2026年06月01日

正気が衰退したときにだせる、打ち出の小槌。


中医学で正気という気の概念があります。
それは防御作用(バリア機能)、維持・調節作用(ホメオスタシス)、回復作用(自然治癒力)の3つの働きをもっております。

脚注:
正気の3つの主な働き
​防御作用(バリア機能): 外界から侵入しようとする外邪(風、寒、暑、湿、燥、火など)やウイルスの侵入から身体を守ります。主に体表付近を巡る「衛気(えき)」がこの役割を強く担います。
​維持・調節作用(ホメオスタシス): 五臓六腑が正常に働き、気・血・津液(水分)が滞りなく体内を巡るよう動かし続け、体温調節や代謝など、健康な状態を一定に保ちます。
​回復作用(自然治癒力): 万が一邪気に侵されて病気になった場合でも、闘って邪気を体外へ追い出し、損傷した組織を修復して本来の健康な状態へ戻そうと働きます。


こうした正気には男女差があるとされ、
女性の最大が28歳で35歳から衰退し始めます。
男性の最大が32歳で40歳から衰退し始めます。

人は30代前後のピークタイムの筋骨が強く髪も豊かで身体が充実した時期を記憶したまま、日々、正気の減少が起きていくのです。『黄帝内経』には「年半百而動作皆衰(年齢が50歳になると、動作がすべて衰える)」という有名な一文があります。ピーク時(28〜32歳)の生命力(正気)を100とした場合、50歳前後でおよそ「50(半分)」まで低下すると考えられます


以上のお話は黄帝内経が書かれた当初のお話。
中国では現代でもこうした人生における正気の盛衰が解かれています。


でも、ここは日本で日本人は?それも現代では?


残念ながら、正確に語る資料は探しましたが見つかりませんでした。
正気には個人差がありますから、もとより黄帝内経で語るものも目安としてわかりやすい数値年齢を掲げたものと捉えたほうがいいのでしょうか。

なので、ちょっと無理やりですが、あなたが仮に正気がピークタイムの50%に、いま、減少したと仮定して考えてみて下さい。
すでに50歳を過ぎた人はわかりやすいかもしれませんが、20代の方には相応に想像力で50代以降の方を思い出しつつ想像してくださいね。




加齢によって低下するものには、今も昔も共通しています。

1.腎精(じんせい)と腎気(じんき)の枯渇(腎精=生命エネルギーの源)
2.脾胃の機能低下(消化吸収機能と水穀の精微を送り出す機能)
3.肝血の不足(肝に蔵血する血量が不足)



です。
大きくは先天の精と呼ばれ腎に蓄えられた腎精は、生まれてきたとき一定量を親から受けとったもの。生命エネルギーの根本といえるものです。この腎精は徐々に使われて目減りするエネルギーと考えて下さい。つまり赤ちゃんのときが腎精がピークで、生活を送るうえで確実に減少し枯渇へと近づくものです。
つまり脾胃の機能低下や肝血の不足は、腎精が半減するなど目立った低下が引き金になりホメオスタシスが五臓の消化機能や蔵血する肝機能の働きを鈍くさせたのです。


こうして正気が不足し気血を脾胃の水穀の精微により生成していく力が衰えていくと、気や血がピークタイムより減少していきます。

そうした気や血の減少は体内では血の停滞からの血瘀の生成、膵液の停滞による痰濁の生成といった病理物質を体内に作り出し気血の通り道を物理的に塞ぎだすことがあります。正気の減少や低下は『虚』の状態でしたが、こうした血液や水分の停滞があらわれると『実』を生み出し、それが軽度の病症から重度の病症まで作り出す引き金となります。


正気がピーク時の50%を下回りだしたとき、正気は免疫力が半分、自己調整能力が半分、自然治癒が半分。


子供の時は、風邪をひいても一晩で熱が出てウイルスや菌を殺して翌日にはケロッとしているが、正気が50%を割り込めば免疫力も50%を割り込んでしまいだらだらと治りづらいままがつづくときがでてまいります。


患部にまで血液が届いて患部として傷んだ古い組織を破壊して新たな細胞分裂により新たな組織を設営する作業をするのが自然治癒です。
それを踏まえてみていただきたいのが手技療法。
正気が100であれば自然治癒が100ですから、とてもよく治るのです。そこには気血の巡りの強さと気血の量が充分であるため、一時的に経脈をふさがれるような筋膜の癒着による気の停滞が生じても、そうした障害を手技療法で除去して気血を流せば自然治癒が作動してくれる。すると治りがいいんですね。手技で営養や水分が干上がった患部に血液が行き渡るようになりつづけ、やがてそこは何事もなかったような整えられた健康で平和な状態へと戻ります。

ですが正気が50%を切ると、手技で血脈や経絡を塞がれた箇所を通して患部へと気血を流せる状態にしたとして、どうなるものでしょう。充分な量の血液がないため患部に届くうるおい成分や営養は100%の半分しかありません。
すると古い傷んだ患部の組織を全部取り替えることはせず、保守をして傷んでいたままを活かすに留まるしか仕事ができません。全部壊したら再建する建材がないという状態は避けたいので、やりくりするだけで落ち着かせるのです。実質、これは傾いた掘っ立て小屋に倒れないようつっかえ棒をした程度だと思って下さい。



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(ちょっと露骨な描画しか出力がうまくできなくてでごめんなさい)


正気が減る目には映らない健康維持リスクがあるのです。
なんとなくおわかりいただけましたでしょうか。


手技療法が効きがいいのはお客様の自然治癒力のおかげという話を聞いた方もいると思いますが、そのとおりなんです。

正気が減り、特に病症が現れ実証をともなうようになると、どうなるでしょう。
私は『施術は一時的なカンフル剤ですから、自身の生活や運動が大切ですからね。そちらをしっかりなさってくださいね。』とよくいっておりますが、実際は自然治癒の作動するスイッチをきっちり入れてから施術を終えるようにしてきました。ですから、一ヶ月単位や数年単位で、体調も維持し促進できるような後押しができたわけです。
ですが、正気が50%を下回りだした頃合いから、自然治癒が作動するスイッチがあってそれを作動させる仕事はしても、お客様の内部で自然治癒が空回りしてしまいます。すると文字通り(一時的なカンフル剤)にしかなりません。それは手技を受けただけでは改善曲線が高く維持はできず、発展もせず、長い目で見れば着々と下降線をたどります。
極端ですが、そういったことが内部では自然発生的に生じているのです。それは施術をする私には、お一人、お一人のお客様の長い年月お付き合いをいただいた変遷を通し、把握できた数値以上のデータです。




同じ施術の手技を受けたとしても、正気の量で改善率が上下することをおわかりいただけましたら幸いです。





では、中医学ではこうした加齢による正気の減少を、指を加えていたのでしょうか?
もちろん、そんなことはありません。
先天の精という腎精は加齢により減りますが、後天の精と呼ばれる気でそれを補うことができることを発見したのです。
先に説明したように腎精は生まれてきたとき渡された一括給付です。それが後に増えることはない仕組みです。ですが腎精の気の収まった財布からではなく、後天で造れる気の財布から支払いを済ませることができて、後天の精のおサイフは、中身の気を増やそうと思えば増やせます!

いま、私が薬膳を通し中医学を学んでいるのは、こうした後天の精のおサイフの中身を増やすための勉強です。

現段階で正気が充実していれば滋養をわずかに足したり、日々起きることへの対処でいいのですが、正気が50%となったとき、いくつか分類される病的な体質を持ち始めますから、そうなると後天の精の財布のなかのお金を増やすとき、それぞれ増やすためのルールがあるんです。病症が進めば非常に厳格です。間違えば増やそうとして失うことになりかねません。かえって手出ししないほうが無難だったというわけです。そうした難しさがあると気づいたとき、なんで、これが流行らないか、色んな意味でわかったような気がしました。。。とにかく、がんばって勉強中です。
posted by スズキ at 17:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 中医学診断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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