯渇・心火旺盛)

心は脳と通じ精神を安定させる作用を発揮します。
鬱の後期虚証では、気や陰液の消耗の著しさから心気や心血が不足すると精神の安定が保てなくなり、精神的な不調と血の不足からくる四肢のだるさなどがあらわれてきます。



では薬膳や中医学では、それぞれどういった対策をとるでしょうか?
もちろん対策は全体の対策は[疏肝解鬱・養心安神]です。

初期
@肝気鬱結証、  対策:[疏肝理気
A気鬱化火証、   対策:[清熱瀉火]
B気滞痰鬱証、  対策:[理気解鬱化痰]

終期
C 心神不安証、  対策:[養心安神
D 心脾両虚証、  対策:[健脾養心・益気補血]
E 陰虚火旺証、  対策:[滋陰清熱・鎮心安神]


対策の[疏肝理気]に対応する食材をお選びくださるようご検討しただければと思います。もちろんそれぞれの対策にあった薬膳メニューもございます。ただ実際の臨床で証が複数にまたがる方も多くみうけられます。そうしたときはしっかり専門家にご相談いただくよう心がけてください。









最後に。

個人的に、いまは自室にこもって勉強をする日々、実用的な知恵や知識が増えていく喜びを感じています。
個人ノルマの多さからしんどいものの充実した一日で、時間はあっという間に過ぎていきます。

そんなときでも鬱証の初期段階とされる肝気鬱結証等と考えられる状態には見に覚えはあって、潜在的なケースとしてカウントされそうです。
身勝手な感じ方で恐縮ですが、私が子供の頃の昭和のニュースの事件でも決してつらい内容がなかったわけではありません。ですが、今のニュースを観たとき。なにかが変わっていく姿を感じられてなりません。そこにフォーカスを当て過ぎたら自然に鬱々とした気分となっていきそうで恐ろしいことです。

人は、自分の意識を向け注視したものの像が大きく描かれて他が見えなくなる習性がありますから、わざわざ自分の手に余ることで思い悩みつづけるよりも、自分の手で創り出せるものにどれだけ注視し続けることができるか。

それがひとつの人として生きる修行だと思っています。

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2026年06月08日

望診の流れ

望診には、神も姿勢も歩き方、顔の目も、鼻も、口も、耳も、舌も、皮膚も、髪も、爪もと様々な調べる項目があります。ですが毎回、これらすべてを調べていたら、限られた時間がそれだけで消えてしまいます。
それを避けるよう要領よく調べる必要があります。
望診項目をひとつずつすべて調べるのではなく、異常部位を素早く見つけて、そこから情報を拾い上げます。


具体的にどのような過程を通るでしょうか。

まず、まっさきに押さえたいポイントがあります!
押さえたいポイント
最優先でチェックする3大指標には(眼(有神・無神)、顔色、舌)があります。

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(望診の最優先3大指標:図解)

優先項目 診るべきポイント 読み取れること
1. 目(神気) 瞳の輝き、視線の定まり方、白目の色| → 精気の盛衰(バッテリー残量)、精神状態、肝の乱れ
2. 顔の色沢 全体のトーン、肌の「ツヤ・明度」| → 気血の充実度、五臓のトラブルの傾向
3. 舌(舌診) 舌体の色・形、苔の厚さと水分量| → 寒熱・虚実、気血の巡り、湿気の有無(痰湿・血瘀の有無)







望診の流れ


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(望診の効率的な流れ図)

ステップ1 ドアを開けてから着席するまで(全体観察・動)
遠見から、神、歩き方、姿勢を診る。
​チェック:目に輝きはあるか(神)、歩き方や姿勢に違和感はないか(形態・動態)。

​「神(しん)」の有無: 目に輝きがあるか、表情に生き生きとした生気があるか。神が失われている(得神・失神の判断)場合は、全体的な虚損や精神的な疲労が深いと一瞬で判断できます。
​「形態・動態」: 歩き方、姿勢、肩の左右差、足の運び。ここで筋肉や骨格のゆがみ、気血の巡りの悪さ(滞り)のあたりをつけます。
異常がなければスルーします。
異常等がみられれば記憶、記録して次に進みます。


ステップ2 対面で挨拶中・着席直後(局所観察・静)
近見から、顔全体のツヤや色を確認します。
​チェック:顔全体のツヤと色(青・赤・黄・白・黒)をパッと見て、例えば「黄色くツヤがなければ脾胃の虚弱」といった大まかな仮説(証のあたり)を立てます。

​「色沢(しきたく)」のスクリーニング: 顔全体の「色(青・赤・黄・白・黒)」と「ツヤ・潤い」をパッと見ます。
​例えば、顔色全体がくすんで黒ずんでいれば「血瘀(けつお)」や「腎虚」、黄色くツヤがなければ「脾胃の虚弱」といったように、この段階で大まかな「証(しょう)」の仮説を立てます。
異常がなければスルーします。
1.遠見でえた異常と2.近見でえた異状から、全体仮説を立てます。


ステップ3 問診中に(正常な部位はスルーし、異常な部位のみピンポイントで確認)
全体仮説と五官の局所望診により仮説検証をおこないます。
​チェック:仮説に関連するパーツだけをピンポイントで確認します。例えば、「血瘀」の仮説があれば、唇の色や舌裏の静脈を見ます。すべての五官を均等に診ることはしません。
全体からアタリをつけた後、初めて特定のパーツに視点を落とします。
​五官のチェック: 目の充血(肝火)、唇の色(淡白なら血虚、紫暗なら血瘀)など、仮説を検証するために必要なパーツ「だけ」をピンポイントで確認します。
​舌診(ぜっしん): 望診の中で最も客観的で裏切らない指標です。会話の区切りや、意図して出してもらうタイミングで「舌質(色・形)」と「舌苔(色・厚さ・潤い)」を数秒で診ます。


ステップ4(舌診による答え合わせ)
舌診で舌質・舌苔を観て証を確定します。
​チェック:舌診は最も客観的な指標です。Step 2〜3で立てた仮説が正しいかを数秒で確認し、最終的な「証(気虚、血瘀など)」を確定させます。
舌診でえた結果が仮説検証した内容と異なったとき。または問診で新たな情報を得たとき、施術後に状態を確認するときには、再度、ステップ1に戻り繰り返します。






私ごとですが。
望診の項目をすべて記憶することも大変だが、毎回の施術ごと、すべてを調べるのはさらに大変。臨床でそんなことはしていないことは、中医師に一度でもお世話になればわかります。

私がかつて脈診講座を受講したことがあり、脈診をするときのことを思い出しました。脈をとったとき、脈が硬か柔和か軟かという硬軟がわかります。この時点で、虚実が判明しますから、虚証の脈であれば、あとは実証の脈状は除外して調べられます。知りたい答えを探索するには、除外できるものをさっと除外して脳の負荷を減らしていくようにします。すると虚実を気にしつづける脳を黙らせ、すっきり探索が続けられます。そうした脈診表が手渡されたことを思いだされました。
望診も、遠見でざっくり焦点を当てる必要ありを得る考えもありますが、考えなくてよくなった部分を除外すると等しいといえなくもありません。
個人的に脈診で除外できるものを弾いて残ったものが答えという思考回路ができているため、望診でもそうした流れで物が見えてきます。


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2026年06月07日

問診 十問歌

問診をするとき、ただ漫然とお客様が語る主訴を伺うだけでは偏った表裏、寒熱、虚実、陰陽を判断する情報はえられません。

では、どのような手順で問診を進めていけば、漏れやダブりなく情報をうかがい知ることができるでしょうか?

それは明代の医師であり、『景岳全書』の著者である張景岳(張介賓)が遺した『十問歌』があります。これは、中医学の問診における不朽のバイブルとなっています。

以下に『十問歌』原文と、臨床的な意味がしっかりと伝わるよう意図を込めた読み下し文(現代語訳を交えた解釈)をまとめました。




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​1. 『十問歌』原文

​一問寒熱二問

三問頭身四問便

五問飲食六問

渇倶当辨

九問旧病十問

(※ 下方に概説あり)

再兼服薬参機変。


​婦人尤必問経期、

遅速閉崩皆可験。

通産去後作何状、

更箇原因要詳辨。


育嬰条中多妙法、

幼児孤特莫軽視。





​2. 意図を持った読み下し文と臨床的解釈


​単なる直訳ではなく、「何を診るためにこの問いが必要なのか」という臨床的な意図(メカニズム)が伝わるように構成しています。


​【本歌:基本の十問】


​一に寒熱(かんねつ)を問い、二に汗(あせ)を問う
​読み下しの意図: まず最初に、身体の表(バリア)で何が起きているかを確認せよ。悪寒と発熱の有無で「外邪(邪気)がどこにいるか」を見極め、汗の出方(自汗か盗汗か)によって「気血の虚実や陰陽のバランス」を即座に判断するためである。


​三に頭身(とうしん)を問い、四に便(べん)を問う
​読み下しの意図: 次に、全身の経絡の滞りと排泄の状態を診よ。頭や身体の痛み・重だるさから「気血津液の巡り(滞りや不足)」を察知し、大便の状態から「脾胃(消化器)の寒熱や、腸管の潤い」を突き止める。


​五に飲食(いんしょく)を問い、六に胸(むね)を問う
​読み下しの意図: 身体の中央(中焦)のエネルギー製造工場の動きを診よ。食欲や味覚(飲食・口味)から「胃気の強さ・脾の運化」を測り、胸や腹の張り(胸腹)から「気がスムーズに流れているか、あるいはストレスや痰瘀(気滞・痰瘀互結)で詰まっていないか」を判別する。


​七に聾(ろう=耳目)を問い、八に渇(かつ)を問い、倶(とも)に当(まさ)に辨(べん)ずべし
​読み下しの意図: 最上部のアンテナと体内の水分メーターを合わせて診よ。耳鳴りやめまい(耳目)は「清陽の気が頭に昇っているか、あるいは腎精が足りているか」を示し、口の渇き(渇)は「体内の熱の強さと、津液の損傷度合い」を如実に表すため、これらは共に注意深く弁証しなければならない。


​九に旧病(きゅうびょう=既往歴)を問い、十に因(いん=病因)を問う
​読み下しの意図: 根底にある原因を探れ。九番目には「これまでの病歴や体質」を確認し、十番目には「今回発病した直接のきっかけ(精神的ストレス、飲食の不摂生、過労など)」を突き止める。
​再(ふたた)び服薬(ふくやく)を兼ねて機変(きへん)に参ず
​読み下しの意図: 最後に、これまで飲んできた薬とその反応を重ね合わせ、病態がどう変化(機変)しているかまでを総合的に観察し、柔軟に考察せよ。




​【別歌:女性と小児への配慮】
​張景岳は、一般的な十問にとどまらず、身体の構造やライフステージが異なる「女性(婦人科)」と「小児(小児科)」に対して、以下の項目を絶対に忘れてはならないと付け加えています。


​婦人は尤(もっと)も必ず経期(けいき=月経)を問うべし、遅速(ちそく)・閉崩(へいほう)皆(みな)験(けん)ずべし
​読み下しの意図: 女性を診る際は、特に月経の周期・状態を必ず問わねばならない。周期が早いか遅いか(遅速)、無月経や不正出血(閉崩)があるかを見ることで、女性の根本である「血(Blood)」の充実度や巡り、肝・腎の機能をすべて検証できるからである。
​通産(つうさん=出産・流産)去後(きご)何状(かじょう)をなすか、更(さら)に箇(こ)の原因(げんいん)を詳細に辨(べん)ずるを要す
​読み下しの意図: 出産や流産を経験した後に、身体がどのような状態になったのか。その後の体調不良に繋がる原因(気血の消耗や瘀血の停滞など)を、さらに細かく詳細に分析しなければならない。


​育嬰条中(いくえいじょうちゅう)に妙法(みょうほう)多し、幼児(ようじ)は孤特(ことく)にして軽視すること莫(なか)れ
​読み下しの意図: 小児(育嬰)の治療論の中には、先人の素晴らしい知恵(妙法)が多く隠されている。言葉で症状を訴えられない幼児の病態は、大人とは異なる独特で特殊なもの(孤特)であり、決して見過ごしたり軽んじたりしてはならない(顔色、食欲、機嫌、夜泣きなどを注意深く観察せよ)。





(※ 概説あり)
【十問歌:体調を見極める10の扉(概説)】

1.寒 熱 ─── 体の「冷え」か「熱」か
2.   ─── 「エネルギー(気)」や「潤い」の漏れ
3.頭 身 ─── 痛みの性質、体の重さ(湿気の有無)
4.便 尿 ─── 胃腸の元気度、水分の排泄
5.飲 食 ─── 栄養をエネルギーに変える力
6.   ─── ストレスによる「気の滞り(イライラ)」
7.   ─── 生育・エイジングを司る「腎」の強さ
8.   ─── 体の中の水分不足度
9.旧 病 ─── 生まれ持った体質のベース
10. 因  ─── 不調を引き起こした根本原因
【女性の特効門】月経・おりもの ─── 「血(けつ)」の充実度と巡り





まとめ
​張景岳の『十問歌』が素晴らしいのは、単に「10個の質問を上から順にしろ」と言っているのではなく、**「表(外側)から裏(内側)へ」「上焦から下焦へ」**と、人間の体を立体的に捉えるための思考ルートを示している点にあります。
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皮膚の望診のひとつ、皮膚病変(熱化物:ねつかぶつ)の「癰(よう)・疽(そ)・疔(ちょう)・癤(せつ)」について

『実用中医学』のテキストを読むと、中医学の伝統的な皮膚病変(熱化物:ねつかぶつ)の「癰(よう)・疽(そ)・疔(ちょう)・癤(せつ)」の名が出てくることがあります。ですが、私には具体的な症状画像や病理背景が思い描けなかったため、調べてみました。


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@ 癰(よう)の特徴と背景

【病態と望診の特徴】
皮膚の浅表部に発生し、中に膿を含んで出口がふさがり、赤く大きく盛り上がるのが最大の特徴です。局所の熱感と激しい拍動性の痛みを伴います(陽証・実証)。

【具体例】

大きめの「背中の大きな腫れ物」「首の後ろの大きな肥大したおでき(項癰:こうよう)」、複数の毛包が融合して巨大化した蜂窩織炎(ほうかしきえん)のような状態。
【なりやすいシーン(人物像・環境)】
年齢・性別: 20代〜50代の比較的体力が充実している働き盛りの男性
生活環境・食事: 日常的にお酒、脂っこい食事(ラーメン、揚げ物)、辛いもの、肉類の過剰摂取が多く、体内に「湿熱(しつねつ)」と「熱毒」を溜め込んでいる環境。
季節: 体内に熱がこもりやすく、湿気も高い梅雨から夏(盛夏)に最も多発します。



A 疽(そ)の特徴と背景

【病態と望診の特徴】
癰とは対照的に、平坦で膿頭を持たず、皮膚の色が変わらない(赤くならない)が、根が極めて深いのが特徴です。熱感があまりなく、鈍い痛みが続きます。体のエネルギーが枯渇し、邪気を体表に押し出せない深刻な状態を示します(陰証・虚証)

【具体例】
糖尿病患者の足の壊疽(えそ)、床ずれ(褥瘡:じょくそう)が深部まで進行した状態、あるいは骨髄炎を伴うような深い皮膚潰瘍。
【なりやすいシーン(人物像・環境)】
年齢・性別: 高齢者、あるいは慢性疾患を長年患っている男女。
生活環境・体質: 糖尿病(消渇:しょうかつ)の既往がある方、寝たきりで血行が著しく悪い環境、過度な過労や大病後で「気血(きけつ)」や「腎精(じんせい)」が著しく消耗している体質。
季節: 体の陽気(温めるエネルギー)が衰え、血行がさらに悪化しやすい晩秋から冬の寒い時期に悪化・発生しやすくなります。



B 疔(ちょう)の特徴と背景

【病態と望診の特徴】
根が非常に深く、釘が刺さったような硬さを持ち、顔面に生じやすいのが特徴です。初期は粟(あわ)粒のように小さいですが、進行が極めて早く、不用意に潰すと毒素が血液に乗って全身(脳など)に回り、高熱を発する危険(走黄:そうおう、現代の敗血症)があります。

【具体例】
鼻の頭や唇の周り(危険三角地帯)にできた、芯が極めて硬くて激痛を伴う小さな「めんちょう(面疔)」。
【なりやすいシーン(人物像・環境)】
年齢・性別: 10代〜30代の青年期・壮年期。性別を問わず、特に皮脂分泌が盛んな世代。
生活環境・心理: 激しい精神的ストレス、イライラ、不眠が続き、「肝火(かんか)」や「心火(しんか)」という精神的な熱が顔面に突き上げている環境。また、不衛生な手で顔を触る習慣。
季節: 外気の熱の影響を受けやすく、自律神経も乱れやすい春先から初夏にかけての季節の変わり目。



C 癤(せつ)の特徴と背景

【病態と望診の特徴】
皮膚の浅表部に発生し、大きさは1寸以下で、赤く腫れて軽度の熱と痛みを伴います。比較的浅く小さいため、膿が出れば速やかに組織が修復され、痕を残さず治りやすいマイルドな病変です。

【具体例】
一般的な「おでき」、単発の大きなニキビ、毛嚢炎(もうのうえん)。お尻や太もも、顔などにポツポツとできるもの。
【なりやすいシーン(人物像・環境)】
年齢・性別: 乳幼児から小児、または10代の学生に多く見られますが、全年齢の男女に起こり得ます。
生活環境・衛生: 汗をかいた後に肌を拭かずに放置する、不衛生な衣類の着用、または一時的な免疫力低下。子供が公園で泥遊びをした後に皮膚を掻き壊した環境など。
季節: 汗を大量にかき、皮膚のバリア機能(中医学でいう「衛気:えき」)が汗とともに漏れ出て弱りやすい夏(汗疹がひどくなる時期)に最も多く発生します。



💡 先生からの「望診」まとめ
臨床において患者さんの肌を見たとき、
「大きく赤く腫れている(癰)」なら⇒胃腸の湿熱(食べ過ぎ・飲み過ぎ)を疑う
「赤くならず深く沈んでいる(疽)」なら⇒腎虚や大まかなエネルギー不足(糖尿病・高齢)を疑う
「顔に小さくとも釘のように硬い芯がある(疔)」なら⇒強いストレスや過労による火の燃え上がりを疑う
このように、皮膚の形と発生しているシチュエーションを組み合わせることで、原因(弁証)が手に取るように見えてきます。

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2026年06月06日

5種類の病因『邪正の盛衰、陰陽の失調、気血津液の失調、経絡の病機、臓腑の病機』

前ブログでは、正気と邪気のバランスが乱れて邪気が正気に対し旺盛となり虚証か実証が判定されます。
正邪のバランスの崩れで邪気が病をもたらすという、病機のなかの一種類となります。


ではそれを含め病気を引き起こす病機の全体を眺めてみましょう。

- 邪正の盛衰
- 陰陽の失調
- 気血津液の失調
- 経絡の病機
- 臓腑の病機


などがあります。


以下に図解を表示させていただきます。

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(病気を引き起こす5種類:解説図)拡大してご覧ください


それぞれを略説すれば、

◎ 最上層が【邪正の盛衰】として全体像を眺める大枠です。
正気(免疫・抵抗力)と邪気(病気の原因・ストレス)との戦いです


◎ 第二層が【陰陽バランスが失調】です。陰陽失調では、臓腑・経絡・気血津液・営気衛気などの相互関係、表裏出入、上下昇降などの機能が失われます。
(陰は物質・滋養・冷却を示し、陽はエネルギー・温煦作用で温めるものです。陰または陽、または陰陽同時に失調するときもあります。)


◎ 第三層は【気血津液の失調】と【経絡の病機】があります。
○ 気血津液の失調は、(気:推動・温煦作用の異常)、(血:血虚や瘀血)、(津液:陰虚や痰湿)などをもたらします。全身を循環して臓腑・経絡・組織を栄養する気血の機能を始め、様々な生理機能に影響を与えます。
○ 経絡の病機は、上述の気血を運ぶ通り道をつまらせることになり、関係書記官の機能を衰退(亢進)させ、運行機能が失調すると関係諸器官の生理活動に影響します。また経絡は気血の循環が滞れば外邪が体内へと侵入する際の経路であり、内邪の波及する通り道にもなります。
そして気血津液の失調と経絡の病機は、相互に影響し合います。


◎ 最下層が【臓腑の病機】となります。第一層〜第三層による失調が病理変化として最終的に臓腑に集約・発現いたします。臓腑病機では臓腑の機能失調と、臓腑の陰陽気血の失調がおきます。各臓腑の機能や、各臓腑間の相互関係にも支障が生じます。



まとめとして、
これらは以前にブログで弁証論治の弁証法について書かせていただいたことがありますが、こうした病を引き起こす5つの病機を知ることが、診断と治療方針の決定につながります。
診断でつかわれる弁証法には、八綱弁証(陰陽・表裏・虚実・寒熱)気血津液弁証経絡弁証臓腑弁証などがありましたね。



posted by スズキ at 14:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 中医学診断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

最低でも正邪が中庸、理想は正気を増やして邪気を取り除く対処法(扶正祛邪)で


先日、虚証と実証では推拿療法の手技が違ってくると書かせていただきました。
当ブログ( [虚証と実証、推拿の運用は異なりますか?](  https://bodywise-note.seesaa.net/article/520856811.html  ))。



今回は虚証と実証について、ご一緒に理解を深めたいと思います。

病気を引き起こす邪気と邪気を抑制する正気の戦いが、絶えず体の内側でなされています。
邪気には外因(風邪・寒邪・暑邪・温邪・燥邪・火邪(+疫癘邪気(ウイルス、細菌))・内因(情志失調)・不内外因(飲食不節、労逸過度、瘀血、痰飲)などがあります。それら病をもたらす攻撃主となる邪気をディフェンス役の正気が勝れば健康は保たれ、邪気が正気に勝れば疾病がもたらされます。

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(健康と病は正気と邪気とのバランスで現れてくる図)

次に、以下の図解をご覧ください。


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(邪気と正気でみる虚証・実証図解)


以下、正気と邪気の数はわかりやすさをとり、任意なものとします。

【健康  正気:邪気 = 3 : 3】
基準として図中の真ん中となる健康な状態を観察して下さい。
正気が3体いて邪気も3体おり、両者が釣り合っている中庸となっております。正気が邪気による攻撃量に負けずについていけております。正直言えば、余裕がない状態で危なっかしいものの、中庸であれば病に犯されることなく防ぐことはできてます。理想としては正気を増やす生活習慣を心がけ、たとえ邪気の数が急激に増えても負けずに対応できるようにしましょう。


【虚証  正気:邪気 = 1 : 2】
図中の左手の虚証をご覧ください。
虚証では正気が1体で邪気が2体となります。すると正気を1体加算すれば邪気の2体と釣り合うじゃないかと思われるでしょう。ですが健康状態では正気が3体で成り立っております。すると正気を補う数量は健康な正気と同数となる正気を2体加算すべきでしょう。これで邪気より正気が勝ります。正気を加えて対処する、扶正(正気を扶養して増やす)をおこない調和させます。


【実証  正気:邪気 = 3 : 6】
図中の右手の実証をご覧ください。
実証では正気が3体で邪気が6体となります。すると正気を3体加算すれば邪気の6体と釣り合うじゃないかと思われるでしょう。ですがそれでは大量に発生している邪気が体内にずっと居続けることによる不利益が生じます。この場合は、邪気を3体取り除くことで正気と邪気が3体ずつと中庸になります。邪気を取り除く、祛邪(邪気を取り除く)をおこない調和させます。



つまり虚証は正気を加えるのが治療となり、実証は邪気を取り除くことが治療となります。
これを間違えて虚証で邪気を取り除いても病からの回復は遠く、実証で正気を増やしても体内に取り残された邪気はしばらくの間は生きながらえて悪さを継続し病が続けられるわけです。

簡単に考えれば、基本は健康状態の正邪のバランスへと、
虚証では正気を実証では邪気を移行させればいいわけですね。
それで症状も落ち着いてまいります。

虚証か実証かが異なれば対処法を変えなければなりません。


そうした理解が及べば、
『あれっ?自分は実証になるのか、虚証になるのかわからないな・・・』

とお考えいただく思考回路が出来上がりましたらしめたものです。




ただ、、、ここで厄介なことをいうようで恐縮ですが、証は短期で転じることがあることをご理解下さい。
下に例示いたします。
風邪の引き始めは『葛根湯』という言葉を聞いたことはありませんか?
風邪を引いた初期状態の証と中期状態の証とでは証が短期間に移り変わっていきます。
風邪の引きはじめの悪寒、背部の凝り、むくみなどは「外感風寒表実証(がいかんふうかんひょうじつしょう)」です。葛根湯は「辛温解表(しんおんげひょう)」、つまり「体を温めて毛穴を開き、汗と一緒に邪気(ウイルスや寒けの元)を外へ追い出す」処方です。それは体表部にまだ邪気がいるから効くもので、表実証という実証に対する処方をおこなうことがあります。
それが中期になれば、邪気は体表を通り過ぎてさらに奥へと病位を侵攻していきます。するとすでに邪気と戦い正気が消耗され数が少なくなっていれば実証から虚証へと転じる場合もでてまいります。虚証であれば正気を加えることも必要となってきたわけです。
このように証は場合により、短期間での虚実転換が現れることがあると知られております。ですから必要な対応とは、そのとき、そのときの証を正確に四診を持って判断して治療にあたることが求められます。

posted by スズキ at 09:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 中医学診断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2026年06月05日

体温を支える熱源は、内蔵55%、脳16%、筋肉25%。内蔵が体温を高める最大の立役者だから内蔵が強い遺伝子を持てないと元気には、なれないの ?答えは、NOです!

人は平熱よりも6度程度高くなるとがん細胞は死滅し始め、1度ほど下がったら逆にがんが活性化します。全身が30度を下回ると意識を失い死の危険にさらされます。

こう考えると平熱の維持がいかに重要か、うかがい知ることができます。

体調がいいときも悪いときも、身体ができるだけ正常に機能を保つために体の深部が37度前後になるよう調整しています。すると楽々体温を保てるときと、保つのに非常に厳しい状態の時もでてきます。

そうした平熱を維持するために、全エネルギーの70%をつかっているのです。

体調が健やかであれば、気の温煦作用とよばれる体を温める作用が適切に働き、外気温が多少低くなっても、高くなっても、健康な平熱を保つことができるでしょう。
暑ければ汗をかいて体温を冷ましますし、寒ければ体表に熱を集め体温を保つのです。
平素、楽々平熱を保つものは、何らかの病をえて体調を崩しても治りやすく、回復が早いようです。勝手に治る体を持っています。ですから海外では風邪やインフルエンザで病院を訪れた人に、薬をださずに安静にと告げて返す処置がなされることがあるといいます。それで治ってしまう体を持っているものが多いから、それで済まされるのです。

ですが気血の失調や停滞から体調が悪化していたり、体質的にひ弱であるとき。平熱を保つことが容易な作業ではなくなります。
こうなるとウイルスに感染しやすかったり、怪我をしてもなかなか治りません。自然治癒を発動させるエネルギーさえ、平熱を維持するために使われてしまうのです。
ぎりぎり平熱を保ち続けてきた均衡が崩れたとき、じりじりと36度台の体温も下がり、低体温の状態に移行するのです。
ぎりぎり平熱を保てている人は回復はしづらい。容易にウイルスが体内の奥へ侵入でき、治療を必要とします。自然治癒頼みにしては、訴訟問題がおきかねません。勝手には治りにくい体になっている人々がいるのです。そうした国に日本がなっていることを認めたほうがいいデータも現れている昨今です。



そして楽々平熱を保てる人の筋肉と、ぎりぎり平熱を保とうと苦戦する人の筋肉。それらは多くのお客様を触れている施術者には、触れた瞬間に、違いを感じ取るものです。




ちなみに、安静時に体温を保つ熱は、55%程度は内臓で生産され、16%が脳、25%が筋肉。この割合からわかるように熱は内臓で生産が多く、必要に応じて筋肉の熱を増して対応しています。ということは内臓が正常に活性し働けば55%程度の熱の生産は容易ですが、内臓の働きが振るわなければ、筋肉などの発熱量を増すことで対応する必要が常時でてしまうことになります。

つまり運動不足は論外ですし飲食するものが冷たいものばかりもNGです。

ただここでひとつ、疑問があります。
世の中には少なからず、先天的に内臓の弱さから55%の安静時の熱を生成できていない人がいます。俗に言うひ弱い体質の者たちです。ひ弱いとは脾(=消化器全般臓器)が弱いものをいいます。


こうした基本の体質は生まれた時点で殆ど決まっています。中医学でも先天の精を指し、父母から受け継いだ生命エネルギーによって、ベースとなる五臓六腑の強さや体質の傾向(あつがり、さむがり、虚弱など)が決まりまってしまうのが常識です。古典『黄帝内経(こうていだいけい)』でも、両親の年齢、健康状態、妊娠中の過ごし方が子供の骨格や臓腑の強弱に直結すると明記されており、中医学では不動の前提です。

​両親から受け継いだ遺伝的な設計図(体質、特定の病気への罹りやすさ)は、生まれた時点で固定されています。これは現代の遺伝学や**エピジェネティクス(遺伝子発現の制御機構)の知見とも完全に一致しています。


健康な遺伝子を父母から受け継いだ者は幸いです。強い五臓六腑は余裕を持って熱を生成してくれます。
対してひ弱く生まれれば、一生涯、変わらぬ体質により、ハンディキャップを抱えて生活を送らねばならない定めです。


小伝馬子さんのYouTube動画に『病人ニート歴10年の私が今伝えたい「病人の賢い生き方」』という映像がありました。小伝さんの、先天的にお腹が弱い体質を背負って生まれでたものが悪いわけじゃないという主張は、私にはこころに強く響きました。そのとおりだと思います。父母も子にひ弱い体を授けようと考えていたわけじゃない。ですがこうした先天的な遺伝上の不利益が元で病気になったなら、責任のいったんは父母にもある。そこを認めてほしいという、叫びです。

それに小伝さんのすばらしさは、親に頼るばかりではなく徹底的な生活にかかる固定費を削減し、お腹にいいという海外の情報を集めて実践し、後天的な努力で先天の不利を補っておられる行動力には頭が下がる思いです。

中医学の考えでは、先天の精と表現した父母からえた遺伝子により決められた病のえやすさや冷え性や暑がりやその他の多くは一度出来上がれば、それは変わることないという認識があります。遺伝子はコピーが繰り返され、同様な情報が保たれます。それが突然コピーミスが起こりだし不安定な状態に置かれれば、長くは生きられない状態に達したということでしょう。そうした認識をベースにして、だったら遺伝子を守りつつ(誇張すれば不老不死)遺伝子で決められた体の弱点を補うための手当をすれば、それでそれなりの健康はかなえられるようになるじゃないか。このやり方のノウハウは養生のようなもので、食や運動、その他、生活の細部にわたり賢明なやり方が伝えられております。なっちゃったもんは仕方ないから、それをそうだと受け止めて、適切な対処をすれば問題なしです。そういったノウハウがあります。
そうした前向きな考え方と行動力は、小伝さんのおこないに、合い通じるところを感じます。






ここで少し話が変わりますが。
興味深い平均体温調査が、1957年になされました。
​これは1957年に東京大学の田坂定孝教授らの研究グループが、10代〜50代の健康な日本人男女3,000人以上を対象に実施した調査です。
この時の測定結果から、日本人の平均体温は 36.89℃(±0.34℃) であると報告されました。現在でも医学界で日本人の平熱の基準としてしばしば引用される有名なデータです。

ただ現代は「低体温化」の傾向があるといわれています。概ね事実でしょう。
​最近は平熱が35℃台の人も多くおられ、現代の日本人の平均体温は当時よりも下がっている(約36.2℃前後、人によっては35℃台)と言われています。
1957年平均体温が36.89度ですから、37度近くですね。35度台の人が37度近くになれば、もう風邪の症状が出ている頃合いです。そして海外の風邪やインフルエンザで病院に行っても静養しなさいといわれて薬を出さない国々の平均体温は、調べれば37度近くか37度を超えていたのです!


子どもの手技を得意とする女性施術者の知人の話では、『20年前の子どもたちと比べれば今の子供達では体温が低下してアレルギー体質の子も増えている。昔の子供たちの体に触れると、たとえ病気がちな子どもでも温かいだけでなく生命力あふれる弾力が感じられました。だから、施術をして様々な刺激を受け止めてくれてよくなっていったのです。ですが今の子供達は冷たくて硬い体の子が増えたと、日々実感しているといいます。こうした子たちは厳しい環境では生き延びるのが難しく感じられるほど弱々しいと感じられるのです。』といいます。



私も手技をしていて初診では問診票を書いていただいてますが、そこに血圧及び体温を書く欄が設けられています。(一時的にプリントミスで体温が抜けてたこともありますが、体温と血圧などのバイタルサインで、施術の効きがいい人かどうかを見分けがだいぶんつくため、指標にしています)



骨格筋の状態が改善されるのが筋膜リリースの真骨頂だとします。
それで五十肩や腰痛肩こりが軽減し、他の様々な不調を緩めることができるからです。
気血津液の過不足や停滞から臓腑が弱り熱を生み出せない方は慢性的な不調を訴える方に多くおられます。その方々に対して手技療法のみで継続的な状態の安定や底上げができるかといえば、難しいでしょう。実際にそれができないかと経絡や内臓マニュピレーション等で徹底して手技応用しましたが、私に限っての話とはなりますが、期待値を越して喜ぶ成果が続いたことは、数えるほどと記憶しております。

そうした方々が、もし先天的な臓器のひ弱い体を父母からいただいてきたとしたら、中医学にはそうしたことを対処する後天の精を持って先天を補う考えのもと、様々な対処法が開発されています。そこに対しての実績は、直接、実験をしている我が身のみの状況です。去年の今頃、仕事納めのつもりで、日々頑張りが過ぎてしまい身体が心まで冷える状態で施術終わりを迎えましたが、その状態はリセットされてきました。生来の脾の弱さから消化吸収が全般、人よりかなり劣りますが、その不調が緩和するプログラムを組んで実施した成果も、この年になってもでてきております。
私自身、平熱が35度後半、脾の弱さから熱を生み出せない人間のひとりです。だから健康体の人の身体って、どういった楽さと落差があるのか、無理やり想像力をたくましくしない限り、実感がもてないのです。ですがそうしたいままでを飲み込んでひっくり返して健康な身体となるよう改善を加えるのがいま。そうした成果が、しっかり裏を取って再現性がでるやり方を見いだせればなと考えているところです。

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虚証と実証、推拿の運用は異なりますか? 

Q.虚証と実証、推拿の運用は異なりますか?

A.はい、異なります。




たとえば、
 睡眠障害 の場合。
虚証と実証では症状が異なります。


虚証夢をよく見る、眠りが浅い、頻脈、物忘れ、目眩、耳鳴り、物思いに沈む、背中の筋肉痛、下肢の疲労

実証頭痛、目眩、肋骨弓下のはり、興奮しやすい、いらいらする、げっぷ、膨満感



これら虚証・実証もあわせて睡眠障害とひと括りにして同じ手技でいいのでしょうか?
症状がだいぶん違っています。

虚証は、気血津液加えて熱が足りてないという状態で、慢性化した虚の状態の延長線上にあります。虚証は気の動きが足らず温煦作用が減って身体(特に内臓)が冷えて寝れない。動と静でいえば静です。

実証は、気血の流れが部分的に強く滞って熱帯びた箇所ができたり、内因により感情の高まりが過剰な熱を生み副交感神経へ移行できない状態。動と静で言えば動です。




こうした相容れない動と静でも寝れないという結果は一緒だというのは、おかしいことでしょう。




虚証であったら気を補う必要があり、実証で無い因による感情の熱なら清熱させて熱を取り去る。
そうして睡眠障害が起きない体温のバランス調整をおこなうことが必要です。

往々にして整体院にくるお客様には虚証による睡眠障害が多いようですが、
少なからず実証と判定されるお客様もおられると考えて、
虚証か実証かを判定してから手技をおこなう必要があります。
実証でも虚証のベースをいささかもっているものもいますから、
虚証と実証の割合を1対1か1対2かといった難しい判断がせまられます。

このように睡眠障害に対応する推拿の手技も、やり方がカスタマイズされ、
効果が高められ確保されてまいりますし、副作用と言えるトラブルも起きなくなります。



残念に思いますがこのような証の差が考慮されず、ごちゃまぜに睡眠障害の症状が列記された施術解説書も少なからずあります。
というか中医学関係に則していた解説書でなければ、それが通常なのかも知れません。
そうした使い分けが中医学の薬膳や方剤などを学ぶと、細心の注意を払いながら証を判定し使い分けをすることがわかります。
私自身、今回、中医学を学ぶ過程で、手技をするときの判定で知識がごちゃまぜになっていた認識の甘さをもっていたと気付かされたことがあります。

というのは。
中医学でおこなう場合分けの徹底は、
そこまで考えないでもいいんじゃないかと素人なら思うことも厳密に差異を分別して差が出た理由を明らかにしていきます。
検討要素が膨大に加算され、そこまで考えなくてもいいんじゃないかと思えるほど。
それを『取り越し苦労、上等!』といってそのなかからこれだと見つけ出します。
すさまじい情熱です。

だから睡眠障害の括りのなかで症状の差異があれば虚証と実証の違いと分別したり、ピタッと腑に落ちるまで分析する過程で背景の原因を探り出したから適切な手の打ち方がわかってくるのです。

私が手技をしてきたとき、こうした中医学の見方をもっと取り入れておればと思うばかりです。
そして同時に、これからの手技では同じ手技をしているよでも、私の脳裏で働く思考過程の違いから完成度の高まりがあらわれれば幸いと感じる次第です。






以下に、そうした中医学の基礎を押さえた手技の推拿療法の本を紹介させていただきます。
虚証と実証のやり方を解説した良書といえるでしょう。


書籍:推拿療法
出版:(GAIA BOOKS)
著者:ウェイジョン・サン, アルネ・カプナー


中国人とドイツ人も関わる推拿療法の本です。
なぜドイツ人が?と思いましたが丁寧な手技写真が使われたわかりやすい本です。


関心ある方は、どうぞ書店で参照なさってくださいませ。


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2026年06月04日

体質による毛髪異状って?!

毛髪の異状は、男女ともに気になるところ。


今回は、《枝毛や抜け毛の違いについて》《円形脱毛症やその他の脱毛との違い》について観てまいりましょう。

ここで問題です、図解をご覧いただき、Q1とQ2をお読みいただき、◎◎証の可能性があるかを明らかにして下さい。


Q.1
『最近、朝起きたときに継続して、枕にたくさんの抜け毛が・・・。年齢的にしかたがないのかしら』

Q.2
『会社の対人関係で超ストレスがたまりにたまって。美容院にいったら、円形脱毛ができていますと伝えられ、泣きたくなったわ』



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(毛髪異状の図)




髪の望診 毛髪異常


​気血両虚証: 毛髪の末端から異変が始まり、全体的にまばらで粗くなります。髪は細く柔らかく、乾燥して艶がなく、枝毛や切れ毛になりやすい状態です。

肝腎陰虚証: 毛髪の根元から異変が始まり、頭部または両側頭部から持続的な脱毛が見られます。髪は油状の光沢を持ち、ふけが多く、虚熱の症状を伴うのが特徴です。



髪の望診 脱髪


血熱: 突然の局所的な脱毛が見られ、頭皮は萎縮して光沢を帯びます。(円形脱毛症)

脾虚証: 髪が細く柔らかく乾燥して艶がなく、全体的に均等に薄くなる状態です。「脾」が髪に栄養を与えるという概念が図示されています。

肝腎陰虚証:
髪が部分あるいは全体的に抜け、眉や顔の毛の脱落を伴うこともあります。経過は慢性で、なかなか再生しません。また、髪に油状の光沢があり、ふけが多く、頭頂部または両側の角から徐々に薄くなっていきます。







(解答)


A.1 肝腎陰虚証の可能性あり

A.2 血熱証の可能性あり



A.1肝腎陰虚証の方とA.2 血熱証の方では、対処法はそれぞれ異なります。
肝腎陰虚証をざっくり言えば、肝と腎という肝血を腎に送り腎精を肝に送り血を整えていくタッグの血と津液の両方が足らない状態ということです。
肝と腎のそれぞれの陰虚により潤いや営養が足りていないから、それらを補うことが治療になります。

血熱証をざっくり言えば、心身に受け流すにははるかに大きな負担がストレスとなって感情が燃えて内熱を高めて血を熱で煮詰めて水分を乾かし、血がドロドロな粘った状態に変化した状態へ移行。髪は血の余りともいわれ、血が人体の末端でもある頭皮まで届かずに営養が失われ、頭部の全体または特に血の届かない部分の毛根部から脱髪していきます。こちらは加味逍遙散など、精神的に過剰なストレスを軽減してくれる漢方処方もあるでしょうが、いわばこれは対処療法的な急場しのぎです。
根本的な解決にはストレスを計画的に対処することが大切です。


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2026年06月03日

中医学的な見地でポリープを観れば? 痰と瘀血が絡み合う痰瘀互結が関係するって

中医学において、ポリープ(腫瘤・しこり)の形成は「痰湿(たんしつ)」と「瘀血(おけつ)」の結びつき、すなわち「痰瘀互結(たんおけつ)」が根本的な病理機序であると深く認識されています。
ご研究されている「痰瘀互結」の観点から、ポリープ形成のメカニズムと対応の考え方を整理します。


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1. 病理メカニズム:痰瘀互結

ポリープは「有形の邪(形ある病邪)」であり、本来流れるべきものが停滞し、それが凝固して塊となったものです。

痰湿(たんしつ)の役割: 脾胃の運化機能の低下により代謝が滞り、体内に余分な水分や老廃物(痰湿)が溜まる。これらが局所に停滞し、粘り気を持って組織の異常増殖を促す「素地」となります。
瘀血(おけつ)の役割: 気血の巡りが滞り、血液がスムーズに流れなくなる状態。この「血の淀み」が組織の代謝を阻害し、さらなる凝滞を生みます。
相互の増幅: 痰湿は粘り強いため血流を阻害して瘀血を招き、一方で瘀血は水分の代謝を阻害して痰湿を停滞させる、という悪循環(痰瘀互結)が完成します。この結びつきがポリープという「硬い塊」へと成長します。



2. 治療・改善の原則

ポリープそのものを直接溶かすというよりは、「痰瘀互結」という環境(体質)を根本的に改善することが、再発防止や縮小に向けたアプローチとなります。

活血化瘀(かっけつかお)
: 血流を改善し、滞った血を取り除く。
代表的な生薬:丹参、桃仁、紅花、川芎など。
化痰軟堅(かたんなんけん): 痰湿を取り除き、固まったものを柔らかくして散らす。
代表的な生薬:半夏、陳皮、茯苓、牡蠣、浙貝母など。
健脾利湿(けんぴりしつ): 痰湿の根源である「脾」の働きを助け、水分の代謝を整える。



3. 臨床的な視点
臨床や薬膳の組み立てにおいては、以下の点に注力することが一般的です。

「気」の推動: そもそも「気」の巡りが悪ければ「血」も「水」も停滞するため、理気(気の巡りを整える)がベースとなります。
長期的な体質改善: 漢方薬や薬膳によるアプローチは即効性よりも、痰湿と瘀血を産生しにくい「健やかな代謝環境」を維持することに強みがあります。
生活習慣の介入: 痰湿は「飲食不節(脂っこいもの、甘いものの過剰摂取)」や「運動不足」から生じやすいため、薬膳による食事指導が極めて重要です。
参考:ポリープに関連する主な証候例
痰湿凝滞型: 肥満傾向、むくみ、舌苔が厚くベタつく。
気滞血瘀型: ストレス過多、刺すような痛み、舌に紫斑や静脈の怒張がある。



---

中医学を勉強なさっておられる先生には、あたりまえのこと。
ポリープができやすい体質の方には、痰湿と瘀血を生成されやすい体質となっている点があると中医学の先生からは指摘を受けるかも知れません。


でも、中医学を学んでいなければ、ちょっとなに言ってるのかわからないといわれそうなこと。
ですが、いざポリープができたら、有益なうち手の参考となればと願っております。

posted by スズキ at 17:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 中医学診断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

人体透視? 体表観察

現代では、その代わりにレントゲンやMRI、CTなどにより体表部に隠れた患部を診る力が現れてきました。すばらしい医療技術の進化と言えるでしょう。病の原因特定ができれば治療方針がきめられるのです。ではMRIやCTがあるじゃないかといわれても、その撮影も気軽におこなえるわけではありません。撮影結果から病を発見する読影医が活躍するドラマをみて、読影から正確に病を判定する技術の難しさを痛感します。



角由紀子さんのYouTube映像で、興味深い対談がありました。
対談者が語るには、自身のお母さんが病により危篤となり、一年間の延命をと切なる祈りを。すると宇宙人のような金色の3名が降りてきた。。。すると対談者が、病の母の体を透視ができるように。母の体内に病巣をみて、それを流すようになさったそうですが、それで医師も奇跡としかいいようもない状態の回復を遂げたといいます。




高次元からのメッセージはどう受け取ればいい?宇宙人や神様




過去中国の文学では、
患者を透視して体内の病の原因を突き止め治療をおこなう扁鵲が活躍する物語があります。
『史記』扁鵲倉公列伝
《越人の方たるや、切脉、望色、聴声、写形を待たずして、病の所在をいう。病の陽を聞けば、論じてその陰を得、病の陰を聞けば、論じてその陽を得。病の応は大表に見る。千里を出ざれば、決するもの至っておおし。曲止すべからず。・・・》



アニメも同様に主人公が病を透視で見抜く作品があります。『​異世界薬局』: 主人公の少年ファルマ・ド・メディシスが、指で輪っかをつくり片目で除くと、身体が透視でき患部は色が青く見え、正しい診断がついたら患部の色が白に変わる。そうした規格外の能力から周囲に「薬神の化身」として恐れられる場面がある作品です。



以前見たテレビ番組では、**確かロシアの患部が見える**少女がいて、医の道を歩んだという実話を聞いたことがあります。





残念ながら私どもは通常、体表を透視して病を見つけ治療する特殊技能の持ち合わせはありません。ただ中医学を学ぶと、体内の気血津液や臓腑等の病的傾向を的確に把握する目的で、体表に現れる気血津液の特徴、たとえば血が足らなければ蒼白な肌で乾燥を持つとか、気が足らないことで水分が体内に停滞して溜まる体型がみられるといった、現状から兆候を把握していきます。たとえば、臓腑が体表に兆候をあらわす例は開竅です。
「開竅」とは、「五臓が特定の部位(竅:きょう)とつながっており、その部位の状態を通じて五臓の機能や生理的変化が反映される」という考え方です。中医学の「整体観念(人体は一つの有機的な統一体である)」に基づき、体の内側にある臓腑の状態を、外側の目、耳、鼻、口などの感覚器を通して観察し、診断や治療に役立てます。



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(開竅図解)

開竅の他にも、体表から体内の状態を把握する観測法がいくつもあり強力ですが、他は次回に回させていただきます。



では、**仮に角由紀子さんのYouTube映像**で語られた方が観たお母さんの体を透視して観た像とは、どういった絵になったのでしょうか?
病がどのように体内で代謝を阻害して見えていたのか。そうした映像は今の時代、3D-CGで再現はできるでしょう。それは相当に制作費等もかかる事柄でしょうから、私が観たいと思っても難しいでしょう。

体内で体質に虚証と実証といった気血津液の量が足りなかったり、物理的な経脈や血脈が圧せられ流れが停滞し虚と実が強まり実証となったり。さまざまな変化が体表を透視した映像を観察すれば、直感的に理解できるものでしょう。

そうしたデザインワークを、AIで作図してもらいました。
何枚か出力したものを掲示させていただきますね。
私は施術中にお客様の体の形態形状や体表の温度や湿度、ちりちり感など、いくつか情報を集めては、
脳内でこういった画像を描き出して施術をしています。こういった絵が私の右脳と左脳の共同作業で描けていない複雑なイレギュラーな状態を持ったお客様もおられます。正直に言えば、もうこの時点で手技は諦めてお帰りいただきたい。ですがそういったことを言われたらショックで凍りつくことで、私がそうされたら人間不信にもなりかねません。だからそうもいきませんので、安全管理ができるギリギリを狙って対処するという、数倍以上も計算が難しく疲労困憊して施術後にぶっ倒れる施術回になります。ただ、もし、いま中医学で学んで見つけられた高度なチェック技術があれば、こうしたことも、もっと楽になっていたとわかります。

忙しく判断と施術を繰り返して仕事をするなかではそこまでしている時間はないにせよ、
できればお客様にこんな印象なんですとお伝えしたかったが、そこは施術業の範囲を越えたサービスになって難しかったわけです。ですがいまはイメージに近い絵が得られそうな時代がきたんだなと思えます。


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拡大してご覧ください。
ご参考まで。

ちなみに、筋膜リリースで瘀血のトラブルを拭う専門的な話となりますが、
瘀血の場合は、症状を聞けばどこにできておるかがわかってますから、あとは瘀血ができる定位置を確認し瘀血の量と範囲と硬さ等の質を確認して、どこから手を付けて解くのが正解かと考えて解き進めればいいのです。
病理物質の瘀血は固定性で図示の意味があります。

ですが痰湿は遊走性のため図示しても体内を透視して参考になる意味が薄くなります。
私どもには痰湿の量を多く持たれた方の内部は瘀血ほどは透視映像を描くことはできません。
体のここかしこに痰湿は散らばってしまい、圧せば横に逃げるだけで、多少溜まりやすい場がわかるとするとそこは瘀血の隣にできた痰湿だけという様子です。
上掲した絵とは似ても似つかな複雑さ。
以前こちらのブログで施術の手技療法は痰湿体質で生成された痰湿(津液が熱せられ乾燥して粘つく物質)ができて体内の脈管等をつまらせていても、その病理物質を発見して解こうというのは現実的ではないと述べたことがあります。
つまり精密に描けない絵で原因箇所の特定もできないのだから、適切な手技の仕様がありません。
それは手技療法では痰湿体質に対して、脾の状態を底上げするといった大切なバックアップはできますが、瘀血の塊を緩めていくような即時的に状態を改善に向けるような反応は期待できないということです。



posted by スズキ at 17:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 中医学診断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2026年06月02日

五形体質の分類から、みえてくる性格や疾患や体力値などの傾向性とは、具体的にどういったことかな?

中医学(東洋医学)の古典である『黄帝内経(こうていだいけい)』、その中の「霊枢(れいすう)陰陽二十五人篇」に基づいた五形体質の分類です。

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(五形体質の分類:画像を拡大してご覧ください)

こちらをもとに、お客様の体質タイプわけをおこなうのです。

そしてもう一歩踏み込んで話を深めれば、
体質タイプ(木形・火形・土形・金形・水形)について、かかりやすい疾患(症状)と、体力面の特徴を割合(%)を用いた解説をしましょう。

※ここでの解説は古典に基づく「傾向」であり、実際の病気の診断や治療には、現代医学および東洋医学の専門家による正確な診断が必要です。




中医の視点から、「五行(木・火・土・金・水)」の性質を強く持つ方たちが、どのような病気にかかりやすく、どのような体力傾向にあるのかを説明いたします。
体力については、単純な強弱ではなく、「瞬発力(爆発的なエネルギー)」と「持久力(スタミナ)」のバランスとして、目安となる%を用いて表現します。


1. 木形(もくぎょう)の女性
【かかりやすい疾患・症状】
は「肝(かん)」に対応します。中医学における「肝」は、気(エネルギー)の巡りをスムーズにし、感情(特に怒り)をコントロールし、血(けつ)を蓄える場所です。
肝気鬱結(かんきうっけつ): ストレスを溜め込みやすく、気が滞りやすい。
症状: 頭痛、めまい、PMS(月経前症候群)や月経不順(女性特有の不調)、情緒不安定、不眠、筋肉のコリや痙攣(けいれん)。
注意: 気の滞りが長く続くと、体に「熱」を持ちやすくなります(肝火上炎)。
【体力傾向(目安)】
木は上へ外へと伸びる力です。瞬発力があり、行動力も高いですが、ストレスによるエネルギーロスが激しいタイプです。
瞬発力・行動力:80%
持久力・安定性:60%
アクティブですが、精神的な負担が体力に直結しやすいと言えます。


2. 火形(かぎょう)の女性
【かかりやすい疾患・症状】
火は「心(しん)」に対応します。中医学における「心」は、血液循環を司り、精神活動や意識(神:しん)を安定させる場所です。
心火旺盛(しんかおうせい): 体内に「熱」を抱えやすく、心臓や神経系に負担がかかりやすい。
症状: 不眠、動悸、不安感、顔のほてり、口内炎、高血圧(動脈硬化)、皮膚の炎症(赤みや痒み)。
注意: 興奮しやすく活動的すぎるため、急なエネルギー消耗(燃え尽き症候群)や心血管系の急なトラブルに注意が必要です。
【体力傾向(目安)】
火は燃え盛るエネルギーです。非常に高い出力を誇りますが、持続時間は短いです。
瞬発力・出力:90〜100%
持久力・持続性:20〜30%
「短距離ランナー」タイプです。適度な休息が不可欠です。


3. 土形(どぎょう)の女性
【かかりやすい疾患・症状】
土は「脾(ひ)」に対応します。中医学における「脾」は、食べたものを消化・吸収し、全身に必要なエネルギー(気)や血液(血)に変える場所です。
脾胃虚弱(ひいきょじゃく): 消化器系が弱く、エネルギーを効率よく作れない、または溜め込みすぎる。
症状: 消化不良、胃もたれ、食欲不振、慢性的な疲労感、むくみ(水分の滞り)、下痢または便秘(不規則)。
注意: 湿気(湿邪)に弱く、体内に余分な水分が溜まると重だるさや肥満に繋がります。
【体力傾向(目安)】
土は安定と持久力を司ります。爆発力はありませんが、エネルギーがじわじわと続くタイプです。
瞬発力・スピード:40〜50%
持久力・スタミナ:80〜90%
「長距離ランナー」や「ウルトラマラソン」タイプです。無理をしなければ長く動けます。


4. 金形(きんぎょう)の女性
【かかりやすい疾患・症状】
金は「肺(はい)」に対応します。中医学における「肺」は、呼吸を司り、体のバリア機能(免疫)を維持し、皮膚の健康を守る場所です。
肺気虚(はいききょ): 体のバリアが弱く、外部からの刺激に弱い。また、体内を潤す力が弱い。
症状: 風邪を引きやすい(慢性化しやすい)、咳や喘息、アレルギー性鼻炎、肌の乾燥(乾燥肌、アトピー)、便秘(腸の乾燥)。
注意: 乾燥(燥邪)に非常に弱く、秋から冬にかけて不調が出やすくなります。
【体力傾向(目安)】
金は凝縮と効率です。エネルギーを効率的に使うため無駄な動きはしませんが、全体のエネルギー量(気)が少ない傾向にあります。
瞬発力・効率性:60〜70%
持久力・総エネルギー量:50〜60%
全体的に「省エネ」タイプです。こまめな栄養補給と、外気(風、乾燥)への対策が必要です。


5. 水形(すいぎょう)の女性
【かかりやすい疾患・症状】
水は「腎(じん)」に対応します。中医学における「腎」は、生命力の源(精:せい)を蓄え、発育・生殖・老化を司り、水分代謝や骨の健康を守る場所です。
腎精不足(じんせいぶそく): 生命力が先天的に弱い、または消耗しやすい。
症状: 慢性の腰痛や膝の痛み、冷え性、骨が弱くなる、耳鳴りや難聴、尿トラブル(頻尿など)、不妊(生殖機能の低下)、深刻な疲労感。
注意: 寒さ(寒邪)に弱く、体を温める力が不足しやすい(腎陽虚)です。生命力の消耗が激しい。
【体力傾向(目安)】
水は「深淵なる生命力」の源泉ですが、それを使いすぎると急激に弱ります。底力はありますが、回復に時間がかかります。
瞬発力・底力(極限時):80〜90%
持久力・安定性(平常時):40〜50%
潜在的なエネルギーは大きいですが、回復力が弱いため、無理をすると一気に老化や衰弱が進行しやすいタイプです。




まとめとして、
それぞれの体質タイプには、優れた体力の特徴と、注意すべき健康上の課題があります。
中医学では、これらの傾向を「個性」と捉え、自分の体質に合った養生法(食事、運動、休息、心のケア)を行うことで、病気を未然に防ぎ(未病先防)、健康を維持することを大切にしています。

posted by スズキ at 10:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 中医学診断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

望診を、四診のなかでまっさきにおこなう理由

望診というファーストコンタクトで眼の前の方の病変チェックが的確であれば、その後の診断の組み立てがスマートになって、その後の診断もしやすくなっていきます。

では、ここで簡単な望診の設問を出題させていただきます。

以下の、中医学四診の望診図をご覧ください。




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(望診フェイス図)



それでは問題です。

■ 設問 1
望診図をみながら、(  )内の文字を埋めて下さい。
ヒント:(  )内は、肝・心・脾・肺・腎のいずれかが入ります。

1.顔が赤いのは(  )の病いです。

2.鼻水・鼻づまりは(  )の病です。

3.怒りの感情は(  )の病です。

4.舌が膨らんで大きくなり舌のヘリに歯型がつくのは(  )の病です。

5.耳鳴りは( )の病です。





【答え|1.心 / 2.肺 / 3.肝 / 4.脾 / 5.腎】

---

■ 設問 2

高校生時代から、ちらほら『白髪』がまじりました。
『歯が弱く』、心身のストレスがかかると歯医者のお世話になりっぱなしです。
仕事が立て込んで背中や肩が凝ったら、『耳鳴り』がひどくなったときもありました。

であれば(  )の病の傾向がある人だと思われます。


ヒント:(  )内は、肝・心・脾・肺・腎のいずれかが入ります。





【答え|腎】




皆様、難しかったでしょうか?


人体の症状や傾向をまとめ上げたのが『五行色体表』です。
たとえば、以下といったまとまりがあります。
五臓(肝・心・脾・肺・腎)/
五志(怒・喜・思・憂・恐)/ 
五色(青・赤・黄・白・黒)/ 
五官(目・舌・口唇・鼻・耳)/ 
五華(爪・面・唇四白・毛・髪)/ 
五悪(風・熱・湿・寒・燥)/
五主(筋・脈・肉・皮・骨)


......

他にもいくつもの五行のまとまりがあります。

五行色体表により効率的な診断をおこない治療へ。
そのような流れを導き出します。



たとえば
目の症状を聞けば( 肝 )を疑います。
確認のため舌の裏側にある舌下静脈が怒張していないかを調べます。怒張があったら、肝の病がある確率が高まりました。

ひどい鼻水の症状を聞けば( 肺 )を疑います。
確認のため顔に湿疹や蕁麻疹がでやすいかをたずねて思い当たるといわれれば、肺の病がある確率が高まります。

そのようにして効率的に五臓のどちらの気血が足りなかったり停滞しているなどの異状が存在するのかを見つけ出します。





ただしこうした頭部の望診のみで五臓のなにが問題があるのかは、まだそうだと断言するには時期尚早です。

他に、聞診、問診、切診など五臓の状態を調査をおこなって、
それらそれぞれの診断を総合したうえでどの臓が問題があるのかを調べます。トラブルがある臓がひとつだけとは限りません。複数が違った割合で症状を作り出していることもあります。
もし四診すべての診断でことごとく一致するとき。
その臓に病がある確率が大変高まったとわかります。
もし四診すべての診断をしたときひとつの臓だけには絞りきらなような様々な臓の症状が同時に出ることがあります。このときは複数の臓に問題があると仮定し、どの臓の影響が主従関係のような主になるか従になるかをそれぞれの影響する割合の大きさを推定していきます。
そのような四診を通しての過程を通して八綱弁証や気血津液弁証等の弁証をしまて、それら弁証をまとめ上げて弁証論治の論治(=治療法の決定)をおこないます。



ですが流れとしてお客様を目でみて観察して情報を得る望診を先におこなうことで問題がある五臓が肝か心か脾か肺か腎か、それともそれらが複数絡んでいるのかについて、眼の前で話をしながらチェックポイントを要領よく押さえて判断することは必須の技術です。病証の絞り込みができずに、五臓のすべてを隈無く調べるのは手間暇と労力が費やされてしまうし疲労困憊で正確な診断が下せるだけの脳の余力を失ってしまうほどです。



絞り込めれば、問題のある臓の診断に勢力を注ぎ込めます。絞り込んだから深い内容を調べる時間ができ方向性を大切にしつつ確認作業をおこなえるのです。
もし絞り込みをしなかったらどうなるでしょうか。
たとえば五臓の診断に500項目あるとすれば、500項目すべてを調べるなければなりません。でもそれをするには時間も労力も膨大にかかります。お客様や当方の疲労や時間の消費の膨大さは計り知れません。正直、質問する側もされる側も、やってられない気持ちになります。

だから望診で調べて五臓の問題を絞ってから調べれば、腎が問題と絞れれば、500項目の五分の一の手間、つまり100項目になる計算です。それだけでなく、問診時には仮定した臓の調査に重点を置いて、そこを深堀りして質問に絞れるでしょう。すると100項目の調査の半分以下で十分な判断材料を得ることができたとします。500項目のうち450項目を除外できた結果をえられます。
つまり調べなくていいものを先にあぶり出して除外できれば、多くの恩恵に預かれるのです。ゆえに望診でおこなうその日のお客様との面通しは、非常に重要です。

四診は、すべての調査項目を逐次調べるものではありません。手早く確実に除外OKな項目に対し脳の力を使わないことが求められています。そのうえで該当した臓について深堀りして確かめる質問や診断には十分に労力をかけていきます。そうして効率的な弁証をして、治療法の決定にたどり着いたときの脳の力を温存させるものです。

診断者の脳の混乱を低減させ、判断を落ち着いておこなえるようになります。臨床では、こうして適切に除外項目を発見し、必要な項目のみにフォーカスを当てる流れで作業を進めていくのです。
診断者の脳の容量が有限であることを知れば、早々と望診で確実に除外できるものをふるいにかけて落としていくのです。
(望診の時点でふるいにかけて落としたものでも、聞診・問診・切診をする過程で除外したものが復活することもあります)
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2026年06月01日

正気が衰退したときにだせる、打ち出の小槌。


中医学で正気という気の概念があります。
それは防御作用(バリア機能)、維持・調節作用(ホメオスタシス)、回復作用(自然治癒力)の3つの働きをもっております。

脚注:
正気の3つの主な働き
​防御作用(バリア機能): 外界から侵入しようとする外邪(風、寒、暑、湿、燥、火など)やウイルスの侵入から身体を守ります。主に体表付近を巡る「衛気(えき)」がこの役割を強く担います。
​維持・調節作用(ホメオスタシス): 五臓六腑が正常に働き、気・血・津液(水分)が滞りなく体内を巡るよう動かし続け、体温調節や代謝など、健康な状態を一定に保ちます。
​回復作用(自然治癒力): 万が一邪気に侵されて病気になった場合でも、闘って邪気を体外へ追い出し、損傷した組織を修復して本来の健康な状態へ戻そうと働きます。


こうした正気には男女差があるとされ、
女性の最大が28歳で35歳から衰退し始めます。
男性の最大が32歳で40歳から衰退し始めます。

人は30代前後のピークタイムの筋骨が強く髪も豊かで身体が充実した時期を記憶したまま、日々、正気の減少が起きていくのです。『黄帝内経』には「年半百而動作皆衰(年齢が50歳になると、動作がすべて衰える)」という有名な一文があります。ピーク時(28〜32歳)の生命力(正気)を100とした場合、50歳前後でおよそ「50(半分)」まで低下すると考えられます


以上のお話は黄帝内経が書かれた当初のお話。
中国では現代でもこうした人生における正気の盛衰が解かれています。


でも、ここは日本で日本人は?それも現代では?


残念ながら、正確に語る資料は探しましたが見つかりませんでした。
正気には個人差がありますから、もとより黄帝内経で語るものも目安としてわかりやすい数値年齢を掲げたものと捉えたほうがいいのでしょうか。

なので、ちょっと無理やりですが、あなたが仮に正気がピークタイムの50%に、いま、減少したと仮定して考えてみて下さい。
すでに50歳を過ぎた人はわかりやすいかもしれませんが、20代の方には相応に想像力で50代以降の方を思い出しつつ想像してくださいね。




加齢によって低下するものには、今も昔も共通しています。

1.腎精(じんせい)と腎気(じんき)の枯渇(腎精=生命エネルギーの源)
2.脾胃の機能低下(消化吸収機能と水穀の精微を送り出す機能)
3.肝血の不足(肝に蔵血する血量が不足)



です。
大きくは先天の精と呼ばれ腎に蓄えられた腎精は、生まれてきたとき一定量を親から受けとったもの。生命エネルギーの根本といえるものです。この腎精は徐々に使われて目減りするエネルギーと考えて下さい。つまり赤ちゃんのときが腎精がピークで、生活を送るうえで確実に減少し枯渇へと近づくものです。
つまり脾胃の機能低下や肝血の不足は、腎精が半減するなど目立った低下が引き金になりホメオスタシスが五臓の消化機能や蔵血する肝機能の働きを鈍くさせたのです。


こうして正気が不足し気血を脾胃の水穀の精微により生成していく力が衰えていくと、気や血がピークタイムより減少していきます。

そうした気や血の減少は体内では血の停滞からの血瘀の生成、膵液の停滞による痰濁の生成といった病理物質を体内に作り出し気血の通り道を物理的に塞ぎだすことがあります。正気の減少や低下は『虚』の状態でしたが、こうした血液や水分の停滞があらわれると『実』を生み出し、それが軽度の病症から重度の病症まで作り出す引き金となります。


正気がピーク時の50%を下回りだしたとき、正気は免疫力が半分、自己調整能力が半分、自然治癒が半分。


子供の時は、風邪をひいても一晩で熱が出てウイルスや菌を殺して翌日にはケロッとしているが、正気が50%を割り込めば免疫力も50%を割り込んでしまいだらだらと治りづらいままがつづくときがでてまいります。


患部にまで血液が届いて患部として傷んだ古い組織を破壊して新たな細胞分裂により新たな組織を設営する作業をするのが自然治癒です。
それを踏まえてみていただきたいのが手技療法。
正気が100であれば自然治癒が100ですから、とてもよく治るのです。そこには気血の巡りの強さと気血の量が充分であるため、一時的に経脈をふさがれるような筋膜の癒着による気の停滞が生じても、そうした障害を手技療法で除去して気血を流せば自然治癒が作動してくれる。すると治りがいいんですね。手技で営養や水分が干上がった患部に血液が行き渡るようになりつづけ、やがてそこは何事もなかったような整えられた健康で平和な状態へと戻ります。

ですが正気が50%を切ると、手技で血脈や経絡を塞がれた箇所を通して患部へと気血を流せる状態にしたとして、どうなるものでしょう。充分な量の血液がないため患部に届くうるおい成分や営養は100%の半分しかありません。
すると古い傷んだ患部の組織を全部取り替えることはせず、保守をして傷んでいたままを活かすに留まるしか仕事ができません。全部壊したら再建する建材がないという状態は避けたいので、やりくりするだけで落ち着かせるのです。実質、これは傾いた掘っ立て小屋に倒れないようつっかえ棒をした程度だと思って下さい。



1780304582845.png

(ちょっと露骨な描画しか出力がうまくできなくてでごめんなさい)


正気が減る目には映らない健康維持リスクがあるのです。
なんとなくおわかりいただけましたでしょうか。


手技療法が効きがいいのはお客様の自然治癒力のおかげという話を聞いた方もいると思いますが、そのとおりなんです。

正気が減り、特に病症が現れ実証をともなうようになると、どうなるでしょう。
私は『施術は一時的なカンフル剤ですから、自身の生活や運動が大切ですからね。そちらをしっかりなさってくださいね。』とよくいっておりますが、実際は自然治癒の作動するスイッチをきっちり入れてから施術を終えるようにしてきました。ですから、一ヶ月単位や数年単位で、体調も維持し促進できるような後押しができたわけです。
ですが、正気が50%を下回りだした頃合いから、自然治癒が作動するスイッチがあってそれを作動させる仕事はしても、お客様の内部で自然治癒が空回りしてしまいます。すると文字通り(一時的なカンフル剤)にしかなりません。それは手技を受けただけでは改善曲線が高く維持はできず、発展もせず、長い目で見れば着々と下降線をたどります。
極端ですが、そういったことが内部では自然発生的に生じているのです。それは施術をする私には、お一人、お一人のお客様の長い年月お付き合いをいただいた変遷を通し、把握できた数値以上のデータです。




同じ施術の手技を受けたとしても、正気の量で改善率が上下することをおわかりいただけましたら幸いです。





では、中医学ではこうした加齢による正気の減少を、指を加えていたのでしょうか?
もちろん、そんなことはありません。
先天の精という腎精は加齢により減りますが、後天の精と呼ばれる気でそれを補うことができることを発見したのです。
先に説明したように腎精は生まれてきたとき渡された一括給付です。それが後に増えることはない仕組みです。ですが腎精の気の収まった財布からではなく、後天で造れる気の財布から支払いを済ませることができて、後天の精のおサイフは、中身の気を増やそうと思えば増やせます!

いま、私が薬膳を通し中医学を学んでいるのは、こうした後天の精のおサイフの中身を増やすための勉強です。

現段階で正気が充実していれば滋養をわずかに足したり、日々起きることへの対処でいいのですが、正気が50%となったとき、いくつか分類される病的な体質を持ち始めますから、そうなると後天の精の財布のなかのお金を増やすとき、それぞれ増やすためのルールがあるんです。病症が進めば非常に厳格です。間違えば増やそうとして失うことになりかねません。かえって手出ししないほうが無難だったというわけです。そうした難しさがあると気づいたとき、なんで、これが流行らないか、色んな意味でわかったような気がしました。。。とにかく、がんばって勉強中です。
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2026年05月31日

気の偏在について。

地球の内部には液状化した溶岩のようなマントル流があります。そのマントルにも一定の循環する経路が保たれており、つねに動き続け、決してひとところにばかり居続けるものではありません。仮に北極圏にのみ熱をもったマントル流が留まったら、地球はおかしなことになると想像できるでしょう。

人体の内部を満たす気血津液も、まるでこうしたマントル流のように常に適切なスピードで適切な量がくまなく循環することで健康が維持できています。
体内を巡り続けることでかき混ぜられたとき生命エネルギーや血や津液の営養や免疫や潤いが行き渡る仕組みです。


ですが人体を臨床で数多く触れていくと、上半身は熱せられ下半身や手先はひんやりとしている人もいれば、手足は熱さでほてっているが胸や頭部は冷たい人がいます。そこからわかることは気の循環する作用が弱まるなどの障害により気が偏って滞り続けた状態だということでしょう。

そうした気から熱を持ち機能亢進をさせる陽気と平常体温より冷えて機能低下をさせる陰気という病的な気の偏在が診られているのです。
こうした上下に陰気と陽気が分かれているときは判別がしやすいのですが、陰気が内部の大勢を占め陽気が皮膚層にあるものと、その逆に陽気が内部に大勢を占め陰気が皮膚層の外部を覆っているパターンも存在しております。

これらは全体として気虚や陽虚、血虚や陰虚などで当てはまるところもありますが、実態として体の中の上下にわかれ上半身は気虚で下半身は血虚の病症が診られることもあります。つまり様々の証がひとつの体の内側に複合して存在していることも珍しくはありません。
するとなにを先に手を付けて改善をはかるかを優先順位付けをすべきですが、陽虚の薬を陰虚を含むものに不用意に出せば陰虚により副作用の発現があるなど使い分けが難しくなる状態を多くの慢性的な生活習慣病を患われている方は持っておられるというのです。




それではここで、こうしたそれぞれの気の偏在する様子の4パターンを絵でわかりやすくお伝えいたします。


1780196583053.png
(気の偏在図)


ちなみに私の知り合いには、上図の降証および散 証が入り混じった方がおられます。ひとつの証でも自覚は難しくなるものの、ふたつ以上の証が入り混じったら、冷静に症状から気の偏在する位置を読み解こうという作業をする発想は消えてしまい、なにがなんだかわけがわからないといった思考のまとまりづらい状態に陥ってしまいます。するとどの食薬や中薬がいいとか、どの漢方処方を手に入れるべきとか決めて試しても、成果が比較的少なくでてきたり、相反する温熱や燥湿の処方から副作用が少なからずでてきて苦しむこととなって、よほど薬剤の性質を知ってそうなることを見越して摂ったか、先生を信頼しているかしなければ、中期決戦も難しく継続できずにあきらめる結果となることが多いように感じます。でも自身の状態が先行して降証および散 証が入り混じったものとわかって、性根を据えて取り組む気合があれば、やがては良い結果を享受することに落ち着いてくれればと願っているところです。
降証: 下るべきでないものが下り、上がるべきものが上がらないための症状: 上寒下熱、低血圧、いつもだるい、いつも横になりたい、体力ありの元気なし、嗜眠、胸がドキドキする、帯下が多い、 流産ぐせ、下部出血、生理の量が多い、尿量が多い、下痢
​散 証:出るべきでないものが出たり、出るべきものが出過ぎるための症状:
気が散って集中できない、不眠、体が冷える、多汗、寝汗、不正出血、痰が多い、嘔吐、生理の量が多い、帯下が多い、尿量が多い、下痢





さらに気の偏在の詳細をお知りになりたい方は
『図解・症例漢方とは何か人間とは何か』という書籍のP51 気の方向性 をお読み下さい。
それぞれの気の偏在パターンごとの詳細な症例が掲載されております。
書名等を明記したうえで引用させていただこうと思いましたが、
引用というには文章量が多くなって引用許諾を必要とされるかと思い、参照書籍のお知らせに留めました。
この本、カラーページも多く見やすいし理解を助けてくださる内容のまとまりもあって気に入っています。
気になった方がおられたら、書店でぜひチェックなさって下さい。




気が偏在することとは、ひとりの体の内側に様々な病証が混在しているためには上から下まで表面から裏面までと状態を調べてみえてくることです。
本人の自覚する症状を伺うことで当たりをつけることができ、それを施術であれば術者が、患部やそれ以外の広域にいたり手で触り熱やちりちりなどを、気の偏在を疑わしい場合にはそれをあきらかにする意識で探索する必要があります。異性のお客様には特に直接、皮膚に手を当てにくいところもあり、服の上からも熱感を感じ取ることができる手を訓練で育てておく必要があるでしょう。これは意外にやってみると訓練次第できっちり見分けがつけられるようになるのが人体の不可思議なところ。

ただし漫然と触れていたのでは気の偏在は見分けられません。というのも気の偏在があるという実態を知る前にも全身の熱感の差異から気血の偏在があるのだろうなと思っていたものの、友人の施術者にそうしたことをいったら気にしすぎだぞとたしなめられた記憶があります。互いに若かったときの思い出ですが。。気にならない人は、まったく気にならないんだと知りました。
結局、手技での気の偏在への対処は試行錯誤を通しできなくもないが、その影響は表面で留まり、多少に尽きるという結論を導き出しました。実験的に何度か知人を被験者にして様子をみてきたので、私の力量不足もあるかもしれませんが、整体各種の本、西洋手技療法の本はほぼ書店にあるものは目を通し切りましたが、気の偏在に対応するような概念への対処法を解説はしていないかと思われます。一部、整体上で経絡を活かした手技療法にはそれと類推するものはあっても直接的な図解はなかったため、そうした扱いだったのでしょうか。
それが中医学では、この場合はこうして対処しますと、数ページにわたり紹介していたので、目を通したとき、こういうのをもっと早く知りたかったと喜ぶと同時にくやしい気持ちも現れるほど。

意外にこういった施術でちょくで人体の理解を深めて手技のもちい方を大きく最適解へと導き出してくれる内容が中医学のテキストに描かれていることは少なくありません。
手技に精通していて、手技の不得手を補う技を見つける目がなければ、それとは気づかずに暗記科目として頭に入れるに留まるかも知れません。その意味でも手技をやってきてから中医学を学ぶことは、縦糸に緯糸を入れて編み込むような作業にも似た成果が期待できるように感じられてなりません。
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2026年05月30日

五十肩は瘀血の塊だけの問題? いえいえ、痰湿の病理物質の存在が影にあるようなんです

手技をし中医学の勉強が進んでいなかった一年前では、五十肩や四十肩は、肩や肩甲骨、そして胸の周囲や首の内部にて瘀血が蓄積するものかと考えていました。



中医学における「瘀血(おけつ)」を単なる概念としてではなく、具体的な「物質(実体)」として捉え直すことは、臨床において非常に重要です。
瘀血を現代の解剖生理学的な視点とすり合わせながら、その形状、水分量、構成要素、そして血管や筋肉との関係について紐解いていきます。

1. 瘀血の「物質」としての正体(構成・水分量・形状)
瘀血は、単純な「古い血」ではなく、「流動性を失い、局所に滞留した変質的な血液およびその周辺環境」の総称です。

* 何がまとまっているのか(構成要素):
主成分は、互いにくっつき合って連銭状(数珠つなぎ)になった赤血球、血液を凝固させるフィブリン(線維素)、そして回収されずに蓄積した発痛物質や老廃物(乳酸、ブラジキニンなど)です。酸素を失った還元ヘモグロビンが多く含まれるため、色は暗紫色から黒ずんだ色を呈します。

* 水分量はどうか:
正常な血液に比べて圧倒的に水分量が少なく、粘稠度(ネバネバ度)が高い状態です。血流が滞ると、血管内圧の変化により血液中の水分(血漿成分)が血管の外(間質組織)へと漏れ出します。そのため、血管内に残った血液は水分を失ってドロドロのヘドロ状になります。

* 具体的な形状:
微小なレベルでは「泥状・ヘドロ状の流動物」や「微小血栓(小さな塊)」です。これが皮下組織で大規模に起これば「内出血(紫斑・血腫)」となり、触れるとゴリゴリとした「しこり(硬結)」としての形状を持ちます。


2. 血管との関係(絡脈における渋滞と変性)
中医学において、瘀血が最も生じやすいのは「絡脈(らくみゃく)」と呼ばれる、現代でいう微小循環(毛細血管や細静脈)の領域です。
* 血管壁へのこびりつき:
水分を失ってドロドロになった瘀血は、血管の内皮細胞に摩擦を起こし、こびりつきます。これは単なるパイプの詰まりではなく、血管の内壁そのものに炎症を起こし、血管の柔軟性を奪います。

* 漏出による「痰」の生成:
瘀血によって血管が詰まると、行き場を失った水分が血管外に漏れ出します。この漏れ出た不要な水分が、中医学でいう「痰濁(たんだく)」の正体の一つです。つまり、血管の中で「瘀血」が形成されると、同時に血管の外周で「痰」が形成されやすくなり、これが「痰瘀互結」の物理的な基盤となります。


3. 筋肉との関係(酸欠、癒着、そして硬結)
筋肉や骨格系へのアプローチを行う際、瘀血は「筋膜の癒着」や「筋硬結」として直接的に指先で感知できるターゲットになります。
* 筋肉の酸欠とスパズム(攣縮):
筋肉がスムーズに収縮・弛緩するためには、毛細血管からの絶え間ない酸素とATP(エネルギー)の供給が必要です。瘀血によって微小循環が阻害されると、筋繊維は酸欠状態に陥り、弛緩できずに持続的に収縮したままになります。これが「コリ」や「スパズム」です。

* 筋膜・組織間の接着剤化:
筋肉と筋肉の間(滑走面)には、本来スムーズな動きを助ける潤いがあります。しかし、局所に瘀血が生じ、そこから漏れ出た水分が「痰(ネバネバした病的産物)」に変わると、組織間で接着剤のように働き、強力な筋膜の癒着を引き起こします。

* 不通則痛(刺すような痛み):
筋肉内に瘀血(老廃物や発痛物質の塊)が滞留し続けると、神経を直接刺激し、チクチク、ズキズキとしたピンポイントの鋭い痛み(刺痛)を生じさせます。夜間に悪化しやすいのは、活動量が減り、さらに血流(気による推動作用)が低下するためです。



このように見ると、瘀血は単なる「血の滞り」ではなく、「水分の偏在による脱水と、それに伴う組織の癒着・硬化プロセス」そのものであると言えます。
構造的なアライメントの崩れ(関節のズレや筋肉の偏った緊張)がある部位には、必ずと言っていいほどこの物理的な「瘀血」が形成されています。日々の臨床のなかで、特に「ここには瘀血(あるいは痰瘀互結)が強く形成されているな」と指先で触知することができております。そして硬化度が高い脇のしたや関節の隙間に作られた瘀血のボールや楔の数々は、施術者の手で触られることで、お客さまご自身も、そこにできていたつきたてのお餅のような軟部組織とはいえないものの存在を感じ取れるでしょう。そこに瘀血として組織形成が進んだ結果があらわれています。



強烈な刺痛も五十肩では起こるのは、こうした凝りが不通則痛と上で説明した経絡の内部を通る気の流れを通さなくした結果です。


ですが肩甲骨周囲にある粘稠な病理物質は、自から挙手すると特定のやり方で強い痛みがでつつも、初期段階では動くことは可能です。それがしばらくそうした動きづらい状態が続けいたとき。

無理やりでも理学療法士の先生の手で挙手動作を付けて動かされては、そのうち動けるようになります。または整体院で、他動的に腕を操作されて動かしていただくことも有効です。


経絡を不通にしたため刺痛が起きていたが、動きにより血の代謝が起こり、再び経絡内を気が通る。すると脳に送っていた、刺痛という警報をだす役目が済んで痛みがきえるのです。


そういった流れは一年前にも私自身、理解して手技をおこなっております。
ですが中医学を学ぶ過程で、これは単純に瘀血のみの問題により生成したトラブルではないことがわかってきました。先行して瘀血が溜まるものの、あるものは他者による施術を受けなくても五十肩は数日で癒えて動かせるようになります。これはそのものの安静や自主リハビリで血の代謝不良が改善され不通則痛による影響が避けられた形かもしれません。血の代謝は心臓の血を押し出し進める力によります。低迷した心の気が改善して回復をはかることもあります。瘀血の量もそれで溶ける範囲内だったという好機をえた状態だったわけです。(瘀血の塊が親指の先より大きくなった場合、自力での復旧は諦めたほうが苦しみが軽減し軽快へと向かうでしょう。瘀血の塊を挟んだ関節を、むちゃして可動させると、その周囲の組織にも破損が広がり内出血を呼び、内出血は即、瘀血箇所に組み込まれます。そうならないようになさるのが賢明でしょう。)



ただこれは脇の下に形成された瘀血の塊についてのみにフォーカスを当てたに過ぎなかったのだろうと、中医学で痰湿の影響が理解できてしっくりきました。つまり肩甲骨と肋骨の間には肩甲下筋があり、肩甲骨と肋骨は前鋸筋でつながります。肩甲骨の動作は狭く偏り固定される傾向があるものの、瘀血により強力な接着剤で接合されてはいない動きを示しています。瘀血の塊の度合いが弱いからというより、別の性質を持った接着剤が肩甲骨の下に作用していると考えれば合点がいきます。つまり痰湿という瘀血とは別物の病理物質がそこに浸潤して肩甲骨が浮いてさっさと動く操作をさせてくれていない。そのような仮定をして中医学上の五十肩を調べると、やはり痰湿がそこに深く絡んでいると書かれている状態です。


瘀血は位置が正確に固定された生成物ですから、手技療法によって主だった触診可能な筋肉に形成されたものは対応可能です。凝りが強烈だったものが、丁寧かつ緻密に計算された血や気の流れを呼び込み修正をなすためのリリースを加えれば、急性であればみるみるまに消し去ることもできる。


瘀血体質がメインの方であれば、瘀血の塊を解いたリリースが精緻であり、失われた呼吸や胸郭内の心臓への圧により与えられた血脈中の血の流れの改善をも設計対処すれば、一応のこれで大丈夫ですよという言葉を送ることができます。つまり物理的に血を送り出すときの心臓の気の力が不足しているか、血管が圧迫されて血の流れが滞って循環不良が起きるか。またはその両者が同時に生じない限り、大きめな瘀血の塊はできない仕組みになっております。ゆえに脇下に大きな瘀血の塊があれば心臓の不調はすでにあるものと考えて、その不調を軽減させるための計算を組み入れて手技はおこなわれます。



(ただ時間が60分以下と短ければ患部の可動をつける定型の局所対応ですませることになります。その場合は局所の痛みが主たる患部ですが、客分となり患部として形成が進んだ血の循環に関わる心臓と呼吸に関わる肺の制約を放置する対処になります。個人的に、構造体の不調が具現化されたトラブルの発生には、主と客の2つにわかれた日の目を見る実感なされやすいトラブルとその影に痛みの形成をつくりだしている源が隠れていることがあると観ております。通常、主のみの対応をするのみの仕事をすることになれると、客となる主を起こす発生原因をみない先生になりやすいといえるでしょう。中医学を学ぶ過程でわかったのは、客となる主を生む源の追求が徹底され言語化が進んでなされていたことに驚きました)



対して痰湿と呼ばれる津液といった水分が加熱されてさらさらからべとべとに変質したものは、遊走性があるといわれ、場所を変えて存在し続ける性質があります。つまりは手技療法で圧をかけて痰により生じた可動制限を解いたとしても、痰は脇に逃げて存在し続けています。
となれば痰湿体質の傾向が強く現れている方は、手技療法上の発痛物質を出す患部のリリースだけでは、五十肩が回復した状況が半年しか持たずに繰り返される恐れがでてきます。痰湿体質を改善する、手技療法とは別立ての対処対応がなさることが良策となるでしょう。





最後に、痰や瘀血のイメージがわかりやすくなるよう、次のお話を送らせていただきます。


「心臓の拍動は、体の中を流れる『穏やかな小川』のようなものです。
本来、水が豊かで勢いよく流れているときは、川底もきれいで、サラサラと心地よい音を立てて流れていますよね。

​でも、雨が降らずに『水を押し流す力(気)』が弱まってしまうと、どうなるでしょうか。流れがゆっくりになり、川底には次第に『ドロドロとした泥(痰)』が溜まり始めます。そして、そこに流れてきた『古い落ち葉や小枝(瘀血)』が引っかかってしまうんです。
​最初は少し引っかかるだけですが、時間が経つと、その泥と小枝がギュッと絡み合って、『硬いダムのような塊』になってしまいます。


​すると、水はその塊にせき止められ、無理やり乗り越えようとして『ドプン、バシャッ』と不規則に波打ったり、流れが途切れたりします。これが、今お体で起きている不整脈のサインなんです。だから、まずはこの絡み合った塊を少しずつほどいて、再び水がサラサラと流れる力を取り戻していくことが大切なんです。」

posted by スズキ at 18:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 中医学診断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2026年05月28日

爪が物語る体の状態

中医学の四診内の望診には舌診が有名ですが、そのほか顔を診たり皮膚を診たり髪を診たり。眺めることで情報を集め証を決める参考にさせていただくことがあります。

たとえば目を薄めを開けたまま寝る人がいますが、それは『脾虚』となります。目が落ち窪んでいたら『陰虚』、まぶたの裏が白ければ『血虚』、目の下にくまがあれば『瘀血、腎の病』です。
または鼻の形状、色を診ることで、脾、胃、肝、胆の様子を診ます。
これらは顔面部の診断箇所の一例で、さらに細分化して診る力が長けてくれば、写真一枚でもこの人は『◎◎証だろう』と、かなりの精度の高さで言い当てる。
まさに観ただけで当てる神のような診断といわれるのが望診。

ボディチェックをさせていただいたお客様をみたとき。
『爪の不調』を訴えていただいたことがありました。爪は肝の状態をよく現している箇所でもあります。爪は、比較的診断がやりやすいもの。できれば皆様にも特徴を覚えていただければと思った次第です。



◎ 健康な爪 (Healthy Nail)
​比較用として、理想的な健康な爪の画像を追加しました。ピンク色で滑らか、適度な厚みがあり、根元の白い半月(月状)がはっきり見えます。「血行良好・栄養十分」であることを示しています。


◎​ 縦すじ (Vertical Ridges)
​特徴: 爪に縦の線が入る。
​診断: 「老化」および「陰虚(いんきょ:体内の潤い不足)」を示唆します。年齢とともに現れやすくなりますが、若くして目立つ場合は栄養不足や乾燥も考えられます。

◎ 横すじ (Horizontal Ridges)
​特徴: 爪に水平な段差や溝ができる(ボー線とも呼ばれます)。
​診断: 「過去に血虚(けっきょ:血の不足)」または「過去に陰虚(潤い不足)
」があったことを示します。爪は根元から作られ、指先に移動するのに数ヶ月かかるため、この溝は数ヶ月前の大きな体調不良やストレス、栄養不足を物語っています。

◎​ 柔らかく薄く割れやすい (Soft/Thin/Brittle)
​特徴: 爪が薄く、ふにゃふにゃしており、すぐに欠けたり割れたりする。
​診断: 「肝血不足(かんけつぶそく)」の典型的なサインです。中医学では「肝は筋を司り、その華は爪に在り」と言われ、爪の健康は肝臓に蓄えられた血(栄養)によって保たれています。血が足りないため、爪が栄養失調状態になっています。

◎ ​爪甲剥離 (Sohkō Hakuri)
​特徴: 爪が先端や側面から爪床から剥がれて、白く浮き上がる。
​診断: 「肝血不足」だけでなく、「気血両虚(きけつりょうきょ:エネルギーも血も不足)」、または「津液不宜(しんえきふぎ:体液の循環が良くない)」が関係しています。爪を支える組織の栄養不足や、水分代謝の異常が原因と考えられます。

◎ ​匙状爪 (Saji-jō Sou)
​特徴: 爪の中央が凹み、スプーンのように反り返る。
​診断: 重度の「気血両虚」や「脾胃虚弱(ひいきょじゃく:消化吸収機能の低下)」を示します(元の資料の「去弱」を、より一般的で現代的な表現である「虚弱」に訂正しています)。食べたものから血を十分に作れず、組織が未発達で弱くなっている状態です。

◎ 爪甲鉤状 (Sohkō Kōjō)

​特徴: 爪が異常に厚くなり、灰色や褐色に変色し、前方に湾曲して、鳥の爪や鎌のように変形する。
​診断: 「瘀血(おけつ:血行不良、血の滞り)」の強いサインです。血がスムーズに流れないため、爪に栄養が偏って過剰に蓄積したり、老廃物が溜まったりして変形します。

◎ バチ状爪 (Bachi-jō Sou)
​特徴: 爪甲が大きく、丸く、時計のガラスのようにドーム状に盛り上がり、指先が棍棒(バチ)のように太くなる。
​診断: 「心疾患」や「呼吸器疾患」を強く示唆します。中医学では「心は血脈を司る」と言われ、血液循環の中枢である心臓と、気を取り込む肺の不調は、末端への酸素・栄養供給を阻害します。その結果、慢性的な酸素不足を補おうとして組織が増殖し、この形になります。



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2026年05月27日

「仙骨と腸骨を介する腰仙関節のブロック解除」の重要性。


仙骨(Sacrum)は「仙人」の骨と書く通り、人体の土台であり、重心制御の要所です。

1. 「重心の不安定化」のメカニズム

構造的連鎖: 仙骨の傾斜や捻れは、脊柱全体のS字カーブを歪めます。これにより、頭蓋骨の基底部(環椎後頭関節)にまでその歪みが波及し、平衡感覚を司る前庭機能や頚部の固有受容器に誤情報を与えます。

足腰のぐらつき: 仙骨がずれることで、骨盤底筋群や深層外旋六筋の筋緊張バランスが崩れます。これは、「気虚」による筋肉の栄養不足と重なると、より顕著な「足腰の無力感・ぐらつき」として現れます。

解説:人体は大人でも水分6割でできており、3歳児なら8割が水です。
水の中に、臓器が浮き、筋肉が浮き、骨が浮き、組織全体が浮力で支えられておれば自然に身体は緩みだすようできております。
ですが背骨の最も下に位置する仙骨・尾骨。こちらがねじれていたり下方前傾していたり左右へ傾斜していたり。そうなると大黒柱の脊椎が身体を支える力を少なくし骨格が重力との釣り合いを見つけ出せなくなります。
この状態を長期にわたり保持しておられるかどうかは、大腿直筋を押し込んで硬さを確かめればわかります。大腿骨により胴体を支えるバランス力が失われたと同時に大腿直筋や外側広筋を硬化萎縮させて身体を支え続ける。このような骨格構造体は、皮膚近くに位置する機敏に操作可能な浅層筋の筋肉組織を常時固めて骨が身体を支える仕事の肩代わりをさせられています。
それが何十年もの長期に渡れば、支えるために固めた表層筋の硬さはさらに内部に位置する深層筋にまで固めて身体を支えるようになっていきます。
これは仙骨の上方が前方のお腹側に、仙骨の下方が後方の背中のほうへとずれている量に比例するかのように起こります。

そうなると重心が臍下丹田に落として安定させることができません。
おきあがりこぼしというぐらぐらゆれても元通りに立つ赤ちゃん用のおもちゃは、お腹のどまんなかの下部に重りがあればすっ立ちますが、重りが胸だったり頭だったりと上方に据えられるといつまでも不安定に揺れがつづきます。
人体も重心が狂えばそれと同じことが起きます。ですが人はそのとき足の前側の筋肉を固めたり腰部の筋肉を固めたりと、自らの軟部組織である筋肉を鉄筋のような硬さにして支えるという代償をはらってやりくりをするのです。それも無意識かつ無自覚のうちに。

やけに身体の柔軟性が薄いな、という身体の硬さに自信がある方は、多くは仙骨の変位があって起こります。

すでにこうした脚や腰を固めて全身の筋腱の硬直を慢性化させてしまうと、なかなか自力で復活しづらいものですが、伸筋や屈筋の丁寧な使い分け、呼吸の正確な運用トレーニング、身体の詰まりを見つけ出して骨格構造の変位を見つけて緩めることができるようであればセルフリセットもできるでしょう。





2. 「頭の平衡感覚」と診断学の接点
望診の応用: 臨床では、患者様の立位姿勢(望診)から、仙骨の変位による「代償的な頭部の傾き」を観察することが肝要です。

痰瘀互結との関連:「痰瘀互結」が頭部に停滞すると、平衡感覚の喪失感や、頭が重い(頭重感)といった症状が強まります。これに仙骨の構造的な歪みが加わることで、臨床的な難治性が生まれます。



解説:若いうちは頭傾きがある程度あっても、体液の循環力が平均的な体力で持って巡らせることができれば、さほど困ったことは感じないでしょう。個人差はあるものの、めまい等を覚えても一過性として改善することも多いようです。
ですが中高齢者となると、中医学でいう先天の精が残り少なくなり腎精が減少するに連れ、個人差はありますが、男性は64歳で、女性は49歳で天癸が尽きるといわれて、多くの場合は気血津液の代謝が低減していきます。
仙骨の変位から背骨のカーブがみだれも、気血津液の循環する動きの勢により柔軟な筋腱や皮膚を作れていた力が減少していきます。それがさらなる背骨のカーブを複雑につまらせ背骨を取り巻く腱や靭帯の硬化萎縮を強めていきます。すると最上階に位置する頭部にまでマイナスの影響を配ります。施術者であれば頭部の裏側にある後頭骨の下端や上端を触診させていただくことで、仙骨の歪みパターンが手に取るようにそこに現れだしてきます。
そのようになると詰めてはならない環椎・軸椎間のスペースが狭められ、脳内へと出入り循環する血や津液に対し、頭部には入りにくく、入ったものがでにくくなるという状態が作られます。ただそうしたでにくくなる場所は熱がこもって水分が熱せられ粘りけが徐々に高まりだし病理物質の痰へと変化していきます。そして痰が生じた場所には瘀血ができる素地をあたえらたこととなり、やがてそこに痰瘀互結といわれるものが生成されていくときがあります。

そうなる前にかなりの頭重感もあってつらい思いを通りますので。

仙骨の変位が大きな場合には、それに気づいて直そう!と思ったとき。
その日が取り掛かりの吉日です。


ただこうした場合でも
「足腰がぐらつく=下焦の気虚・血虚」かつ「頭の平衡感覚が狂う=清陽(気)が頭部に昇らない」という状態といいますので。
骨格構造体としての不安定さが、急性ででているものか。
それとも何年にもわたり変わらないかさらに悪化している慢性化したものか。
それにより対処策が変わってくる必要がでてくるかもしれません。

たとえば
「足腰がぐらつく=下焦の気虚・血虚」とは、だるまさんやおきあがりこぼしのお腹の真ん中に位置すべき重りが物理的に下焦(下腹部)の血が足らなくなっていてそこの重心が軽くなって、足腰がぐらつくのみではなく胴体もぐらついてしまう状態を表しています。
そういったときには下焦(大腸・小腸・膀胱・腎など)に気・血を補ったものを配るようにする方剤をもちいるのも手でしょう。それで重心が安定して運動がしやすくなります。特に重心位置が上下左右前後にズレた状態で動く運動は、やりすぎれば新たに複雑な歪みを設けますから、積極的に運動しましょうとお勧めすることはできません。そういったところを漢方や薬膳で計算して対応することもできるんです。これは私も施術だけを勉強していたときにはわかっていませんでした。中医学を勉強しだして引き出しがいくつも増えたようです。




下図では骨盤の仙骨の傾斜が小さく見えていると思います。見方tおしては、腹式呼吸をしたときに、第五腰椎下端の仙骨と触れた腰仙関節部が地面に対し水平におければ正解。この位置を身体が覚えられて再現できるよう修練なされば、身体は全身的に3歳児ほどのわかさをキープした筋肉に近づいていけることでしょう。そこをめざして、がんばってください!

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posted by スズキ at 17:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 中医学診断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする