冒頭から、専門的なお話になります。
脾と胃は、それぞれの気の流れる向きがあります。
脾は食べたものから得た栄養を、《上》に向かって心や肺へ運びます(脾主升清)。
胃は食べ物を消化し、《下》の小腸や大腸へ運びます(胃主降濁)。
この「脾の昇」と「胃の降」が互いに影響し合い、バランスを保つことで、全身の気はスムーズに巡り、消化・吸収・排泄が正常に行われます。
こうした脾胃の気の流れが肝気鬱結という気滞が加わると、正常な消化・吸収・排泄のバランスを邪魔し始めるのです(肝気横逆)。
脾の上に気で持ち上げる流れが邪魔され弱まれば、脾の気が下へ向かったり、胃の下ろす力が相対的に強すぎるように変わります。
胃の下に気で消化物を降ろす力が妨げられると、消化物が下へスムースに送れず、胃の気が滞ります。
@こうした胃気の過度な下降・停滞が起これば、胃で消化した物を下に送る力以上に、下に押し下げてしまうし、結果、下部で留まる。
A脾の気が十分に持ち上げられなくなれば、胃の気の下降に引きずられて下に落ち込みます。
B上部で滞っていた気が、なんらかのきっかけにより下腹部へ移動し、そこで留まる。
@〜Bが合わされば、下腹部に過剰な気が留まり渋滞いたします。
こうなった結果、具体的な症状があらわれます。
2つほどご紹介させてください。
〘腹部膨満感〙、聞いたことありますか?
下腹部がパンパンに張って、ガスも溜まります。
気が下腹部の腸管で滞り、そこの場所に過剰な気の圧力がかかります。
物理的に腸が膨らみますし、パンパンに張ったように感じるのです。
気の滞りが消化管の働きを鈍らせますから、ガスも発生しやすくなります。
〘便意はあるがスッキリ出ない:裏急後重(りきゅうこうじゅう)〙、これは数名のお客様からボディチェックのときに話がでました。
どうしてなるかというと、気が下腹部、特に直腸や肛門出口付近で滞り、その場所を内外に向けて圧迫をします。
すると脳は『肛門出口付近になにかがある、出しなさい!』と強い便意を感じさせます。
ですが、気が渋滞しているため、内容物をスムースに下に送り出す力が弱まり、気も内容物を押さえ込んだりしており、スムースに排泄されません。
結果として、何度トイレに行っても残っている感じが続きます。
つまりこれは内容物の詰まりではなく、主に気の渋滞が原因の圧迫感からきております。
またこうして下に押し込められ滞った気が、腸の動きなどで腸管内を移動し、体外へ排出されることもあります。
腸管内に停滞したガスの一部が排出されたため、一時的に下腹部の張りが緩和し楽に感じます。
ですが気の滞りにより脾胃の上下の気の持ち上げる力が弱り腹部膨満感が続けば、下腹部の張りは際限がありません。
私の知り合いにYouTubeでこでんうまこさんというガス腹の情報を発信する方がおりますが、こうした気滞による脾胃の気が邪魔されることによりガス腹にもなるのです。
中医学では、肝気鬱結により脾胃の気の流れが邪魔されたときの初期対応として疏肝理気の立法を立てます。
心身のストレスなのにより肝の疏泄作用が失調して気が滞るのですから、気の流れを強くして滞り箇所を通過させようという手法です。
薬膳では、理気類の食材では〘蕎麦、玉ねぎ、らっきょう、刀豆、密柑、金柑、ジャスミン、玫瑰花、えんどう豆、オレンジ、文旦、その他〙。
中薬では、〘陳皮、青皮、枳穀、枳実、香附子、その他〙
などをもちいます。
理気作用を引き出すレシピを考案する際は、注意点があります。
肝気鬱結のときは、補気作用のある食材をレシピに混ぜてしまうと、かえって気が滞って経絡や経絡外で渋滞している流れに、さらに追加で新手の自動車を入れるようなもので渋滞が収まるどころか苛烈化するため体調は崩れることになります。
理気作用のある食材や中薬をメインの君薬として使うレシピの考案をすることが必定です。
補気作用ある食材が混ざらないようにしたいのでしたら、上掲したジャスミンティーのように理気作用を持つ食材を単品で用いるとよいでしょう。
ただし配伍上で相須を狙うほうが、はるかに効きがよくなりますので、
薬膳の勉強をなさっておられる方は、そこをぜひチャレンジなさってくださいませ。
あと一点注意が必要なことがあります。
ジャスミンや陳皮(みかんの皮を乾燥させたもの)などは芳香が強く、
その芳香パワーが体内で気の流れをスムースにさせる原動力となります。
料理に陳皮を細かく砕いたものを使うときなどは、調理の最後にパラパラッと振りかけてください。
調理のはじめに炒めものに合わせるなどして芳香を飛ばさないようにします。漢方薬を煎じるときも、理気作用のある生薬を使う際は、最後に入れることで芳香を無駄に飛ばすことを避けて仕上げます。
腹部膨満感からのガス腹。
なってみるとつらいものでしょう。
初期段階でしたらこうした理気類で対策できる可能性がありますから、
ちょっと苦しいなと感じておられる方がおられれば
よかったら試してください。
なってみるとつらいものでしょう。
初期段階でしたらこうした理気類で対策できる可能性がありますから、
ちょっと苦しいなと感じておられる方がおられれば
よかったら試してください。
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