2026年06月09日

鬱証について

中国、元の時代の王安道は『疾病の原因の多くは鬱にある』というのです。


『鬱が、疾病のほとんどの原因に絡んでいるって?』
正直、驚きました。
いったいそれはどういう意味だろう。






Geminiで、鬱証の全人口に対する%を尋ねてみました。
すると​日本国内の割合(日本の厚生労働省や国立精神・神経医療研究センターの調査)

 ​今まさにうつ病である人の割合(12ヶ月有病率):約2%〜3%
​  100人におよそ2〜3人(50人に1人程度)が、過去1年間のうちにうつ病を経験しています。

​■ 一生のうちに一度は経験する人の割合(生涯有病率):約6%〜7.5%
​  およそ15人に1人(調査によっては6〜7人に1人とも言われる)が、生涯のどこかでうつ病を経験するとされています。

ただし厚生労働省の資料等では、うつ病の症状に悩んでいる人のうち、実際に医療機関を受診しているのは全体の4分の1程度に過ぎず、残りの4分の3は病気と気づかなかったり、受診をためらったりしている潜在的なケース(未受診)であるとも指摘されています。
この指摘を受けて、いままさにうつ病である人の割合(12ヶ月有病率):約2%〜3%に残りの潜在的ケースを含めますと、8%〜12%となるようです。
またWHOのデータでは55歳〜74歳の中高年層で発症率が高くなる傾向があり、特に60代前半の女性では人口比の約8%近くにのぼるとされています。








鬱が、なぜ、疾病を引き起こす原因になれるのでしょうか?

鬱は初期の段階では実証ですが、中期を過ぎれば虚証へと変わります。
虚証では鬱も多岐にわたり気を滞らせることで、血や津液の循環にも悪影響が及びます。血流が滞り《瘀血》が作られたり、津液が滞り《痰湿》へと派生するからです。これら瘀血や痰湿といった病理物質が生成され血や津液の流れが物理的障害となり臓腑や組織へと営養を運べなくなり正常な機能発揮の妨げとなります。



鬱とは、《気が滞り流れなくなった状態》を指します。
気の滞る原因には、《臓腑失調・環境変化:遺伝、過労、加齢、更年期、定年》などと《七情(精神的刺激)》があります。



ここでは「鬱証になる感情」を考察していきましょう。
主に鬱に関わる感情は次の3つ。

1.怒り(怒りの抑圧、理不尽への耐え忍び)

2.憂思(思い悩む、考え込む)

3.悲・憂(深い悲しみ、憂い)




多少の感情の波風は収まりますが、過度な感情は気の動き(気機の昇降出入)の異常をもたらされ、健康な気血津液の循環が阻害された状態になります。

1.怒りは気を激しく〘上昇〙させる感情で、気機が上昇し続けて他には巡りづらくなり滞りを生みます。(気滞・気鬱)

2.憂思では気の動きがピタッと止まり一箇所にかたまってしまいます。(気結)

3.悲・憂では 深い悲しみは肺のエネルギー(肺気)を文字通り消耗させ、気機を内向きに消沈させます。(気消)

※憂思や悲・憂が鬱の引き金を引く核心ではありますが、その根底には怒りの抑圧があるとされています。たとえば、ナフサ価格の高騰による生活出費の高騰を思い悩む心の奥底に、戦争なんかはじめやがってといった自分のせいじゃないが不利益が押し付けられたといった怒りがありますよね。


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(鬱証の図)

鬱証の初期段階は実証で気血の詰まりから起こる、
@肝気鬱結証
A気鬱化火証、(肝気鬱結が長引いて熱化)
B気滞痰鬱証、(津液が滞り痰を形成)

などがあげられるでしょう。
肝気鬱結から徐々に長引くに連れて気の詰まりが強まって血や津液にも滞りが飛び火していきます。

憂思では脾の消化吸収による運化の働きと昇清作用(脾気により水穀精微を肺・心・脳に送る作用)と、
悲・憂では肺のエネルギーが消耗して呼吸機能が大幅に制限を受け、清気を取り込み水穀精微と混ぜて宗気を造り呼吸機能と心の血の血液循環機能を低減させたことによるのでしょう。
それにより前期では気が停滞した実証でしたが後期の気の滞りから気血津液の消耗による不足があらわれてきます。

鬱証の後期段階は虚証で気や陰液(血と津液)の消耗が激しくなります。
C 心神不安証(心気・心血の不足)
D 心脾両虚証(心血虚 + 脾気虚)
E 陰虚火旺証(長期化による腎陰枯渇・心火旺盛)

心は脳と通じ精神を安定させる作用を発揮します。
鬱の後期虚証では、気や陰液の消耗の著しさから心気や心血が不足すると精神の安定が保てなくなり、精神的な不調と血の不足からくる四肢のだるさなどがあらわれてきます。



では薬膳や中医学では、それぞれどういった対策をとるでしょうか?
もちろん対策は全体の対策は[疏肝解鬱・養心安神]です。

初期
@肝気鬱結証、  対策:[疏肝理気
A気鬱化火証、   対策:[清熱瀉火]
B気滞痰鬱証、  対策:[理気解鬱化痰]

終期
C 心神不安証、  対策:[養心安神
D 心脾両虚証、  対策:[健脾養心・益気補血]
E 陰虚火旺証、  対策:[滋陰清熱・鎮心安神]


対策の[疏肝理気]に対応する食材をお選びくださるようご検討しただければと思います。もちろんそれぞれの対策にあった薬膳メニューもございます。ただ実際の臨床で証が複数にまたがる方も多くみうけられます。そうしたときはしっかり専門家にご相談いただくよう心がけてください。









最後に。

個人的に、いまは自室にこもって勉強をする日々、実用的な知恵や知識が増えていく喜びを感じています。
個人ノルマの多さからしんどいものの充実した一日で、時間はあっという間に過ぎていきます。

そんなときでも鬱証の初期段階とされる肝気鬱結証等と考えられる状態には見に覚えはあって、潜在的なケースとしてカウントされそうです。
身勝手な感じ方で恐縮ですが、私が子供の頃の昭和のニュースの事件でも決してつらい内容がなかったわけではありません。ですが、今のニュースを観たとき。なにかが変わっていく姿を感じられてなりません。そこにフォーカスを当て過ぎたら自然に鬱々とした気分となっていきそうで恐ろしいことです。

人は、自分の意識を向け注視したものの像が大きく描かれて他が見えなくなる習性がありますから、わざわざ自分の手に余ることで思い悩みつづけるよりも、自分の手で創り出せるものにどれだけ注視し続けることができるか。

それがひとつの人として生きる修行だと思っています。

■ 鬱証(うつしょう)の病理と薬膳マップ

├── 【原因・誘因】
│ ├── 七情(精神的刺激):怒り(気逆・乱)、憂思(気結・詰)
│ └── 臓腑失調・環境変化:遺伝、過労、加齢、更年期、定年

└── 【根本病態】
└── 肝の疏泄失調 ⇒ 「気機(気の昇降出入)の停滞」

├── ◆ 初期・実証(気血の詰まり)
│ ├── @ 肝気鬱結証(基本の気滞)
│ │ ├── 症状:胸の隠痛、ため息、情緒不安定
│ │ └── 対策:[疏肝理気]みかん、ゆず、梅花茶
│ │
│ ├── A 気鬱化火証(長引いて熱化)
│ │ ├── 症状:躁うつ、イライラ、不眠、口渇
│ │ └── 対策:[清熱瀉火]にがうり、トマト、菊花緑茶
│ │
│ └── B 気滞痰鬱証(津液が滞り痰を形成)
│ ├── 症状:梅核気(のどの異物感)、胸悶
│ └── 対策:[理気解鬱化痰]春菊、大根、里いも煮

└── ◆ 後期・虚証(エネルギー・潤いの消耗)
├── C 心神不安証(心気・心血の不足)
│ ├── 症状:精神不安、心悸、悲哀
│ └── 対策:[養心安神]小麦、落花生、竜眼大棗デザート

├── D 心脾両虚証(心血虚 + 脾気虚)
│ ├── 症状:心悸、めまい、多夢、四肢の疲労
│ └── 対策:[健脾養心・益気補血]山いも、帰脾鶏鍋

└── E 陰虚火旺証(長期化による腎陰枯渇・心火旺盛)
├── 症状:緊張、不安、のどの痛み、盗汗、足腰だるさ
└── 対策:[滋陰清熱・鎮心安神]黒ごま、豚肉、ホタテ牛乳煮
posted by スズキ at 13:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 中医学診断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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