全体の主な機能をかなえる君薬となる食材。
君薬を補佐し佐薬と使薬を監視する臣薬となる食材。
佐薬は君薬の補助と薬効作用の行き過ぎを抑える働きを担う食材。
使薬は、病巣部位や病邪に働きかける最前線の兵士で、各薬物の働きを調和させる食材です。
ただ薬膳を例にするより、漢方薬の君臣佐使で観たほうが身近に感じられるかと思いますので
女性に用いられる「3大婦人科薬」の一つとして非常に有名な〘当帰芍薬散〙を例にとってお話をさせていただきます。
当帰芍薬散は、名将により敵チームに対抗する最強メンバーを厳選して集られた強力タッグです。
徹底して今時点での病邪の作戦を読み、必然的に勝てる策を繰り出していくイメージです。
ただ実際に血管内等、生薬が活躍している実感を漢方薬を学んだことがない方が想像するのは難しいこと。
では、どんな様子で効いていたのかをイラストで観てまいりましょう。
(図解 血中で働く当帰芍薬散イメージ)
初期段階:血管内に血瘀が形成されており血行を阻害された状態。
当帰芍薬散を摂取後:当帰・芍薬で足らない血を補い、川芎の気を強力に巡らす力で血を循環させて血瘀を分解させます。
仕上げに余分な水分を沢瀉 、茯苓、白朮で拭い去りむくみに対策します。
各生薬が持つ有効成分が機能的に課題をクリアするよう強力なチームが一丸となって働きます。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
特徴:四物湯(当帰、白朮、川芎、地黄)から地黄(じおう)を除き、水分代謝を整える生薬(白朮・茯苓・沢瀉)を加えた処方です。
用途として、体力が低下した冷え症の方で、**貧血傾向とむくみ(水毒)が両方ある場合に用いられます。月経不順、生理痛、冷え症、めまい、不妊症、妊婦の諸症状などに幅広く適応します。
以下に当帰芍薬散のチームメンバーをご紹介いたします。
□ 君薬(くんやく) 当帰・芍薬
当帰芍薬散と、当帰と芍薬の名が君薬(※)として冠されおります。
※君薬役割: 方剤の主たる目的(主証)を治療する最重要の生薬。
まずは当帰と芍薬の概要を観てまいりましょう。
当帰解説:「補血薬の代表。『血を補う(補血)』だけでなく、『血の道を整える(調経)』。健康な血を生成し、その流れを正常にする。冷え症改善に不可欠。」
《血を補い、巡らせ、痛みを止める(補血・活血・止痛)》
芍薬解説:「補血薬でありながら鎮痛効果が高い。『筋肉の緊張を緩める(緩急止痛)』。子宮や内臓、四肢の筋肉のけいれんや痛みを和らげる。」
《血を補い、肝を和らげ、筋肉の緊張を緩めて痛みを止める(補血・和肝・緩急止痛)》
この二つの生薬が協力して、「血虚(けっきょ)」とそれに伴う痛みを改善する中心的な役割を果たします。
□ 臣薬(しんやく) 川芎
臣薬の役割: 君薬の働きを助ける、または副次的な症状(兼証)を治療する生薬。
川芎 (せんきゅう)が当帰芍薬散では臣薬となります。
川芎の働き:血と気の巡りを良くし、痛みを止める(活血・行気・止痛)。「血中の気薬」とも呼ばれ、当帰の補血作用・活血作用を強力にサポートし、痛みの解消を助けます。
□ 佐薬 (さやく) 沢瀉 (たくしゃ)、茯苓 (ぶくりょう)、白朮 (びゃくじゅつ)
役割: 君薬や臣薬を助ける、毒性を中和する、または別の角度から症状を治療する生薬。
沢瀉 (たくしゃ)、茯苓 (ぶくりょう)、白朮 (びゃくじゅつ)が当帰芍薬散では佐薬となります。
沢瀉・茯苓・白朮の働き:いずれも体内の余分な水分を排出する(利水・滲湿)働きがあります。白朮と茯苓は消化器系(脾)を元気にして、水分の吸収・代謝を正常にする働きも兼ねます。
□ 使薬(しやく)は専門性が高い諸説あり省略
そして最後にここからも、大事です。
薬膳も当帰芍薬散と同じように君薬、臣薬、佐薬、使薬の設定をした
明らかな薬効を目指した強力食材タッグを組ませたプログラムなのです。
そのことをよく考えて各人ごとの体調に基づいてつくられた薬膳メニューをつくるとき。
なにを君薬に据えるか、そして補佐の臣薬、佐薬となすか、などと構成要素となる食材を選び出します。
そうした考えでつくられた場合には、ごく一般的なスーパーマーケットの野菜も食材から食によるお薬となる食薬になれるのです。
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