2026年06月06日

最低でも正邪が中庸、理想は正気を増やして邪気を取り除く対処法(扶正祛邪)で


先日、虚証と実証では推拿療法の手技が違ってくると書かせていただきました。
当ブログ( [虚証と実証、推拿の運用は異なりますか?](  https://bodywise-note.seesaa.net/article/520856811.html  ))。



今回は虚証と実証について、ご一緒に理解を深めたいと思います。

病気を引き起こす邪気と邪気を抑制する正気の戦いが、絶えず体の内側でなされています。
邪気には外因(風邪・寒邪・暑邪・温邪・燥邪・火邪(+疫癘邪気(ウイルス、細菌))・内因(情志失調)・不内外因(飲食不節、労逸過度、瘀血、痰飲)などがあります。それら病をもたらす攻撃主となる邪気をディフェンス役の正気が勝れば健康は保たれ、邪気が正気に勝れば疾病がもたらされます。

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(健康と病は正気と邪気とのバランスで現れてくる図)

次に、以下の図解をご覧ください。


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(邪気と正気でみる虚証・実証図解)


以下、正気と邪気の数はわかりやすさをとり、任意なものとします。

【健康  正気:邪気 = 3 : 3】
基準として図中の真ん中となる健康な状態を観察して下さい。
正気が3体いて邪気も3体おり、両者が釣り合っている中庸となっております。正気が邪気による攻撃量に負けずについていけております。正直言えば、余裕がない状態で危なっかしいものの、中庸であれば病に犯されることなく防ぐことはできてます。理想としては正気を増やす生活習慣を心がけ、たとえ邪気の数が急激に増えても負けずに対応できるようにしましょう。


【虚証  正気:邪気 = 1 : 2】
図中の左手の虚証をご覧ください。
虚証では正気が1体で邪気が2体となります。すると正気を1体加算すれば邪気の2体と釣り合うじゃないかと思われるでしょう。ですが健康状態では正気が3体で成り立っております。すると正気を補う数量は健康な正気と同数となる正気を2体加算すべきでしょう。これで邪気より正気が勝ります。正気を加えて対処する、扶正(正気を扶養して増やす)をおこない調和させます。


【実証  正気:邪気 = 3 : 6】
図中の右手の実証をご覧ください。
実証では正気が3体で邪気が6体となります。すると正気を3体加算すれば邪気の6体と釣り合うじゃないかと思われるでしょう。ですがそれでは大量に発生している邪気が体内にずっと居続けることによる不利益が生じます。この場合は、邪気を3体取り除くことで正気と邪気が3体ずつと中庸になります。邪気を取り除く、祛邪(邪気を取り除く)をおこない調和させます。



つまり虚証は正気を加えるのが治療となり、実証は邪気を取り除くことが治療となります。
これを間違えて虚証で邪気を取り除いても病からの回復は遠く、実証で正気を増やしても体内に取り残された邪気はしばらくの間は生きながらえて悪さを継続し病が続けられるわけです。

簡単に考えれば、基本は健康状態の正邪のバランスへと、
虚証では正気を実証では邪気を移行させればいいわけですね。
それで症状も落ち着いてまいります。

虚証か実証かが異なれば対処法を変えなければなりません。


そうした理解が及べば、
『あれっ?自分は実証になるのか、虚証になるのかわからないな・・・』

とお考えいただく思考回路が出来上がりましたらしめたものです。




ただ、、、ここで厄介なことをいうようで恐縮ですが、証は短期で転じることがあることをご理解下さい。
下に例示いたします。
風邪の引き始めは『葛根湯』という言葉を聞いたことはありませんか?
風邪を引いた初期状態の証と中期状態の証とでは証が短期間に移り変わっていきます。
風邪の引きはじめの悪寒、背部の凝り、むくみなどは「外感風寒表実証(がいかんふうかんひょうじつしょう)」です。葛根湯は「辛温解表(しんおんげひょう)」、つまり「体を温めて毛穴を開き、汗と一緒に邪気(ウイルスや寒けの元)を外へ追い出す」処方です。それは体表部にまだ邪気がいるから効くもので、表実証という実証に対する処方をおこなうことがあります。
それが中期になれば、邪気は体表を通り過ぎてさらに奥へと病位を侵攻していきます。するとすでに邪気と戦い正気が消耗され数が少なくなっていれば実証から虚証へと転じる場合もでてまいります。虚証であれば正気を加えることも必要となってきたわけです。
このように証は場合により、短期間での虚実転換が現れることがあると知られております。ですから必要な対応とは、そのとき、そのときの証を正確に四診を持って判断して治療にあたることが求められます。

posted by スズキ at 09:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 中医学診断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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