2026年05月27日

漢方薬の構成生薬の作用を調べて、同種作用をもつ食材に置き換えるやり方について。

病院で漢方薬の処方箋がだされたときや、パッケージに『第2類医薬品』と書かれた漢方薬を購入するのみであれば、生薬の特性や組み合わせに気を配ることも少ないでしょう。

通常それで足りますから、問題ありません。

ですが薬膳のメニューづくりのひとつに、漢方薬の構成生薬に似せた食材を置き換えて同様の薬効を作り出す技術があります。


たとえば
二陳湯という漢方薬の構成生薬は、半夏、陳皮、白茯苓、炙甘草です。
それを半夏を生姜・かぶに置き換え、陳皮をみかんの皮に置き換え、茯苓をハトムギ・山芋に置き換え、炙甘草をなつめ・はちみつに置き換える。
すると二陳湯に似た効能を持つ薬膳ができあがるわけです。
これはまさに画期的な薬膳レシピとなるでしょう。
名だたる中医師が熟考した末にたどり着いた漢方薬の名方通りに参考とした薬膳ができる。
考えが深い漢方薬の作用を中薬(生薬)ではない食材で作れるのです。

夢のような効果効能を安定して提供できるヒントが漢方薬の構成生薬からみえてきます。構成生薬の君臣佐使の並びを分析して、その生薬の作用に対応する食材に置き換えをしていけばいいわけですから。。。


半夏(燥湿化痰・降逆止嘔)→生姜・かぶ
【生姜は嘔気を抑え、かぶ(特に皮の部分)には痰を抑える性質があります。】

陳皮(理気健脾・燥湿化痰)→みかんの皮(乾燥)

茯苓(利水滲湿・健脾安神)→ハトムギ・山芋
【ハトムギは水分代謝を促し、山芋は胃腸(脾)を整える代表的な食材です。】

炙甘草(補気・和中・調和)→なつめ・蜂蜜

となります。


こうした漢方薬の構成生薬を同種の作用を持つ食材に置き換えることで、食材のみによる漢方薬に類似した効能を引き出す方法があります。




ですが、本当にざっくりとした置き換え操作をするだけでいいのでしょうか?

こうした漢方薬の構成生薬を模して食材に置き換えるやり方をするとき、実際にその漢方薬の構成生薬の配合理由が理解できている必要があります。

たとえば二陳湯の構成生薬の半夏。半夏は毒性があり、炮製で毒性を抑える工夫がなされています。通常は半夏と生姜がセットの扱いになっており、半夏の毒を生姜が抑えてくれるのです。ただここで疑問が残りますが、通常、二陳湯は、半夏、陳皮、白茯苓、炙甘草の4生薬で成り立ちますので、生姜が入っておりません。それでは半夏の毒性が消えないではないか?そういった疑念です。
実は二陳湯で使用される半夏は法半夏と呼ばれる生姜の絞り汁に浸しては乾燥を繰り返して作り上げた特別な半夏をもちいてつくります。
最初から法半夏と書いてくれればいいものを、半夏とだけ書く本が少なくありません。こういったことは書かれてなくても常識でしょと言わんばかりに省かれてしまうことがあるようで素人には地雷を踏んでしまいやすく注意が必要です。
二陳湯の構成生薬を調べ、半夏を法半夏だと気づかずに【半夏、陳皮、白茯苓、炙甘草】の4生薬を集めて煎じて服用したら半夏の毒性に苦しみます。
【半夏の毒による症状】
​口腔内・舌・喉の激しいしびれ、腫れ、痛み。
​よだれが止まらなくなる、嚥下困難(飲み込みにくくなる)。
​嗄声(声が枯れる・出なくなる)。
​ひどい場合には呼吸困難や催吐(嘔吐)作用を誘発します。



漢方薬用に生薬を手に入れ煎じて服用する方が気をつける点でしょう。
こうした罠があるので、素人の方は手を出さないほうがいいといわれる理由が、つくづくわかります。よくなると期待して服用したら強烈な毒作用や副作用が現れて、それがどうして起きたかがわからなければ怖くてしょうがなくなります。。。。。

ここでとりあげた二陳湯を例に説明するのは適切ではなかったかもしれませんが、
いろいろと専門的に掘り下げなければほしい結果は得られるものではない好例でもあろうかと考えます。



なので単純に漢方薬の構成生薬を食材に置き換え当てはめようとしてもうまくハマらないこともでてきます。
それに相反・相悪という配伍によるトラブルを防ぐチェックができなければ、これも同様な落とし穴のような罠となるでしょう。
こららを知っているものでも多忙すぎてチェックがおろそかになれば、落とし穴にすっぽり落ちることもある。大雑把な人は手を出さないほうがいい領域だと思えてなりません。。。

中国では当然のように漢方薬の構成生薬を参考にした食材の置き換えはなされておりノウハウもあります。ただ日本の本ではこうした解説本は、私は観たことがございません。それもあって、すでに実行効果が明らかにされている薬膳レシピの創作活動として研究しがいがあります。
独自に挑戦するには、机上で構成生薬ごとに毒性や用いるときに陰虚体質や妊娠中は禁忌等の注意点等をひとつずつ調べて最低限安全対策は万全を期した上で、実際に生薬を使って理解を深めることが大切でしょう。生薬のを把握する過程を通して、これだったらどの食材と置き換えが妥当そうかな?と考えて腑に落ちる食材が選択しやすくなるでしょう。

薬膳の研究も情報源としてAIで取りやすいなりましたが、意外に落とし穴にがっつりハマるレシピを提供してくれることが多いのです。ちょいちょい薬効を純粋に追わず、美味しさに押されて横道にそれて帰ってこれなくなります。日本語で薬膳レシピを作ってもらおうとすると、ちょいちょい五性をミスって台無しにしてくれます。正直に言えば、怖くてそのまま使えないものが、半数近くあがってきます。ちなみに、私の経験上、中国語の簡体文字で中国語で中医学専門用語をもちいた上でプロンプトを書いていけば、だいぶん精度が高まります。それがあって、かなり助かっています。


posted by スズキ at 12:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 中医学診断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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