2022年02月07日

髪のチェックから見えてくるもの(髪の望診) バイアスがかかって勘違いする言葉のやり取りより、言葉なき情報の獲得ができてうその少ない望診。それは施術に役立つものです!

このブログをお読みいただきたい方:

■ 中医学の四診のなかの望診を学んでいる方

■ 円形脱毛症が気になる方



中医学診断のひとつにあげられる望診。

望み見ることで診断をするという方法です。

舌診という舌をみせていただいてチェックするのも望診の一項目とされます。



四診のなかで、望診は唯一、街中のフィールドワークトレーニングに適しております。



たとえば、望診のなかのチェック項目のひとつ、頭髪の望診を頭に叩き込んでから街に出て実践トレーニングをはじめます。


先日のこと。。。

寒さも厳しい日に武蔵小山駅周辺を歩いていたら、
薄着でさっそうと歩く10代後半ほどの若い男性を見かけました。


「おっ、靴下なしの素足でスニーカーで、トレパンの裾を膝までたくし上げてる。元気!」


そう思いました。
どのような人物であろうかと、
少し顔をよく見ようと観察してみました。


スタイルもよく特段の病の相は見て取れません。


ですが一点、気になったところがありました。

彼が私の横を通り過ぎたとき、彼の後頭部を観ることになったのです。
髪はしっかりくしで全体的に整えられてみえていましたが、
するとつむじの右横に500円玉の大きさまでなった「円形脱毛」が確認できました。

emmlei.png
まずは選択肢の項目を思い出します。

頭髪の望診には、
どのようなときにおきるのでしょうか。
脱毛原因と推測される選択の5本の枝。
そちらを私の頭に浮かべます。


すると、、、。
(中国語的な熟語が多くて申し訳ないです!さらっと読み飛ばしてください)

(1)臓腑弁証でいう心熱、心火にかかわる証(突発性円形脱毛症)

(2)臓腑弁証でいう肝陰虚証、腎陰虚証

(3)臓腑弁証でいう脾虚証

(4)おけつ証(慢性円形脱毛症)

(5)かつての外傷による傷ののこり




次のステップ


5つのなかからどれかに絞る過程です。


円形脱毛となった部位以外は、髪に勢いがある。
頭頂の薄さや両額角からの薄さなどはみえない。

もし頭頂の薄さや両額角からの薄さがあり頭髪が油状の光沢があり、フケがおおくなって脱毛したなら、
髪は血のあまりでできるものとされ、肝腎陰虚。
精血が不足して脱毛しているとされる。
ちなみに腎は水をつかさどって、老廃物をおしっこにして排泄するときに関与しています。
そして脂質代謝と相互に関連があり、腎機能が衰えていると皮脂の分泌が多くなるような異常がみえてきます。

といった傾向はなさそう。

頭髪はじゃっかん細く柔らかめであったが、乾燥気味でつやがないわけではない。頭全体は頭髪の量はあった。
これにより※気血生化の失調により気血が生産されていないわけじゃない。

※気血生化とは次のような脾の特徴を指します。
脾は生命活動を維持に必要な運化水穀作用によって、飲食物から得た栄養物質を人体に必要な気・血・津液に作り変えます。



そうやって中医学でいう頭髪の脱毛原因といえそうな選択の5本の枝を、ひとつずつ折って2本は除外することができました。




あとは私も以前に患った突発性円形脱毛症か、慢性的な円形脱毛症の2本の枝が残ります。

そのひとつ。
突発性円形脱毛症は、精神的刺激などによりココロがかき乱されて、心火が盛んになって体内に無駄な熱がこもって抜けなくなり肌や頭髪の状態が維持できなくなった状態です。


そのふたつ。
慢性化した円形脱毛症は、精神的刺激で気滞血おが生じていたことや、他の原因で血が停滞。血行が悪くなって局所的に新しい血が循環できずに頭髪づくりの栄養が切れて脱毛する状態です。



最後に忘れてはならないが、中医学での証にはあたらない(例外)があります。
円形脱毛した部位に傷を負ったことにより毛髪が生えなくなった場合も考えられます。



5本の選択肢から2つが除外できたのです。
それ以上を調べたければ、本人に、かつての負傷部位ではないのか、または慢性的な状態か突発性かをお伺いすれば、判断するためのデータがそろったため、
それぞれの場合に対してエビデンスといえるような有効な手を打つことができます。




選択肢をリストアップする段階で。
どのような原因で円形脱毛が起きているかの項目がでそろわないうちに、
施術の手を付けても、偶然に改善の道をいく可能性はゼロではないですが、
コンスタントに成績を稼ぐことができないこともあるでしょう。


選択肢から除外していい項目を判断する段階で、
各項目の内容を一定の深さで理解がなされることが必要となります。
あとは望診のみにより、正確な情報がすべてそろうことも少なくて、
望診以外の四診の項にあたる 聞診・ 問診・ 切診といった、
質問させていただいたり、触れて情報を集めるなどすることが必要。

そういった四診で集めた情報を総合判断して証をだすのはわかるが、
望診は意外に役立つんです。
問診のようなお客様とのコミュニケーションで勘違いや言葉の表現の違いなどでバイアスがかかるようなこともありません。
問診中はわかったような気になってきいていても、
相互のイメージした内容が違っていたり、
教えてほしい内容が十分伝えきれなかったり。
意外なほど勘違いを生み出すことがあります。

それが望診という言葉なき情報の獲得が可能。
ここ、実は想像以上に大事なんです。


posted by スズキ at 15:02| Comment(0) | 中医学診断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年02月03日

舌診アプリって、世にあるんですね。

このブログをお読みいただきたい方:

■ 舌診に関心がある方

■ 中医学診断に関心がある方

■ 自身やご家族の未病を調べたい方




昨今、NHKでも、
東洋医学 ホントのチカラ - NHKhttps://www.nhk.jp/p/toyoigaku-honto/ts/WKV4Z1715P/
内容は、
西洋医学では手が届かない症状への解決策として、
世界中で注目を集める東洋医学。
科学を駆使して効果が確認されはじめた最新の治療法やセルフケアをたっぷりご紹介します!


という番組を放送しています。

東洋医学の市民権は、セルフケアの分野に適しているとされ、
今後も増していくことでしょう。



そういうことで、自分でも東洋医学を専門レベルで学びたいという人も増えたのでしょう。



『 本当に教育を受けた人とは、
  学ぶ方法と変化する方法を学んだ人である
 』
           (カール・ロジャーズ)

私には中医学は独学で師匠や先生はいません。
専門書、DVD、関係するホームページなどが学習のためのリソースです。
昨今は、それらが強力な武器と言えるような内容ですから不自由ないです。
ホームページ上では、中国語の関連する記事も、Google翻訳で読めますし。。。



私の知り合いの中医学の勉強法に取り入れているのは、
宮廷女官チャングムの誓い」という韓国の伝説的な医女のドラマをリソースにしているみたい。
それぞれが工夫してますね。





中医学を学ぶ目的は、人それぞれでしょう。


私のねらいは、、、、、
未病の状態を知ることにこだわりがあります。

中医学の興味深いところは、症状が現れる前の【未病】を知ることができる。
血液検査や画像診断で観てグレーゾーンにもなっていないものであっても、
それぞれの臓器等のバランスが芋ずる式にくずれていく前進のときです。
目立った症状としてはあらわれてないが、脈や舌を視ると異常が見て取れることがあります。

特に糖尿病の手前の数値であるなど慢性的な病的な傾向がある状態では、
状態がよくなったり悪くなるなどと推移するなかで。
徐々に状態の悪化が進行していたとしても、いつもの自身の身体の不調が当たり前になると、
その不調の深さが行き過ぎてはならない一線を越して病になるか、それともまだ未病かというラインが実感しづらくなるようです。


そのようなときに「おや?なんか変だぞ。。。」と気づくことで、
さらに情報を探索して状態の観察を進めていきます。

得た情報を総合して検討することで中医学の「証」という膨大なパターンのひとつにたどり着く。
証がでなければ治療はできないので、これがとても大事なことです。

定期健診を受けて、
「早期発見できて大病にならないですんだな」ということがあるが、
そういった方の多くは、ほっと胸をなでおろし、
これから病に対して積極的に付き合っていく闘志がわいてくるもの。
前向きな取り組みもできるような心でいられます。
そこに計り知れない価値を感じています。

中医学の四診は、そのような定期健診ではありませんが、
しっかり観れるように訓練を積むことで道は開けます。
予防の革新となり、大病による医療費を削減。
そのような場面が多く見受けられる将来が訪れますように。。。





昨今の科学技術の発達には目覚ましいものがあります。
たとえば、舌診をネットで調べると、
東洋医学の舌診をいかして手軽に健康診断をしていくという試みが、
すでになされているんですね。



舌の写真を撮るだけで、健康診断ができるアプリが発売。
https://social-design-net.com/archives/1983/



舌の絵


たぶん、舌診はアプリ化しやすそうだというのは、
舌診を学んだ方は一度は考えたと思いますがどうでしょう。

舌の写真からは、多くのカラダの内側に潜む情報を伝えてくれています。
「えっ!そんなことが、舌のコケとか、色とか、形状とかでわかるものなのか」
と私は、舌診で実際に人の舌を観察して驚きました。
かなりの高い精度でその人の体の内側の状態を伝えているのです。
そして舌診をするための見方について、多くの貴重な資料がある。
ならば状態の情報を吸収して数値化や判断するような判定をする技術にデータベースをのせて結果を出力させれば、、、。
舌診の本を時間をかけて必死に読んでも、判定がしづらい舌があるのだが、
そのような案件の意見を聞かせてくれる心強いパートナーになるはずだ。

または薬膳を学ぶ人たちは舌診を主にチェックするようだから、彼らにもいいのでは?

私はそう考えはしましたが、私にはアプリ化する技術も費用もなくて、
あったらいいなという夢で閉じてしまっていました。





でも、世の中には、あるもんなんですね。

中医学の先生とAI等のテクノロジストがタッグを組んで、
後世に残る大きな仕事へとつながったわけです。

ただこちらの海外の大学で開発されたアプリが日本語化されてつかわれているという情報は、
私の手元にはないので、もしかしたら、今後に期待ということなのでしょうか。



もし体を知るための診断としては精度的に未熟だという結果であったとしても、
今後、AI技術をいかして今後も生のデータをディープラーニングさせ
判定の精度が向上して信頼に足るものとみなされれば。

すばらしいことです。





最後に、余談となりますが。。。

カール・ロジャーズ氏。
アメリカ合衆国の来談者中心療法を創始した臨床心理学者。
現在では当たり前の来談者:クライアントと呼び、それまでの患者という呼び名を拭い去ってくれた人です。
いまのカウンセリングのひな型は、ロジャーズ氏によるところが大きいといわれています。
いまもアメリカでの最も影響を与え続ける心理学者の一人だと断言できる人物です。

そのようなロジャーズ氏がいうには。

「人は他の人から理解され、わかってもらえたと思えたとき、ココロに”ある変化”が生じます。
それが真に自分に向き合う力となり、みずからを成長させていきます」


と語っています。

独学のむずかしさや、先人がいないものの学びをするときは、
先生という他の人から認められ理解されないままという状況です。

人とのかかわりがないまま、
たんたんと前進することはどんなひとでも苦手なのです。
よほどの自己の胸の内に燃え盛る火がないかぎり頓挫しがちです。
そうカール・ロジャーズ先生はおっしゃっておられるのでしょう。

だからこそ独学で得た知識や情報をアウトプットしていき、
他の人からの共感的理解が得られるよう、努めていくことは大事。

無理やり共感させるのは本末転倒ですが、
ブログ等でひとりの方にだけでもOKですから、お読みいただけることがあれば。
そして私の場合は施術のときに「鈴木さんが書いてたブログのあのグッズはさぁ
といっていただけると、まさにココロに”ある変化”が生じさせてくれた瞬間ですし、
そうしていただいた恩人です。

そんなこんなの感謝の気持ちも込めてブログを書かせていただいております m__m

お読みいただき、ありがとうございます!
posted by スズキ at 13:22| Comment(0) | 中医学診断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年01月27日

『五臓六腑自身を知れ』

このブログを読んでいただきたい方:

■ 中医学の勉強をしている者ってどういう視点で臓器を観るのかという一例を知りたい方

■ 私があとで読み返します!



個人的な話で恐縮ですが、
最近『汝自身を知れ』というソクラテスの言葉が、
目につくことが重なりました。

自分の心身を通して「正体」を観察した後に夜明けがあらわれることを説いた言葉に感じられます。


自己啓発書を読めば、時折引用されていますが、
施術をするものには、別の意味で感じ取れます。




数日前にこちらのブログで、
肝臓が問題が出ると眼に現れるといいました。


その理由に、

『肝臓』の役割の一部には

(1)血を肝臓内部にストックする機能【蔵血】
(2)肝臓内の貯血された血液を、スマートに必要ある臓器へ適量を送り届ける作用【疏泄作用】
などがあります。



全身をめぐる血液の三分の一もの量は、
脳へ運ばれ血を大量に消費します。
ただ、脳内へ十分な血流があるかは外見からはわからない。
目は脳の出先機関、または脳が外部へ露出したものといわれるもので、
脳と同様に多量の血液を消耗させ機能を維持しています。
それゆえに肝臓の働きに異常があれば、目に送られる血液の量が減少する結果が現れてくる。
その現状は脳に送られる血液量も減少している意味を含んでいます。
同様に他の臓器や器官にも。。。

目の見方を知り観察すれば、
これで知りたい情報の一端がつかめます。
目の状態だけで拙速に判断するのは危険なので、
他に脈をみたり舌をみたりしていくことで、
いくつもの肝機能が気になる未病があるとされる状況が見て取れるかどうか。
判断材料として必須情報の量を増やしていくのです。


女性が出産後は、多量の血液が失われるため、
眼に負担をかけてそれ以上の血液の消耗をさせないため、
産後は本などは控えめにといわれますよね。

産後に体内の血液総量が減ったところに目を使い過ぎてしまうと。
肝臓にダメージが与えられ傷害となれば後々まで持ち越されます。。。
かなりこれがやっかいなことでして、
それは避けるようにという意味です。



話はちょっとそれるのですが、
今日、テレビの羽鳥慎一モーニングショーをみていて。

オミクロン株のため検査キットが大量に必要とされ、検査キットのメーカーは増員体勢でがんばっておられるそうです。
メーカーがつくった商品は、取次に送られ保管され、薬局等からの注文により発送する仕組みです。
平常時は十分な量の検査キットが保管されていた取次店で、注文があればすみやかに対応できておりましたが、
オミクロン株が流行して検査キットを欲する人が増すにつれ、取次店もメーカーからの入荷待ちになって在庫が空っぽ。
それでは出荷できません。

私が肝臓の血液をマネージメントする機能をイメージしたとき、
肝臓は血液という商品を受け取って、一次的に貯めておく取次店のようなものだと感じていました。


脳内で肝臓と取次店の具象化したイメージが強すぎて、
取次店に物がない状態が、肝臓に血がない状態が勝手に連想されて身震いしてしまう。
肝臓に血のストックがなくなれば、目にもその危機的状況が表出して見て取れるのかもしれない。。。
そうなったら「病症」です。

ゆゆしき事態だと、その光景が目に浮かびます。
このような場合は、消費が著しく跳ね上がり取次店のストックが枯渇し、
あとはメーカーから入るのを待つしかない状態です。
というと、取次店が問題だというよりも上流の血を作るところが問題なのか。。。

深刻です。

人体で言えば、
骨髄等で造血するも固摂作用が崩壊したかのような状況となり血の生産が追い付かない的なことでしょうか?


そして不思議に感じますが、
実社会で起きている取次店の役割が果たせない事態と同様な相似する現象が、
体内でも酷似して起きることがあるのです。
それはなぜか神のいたずらかと思えるほど。


中医学は、五臓六腑の解剖学図譜に描ける実態をもつ臓器以上に、
それぞれの臓器が持つ働きに注目しています。
臓器は、それぞれが自分の持てる機能を存分に働かせて、
各々は連携をもって人体を支える働きを執り行います。


繰り返しますが、解剖学図譜に描けるものじゃない、
そんなところに注視することで、そうしたそれぞれの臓器の担当する働きが果たせるかどうか。


体の中の五臓六腑。
たとえば肝臓は「(血液の)取次店」という具合に例えればいいでしょう、
他の臓器も実社会の店と似通った役割をもって、働きを遂行しています。
それぞれが歯車となりかみあいよく、動く。
その姿が健康体です。


いつまでも健康体でいてほしい。
そのような願いがあります。

でも現実問題、うまくいかないときもあります。
あなたも私同様に、日々、がんばっていると、ついがんばりすぎて。
ストレスで疲れたり不調をきたすこともあるでしょう。

それと同様に臓器の働きも一つの臓器、または複数名が疲れ果て、
働きにブレーキがかかり停滞することもあるでしょう。

そのような事態に陥ったとき、心身ともに必要なだけの休息が必要です。
その働き手といえる臓器が好物な生薬を薬膳としてねぎらうこともいいでしょう。

眼を閉じて、
自身の内部に確実にいて生物として生き続けられるよう支える者(臓器)へ、
感謝の気持ちを言葉を送る。

そうすべき存在が身近どころか体内に散らばっているのです。


そこからは健康の持続性を高める気づきをあたえてもらえるでしょう。


中医学がわかりたければ中医学用語を言葉として覚えるのでは足りず、
中医学用語を見たときに右脳で臓器の働きをイメージが勝手に現れるほど親しむと。
それぞれの臓器は実にユニークで、感情豊か。
ちょっと中医学の臓器の見方を知ってもそう思いますが、
おおいに中医学の臓器の見方を知ればそれらは語りかければ言葉をかえしてくれる。
そのような存在。(←私はまだまだ。そこまでいくには、道のりがあります)

中医学の勉強は、記憶量が多く本から平たんな情報を言語で納めることに終始して、
それでは臨床でつかえないものにもなりかねません。
そこから離れるような学習の仕方が必要です。
イメージに、具象化に、工夫をするのも手でしょうか。



そうなる訓練することが中医学を学ぶ理解の前提にあるようです
【蔵象のとき】。


私ども施術をする者には、
汝自身を知れというのも、
汝自身の体を知ってから、その内部の枠組みと社会との相関、自然との相関と、イメージを膨らまして内外の世界をつなげよう。





最後に。

最近、前に買って積読していた『中医学ってなんだろう 1 人間のしくみ』という本を読み始めました。
いい本だな〜っと、しみじみ感じます。

posted by スズキ at 14:25| Comment(0) | 中医学診断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年01月06日

書籍紹介:『真鍋立夫先生との往復書翰 脈診からの漢方エキス剤 Kindle版』『漢方エキス剤をつかう西洋医によんでほしいこと Kindle版』『漢方で冷え・ストレスのないからだへ Kindle版』 現在、こちらの3冊とも、キンドル版では無料で読めます

漢方薬について関心のある方には、大変オトクな情報です。



私は存じ上げませんが、石川晶三先生の大著、3冊。
書籍版で購入すると絶版か高額か、ですが。
キンドル版により無料で手に入ります!



なんと、ありがたいことでしょう!
ありがとうございます!!




私は速攻でダウンロードさせていただきました。



ただひとつ、本書を読まれるに際して、注意点があります。

漢方について、
基本で知っている必要ありの知識についてまったく存じ上げない方には、
読みすすめるには骨が折れます。
そのときは、残念ですが理解が浅くなり得るものは少ないでしょう。

なので。
中医学、東洋医学の基本書のわかりやすい書籍が多数書店に並んでいますので、
そのような本を先に読まれてからのほうが時間をムダにしなくて有意義な知識、情報を手に入れられることでしょう。


現状での私のこれらの本の読み方について。
各々の本が大著でページ数が多いため、
最初のページから読みたいがついつい途中の興味あるところから読ませていただくことになります。
あとは辞典のように、漢方の臨床でこちらの著者はどのように方剤を使われたか調べたいことがあれば
文字検索をかけて該当部位を抽出して読むようにしています。
それは一般的な一般書レベルの漢方薬の薬効等の紹介をでて、
より専門家がどのようにその方剤を選び使うことで、どのような成果が得られたかを知ることができます。

だから漢方薬なんてあまり効かなそうと思って敬遠されておられる方が本書を読みすすめれば、
臨床で実際に患者様のカラダが変化し改善した様子を聞かされ、俄然、関心を深めるはずです。




この症状、この病名にはこの漢方エキス剤、西洋医としてそんな対症療法をしてきました。もう少し根拠を持って漢方エキス剤を選んであげたい。五臓六腑のどこに気血水のどのような問題があるからこの漢方エキス剤が効くのではないか、そんな対証療法をするために苦労してきた私の軌跡を綴ってみることにしました。基礎編は私のような西洋医にも興味深く読んでいただけるように症例を大切にしています。臨床編には100例ほどのかぜ診療をとりあげました。『傷寒論』から学び、どのような漢方エキス剤を選んだのか、参考にしていただけたら幸いです。




ふつうの風邪、ふつうの頭痛、ふつうのめまい
そんな診断をしたら次になにをしたらいいのか、みなさんは治療に困っていませんか。
西洋医としてふつうの病に隠れているレッドフラッグを鑑別する。そのノウハウはいろんな本から学ぶことができました。
でもなにもしなくても自然治癒するような軽症になにをしたらいいのか教えてくれる西洋医学の本には出逢えません。
そこで僕は治療の手がかりを東洋医学に探してきました。
この本には漢方エキス剤によるふつうの病への対処法を綴ってあります。
みなさんの診療の一助になれば幸いです。



漢方薬には西洋の薬にはない効能があります。たとえば新型コロナワクチン接種後の副反応について、悪寒、発熱、頭痛、節々の痛みなどが高率に現れますが、こうした症状は東洋医学でいう太陽病、つまり「かぜの初期にみられる表証」そのものであり、桂枝湯のような漢方薬で表を温めて発汗を正常にしてあげると軽くなります。カロナールを飲んでもとれない不調感が漢方薬でスッキリするのです。
新型コロナ感染症の後遺症として、異常な倦怠感、気持ちの落ち込みなどが注目されていますが、こうした症状をかぜが長引いて胃腸の機能が低下した「裏証」と捉えますと、人参湯や真武湯のような漢方薬で胃腸を温めてあげると改善するかもしれません。
冷えとストレスは万病のもとです。ところが西洋医学には「冷え」という概念がありません。そのため附子(ぶし)や乾姜(かんきょう)のような温める飲み薬がなにもないのです。また日本語には気が滅入るとか、気が弱いとか「気」をつかった言葉がたくさんあるけれど、この気とは五臓六腑を動かすエネルギーのようなものです。肝は全身の気の巡りをつかさどる司令塔であり、その働きを肝の疏泄(そせつ)作用と呼んでいます。東洋医学ではストレスによって弱るのは肝であると考えます。その疏泄作用が低下すると全身の気が巡らなくなり、胃や腸に影響が及べば食欲が落ちて腹痛や下痢になる。
よくある病気(common disease)のなかには、漢方薬が著効するものがあります。慢性的な下痢で整腸剤を飲んでも治らなくてあきらめていたのに真武湯で温めたら随分よくなった人がいました。月に100錠もの頭痛薬を飲んでいた人が当帰四逆加呉茱萸生姜湯を内服して温めながら肝の血を増やしたら月に数錠まで減らすことができました。慢性副鼻腔炎に何年も抗生物質を内服していた人が真武湯で胃腸を温めながら辛夷清肺湯で副鼻腔を冷やしたら抗生物質から離脱できたり、原因がわからなくて西洋薬では改善しなかった腹痛が四逆散のような肝の気を巡らす漢方薬で治ったり、漢方薬との出会いで人生が変わる幸運な人がいるのです。
私の本が縁になり、なにかの体調不良で困っている読者のみなさんが「自分の漢方薬」と巡り合えたらこんなにうれしいことはありません。
posted by スズキ at 22:45| Comment(0) | 中医学診断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年01月04日

テレビで芸能人を使って舌診チェック! 舌コケ編

テレビに映る芸能人。
その芸能人が口を開いた瞬間に、
健康状態を読み取るゲームです。




舌は舌診(ぜっしん)という中医学診断のなかの望診のひとつに含まれるのです。

舌の色、舌にはえるコケ、舌の形状などから健康状態を読み取ることができます。

舌から健康状態が透けて見えてくるものですが、
ここでは舌の色からのチェックは、ライティングで、白く見えたり黒く見えたり不安定です。
それに舌の形は、べーっと舌を表へ全部出してくれないと見えるものじゃありません。

たとえば、
Tverで芸能人のチェックをしようとしてスクリーンショットを取ろうとするも、
スクリーンショットの取得は許可されていないとでてきますので。
スクリーンショットで得た画像を拡大してチェックするようなことはできない。
するとちらっと口を覗いて見える舌から見える情報を取るには、何がいいのか?


そうなると舌コケがわかりやすいでしょう。
舌の苔(コケ)縛りでいきましょう!



舌チェック2.png


(1)舌コケの色
テレビでは舌の色はわかりづらい、と上述しましたが、それは舌の上にあるコケの色はわかっても、
そのコケの下にある舌のそのものの色が見えないからです。
舌の色と私達が思っているものは、実は舌そのものの色ではなく舌のコケの色で判断しているときもあるのです。
健康なら薄白コケが現れています。
(病気なりかけの表証のときも薄白コケがでますがそこは今回は画面上チェックにとどまるためスルーしましょう)


(2)舌コケの厚薄
舌コケの厚薄(厚さ具合は?)は、薄いもののほうが健康的です。
厚さが増すにつれて邪気がカラダの奥に侵入してきています。
健康的な舌苔の白くそれが薄い様子である印象をインプットしていると、
舌コケに厚みがあると、舌コケの下にある舌本体の赤みがみえなくなり、
それを違和感として感じ取れることでしょう。


(3)舌コケの潤燥
舌コケの潤燥(うるおっているか、乾燥しているか)。
正常な舌コケでは適切な潤いがあります。それを「潤苔(じゅんたい)」と呼びます。津液の丁度いいことを示しています。
乾燥しすぎても、潤いが過ぎてもよくありません。
舌が潤っているかどうかは、映像を止めてよーく観ると、意外にわかるものです。
潤っていれば、舌上にある小さなつぶつぶが光を反射させています。


(4)舌コケの腐膩(ふじ)
舌コケの腐膩(ふじ)では、
舌コケに舌にべったりコケが付いていて、細かく緻密でこそいでもとれない(有根苔)か、
舌表面におから状のものが厚くつもって粒が粗くて削ぐと容易にとれる(無根苔)ものかをみます。
ときには舌コケが剥げてしまい、地図状の柄が出てくることもありますがそれは無根苔の一種となります。
ただ、大写しの画面でもなければ、この舌コケの腐膩についてはわからないでしょう。


舌コケも、これくらいのこまかいチェック項目があります。




で、この舌コケ縛りで、芸能人5名を勝手にチェックしました。



すると、そのうちの一人は、
舌コケの色は薄い白で、
コケの下の舌の色が透ける薄い厚みで、
舌も潤いが覧られ、
舌苔には異常な剥げ方などは見られません。

よって、健康な方ですね!




そして、ほかの一人では、
舌コケの色は薄い黄色、
舌コケの厚みは少し量が多く舌がはんだいしているかにもみえ、
舌は乾いています。
舌苔は荒く部分的に剥げている。
(厚白膩苔・淡黄苔など)

よって、健康状態が絶好調だとはいえない状態ですね。。。



このゲームで見えてきたことを総括しますと、

一見すると不健康に見える芸能人のほうが健康に見える人より声がはられて元気に見えるものの、、、
それがその方の芸で、がんばっていたのでしょう。





正常な舌コケは薄白コケで「胃気・胃陰」などの力強さを見て取ることができます。
病的な舌コケは薄白コケ以外で、消化器からの「邪気」がそこに登ってきた状態を見て取ることができます。

薬膳を実践するときには、消化器からの「胃気・胃陰」や「邪気」が登る状態が舌にあらわれるため、
健康な状態の舌コケなら、おいしさと滋養を考えたメニュー立てでいいのですが、
不健康な状態の舌コケなら、邪気の出方が覗ける舌のコケの様子から、消化器内の病状をやわらげる目的のメニューを立てるようにします。
薬膳を学ぶときには、
日頃から人の舌を見て反射的に健康か病的か。病的なら、陰陽虚実や傷害している器官はなにかなどと判断を繰り広げていきます。
しっかりした見方が身につけば、そこで見られた本人がご存知ではないような身体上の課題がわかってきます。
料理を作る料理人がお客様の舌を診て病的傾向を把握した上で薬膳の献立がだされたとき、
その人のために最適な薬膳のメニューを出されたときにだけ、目をみはるカラダのバランスの良化が起きます。


以前、数十キロのダイエットをやすやすとかなえたお客様がおられ、
その方はまさに、しっかり中医学診断で状態を精度高く診ることで、
どの食材をスーパーで買ってきて食べればいいかを、
その人と週イチ程度で相談し決めて指示を出していました。
それは韓国の先生にみてもらっていたようですから、
電話でのやり取りです。
それで、普通に調理しておいしくいただいてリバウンド無しで後々も変わり続けるダイエット。
それも、以前にいろんなダイエットをしてもうまく行かなくて悩んでた人が、、、嘘のよう!

そんな実話を、ダイエットをした本人から聞いたとき。
正直、オドロキました。

普通の八百屋やスーパーで売ってる野菜やお肉も、その人のカラダに合わせて食せば。
それは一切の副作用のないスーパーダイエットフード。
それも痩せたのは健康が底上げされた結果であって、以前より丈夫になったそうです。


だから、その話を聞いてから、街の薬膳料理をうたうところを見ても、正直、何ら響かなくなりました。
料理を作る料理人が薬膳献立を作るのではなく、料理を頼むものが自分のカラダの状態を誤解して薬膳料理を注文しても、、、。
あまり芳しい成果がない。

自分の緻密に病的な傾向状態をご存じないのでしかたのないことですが、、、。
それで高いお金をしはらうのはもったいない本舗です。


薬膳少し勉強してみて、薬膳料理店を見ていて。
昔、感じたそのときの、何かを思い出しました。


もし薬膳料理をコーディネートする人がいて、「献立に参考にするので舌をちょっと拝見!」などなどなさるようなら、
料理の値段が高くてもいいのでいってみたいと思うこの頃です。 66)
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2021年12月27日

合理的に、自分の体質にあった生薬のゴールにたどりつくには? やっぱり、舌診がいいでしょう!!


プロ野球選手が、
一本のノックを受けたらその球筋から自分が受けた直後にもっといい捕球の仕方がなかったかを確認し、よりよい送球するにはどうすればいいか。
そのレベルの作業を千本つづけてノックを受ける。
するとじわじわと効いてきます。
カラダが勝手に反応してよりいい捕球法を探索する目が育ってスムースな動作ができるようになります。





中医学の診断も同じことのようです。

たとえば。。。

薬膳を学ぶときに、中医学の舌診を勉強して、
カラダの状態を知る手立てとしておられるようです。

サンプルとして、私の舌を診ていただいたとき。
舌の中央に縦の多少堀の深さがあるシワが見えます。

舌のひび割れ.png

現在の私が「血虚」であることをあらわしています。
体内の血液量が理想より少ない状態なのです。
一時的にキズ等で損傷し血が体外にでたときも「血虚」の症がへと振れるわけですが、
そのような状況は思い当たりません。

そこで過去の私について質問をされるならば、
私の舌の亀裂状のシワは幼少期から継続しています。
器質的に私はカラダが虚弱でしたから、
血虚からきた体質だったからとも言えそうですね。

血虚だけが問題じゃなくて、他にもバランスの乱れが私の中にはありますが、
血虚の状態を改善させるような血を補う『補血作用』をもった生薬は、
私のカラダのバランスを向上させるにはいい作用が出てくるでしょう。

すると、、、
先だって中華街の店で買い求めた「芍薬(しゃくやく)」は、補血作用が強いものです。
ちなみに芍薬には「白芍」と「赤芍」がありますが、調べてみたら補血作用があるのは、
「白芍」とのこと。たまたま白と赤とどちらを買おうか迷って「白芍」を買いまして。
または中華街で店にたまたま置いてなかった「当帰(とうき)」その代表格です。
あとは「地黄(じおう)」」や「竜眼肉(りゅうがんにく)」などもあります。


昨今では書店で中医学から漢方生薬の良書がどっさり売られていますから迷う程です。
贅沢な悩みです。
ただ本さえ買わなくてもいい時代なのかもしれません。
舌の状態から、血虚等の気になる傾向を洗いざらいチェックアップしていったあとで、
どのような症状を持った状態かを舌診のテキストで判断します。
本を見ながら人の舌を診る千本ノックを必要とするものですが、
あとはネット検索をすると、必要な生薬や漢方名が出てきます。
だから取り立てて生薬名や漢方名は覚えてなくても構いません。
かえってテキストを見なくても僕は大丈夫だからとうろ覚えで、
「たぶんこの生薬でいいだろう」というのは、よくありません。
後で調べてみると<記憶違いだ>という事が出てきます。

なので、とりあえず舌を見せてもらって正常ならば問題なしで、
笑顔で「素晴らしい!」とほめたたえるといいでしょう。
バランス良く本人の好み優先でカラダを滋養するもので、
いっきに強い作用が生じるものではなくじわじわと変えるものを主体にしたメニューを考えればいいのでしょう。


芍薬という生薬は作用が強いことで知られています。
私も「白芍」を手に入れて、自身の体質上の補血作用が大事とおもって、
お茶に「白芍」の小片を入れるようにしてます。
芍薬が薬になるまで、5年の月日がかかるようですから、高額な生薬です。
それもあって、自分のカラダではちょっと量的に少なすぎる小片の摂取に落ち着いています。

補血作用を芍薬にたのみ、
血流を促進させる目的でシナモン。

シナモンは、町中のスーパーでたやすく手に入り、値段もこなれてますから。
少し多めにいれるようにしての紅茶などを自宅で楽しんでいます。

私の舌の状態は血虚だなって舌診でわかれば、
ちょっとお値段がはりますが、芍薬の一種の「白芍」をスープにいれてあげようとしていただければ、
これって、私にマッチしたすてきな薬膳になります。

そう考えてみたら、やはり舌診て役に立つと。
改めて感じますね。
私自身、脈診メインで勉強していて舌診の学習時間は、脈診の半分もなかったので。
これから折を見て、再度学習してみたいなと思いました。





ちなみに舌診せずに、問診のみで私の体調を推測したなら、
補血作用がある生薬が有益な状態だということにたどりつけないことが多いでしょう。

すると、どうなるか。。。
他の一般的な滋養強壮に良さそうなカラダによさそうなものをとるよう指示されます。
それも効果がないわけじゃない。
だが、症状を改善できる鍵穴に、
丁度あうことは期待できません。
効果が鈍いまま、ときが過ぎます。。。

最悪、問診の技術が未熟であれば、
術者が思い込みが間違った方向へと患者様の言葉を誘導をしだすことがあります。
するとまったく効きが悪い生薬にたどり着くか、
現状のカラダの状態では摂取が薬にならず毒になるときもある。
悪影響の作用を生じさせる生薬を勧める事も出てくるでしょう。
これは健康雑誌等で機能性ある食材を勧めるときなどでも起こります。
本の中のタイトルに引き寄せられて、
自分は冷え性で、これを食べなきゃ!という方もいるでしょう。
そのようなとき、舌を見せてもらうと、舌の色が寒を示さずに、熱にバランスが傾いているときって、普通にあるのです。
つまり、自分で考えている体質とは異なる状態であったということです。
昨今の良書には体質を判断できるようなチェックリストが掲載されたものもあるが、
そのリストで得られた答えと舌診で調べた結果と異なることがあります。
質問のチェックリストでの答えが正解で舌診も正解ということもありますが、
それらの結果が異なる事も出てきます。
そんなとき舌診は、リアルに画像のままチェックできる便利なもので誤りを含む要素が少ないので、
単純に不採用にはできないものです。
ちなみに、舌診前に舌苔を観るときにじゃまになる色素沈着をおこすみかんやコーヒーなどは避けてください等の、
守って欲しい心得はあります。
人の体調は、日々変わります。
朝と昼と夕でも変わります。
精神的な緊張、肉体的な緊張がそのときにどう作用するかでも体調は刻々と変化しています。
舌の厚みに体内の水分量が出ることもあるので、舌診をするときの患者様の状況は把握する必用もあります。
正確に舌診したいときには、そこをしっかり申し伝えて診断に及ぶ必用があります。




そうした上で舌診を身に着けたら、
合理的に効き目がある野菜等や生薬がわかっています。





ちなみに、私の脈をみて(脈診)血虚だとは見抜けないと思います。

相当に繊細な脈をとる技術があれば話は別ですが、10年選手でもない限りむずかしいかもしれません。
一昨年前に脈が飛ぶ状態になったときがありましたが、そのようなレベルで状態が悪化していれば、
その血虚に脈診でたどり着けるかもしれませんが、現状の私はそこまでの血の異常を脈では出て見えてはおりません。



そのような意味合いで、舌診だと簡単にその人物の状態へとたどりつけるものもあるし、
反対に舌診ではわからない脈診でわかることもあるので。

それらが相互に見立てられて総合判断することができればいいでしょう。
舌診は、舌診の専門書を片手に舌サンプルの画像が分類された表を持って、
該当する状態を当てはめるという舌診の千本ノックをすると見えて来ます。



ただ残念なことに、
脈診は、先生から直伝じゃないと自信を持ってできない部類の診断法です。
私自身、本やビデオじゃまったくダメでした。
良質な脈診講座に縁をいただく幸運があって、
はじめてお客様の脈を診れる様になったので。

脈診の独学は、正直にいって困難です。


対して独学でも学びやすい舌診なら十分に実用でいけると思います。
だから薬膳の専門学校等のテキストには、
脈診のことはささやかな解説に留められ、舌診を主に教えているのでしょう。

合理的に考えて、それが正解と思います。

posted by スズキ at 23:08| Comment(0) | 中医学診断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月09日

たんの色で、診る原因

ボディワークとは離れた話続きで、ごめんなさい!!


中医学の四診(問診・聞診・切診・望診)では、
体外に排泄された患者からの情報をチェックして状態を診ることがあります。

たとえば、(聞診(ぶんしん))では音を聞くことと、臭いをかぐことのふたつが主になります。
患者様の声という外に発せられるものを聞いてハリや艶や量やカスレなどで、それぞれ状態を見て取りますし、
患者様の口臭によって、おしっこや便の色やその他の様子をお伺いしてこういった状態だと見て取るのです。

それらは中医学を創造した数々の先人が観察データをうず高く蓄積した結果によりえられたものでもあり、
後続の者たちはその恩を感じざるを得ません。


このたび私ごとですが、 ^^;
急性の副鼻腔炎となったわけですが。
そうなると鼻からの排泄もあるのですが、「たん」からも原因はなにかがわかるわけです。
ちなみに中医診断では、たんは視覚を通して病態をみる方法の<望診(ぼうしん)>となります。




たんの色で考えられる主な原因ですが、つぎのようなものがあります。


黄色:ウイルス性感冒の治癒過程。慢性気管支炎や気管支喘息。

緑色または黄緑色:緑膿菌などの感染症や蓄膿症

褐色:気管支拡張症。肺結核。肺梗塞、肺がん。

錆色:肺炎球菌肺炎など感染による肺炎。

ピンク色:肺うっ血や心不全。

鮮紅色:多量の血液を含む。肺結核、肺がん。

白色透明:細菌意外の感染の可能性や、気管支炎、気管支喘息。



そして今回のわたしは急性の副鼻腔炎。
なので【緑色または黄緑色:緑膿菌などの感染症や蓄膿症】が現れていました。
自身ででてくる「たん」の色をみて状況を把握することができ、その量を見て状態を推し量ります。



ウイルスや菌に影響された結果が表現されている状態だという気づき。
他にも脈や腹部の状態や経絡の様子を診ることもしましたし、
自分の体質や状態をこころゆくまでチェックして情報を明瞭化する。

それを下地に現状を底上げする方向へ第一のステップを導くよう、
ひたすらにウイルスや細菌との戦い方を考えにふけりながら過ごす。
そして戦う。

独自の武器を試しては効果を検証し、さらに別の視点で底上げを試みる。
有効打を感じられることができるなら心配を取り除いてくれました。


もしもですが。
こういったことが起きる前に、すでに起きたときの準備ができていなかったら。。。
つまりこのときは中医診断を学んでいなければとなりますが、
原因がわからず不安が脳裏によぎってゆっくり休むことができなかったはずです。
そうなれば、悪夢のようなさらなる長期戦がみえてきて、ゆううつなときを過ごすことになるでしょう。
事が起きる前の冷静でいられるときに、十分な備えができていることが大事。
問題が起きたときからでは冷静に学習などできず、判断もままなりません。
それはつくづく思うところです。


「たん」の色もですが、このたびは別の診断でも細菌に絡んでいると中医診断が伝えてくれていました。
考えられる原因を調べて知ることができる知恵をあつめ遺してくれた中医学の体系を編纂してくれた先人に感謝です。
それを知るご縁をいただいたことは興奮気味に幸運だったと思っています。





また、、、余談続きですが、

ウイルス感染による発熱の時間帯と、細菌によるものと、違いがあるんです。

ウイルス感染は、14:00〜22:00

細菌感染は、   5:00〜12:00

ウイルス感染は午後から夜にかけて、細菌感染は早朝から昼にかけて発熱するんです。
この発熱する時間帯からも、ウイルス感染または細菌感染かがわかりますね。
運悪くウイルス感染と細菌感染の両方に感染すると一日中の発熱に襲われますから、
このときはウイルスと細菌に感染したか・・・と、ふたつともに対策を打つ気持ちで前向きに取り組むことが肝要です。



免疫対応もウイルス感染・細菌感染の違いが出てきます。

ウイルス感染では、ヘルパーT細胞・キラーT細胞・B細胞 などが活躍。
細菌感染では、マクロファージ・好中球・ナチュラルキラー細胞 などが活躍。

体の中で頑張ってくれてるんですね〜。
posted by スズキ at 11:41| Comment(0) | 中医学診断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月07日

「ウイルスや細菌」の侵害との攻防に勝て! 内科的な病は、そこを疑うといいらしいぞ!?

一昨年前に中医学の内科疾患の専門書を購入し読みだしたとき。
そちらの本の冒頭に、大切なことが書かれていたのです。


★ 【病】との攻防とは、具体的には「ウイルスや細菌」の侵害との攻防だ ★


というのです。

そう考えれば非常にシンプルに【病】を遠ざける行為とは、
戦略的に悪玉ウイルスや細菌に対し駆け引きをすることだといえるでしょう。


悪玉の細菌やウイルスが体内にゼロとなることはありませんが、
悪玉の細菌やウイルスが宿主の細胞を傷つけて内部に侵入できない環境が作られていることが肝要です。


悪玉の細菌やウイルスは体内の酸化した場にいます。

その理由。

酸化物を細菌やウイルスは食べて増殖するからです。
だから悪玉の細菌やウイルスは食べものがふんだんにある場所があり増殖しやすい環境が用意されると、
文字通りそれらは爆発的増殖します。
細菌が感染したならば6分間で100倍以上に広がってしまうケースも。

細菌増殖イメージ.png

一時間も細菌が増殖しやすい環境下であれば、6分後のイメージの10倍もの量に細菌が増えていき、
免疫細胞との攻防上、非常に厳しい事態となることは想像することはたやすいだろう。

たとえば、細菌とウイルスのうちのウイルス。

現在、コロナウイルスによりウイルスへの印象は強いものと思いますが、
深く侵入を許しすぎれば死に至らしめられるのがウイルス感染です。

そのウイルス感染が与える影響のほんの一部を述べていくと、、、

視床下部では、胃酸の異常、ガス、肩こり
胸腺では、免疫力低下、皮膚湿疹、炎症、アレルギー
脳下垂体では、起きづらく、頻尿、ホルモン症状、副鼻腔異常、めまい、頭痛、背部の痛み、花粉症、背部疲労
では、頚部痛、頭痛、肩の痛み、痰
大腸では、ガス及びかゆみ症
脾臓膵臓では、運動後の体調不良、背部疲労、腸の膨満感
では、すぐ満腹になる、満腹感が得られない、口臭、頚部痛
甲状腺では、午前中の疲労、乾燥肌、精力減退、肥満、動作の鈍重
副腎では、疲労回復が遅い、立位の脚部疲労、低血糖症、アレルギー症、皮膚発疹、花粉症
腎臓では、腰部、臀部、膝等の痛み、体液の滞留と発疹
膀胱では、通常より頻尿気味、けだるい感じ
肝臓では、胃の膨張、ホルモン不安定、内分泌腺体液滞留、肩甲骨間痛い
胆のうでは、脂肪非分解、膝痛、浮く大便
心臓では、呼吸困難、胸部痛、些細なことでもがく
小腸では、背部中心に疲労感、階段昇降時の脚部疲労、満腹感による食欲不振

ウイルスの過剰な増殖が起きた体内の場所により、
それぞれの症状が現れてくることがわかるでしょう。
体内でウイルス等の感染がおきづらくなるよう目的的に最適な対処をすることが内科的な健康維持に益することとなります。

的確に体内でウイルス等の増殖が起こらない体の状態を維持することが【養生】の主たる目的です。


体内の障害を受けている場所は、
ウイルス等が増殖できる酸化状態が進行した環境が現れている。
そうなっている場所の特定を中医学では四診等で目の前の患者の身体情報を汲み取り証を立てる弁証論治を記す過程で的確に判断をしていくのです。
そうした事態を透明に見切ったときに得られた食養生は、まさに摂るべき食材を見定め選択できたとき。
きわめて高い成果を受け取ることができるでしょう。

ただそういった丁寧な確認をすることができる技術を持つために少し勉強して。
高度に正確な判断が必須で、それが成果の出せる養生に至る要件なのです。
そういう背景や理由を知ることができたのですが、
そうすることができるまで勉強するには臨床も大事で学べる環境を持つことと、
その上で5年以上は基礎の基礎から日々勉強をして積み上げていかなければならないのか。
そのような途方もないことを感じたのですが、
一部の者はもうちょっと使い勝手のいいやり方を知っていて使いこなしているという例もあって。
いろいろと謎なところがあるわけです。。。


たとえば。
私が先月の急性副鼻腔炎になったとき。
脳下垂体にウイルス感染が起きたことで副鼻腔炎が起きることもあるわけですが、そういった情報を得られたなら、単に副鼻腔部分にだけ改善を促すだけでは、うまく改善を促しきれずに悪化した症状は延々と継続し続けるでしょう。
ウイルス感染を独自のノウハウでチェックする方法がありますので、そちらをフル活用していきます。
すると、、、やはりウイルスに汚染された脳下垂体だということに。。
そうわかれば戦い方ができるようになると、
結局は身体は全体脈管でつながっていますから、体内をウイルスは移動していき、住みやすい場所に定着しています。
ただ症状の現れ方として、確認できるものは上位のもののみで、他の少し弱い症状は出ていてもそこには気づけない。
潜伏している状態なのですが、そういった酸化が進んだ環境の臓器や特定の場を減らす対策を並行しておこなっていき、
体質上の安定をはかることのほうが安全かつ効率のよい状態の底上げとなってきます。
ラスボスになっている病は、案外と目立った症を出さずに隠れて悪影響を出し続ける。
そこに少しでも揺さぶりをかけていけるよう、可能性を広げていくわけです。

独りでできるチェックでは精度も短めになるのですが、肺は当然感染があるのですが、胆のう(肝臓)や胃、膀胱にも。
経絡治療という対策のみとなりましたが、膀胱経をまずは手を付けて数日後にそれが落ち着きだしたら、
次に胆のう・肝臓を徹底したのです。胃は、胃経の経絡刺激をおこなわなかったものの、深い安静をしていたら勝手に改善に向かいました。
(※ セルフワークでしたのでやり方にも制限がるものの、ベン石の温灸効果が優れていて非常に助かりました)
そうして気の滞りを改善して血が酸化した臓器への血流を増やして酸化度を低減させるよう努めていきました(現在も継続中:副鼻腔炎は本当にしつこいなぁ ーー;)。


身体構造を理想上に引き上げることが私の主たる仕事ですから。
内科系の疾患がさほどわかっているわけではないのですが、
数年前に母がすい臓がんで他界したことをきっかけに中医学の内科の専門書を目を通してもわかるものではないが手に入れたりして。
そこから関心を持ち続けてはいたので。
今回の自身の副鼻腔炎の対応の結果は誰かに迷惑をかけることなく自身の身体でその実験をすることができた貴重な体験でした。
自然治癒力のおかげか、何らかの自身のアプローチが功を奏したのかはわかりませんが、
日に日に副鼻腔炎の状態はよくなり続けて、慢性化した副鼻腔炎にならないように収まってくれそうでしちゃうの?!



ではでは。
どうして体内が酸化した環境となってしまうのでしょうか?

健康状態が良好なときの体液のpH値は、
弱アルカリ性をしめします。
そのような状態で、体内のほとんどが維持でき免疫力を正常に発揮できていればいいわけです。


それは、たとえるなら美しい湧水が源流の小川がよどみなく流れ、
そこにはコケも適量しか生えることもなくきれいなままが保たれます。
これが理想形ですね。
こんな自然界の姿に重なります。
血管やリンパ管内を流れる液が弱アルカリ性で維持できていることは、大切な要件です。


(2)
ただそれが小川も湧水が出てくるところに濁りがでてきては、
下流に至るすべては濁りだしていくでしょう。
人体では酸化を助長する食品の摂取からも起こりますよね。


(3)
他には美しい湧水の源流をもった小川でも、
せき止められてダムを作られてしまえば、
澄んだ水もそのままではいられません。
流木等のごみの沈殿により徐々に汚れて、
ダムの底にはヘドロが溜まりだすのです。
こちらが出てしまえば下流はどぶ川です。

たとえば、わかりやすいところでは、
お客様の左右の手の脈をみるときに、
左側の脈が弱い方が多数おられます。
皮膚の外の世界をみていれば気づかないわけですが、
脈管を常態化していつづける凝りなどで圧迫されているわけです。
そうなれば内部は老廃物が蓄積しやすく栄養もとりづらい環境となり酸化度が高まっている。
それは自然界でダムがつくられた状態と同じことです。

悪玉の細菌やウイルスは自身の増殖をはかるには、
そうしたほどよくヘドロの貯まりがあって食うに困らず、
勢いを失った脈管等の内部の流れが滞った状態が好みでウイルス等の汚染が量の軽重はあるものの少なからず進んでいる。

骨格のゆがみからも脈管の通りが圧迫されて滞りを作り、
そこからくる不利益を軽減させるというのが筋骨格上の構造的弱化を改善させるような、、、
私どものようなボディワークのアプローチなのです。

中医学に関心を持って学ぶ以前は、運動機能の優れた状態を向上させるといった視点での見方がメインでした。
そのような運動機能向上の視点を伸ばしつつも、いまは個人的に体内の内部的なウイルスや細菌との攻防している様子に関心を持っています。



ここ数か月のお通い続けていただいているお客様に対し、
「だいぶ体質的に安定したようですよ」というときがあります。
それは過去のそちらのお客様の状態をしっかり把握しておりますから、
そのときと現在の状態を比較していて。

たとえば左右の手の脈の状態の開きが減って、左手の虚証と言えるような状態が活発に動く脈に変わった状態をみています。
それに皮膚や筋肉を触れて芯からの温かさの発熱様や張りや乾燥か湿性の強弱、そしてちりちりした気の漏れをみて、
腹部に溜まった汚水となったものや気体をみて。。。見てとる情報は他にも多数あり、
それらがどう移り変わっているかをモニターさせていただいてます。

的確に目の前から得た情報を複数の視点で集めて総合して体内の透視図を見て、
施術のときの次の一手、次の一手を具体的に繰り出すのですが、
ウイルスや細菌といった微生物たちとも私の意識下では語りあっているのです。
そうする視点が加えられたときに、人体内部での液の滞りの結果がどうなるか目に見えだしてきました。
それらが氾濫しすぎないように、体内では酸化した液や組織をパッケージ、囲い込みます。
それを強引にこじ開けて一気に排泄させたら、ヘドロが小川の全体を覆いつくして善玉のような魚や生物を死滅させる死の状態を生み出します。
お客様の中には、一気に体内の状態を書き換える能力がないんじゃないのと見下される方もいて、
こういった説明を概説でするものの、なかなかそれが自身の体内で生じていることだとピンとこないためわかってくれなくて。
困るようなこともあるんです。 --;
難しいところですよね、、、。

どれくらいの量の体内の蓄積し続けている老廃物を脈管等に流れるように乗せるかなどは、
昔は内部の診る力が弱く、想像がつかずにおっかなびっくりであったのです。
ただ昔の私の技量では、行き過ぎたほどの蓄積した酸化老廃物を排泄ルートに一気に載せるような操作ができるわけはないと、
今になってわかります。
未熟さゆえに、変ないらぬ心配をして緊張を煽ってしまっていたものです。
いまはそこの上限のリミットもこれくらいであればいいはずだと感じることも少しはできる感じになりました。
それにより、ここが今日の施術の辞め時だとわかるようになってきたのです。


ただ、皮膚の下にウイルスや細菌の感染しやすい状態だっていわれては、私だってゾッとしますから。
そのような言葉が私の口から出てくることはありません。
残念ながら自身の学びのレベルからは人様にそれを告げる精度は不十分だという点もあります。
中医学が使えるようになるには教えてくれる先生あるもとで臨床を最低でも5年はやっていかなければ、
自信などもてるわけがないとわかっていますから。。。
(※脈診講座で、そういったことを良く学ばせていただきまして納得しています)
そうわかってからも、少しずつ中医学の本を目を通し続けてきて、対応する力を養成してきたのですが。
ボディワーカーがなすべき直接的な仕事、人体の構造と機能は構造上の乱れにより弱さが生じたところであり、
そこを丁寧に改善するのが私に期待されたいい仕事だと考えています。

ですが私自身がしんどすぎた急性副鼻腔炎になったときには、自分のことで精度云々といってもいられないし、
日頃の施術でお客様の様子をみてきた見立て方で自分自身の情報をキャッチして対応したら、
まぁまぁの結果がでてくれてホッとしています。
中医学の技量の足らないところを、他の力をかき集めて補完したうえで結果を出すのが私のやり方です。
それで、どうにかできる範囲に自分の状態が収まっていたことはほんとうに幸運でした。




そうしていくためのスキルをいままで磨いてきたわけですし、そこに一番の誇りを持っていますから。

できるなら、そこに対していい仕事してるよねって評価していただいたら、それにまさるうれしい言葉はありません。

ただお客様は「え〜、でもまだ、首のここ、不調だけどね」ということもあるんです。
まぁ、、、そういったことがなければ、施術を受けに足を運ぶこともないんですよね。 ^-^;



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2021年06月13日

中医学の四診関係のkindle本 『暮らしに活かす中医学: 診断学−四診編− Kindle版』 が無料ダウンロードキャンペーン中。16日まで//

数日前、中医学のkindle本を無料でダウンロードさせていただきました。



暮らしに活かす中医学: 診断学−四診編− Kindle版

【内容紹介】
中国の伝統医学である中医学。難しそうに聞こえますが、私たちの暮らしに役立つ知恵がたくさん詰まった、知識の宝庫です。 今回は、その中医学の代表的な診断方法、四診(望診、聞診、問診、切診)を専門家がわかりやすく解説しました。 スマホや携帯端末でお読みいただける「中医学のポケット辞典」として「中医学」に興味を持っていただいた入門者の方をはじめ、エステティシャン、鍼灸師、薬剤師、登録販売者の方々などのコメディカルの皆さまのお役にたてばこころから幸いです。


ちなみにkindleUnlimitedの登録している人は、購入せず読むことができる本です。


内容的には、はっきり申し上げて専門家向けです。
本書はテキスト文のみ。
中医学の四診をすでに知っている人が、
四診の知識の補強や確認のための本と考えるといいでしょう。

一般向けではありませんから、一般の方が有料で購入したら失敗したと感じるはずです。 


私は本書が『無料ダウンロードキャンペーン』中だと気づいたので、
無料でありがたくダウンロードさせていただき、内容を拝読させていただきました。
辞書的に扱うポケット辞典のように考えれば、四診について書かれているなかでは安価かつ、よくまとまっていると思います。


【※6/10(木)16時〜6/15(火)16時まで無料ダウンロードキャンペーンを行う予定です。ご了承ください。】
とのこと。
現在 6/13ですから、あと2日間ほど、無料ダウンロードできるようです。


中医学の脈診や舌診、問診、その他、様々な診断法をコンパクトに知りたい先生がおられたら、
無料ダウンロード期間中にダウンロードさせていただいたらいかがでしょうか。 ^-^



posted by スズキ at 15:55| Comment(0) | 中医学診断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月09日

書籍紹介:『医療従事者のための中医学入門: 体質を知ると病気がわかる』 中医学の本としてよくまとまっていて、文字通り入門として、いいかも

中医学の本を一昨年前、必死に読んでいました。



中医学。
人間を知るためには魅力があふれる素晴らしい知識や知恵の集大成。
ほんとうにすばらしい!



中医学は西洋医学の人体の見方や概念とは大幅に異なり、
独自の世界観が確立されている。
両者が頭の中でごっちゃになり、
中医学が後発の学びであればそれが書籍から学ぶのも難しいように感じました。

たとえば臓腑の機能について西洋医学と中医学では概念が異なり、
西洋医学では解剖学的な臓器そのものを指すのでシンプルですが、
中医学では解剖学的なイメージ以外の特別な機能も含めています。




以下が脈診講座でお世話になった鍼灸の信頼ある先生から勧められた本です。


中医学入門


すばらしい本です。

入門本という位置づけとして、必要な内容を教えてくれる教科書です。
真剣に中医学を学び使えるまでなろうとする人には、
これが入門レベルでしょう。

ただし中医学の右も左もわからなかった独学の私には、
あまりにハードルが高い一冊。

私が本書を開いたとき。
初めて見た用語が一ページに数十も散らばり当惑します。
そこに読む気を削がれつつも、調べつっかえつっかえ読み進めました。

学ぶものが膨大過ぎです。

学んだ知識は機械の歯車のようなごとき力を発揮するもので、
それらが組み合わさると中医学の臓腑等の見方の視界が開けてきます。
そこに近づくための歩みです。






最近、以下の本を読む機会を得ました。


医療従事者のための中医学入門: 体質を知ると病気がわかる



本書には、本を読み進めやすいようにマンガで流れを紹介してくれたり、
カラーのイラストがあったり、WEB動画付きで解説が記憶に残りやすくなります。
西洋医学系の医療従事者の方々が、スムースに取り組みやすい本として親しみやすい構成になっています。


内容は市販の一般の方へ向けた中医学本よりは詳しいと思います。
最近、東洋医学系の一般書もいいものが多数出てきてるので、


検査のうちのひとつ、四診(望診・聞診・切診・問診)のなかの望診のなかのひとつの見立て方に「舌診」があります。
本書では、私も舌で読むというのは、他の脈診等よりも学習ハードルが低いが、十分に貴重な情報を汲み取ることができると思います。
元々、四診として複数の診断法で見立てた結果から証を立てたほうが、
それぞれの診断法の得手不得手があってそれらを補完して精度の高い見立てができるようになります。
ですが中医学を本で伝える入門という位置づけなら、舌診に重きを置くのはよいと思います。
脈診は直伝でなければ自信を持って身につきづらく、
本だけの学習にはなじまないので割愛するのもいい。
そんな割り切りを感じます。


こちらの本は、
まさに「入門」といえる仕上がりです。



中医学を独学する人には費用はかさみますが、

医療従事者のための中医学入門: 体質を知ると病気がわかる
¥3000

を、購入しましょう。


取り組みやすさは初学者のときこそ優先度は高いでしょう。
一通り目を通すことで中医学の概要を浅く広くとらえてから、
次のステップの中医学入門の書籍にステップアップするといいでしょう。

後者の本をいきなり学び始めて断崖絶壁感を味わうハードルが下がります。
楽しく学べる意識で滑りだせれば中医学を少し習得しやすくなると思います。



中医学入門


絶版中だが、この本は良書で根強いファン層がいるので、そのうち再販すると思いますが、、、。
現状は中古本を狙うか図書館で借りて読むこととなります。



 (こちらの中医学入門が読みこなせれば、多数の知識の歯車を組み合わせ一つの歯車を回せば
  他も回りだして流れ(機能・結果)が的確に読めるようになる足掛かりとなるでしょう。
  医療従事者のための中医学入門では、そこまでのことは期待できません。
  これは役割の違いでしょう。)

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2020年12月07日

書籍紹介:【真鍋立夫先生との往復書翰 脈診からの漢方エキス剤 Kindle版】お医者様が書いた専門的な漢方の臨床本がKindoleで無料でした

中医学への関心をもってkindleで脈診と漢方について調べていたら。。。
以下の本を探し当てられました。



はじめにお断りしておきますが、
脈診や舌診・腹診・問診そして漢方薬の具体的名称などが散見される専門書です。
それらの既得知識が不十分であれば目を通しても、理解が難しいでしょう。


ただ私にとって、これほど貴重な情報が詰まった本が無料で手に入るというのは
ありがたいと同時に驚きでした。



本文中にところどころ図表が挿入されております。
それらをチェックすると、私が知らなかった知識も多く紹介されています。

そして具体的な症例が多数紹介してあります。
私には実際に四診(脈診・舌診・腹診・問診)で診断する過程が描かれていることで、
箇条書き的に四診のしかたを紹介した本などでは得られない臨床を横から覗かせていただいた気持ちになります。
その意味でも、たいへんにすばらしい本のように感じました。

こちらの本は 1000ページ近い厚みある本です。
私は精読はまだできていませんが、時間を見て読んでみる予定です。
和漢等を学ばれている方は特に参考になるのではないでしょうか?





真鍋立夫先生との往復書翰 脈診からの漢方エキス剤 Kindle版
石川晶三 (著)


この症状、この病名にはこの漢方エキス剤、西洋医としてそんな対症療法をしてきました。もう少し根拠を持って漢方エキス剤を選んであげたい。五臓六腑のどこに気血水のどのような問題があるからこの漢方エキス剤が効くのではないか、そんな対証療法をするために苦労してきた私の軌跡を綴ってみることにしました。基礎編は私のような西洋医にも興味深く読んでいただけるように症例を大切にしています。臨床編には100例ほどのかぜ診療をとりあげました。『傷寒論』から学び、どのような漢方エキス剤を選んだのか、参考にしていただけたら幸いです。


目次

目次の抜粋
基礎編
 日本漢方と中医学の違いについて
 六経弁証を大切にしている日本漢方
 虚熱という概念について
 気虚と陽虚はなにが違うのでしょう
 五臓の相剋関係とはなに
 脈診はむずかしそうですが
 生薬の豆知識
 よくつかう漢方エキス剤の特徴
 東洋医学的な問診票をつくりましょう
 陽気が不足するとどんな症状になるのか
  冷え・下痢・頻尿・かぜをひきやすい
 陰液が不足するとどんな症状になるのか
  火照り・口渇・動悸・不眠・めまい・寝汗・イライラ
臨床編―『傷寒論』によるかぜ診療
 六経弁証について
 二病期の合病・併病とはなに
 かぜ(61症例)
 咽頭痛(7症例)
 咳(15症例)
 頭痛(8症例)
 インフルエンザ(8症例)
 かぜに抗生物質をつかいますか
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2020年07月27日

書籍紹介:『COVIDー19と中医学』

連休は外出自粛中してました。
仕事も自宅ですから、見事に巣籠。


ですが最後の一日のみ書店へ行こうと思い人が少なくなるだろう午後5時に家を出ました。
久々に神保町界隈の書店と神社仏閣巡りです。


コロナウイルス関係の最新本について調べるためです。
コロナウイルスの影響で三省堂書店が午後7時に閉店だそうで、本のチェックは急ぎ足です。
閉店間際ということもあり三省堂書店内のお客様方は想像以上に少なかったですね。



コロナウイルス対策関係で収穫があったとすれば、以下の本。




COVIDー19と中医学 (中医臨床シリーズ)
単行本 – 2020/6/1
日本中医協会 (編さん)

以下が出版社の当該本の紹介ページ。

http://www.chuui.co.jp/book/002908.php

・〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜・

新型コロナ(COVID-19)に中医学を活用する。


◆本書の紹介◆
COVID-19によって逼迫する日本の医療関係者に向け,
日本にいる中医学専門家14名が編集委員会を組織し,
COVID-19に対する中医学の考え方・方法を網羅的に紹介する。
日本で応用するための代用方剤を併記した「COVID-19の予防・治療方剤一覧」付き。


■本書の内容■
◇ COVID-19の病因・病位・病機を紹介。(辰巳 洋)
◇ COVID-19の臨床分類・症状および診断を「診療GL」にもとづき紹介。(藍澤 宝珠)
◇ COVID-19の予防・治療に用いる方剤を詳解。日本で応用するための代用方剤も提案。(菅 沼栄ほか)
◇ 衛気を中心とした感染症・疫病に対する中医針灸の選穴を提案。(賀 偉)
◇ COVID-19の治療現場で用いられた中医気功法を具体的に紹介。(王 暁東)
◇ 予防に薦める処方・薬膳茶・日常生活での養生法・ツボ養生法などを紹介。(何 仲涛)
◇ 国医大師・路志正先生が提案するCOVID-19の治療方――三路分消飲。(路 京華ほか)

・〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜・


ページ数64頁 定価:本体1,000円+税
手に取ると薄い本で高い本だと思いつつも、専門性が高く、十分な資料性のある本です。

COVID-19の病因・病位・病機。
複雑だがこの本で一覧したら、
「なるほど!」とうなづけました。

解剖学的に部分を切り取る西洋医学的な診方をしない中医学。

カラダから観る表象を集めて総合し、「証」を立てます。
中医学基礎に基づいた大量のデータ収集をして分析する。
わかってそれを見ると合理的で、目が行き届いています。


一般人の私にも手軽にこのような本が手に入るのは、ありがたいです!








ただ空を観ると上空は不気味な稲光が不連続にフラッシュしています。
買った本が濡れそうで、後日購入としようとあきらめました。  ^-^;


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2020年07月26日

脈診講座:脈を診ることで、どうやって対処法がわかるの?

脈診講座入門編2.png


2020年07月21日
脈を診ることで、五臓六腑の状態を知ることができるの?
http://bodywise-note.seesaa.net/article/476439052.html

で、書きましたが、
私が習った脈診では下記の図のようなチェックをおこないません。

占いのような脈診チェック?.png

たとえば、
クライアントの左手寸口を診たら浮脈・沈脈どちらかの病脈が見えたとします。
上図では左手寸口は『心』に関係し、心の機能に不調があると推測いたします。
これにより見事に心機能の不調を発見するような先生もいます。


ただ中医学を学んできた、私が習った脈診の先生は、
この診断法について触れることはありませんでした。




「それでは脈診してなにがわかるの?」

と突っ込まれそうです。




私も、以前なら、そこを突っ込んでたと思います。

ですが今は、何がわかるか?ということの、わかることの多さを驚嘆します。

ただ困ったことがあります。
陰陽虚実気血津の過多や不足ほかの組み合わせが原因になり現れる脈の状態の多さに、
記憶力が追い付いていきません!


脈診のテキストをつぶさに観て、
自分の脈を厳密にチェック。
その繰り返しから脈診が、役立つと実感できました。



独りで脈診を学ぼうとしていた時のこと。
こまったことがあります。


脈診の本に書かれている病脈の現れ方を表現する文章の文言がピンとこない。
いったいどう状態を言ってるかがわからない。
そこへの不満が満載でした。


それで数冊、脈診の本を並べて同一項目の事項を読むことで、
言い現わしたいおおよそのことを感じ取る。
そんな地道な作業を積んでいくしかありませんでした。


のちに脈診講座で先生からのアドバイスは適切で腑に落ちました。
知られた脈状でさえも判別がつきづらいことはある。
そういう脈状の種類がいくつかある。
それは脈を診るに長けた先生方でも、
同一脈を診ても診断が違ってくることがあるほど。




そして脈診は四診のひとつで、他の診断法との関係上、成り立つものだといいます。
中医学では以下の流れで四つの診断(四診と呼びます)を順繰りに診断をしていくのです。


(1)望診:ぼうしん(顔色・舌の色・肌のつや・肉付きなどを目で見て診察する方法)
(2)聞診:ぶんしん(患者の口臭・体臭・分泌物の臭気をかいだり、音声・呼吸音・腹部の異常音などを聞いたりして診察する方法)、
(3)問診:もんしん
(4)切診:せっしん(脈診・腹診含む接して診察する方法)


脈診をする前に、
先行して「望診・聞診・問診」をすることで、
おおよそのカラダの状態は把握をします。
望診等のひとつの診断法でわかった気になることなく、
3つの診断法を通して現状のカラダの理解を深めます。
この時点で、かなりの肉付けされた層の厚い検査をしています。

その後に「切診」をおこないます。

脈診を含む切診は、望診・聞診・問診の結果を得てから、
その答え合わせとして四診の締めにおこなうのです。


答え合わせですから、すでにどのような脈状が現れるかは、
脈を診る前におおよそのイメージが固まっているのです。
イメージ通りであれば納得してうなづく。
イメージとかけ離れた結果がでていたら、
何らかの見落としやさらに深く突っ込んで確認すべきところがあることをしめし、
改めて四診の初めに戻って検査をします。

そうやって検査の精度を高めていくのです。


それは中医学の本に書かれていましたが、
脈診講座の先生は、新たに別の言葉を足していきました。

脈診をしても類似した脈状のものは、見分けがつかない。
そのようなときは望診・聞診・問診や腹診などで得られた情報を念頭に置くことで判断がつくことがあるといいます。


確かに病脈には28脈、でも類似していてどちらに分類すればいいか迷うものも多く、
それはよほどの優れた脈診をなさる先生たちであったとしても、
複数人が同一の患者様を診て同一の脈診結果が出ないこともあるといいます。

ただし優れた先生方は総合的な見立てがすばらしいため、
同一の脈診結果がそれぞれの先生が出されていなくても、
治療成果が優れていいといいます。



私にははっきりいって自信をもって見分けられる脈が10脈あるかどうかで、
他は判別つけられないのが現状です。

だからこそ望診・聞診・問診や腹診などで点数を稼がなければ。
そのような思いが強くあります。





ちなみに
中医学の脈でわかる診断法は、
項目数が多いのもさることながら、
専門的な医療知識が必要なのです。

脈診のテキストを単に丸暗記するだけでは、
私には理解が浅く使い物とはならないのです。

それで、いまも、地道にお客様の脈を診ながら、
「あの脈状からわかることは?」
を調べることが日課です。


ちなみに、
それでも私がまず丸暗記にチャレンジしたのは




図説 東洋医学<基礎編>

こちらの本の198ページの

脈でわかる診断法
という一ページでした。

基本的な脈の状態が16項目、表になっているものです。

脈診講座の先生は脈理を理解することで、
原因を導き出して病状を理解せよといいうでしょう。
そうすることで応用が効くのです。
脈理がわからずに暗記に頼ると、
臨床ではしょっちゅうテキストに書かれていない事態が起こりえます。
そのようなときのために、そのような脈がなぜ現れたかの理由を知ることが大事です。

中医学の基礎力を持つものが脈理がわかっておれば、
自らそこで起きている状態をよく理解できるのです。
その理解の上に脈状を当てはめればいい。
そうした結論を見いだせる力を養えます。


そこまでいくと有効性の高い脈状ごとの適切な対処法を採用できます。


なので脈理を差っ引いて丸暗記してますといったら、
「おぃおい、鈴木君」といわれるでしょう。 -.-;

非常にふがいないですが。。。

中医学の文章を読んでも、
中医学基礎がないため、
頭の中でイメージが思い浮かべられない。


砂を口に入れてもぐもぐしている感じで、
中医学基礎が身につくまで3年間はかかるといわれています。
すると現状でのお客様の脈診から、もう一歩突っ込んだことまでわかるには、
だいぶ先になるので。

基本、そういうものだと思いつつも、
とりあえず、私が愛読している図説 東洋医学<基礎編>
の『脈でわかる診断法』の16項目くらいは覚えようということでした。


すべての脈診の情報を頭に叩き込むのは無理でも、
頻出するいくつかが、正しく記憶にとどめられて使えるなら役立つだろう、と。



例えば、一番目のひとつだけを取り上げると、
1、脈状: 脈の手ごたえが短い(短脈)
  原因: 陽気不足  
  病名: 頭痛があることをしめす


とだけ書かれています。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

丸暗記しようと努力したんですが、記憶にのこらない。

なので、結果として、下に書いたような補足を重ねて、
調べていくうちに、なんとなくイメージが定着してくる。
そのようなことを続けていきます。。。

(中医学等興味ない方には、???という感じでしょう。
 私も理解が不完全で、用語の誤解や誤認も多くて、間違いがあればご指摘ください m__m)


■--------------- 補足 はじめ -----------------■

つまり、「短脈」が現れていて、その「原因」は陽気不足で、<頭痛>となっている。
ということがわかります。


原因が「陽気不足」。
陽気の不足分を補う対処をすれば、効果的な改善が見込まれるだろうということ。

ラフな補足では、
図示すると、陰陽:🔴〇 昨日述べた気という血の配達人の人員不足がたたって、
血の量が充実していたとしても、頭部まで血を十分な量を送り届けられない。
それにより頭痛が起きるのだということでしょう。

なので不足した気を補うための臓器への対応等を図ります。
他にも例えば補気(気を補う)ようにするといいからねと、
漢方薬局などを勧めるなどの手も打てます。



少し専門的な補足では、

「脈状」を補足すれば、
脈診の基本位置の脈管に3本の指を乗せたとき。
脈が短くて、関部では触れるが、寸・尺では触れにくい状態です。
心臓からの輸出が低下しているが、血管壁の弾力性はなお、ある程度保持されており、
血管の拍動が小範囲に限局されながら伝達している状態です。

「原因」は、陽気不足ということで、陽気が気して血脈を鼓励する力が弱いため、短で無力をあらわす。

「病名」でわかるように、このような状態であれば、頭痛になるんですね。

■--------------- 補足 おわり -----------------■


この第一項目よりも、もっと難解なものも含んだ他の15項目を書けば、
だれも読む気が失せるような気がしまして割愛させていただきます。



脈の状態を診て、病の様子を聞くことができれば、原因がわかって対処できます。
そのようなことをご理解いただけましたらと思い、書かせていただきました。
ただし、現状の私ではまだ初学者の域を出ておりませんので、今後もしっかり勉強していきます!

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2020年07月25日

「気と血の関係」について。

「気と血の関係」について。

「血」とは血液のことです。
察しがつきますよね。

ですが「気」のイメージがつかみづらく誤解をしておられる方もいます。
たとえば「”気”は中国気功法の大家が造り出す、ミステリアスな力」と、
勘違いをする人もいます。

もちろん、そのような位置づけで扱おうと考えてはおりません。


「血」は血液のこと。さまざまな組織へ栄養をあたえる物質です。
物質は陰陽の「陰」にあたります。



「気」は、物質代謝作用を起こすエネルギーのことです。物質ではありません。
気は陰陽の「陽」にあたります。



物質である血と、それを運ぶ機能を持つ気の存在の両者が協力し合い、血液の循環が起こる仕組みです。
『気血一致』ともいいます。

気と血がともに充実し、バランスがとれているとき、
理想的な血液の代謝が体内で起こります。


「気」を宅配業者気.png)にたとえ、
「血」を送り物血ボックス.png)にたとえると、わかりやすいでしょう。


すこぶる健康的な状態とは、
気と血がともに過不足なく充実している。

そのような状態を指します。

陰陽が充実してつりあう.png


対して、
気と血のどちらか一方、
または両方が欠けても、
血液循環が滞ることになります。




【 例1 】
「気」が多くても「血」が少なければ、
運び手は多くても運ぶモノが不足します。
結果的に血は滞ります。


陰が不足した場合.png



【 例2 】
「気」が少なくて「血」が多ければ、
血を運ぶための人員不足で血は滞ります。


陽が不足した場合.png



【 例3 】
気と血の両者ともに減少し不足すれば、
血液循環は滞ります。


陰陽ともに減少.png





【 例1 】・【 例2 】・【 例3 】
ともに血液が滞るという同様の結果があらわれてきます。


しかし病状の深刻さについて考察すれば、
違った局面が見えてくるでしょう。

同時に対処の仕方も変わるべきだということも見えてくるはずです。


たとえば、【 例1 】。
『「気」が多くても「血」が少なければ、運び手は多くても運ぶモノが不足します』
という場合には、減少して不足する「血」を補います。

そうすると漢方薬や食による対応の薬膳等による対応も、
「血」の量を増す目的で選択するとよいでしょう。

まさにこのときは良質な食物をいただいて血を増やすことが先決です。
血が足らない方に対して、私が施術をしても、
血が施術で一気に増えるような栄養供給ができるわけではないのです。



たとえば、【 例2 】。
『「気」が少なくて「血」が多ければ、血を運ぶための人員不足で血は滞ります。』
という場合には、減少して不足する「気」を補います。

そうすると漢方薬や食による対応の薬膳等による対応も、
「気」の量を増す目的で選択するとよいでしょう。

気が少ないときには、空気を吸うことで呼吸代謝があげられれば、
気が補えるときもあります。
急激な過度な運動は、かえって気を損傷します。
少し早歩きか自分の心地よいペースで30分程度歩くというのもいいでしょう。

または施術での対処もあるでしょう。
たとえば、
お客様には複雑な話になるため説明しておりませんが、
肝の気を推動させる力を増すようにする意図をもって、
施術をすることで滞った気を送る力を強めるように操作をしています。



そのように「気」と「血」のどちらが不足して血流を阻害する結果に至るかの原因がわかれば、
適切な対応をとりやすくなるでしょう。



そして【 例3 】。
「気と血」の両方が減少して血液を循環させる機能が低下している場合。
病状として回復が困難な状態に移行している時期とみることができます。 
このような状態に気づいたときは、緊急をもって対応をなされたほうがよいでしょう。
かかりつけ医に相談の上、信頼できる病院や鍼灸医院等に足を運ばれることをお勧めいたします。




また、上記の例示はしておりませんが、
気、血のどちらか一方かまたは両方が<過剰>になる場合もあります。

そのときは補うという対処法はいたしません。
過剰となった部位を見つけて、
気血の流通を悪化させてしまうよう堰き止めた部位等の原因部を見つけて取り除き、
血流の流れを取り戻すようにします。
そのような対処を「瀉(シャ)」という言葉で呼びます。

基本、筋膜リリースをおこなうことにより、
気血の流れを促進させる仕組みのベースは、
凝った筋肉等の組織により血管を圧迫して血流をせき止めている場合には大きな変化を感じることとなります。

内科的には気も血も十分な量があるし充実した動きをしようとするが、
それが部分的に動脈管を圧迫されて血管を止血されたため、
止血された部分から内側の血管内は血が滞って溜まっていき、
止血された部分から外側の心臓から遠くなる部分は血の届く量が減少して冷えていく。
そして体温の落ちた組織が体内にできてしまい弱化していくようなケースです。
そういった状態を虚実の実としますが、その不安定な状態が長期にわたれば、
やがては虚実の虚という力を失した状態に移行していくようになり、
状態悪化が進行していくでしょう。



時には補い、時には瀉する。

圧をかけるやり方に、この使い分けの方法があります。
そこを語ると、本一冊の内容量を語る世界ですから割愛します。
ですが、同じようなストロークで圧をかけているように見えても、
ここは「補」のストロークで
こちらは「瀉」のストローク。
などと分けてカラダ内部のエネルギー代謝を整理しているのです。


それはお客様自身のカラダに、
どのような対処をすればよいか書かれています。

カラダのパーツごとに状況を読んで、適切な対処を選択します。
そうして意図的に血の流れを制御することが、
私の意識する筋膜リリースの仕事のなかには入っております。


西洋医的に考察すれば、
物質として認識できる「血液」は語りますが、
「気」という目に見えない機能に名を与えることはありません。
東洋医学では、なぜ、目に見えない気という力作用に着眼したのでしょうか。
そこは中医臓腑学のように中医学の専門的な分野を学ぶときに、
「気と血を分けて正解だ!」と思えてくると思います。




気は、気持ちの問題にも大きくかかわりますから、
気が沈んだり落ち込んだりすれば、気の量は減少します。
結果として血の運搬者が減って血流が滞ります。


ときには空元気でもいいから、
気を強くして前面に威勢よく押し出していきましょう。
その気になって、そうしていただければ、確実に血流は良化していきます。





余談ですが、私が行きつけの神社仏閣等に足を運ぶとき。
神社に訪問をするお参りの人の気の滞りを改善させてくれるようなところもあるのです。

それは神社全体でというよりも、
神社のこの一部の30センチ四方の空間のみからという狭いエリアで、
強く気の代謝を助ける流れを感じるときがあります。

目ざとくそういうところで、気のエネルギーチャージもできるかも?
posted by スズキ at 17:49| Comment(0) | 中医学診断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

一昨日前、脈診方法の基礎をお伝えしまして

脈診講座入門編2.png


一昨日、
脈診の方法を多少のコツを含めて知り合いにお伝えいたしました。

彼は、アーユルヴェーダに関心がある人です。
アーユルヴェーダ医は「脈診」を重視します。

だから使えるよう役立ててもらえるかと思いまして。


脈診について基本の手ほどきを受けたとしても、
すんなり技術が伝わるわけではないです。
ただわかって実用している人に教えてもらうと、
幾ばくかの気づきがあります。



脈診専門書等で脈診シーンを写真やイラストで見たはずです。
ですが実際に脈をとってみようとすると、勝手が違うのです。

10秒ほど手の脈を診る。

■ 脈位は_?  脈は、皮膚の表面の位置に感じるか、深く沈んだところで感じるか。

■ 脈管の形状(硬さ)は_? 脈管が、ちょうどいい硬さか、柔らかすぎか、硬く緊張しているか。

■ 脈のリズムは_? 脈が速いか遅いか。

■ 脈の太さは_? 太いか細いか。



という情報を丁寧にひとつずつ、チェックしています。
それだけで具体的なコンディションが伝わってきます。

病脈」と呼ばれる正常な脈とは異なる状態を察知することで、
内部で生じる問題が見えてきます。
脈が浮いていて咳をしておれば、
「正気が免疫等を使ってウイルスなどと格闘を繰り広げてる真っ最中だな」
などのような情報を読み取れます。




すごい効率のいい健康状態チェックですよね。



脈診シーン.png




一昨日前のレクチャーでは、
脈位(浮脈・平脈・沈脈)、脈の速さ(数脈・遅脈)、脈の強さ(柔和脈・軟脈・硬脈)について伝えました。


もう少し知りたいといわれたので、
難しいだろうという前置きを述べて、脈の太さ(大脈・細脈)について解説をしました。

だいたいこの4つを正確に診れると、多くの役立つ人体内部の気血等の循環器に対しては優に及ばず、
他広くにも視野を広く観ることができるでしょう。


脈の太さの病脈の(大脈・細脈)は、一般の方には見分けづらいだろうと思います。
脈をとられる人の脈の太さを精度高く推測できたうえで、
脈管の1/16の微差状態を観る必要があるためです。

男性の平均的な成人サイズなら1mm、
女性の平均的な成人サイズなら1mm以下、
もっと小さな小児であれば1mm以下をさらに下回るサイズの状態を診ていきます。
指先の神経に繊細さを身につけてなければ、明瞭な判断はできはしません。
微差を感知できる指ができるよう練習を積まなければわかりません。
練習しようにも、自分のいまの脈の太さをとらえる基準の正誤がわからないのです。
ひとりで練習すると、まったくわからない。。。

そういったところは、脈診講座に通うか、
熟練した人に基準となるサンプルを見分けていただいて腑に落ちることが必要です。
識別基準を得た後から、練習が始まると考えてください。
脈診は施術者の体が精密な検査器具のように育てるにも、
識別基準が不安が差し込まれていては訓練になりません。

脈診を本だけで身につけるのは難しい、という所以です。


ただ脈の太さ以外は、初心者でもセンスがあれば比較的読める人もいます。
なので、解説初めの当初、そちらについての解説にとどめていたわけです。





実践的に脈診を練習するとき、
どのようなことに気を配ればいいでしょうか?




脈診するベタータイムがあります。
それは『 早朝 』です。
外界の影響が少なく人体が安静状態だからです。
この時間帯がいちばん{ 病脈 }の鑑別をおこないやすいのです。

日中の生活時間帯になれば、様々なストレスが心身に及びます。
体内の奥が影響して脈に出るカラダの好不調を訴える声よりも、
今を感じる肉体的・精神的な活動中のストレスが脈に現れます。

私どもが知りたい情報は、
純粋な身体内部でどのような蓄積するダメージがあるかを知ることです。
それ以外の情報を含まない活動前の寝起きの安静したときは
活動ストレスの与える脈への雑音がない。

だからそのときに調べた脈は、純粋な身体奥からの現状をつたえる信頼性高いデータ。
早朝計測時の脈診情報の価値は、何倍にも跳ね上がります。

実際に調べてみたのですが、
私が早朝に脈を診たときの結果と、
日中の活動時に脈を診た結果は一致しません。
微差より大きなストレスが日中の脈状に影響していることがわかります。



ただ早朝から治療院がやっているところも少ない。
だから自分で脈が診れる人は、
早朝に脈診を診て病脈を正確に察知できる人です。


病の初期段階の熱証時期に手を打てるのです。
カラダの回復する力が十分に残っています。

その時期を過ぎて寒証時期に至れば、
回復にたどり着けるかが心配になります。


ここはぜひ、知っておいてほしい点です!!!!!


話が変わりまして、
日中にて、治療院等で脈診を受ける時。

精神的に緊張していてもダメなんです。
可能ならほっとしていただけるように深呼吸をしたり、
呼吸や脈が落ち着くまで時間を空けてみてください。

特に走って施術院へきた直後の脈は、
脈が速まり浮きぎみになり、脈の強さも強く変化するので、
脈が落ち着くまでのインターバルが必要になります。





脈診するときの先生側とクライアント側の姿勢について


クライアントを座位か仰向け寝になってもらいます。
腕は曲げずに伸ばしてください。
心臓の高さで保持できるような台に乗せます。
てのひらを上に向けてください。
私が脈診講座を受けたときには、
脈診用のクッションを置いた台がありました。


この姿勢に対して正確にという意識をむけることは大事です。

手首で測る血圧計でもいえることですが、
心臓のある高さの位置で計測をしてください。
計測時に心臓より低い位置に置けば血圧数値が高めに計測されます。
それにより正確な数値をあらわせません。
脈診でも、同様です。
患者様の心臓の高さで測らなければ、
脈拍は変わらないが脈位、脈圧や脈管の形状などが正確に測ることができません。



脈診の指の置き方

脈診時の指を置く順番.png


最初は(1)手首の橈骨茎状突起内側にある「関部」に中指を軽く橈骨動脈の上に置きます。

次に(2)人差し指を軽く橈骨動脈の上にある「寸口」に置きます。

次に(3)薬指を軽く橈骨動脈の上にある「尺寸」に置きます。




触れた指は伸び切ることはなく、弓のようなカーブを描きます。
接触は、指の腹部分が基本です。


ただ私が脈診講座でやって先生に注意された邪道ですが、
指の爪を深めに切り、
その爪の先の爪の生え際で診ます。
この部分は触覚神経上の感覚が特に鋭敏です。
異常な神経の興奮状態があれば、私はここでその異常を感じ取ります。

感知しづらい脈管を持っておられる方の脈診を探る探索でも、
この部位を使い鋭敏さから多くの情報をキャッチしていきます。

まずは爪先で情報を読み取りづらいなと感じたらつぶさに透視してから、
次に通常の脈取りのときの指の腹で情報を読んでいきます。
邪道ですが、本道を押さえつつ自分なりに工夫することも、
臨床的には必要な場合がでてくることもあると思います。



指の置き方ですが、
三本指を添えた状態をとらないときがあります。
寸関尺の部分ごとの脈の状態をつぶさに観察するときには「単按」といい、
寸を診たいときには人差し指一本のみを当てて、他の指を外して診ていきます。



指を置く間隔は背が高い人は少し広げて、背が低い人は間隔を詰めます。
小児のときはカラダのサイズが小さすぎて三本の指を添えることができません。
そのときは「一指定関法」という脈のとり方で、1本の指だけで脈を取り、
寸関尺の3つに分けません。



※私の脈診講座では、片手ずつ脈を診て、両手を同時に脈診することはありませんでした。
もしかしたら私が、最後まで脈診講座に参加できていなかったため、
終わりごろに実践的にクライアントの両手の脈を両手を使って一挙に診ることもしたのだろうか?
私が知っている漢方医の先生方は、カウンセリングのとき両手で診る、片手で診るを使い分けていました。






座学で学ぶ脈理理論の把握も大事ですが、
それに先行した「脈を診る正確な技術」が身につく実践練習が基本です。

職業ごとに手の使い方が変わります。
脈診講座の先生の指先はソフトで塊がない繊細なもので、
脈を診るに最良の指をお持ちでした。

まさに鋭敏に些細な違いさえも見通す指先に機能特化していそうです。

その指に見入りながら、改めて優れた職人は自身のカラダの手入れをして、
最高な状態で技術を提供できるようになさっておられると感心しました。



中国武術を学ぶときには、本場のすぐれた先生を実際にその目で観て感じる必要があると思います。
脈診の中医学知識や技術が必要な局面では、
それと同様に、必ず優れた先生に診ていただくなど手ほどきをいただくこと。

それが成長のカギだと感じました。


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2020年07月22日

『脈診講座入門』脈で触れた血管の感触がぐにゃぐにゃだ!なぜ? 脈の強さと、熱証・寒証。

去年、私が脈診講座を受講していたとき。

講師の先生が私に尋ねました。
「鈴木さんは、なぜ、脈診が必要なの?」



私が筋膜リリースという整体のような施術をしている者だとはお伝えしてました。
鍼灸師や漢方医等の他の脈診を積極的に活用する職業ではないので、不思議に思われたのでしょう。
他の受講生たちは、みな、鍼灸師です。


脈診講座に通うと決めたとき。
オステオパシー等の西洋の筋膜リリース系の文献ばかりを読み漁ると、
骨格筋や骨格、血管やリンパ管、そして神経などに対して専門的な解説がなされています。
その方面の最新情報を得て施術でいかすだけでもかなりの勉強量で、
内臓等の知識はオステオパシー系の内臓マニュピレーションほどで、
内臓部への理解が浅く対処力がないように痛感していた時期でした。

私が脈診講座を受講する前は、
脈診イメージが{脈を診ると内科的な五臓六腑の好調・不調が読めるようになる検査キット}でした。

私の返答は「五臓などの内科的な面をもっと深くとらえて仕事をしたいと思いまして」だと思います。

今考えると、脈診に対しての知悉な認識が丸見えで顔が赤くなります。





脈診講座入門編2.png
■-------------------------------------------■
脈の強さについて
■-------------------------------------------■




私が教えていただいた脈診講座では、{脈位}の次に、
脈の強さ}について、教えていただきました。

{脈の強さ}
柔和脈
軟脈
硬脈



硬脈・柔和脈・軟脈.png

脈の中にある血や津液が過剰・適量・足らないイメージです。
多少ざっくりとイメージが伝えたかったので上図は不適切な印象があるのは否めませんが。
一般の方への理解を進めるためにということで。m__m




脈の強さを教えていただくときに、
脈の見方の基礎を教えていただけたように感じます。


脈診のとき、指の腹が<寸・関・尺>に触れた瞬間、
もし脈管が不明瞭であれば「軟脈」です。
もし脈管の硬さが硬いかどうか判定をして、硬ければ「硬脈」。
さもなくば、「柔和脈」。


この言葉を、何度、先生の口から聞いたことでしょう。

脈を診るときは、押さえ込むようなことはしません。
脈管の管にエッジが感じられるかを感じるのです。


エッジがまるで感じられないようなら軟脈。
そのエッジが硬すぎる塩ビのチューブほどなら硬脈です。
それに当てはまらなければ柔和脈。

つまり、最初の時点で軟脈とわかれば、
他の硬脈・柔和脈の判断はする必要がありません。

脈診は、システマティックなフローチャートが描けているんだと感じ、
内心、びっくりしたことを覚えています。






寒熱の脈の変化について。


脈診では、
「熱証」と呼ばれる虚実の「実」と
「寒証」と呼ばれる虚実の「虚」の両極があります。


たとえば、
【(硬脈)は、血管内部に血液と津液がたくさん存在しすぎた過剰な状態で(熱証)】
【(軟脈)は、血管内部に血液と津液が少なく虚した状態で(寒証)】


のように分けられます。


硬脈・柔和脈・軟脈の変化.png


他にも熱証と寒証としては、

脈位:浮脈は熱証、沈脈は寒証
脈拍:数脈は熱証、遅脈は寒証
強弱:強は熱証、 弱は寒証
大小:大は熱証、 小は寒証
高低:高は熱証、 低は寒証


のように熱証・寒証に分けます。


脈を診るように習慣づけば、
熱証は、まだ元気がある状態で病と闘う気力に満ちているとき。
対して、
寒証は、すでに元気が失われつつある状態で、
それはかつて熱証のとき持ち合わせていた熱が放熱されて、
冷めた状態。

熱証よりも寒証のほうが病脈としては深刻な度合いが増しているといえるのです。

脈を診ることができるようになれば、
脈の変化が< 熱証←正常→寒証 >のどの位置にいるか見分けがつくようになります。




筋膜リリースをするときに感じるのは、
熱証であれば直りはよく、
寒証であれば時間と労力がかかります。



お客様との初見で、またはお客様がお見えになられたときのその日の脈状から、
施術の進行が相応に推測させていただくことができます。


そのおかげで、昨今、見分けがつくようなことが増えました。

多くの脈で調べる項目が寒証に属していたところから抜け、
熱証かまたは正常に移行できたお客様の脈を診て。


「だいぶ、安定してきてますね!」
といえることです。

お客様自身は、カラダがだるい等のつらさを背負って数週間おられるということが、
寒証がさらに悪化したために起きたことであるか、
今までの寒証の位置から変化して状態が改善方向へ向いてきた脈状か。
そこで違いを読み取ることができます。

お客様の言葉通りに、だるくなってカラダの内部の筋膜の癒着がはびこる量が増したなら、
寒証の脈が強まります。
ですが脈を読めばカラダの芯が暖かさを取り戻しだす変化が表れている。

その状態を確認して
「だいぶ、安定してきてますね!」
といえることです。



以前は、私も自信なさげに、
「おそらくそれは、好転反応により代謝ルートがかわってきている過程で、
 カラダに奥まった炎症部位を修復しているんだろうと思います。
 様子を見ていただけませんか?」
という返答になっていたところです。
体内部で起きることを、調べる術がありませんでした。
レントゲン撮影や血液検査等々、なんらできない私では。



それが私が脈診で客観的指標を持つことができたことで、
「着々と沈んだ脈が正常化して、脈拍数も一呼吸に5回でちょうどになったし、などなど。
 だから以前よりも状態がいいですね」と言ってみたい気持ちになります。

施術中、脈を調べた結果からというと、
お客様が私同様に脈診できれば確認をとっていただけますが、
そうではないときには複雑怪奇な脈状の説明をはさんでいくと、
「鈴木さんが、わけわからないことをいいだした???」となるかと。
意味不明なことをいわれるのも、診られるのも、なんだか不安だし、
緊張することです。

だから、ざっくりと「脈診ると、いいかんじです!」というにとどめますが、
体内部での改善変化が起きていることが見えたのは、私には施術プランが明瞭化できて大きい。

それはお客様への施術で、成果が還元されるでしょう。






正直に言えば、いまだに脈診の奥深さやデータ量の多さから、私が十分に使えているとはいえません。


ですが結果的に施術をさせていただく者として、
脈診に縁があったことに、
そして講座を受講させていただいたことに対して感謝いたしております。


脈診講座の先生が、私に「脈診はきみの仕事に役立つの?」という回答に、
「きっと、役立つと思います・・・」
というと、
「だったら、いいんだよ」
と言っていただいたことを思い出します。



今だから言えますが、ホットストーンを使った施術成果の評価は脈を診て状態変化を調べることで、
主観的な気分をはさむことなく、チェックすることができました。
それゆえに寒証化したカラダの状態はホットストーンの心地よい温熱効果による対応が優れている。
そうした実感が持てました。

かつては単純に筋膜がはがれた量が多くなった少なかったという視点が多くを占めていましたが、
別の目で俯瞰して状況を見通せる感じを得られるというのは素晴らしいことです。


posted by スズキ at 17:41| Comment(0) | 中医学診断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

健康な人の脈の基準:(平脈)って?  脈診チェックシートをとろう

脈診講座入門編2.png
■-------------------------------------------■
健康な人の正常な脈(平脈)って?
■-------------------------------------------■



脈の位置.jpg


以下の呪文のような四字熟語の羅列。
なんのこっちゃ、と思われそうです。

でもこれが健康な方の脈をあらわすものです。




・-----(平脈の形態)-----・
三部有脈、不遅不数、不浮不沈、不大不小、
従容和緩、柔和有力、節律一致、尺脈有根



三部有脈:脈を診るとき、寸関尺の位置に三本の指を当て、それらのすべての脈がしっかりあること

● 不遅不数:脈が遅すぎず速すぎず。(一呼吸4〜5---1分間 60〜90/分)

● 不浮不沈:脈を診るとき触れた指が、浅くも深くもなく。

● 不大不小:脈管が太すぎも細すぎもしない。

● 従容和緩:ゆったりとして緩和である。

● 柔和有力:柔和な中にも力がある。

● 節律一致:リズムが一定して乱れがない。

● 尺脈有根:尺寸で脈を診たとき強めに押して沈取しても十分に力がある。


自分の脈を診る挑戦をした方には、
いい指標になります。



●指標に基づく脈診シートをつくろう!




脈診項目はチェック項目が多く、
一般的に初学者は脈診用チェックシートを作成してマークしていきます。




{浮・中・沈}をサンプルにして挙げれば、

  5 4 3 2 1
浮| | | | | |沈


のような表を作図して、
脈診でわかった情報を書き記します。

浅くも深くもなくてちょうどいい脈位であったとすれば、
下記のようにマークをつけます。

  5 4 3 2 1
浮| | |◎| | |沈



同様に、他の 「不遅不数」や「不大不小」などの脈診でおこなうチェック項目も作表し記入します。
多少、作表のしかたが項目ごとに工夫が必要かもしれません。
まだブログでは、各脈診項目を説明しきれてないため、
脈位や脈拍のみを付けるだけでもよいでしょう。


またはマークの表示ごとに ◎ 〇 ● × などに意味を付けるなど試行錯誤が必要でしょう。




脈診チェックシートについては、
下記の本が参考になるでしょう。





複数名が脈診でチェックシートを付ければ、
それを互いに見比べ討論します。
脈診講師の正誤指導を受けるときも有効でしょう。


また日々の脈診記録をデータとして見える化できれば、
自身の脈の変遷から平脈を逸脱したときがいつからか、
など貴重な資料が手元に残ります。

その資料の活用法は、
たとえば、病が身の内側へ侵攻するにはどれくらい日数や時間がかかるか、
病理上、わかるものもあるため、
脈状悪化が起きた日がわかることで対処法が定まり適切化できるときもあるようです。







ただ、そこまで専門的な判断はいらないぞ!というときは、
以下の4項目を順序良くチェックすればいいでしょう。


■ 脈位は浅くも深くもなく、

■ 脈拍は速くも遅くもなく(一呼吸4〜5---1分間 60〜90/分)、

■ ゆったりと穏やかで、しかも力強い。

■ さらに、脈拍の律動が規則正しい。
 ※脈が、規則的または不規則に飛ばない状態のこと






他にも正常な脈象(平脈)の特徴をあらわす表現があります。

【  】:脈位は浅くも深くもなく、脈拍は速くも遅くもなく、律動が規則正しい
【  】:ゆったりとしていて、しかも力強い
【  】:尺脈を沈取したとき十分力強い

病変をあらわす脈においても、この特徴が備わっているときは予後がいい。
回復に向かうことをしめしております。





そして、
「平脈」と呼ばれる健康な人の脈であらわれる象徴から外れると、
「病脈」と呼ばれる病変時にみられる脈といいます。





ただ「平脈」から外れたため「病脈」に見えても、
正常範囲の生理的変動内に留まることもあります。

専門的に脈診をなさる方は、これらに配慮しています。

項目的にあげれば、次のように。


(1)季節・気候

(2)地理的環境

(3)性別

(4)年齢

(5)体格

(6)精神情緒

(7)労逸

(8)飲食

(9)特殊な脈

(10)脈の個性



いくつかの項目を解説すると、
性別では、女性は男性より脈が弱くてやや速い傾向があります。
妊娠のときはさらに速まります。
「男左女右」といわれ、男性は陽の左脈が、女性は陰の右脈が、それぞれ強いといわれています。

年齢では、若いほど脈拍は速くなります。
体格では、背が高い人は脈が長く、背が低い人は短くなります。
やせた人は浮脈、肥満した人は沈脈になることが多いでしょう。

激しい運動をしたり長距離歩行では脈は多くなります。
施術始まりで脈診したとき「いつもよりこちらのお客様の脈が速いな」というとき、
急ぎ足でお越しいただいたかどうかを尋ねます。
スポーツマンは、脈が遅くなることがあります。

飲食後は、脈は速まり力強くなります。
空腹時は、脈は緩んで無力になります。

脈の個性では、脈が寸口を通らないで背側を走行する先天的な体質の方がいます。
こちらの方のときは寸口を触れても脈がとれません。
このときは左右の両腕がこのようであるケースと、片腕のみであるときがあり、
後者では寸口の脈が診れたほうを参考にして診れないほうを補います。

posted by スズキ at 11:01| Comment(0) | 中医学診断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月21日

脈を診ることで、五臓六腑の状態を知ることができるの?

脈診講座入門編2.png

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脈を診ることで、五臓六腑の状態を知ることができるの?

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私が脈診講座を受講する前日に、以下の関係図を頭にいれようと努めました。

占いのような脈診チェック?.png


右手の「寸・関・尺」はそれぞれ、【 肺・脾・腎 】をあらわします。

左手の「寸・関・尺」はそれぞれ、【 心・肝・腎 】をあらわします。



たとえば、
脈を診て、右手の「寸」に病脈が診られれば、【 肺 】に問題があるのではないか?
という見立てをするわけです。

ちなみに、沈脈であれば、五臓六腑の六腑の部分に問題が移るようにいわれることも。
たとえば、
脈を診て、右手の「寸」に病脈が診られて沈脈なら、【 大腸 】に問題があるのではないか?
という見立てます。



東洋医学では五臓六腑の表裏として
以下のような臓腑の対応があります。

〜〜〜〜〜〜〜〜
(裏)- (表)
---------------------
心  -  小腸
脾  -  胃
肺  -  大腸
腎  -  膀胱
肝  -  胆
〜〜〜〜〜〜〜〜

覚えると役立ちます!
五臓が裏で、六腑が表です。



「なぜ、そのようなことがいえるの?」




そう、思われるのは当然でしょう。
私も、不思議。

以下の図のように、
カラダを上中下に分け、それを脈を診る指の位置に配当させたといいます。


科学的に証明されているわけではないが、
以下のような身体全体と脈診で押さえる部位との関係を持たせて説明されます。

カラダの上中下の3部分を脈で押さえる位置に配当.png


脈診以前は、腕全体で診ていた「腕診」がおこなわれていました。
ですが腕全体を診るのは面倒だから簡素化したいということで、
手首の橈骨動脈を診ると、同様なことがわかるぞ!
と発見した人がいたのですね。
それが脈診へ至る変遷です。




脈を診ることで、五臓六腑の状態を知ることができるの?
の私からの答えは、
できるかもしれませんが、私は使ってませんから、
正直、よくわかりません。



多くの先生方が、実際に脈診で五臓六腑の症状を見立てられております。
それがまさに五臓六腑の状態を言いえていたといることもあります。
それゆえに現在も、おこなわれているのでしょう。

ただ私が習いました脈診講座では、この見立て方はおこないませんでした。
私も、どこまで脈と各臓器との相関が成立するか説明できないため、このチェック法は使いません。 m__m

posted by スズキ at 16:33| Comment(0) | 中医学診断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『脈診講座』脈が浮いた感じの高いときと沈んだ時と、どちらが邪気がカラダの芯まで入った状態なの?

施術を受けに来てくれたことがきっかけで、
数カ月に一度、情報交換で互いの近況を外食しつつ話をする方がおります。

いま、カウンセリング技法を習っていて、
その体験をしてみないか?との申し出があり受けました。

数日後に、お会いすることになったのですが、
その際に、カウンセリングの返礼ではありませんが、
私からはカンタンな脈診をレクチャーしようと思いまして。


脈診講座時のノートを見返しているところです。


という話の流れから、
最近はブログ内容を脈診にしているわけです。

本日は『脈位』という、手の橈骨動脈が浮いてるか沈んでるかのお話です。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



脈診講座入門編2.png


脈を診る基準のひとつに『脈位』があります。

『脈位』とは?

橈骨動脈の深さ>のことです。


脈診部分の皮膚から骨まで.png

薄い皮膚から、脂肪層、筋膜層、橈骨動脈という多層化したそれぞれの部位があります。


脈診のとき。

軽く「皮膚のみに触れて」ずらしてみる。
「脂肪層まで至る程度」軽く按じて触れてみる。
さらに深い位置にある「筋膜層まで至る程度」軽く按じて触れてみる。
そしてついに目的の「橈骨動脈」に届くよう按じて触れます。


皮膚のみをずらす、
皮膚と脂肪層をひとまとめにしてずらす、
皮膚と脂肪層と筋膜層をひとまとめにしてずらす、
皮膚と脂肪層と筋膜層と橈骨動脈をとらえてひとまとめにしてずらす。
のです。。


「脈に触れる」とは、多層な組織をはさんでおこなう認識の下でありたい。


脈診前に多層化した皮膚等に触れた部位に意識を通して感覚を鋭敏化させます。
一般的に、いきなり橈骨動脈を触る感覚でとらえるよう指示しますが、
脈診をすぐれてなさる先生方は、
多層状の皮膚・脂肪・筋膜などの層の相を識別なさっておられるようです。
皮膚・脂肪・筋膜の状態からも、貴重な健康状態のチェックがなされているようだと感じました。


脈診するために触れたとき、
たとえば、
「皮膚が委縮して、乾燥しているな」
「脂肪層が厚みが増したな」
「筋膜層が緊張して、動けず縛りがきつくなっているな」

その他、、、などです。

それらの気づきも、一見些細なことで、脈診に関係ないことかもしれません。
ですが鍼灸師の先生方は、それらについても識別なさっておられるようです。


まだ脈診とはなんぞや?と、概要もわからないとき。
そんな最初の段階で、解剖学的な詳細を知ることが学び進める前の障壁になりそうですが、
これを知らずに脈だけを診るのと、これを知って脈を診るのでは、
脈位が浮くよう高まる部分を構成する組織がなんであるかと
脈位が沈むよう沈み込ませる部分を構成する組織がなんであるかの把握にもかかわるでしょう。


指先の鍛え方としては、
ティッシュペーパーを、4枚重ね。
指先で、一番上のペーパーのみをずらす、二番目も含めてずらす、三番目も含めてずらす。
というように力加減を変化させて力を与えることで、
ティッシュの枚数を意図的にずらせるようにします。

これができるようになると、
脈診をするときに役立ちます。
指先を皮膚にだけ影響するよう軽く乗せて、
皮膚をずらします。
ずらしていくと、もうこれ以上はずらせないという制限があらわれます。
それを皮膚をたわませた状態を認識してから脈を診ると、
とても脈の見え方がつかみやすくなります。



健康状態が良好な、陰陽のバランスがとれているとき。
脈位は、一定の中間位にいるのですが、
体調の悪化により、脈が浮いたり沈んだりという「位置の変化」が現れます。


日頃から自身の脈を診るといいと勧められるわけは、
自分の平常時の脈の高さを知ることにあります。


脈診を慣れてくるとわかりますが、
人により体質から「寸」の脈が深い性質で触れられない。
人により体質から「尺」の脈が想像する位置より大幅にずれて見つけ出しづらい。
またはふくよかさが脈を診づらい状態にしていたり、

脈診上の個人差がかなりあるのが現状だということがわかってきます。
(余談ですが、大人の私が大きな指先で子供の脈をみるのは物理的にムリなど。)


平常時に自分の脈を診るといいよというのは、
そのような自身の脈の個体値を理解しておれるということです。


そういった前提が、通常の一般の方が目にする中医学テキストでは、
ページ数の関係上、さっぴいてあります。
ですが臨床をこなす以前に、
自分の脈がとりづらいタイプで橈骨動脈が通る位置の深さが深すぎて触れないような場合。
そういう人もいるんだとわかっていなければ、
その時点で「自分は異常だったんだ!!!」と誤認されかねません。

健康を害しているために脈が見つからない「伏脈」ときもあります。
だが人それぞれ顔が違うように、動脈の通る位置も個性があります。
そこをわかっておかなければ、
一般の方が他者の脈を診たとき「寸口の脈がないから、深刻かも」と言ってしまい、
言われた人がショックを受けることは避けたいでしょう。



平常時の脈位から、
脈が皮膚近くに感じられれば「浮脈」と呼び、
脈が平常時より深く感じれば「沈脈」と呼びます。



浮中沈伏.png


【浮脈】は、
気や血の流れが体の表面に集まっていることを示唆している。
体の表面で病気の原因となる外邪と闘っている場合や、暑い時などに現れる。


【沈脈】は、
気や血の流れが体の深い部分に集まっていることを示唆している。
体の内側で病気と闘っている時や妊娠時や月経前、食後、睡眠中などに現れる。


など、ざっくりしたイメージでとらえていただければよいでしょう。

一般的な状態としてみれば、
浮脈は、病がまだ皮膚近くの体表にあって、カラダの内部にまでは至っていない病気の初期段階:。(太陽病)
沈脈は、病がすでにカラダの内部に入り込んで、闘っている状態を示します。(「病が裏に入った」ともいう)

カラダの外層という、お城で言えば城のお堀の外壁での攻防が浮脈だとすると
カラダの芯という、お城で言えば本丸御殿にまで敵が攻め入っている状態が沈脈です。


中脈(正常で邪気はない)は問題ない状態です。

中脈のバランスが崩れたとき、
浮脈からやがて沈脈に至る順序で邪気がカラダに入り込んだ位置を示すのです。






※ 『沈脈』になっておられる方々を、別の面で考察すると。
   私がチェックした方の多くに「深層筋の筋膜の癒着」が感じ取れました。
   
   血液の流れがぎこちなく渋っている脈を『渋脈』といい、
   この場合は、お血があったり、
   寒邪のために血滞があると考えられます。
   この『渋脈』が診られるときは、

   深層筋の筋膜部の癒着をリリースするのは、
   経験上、困難な状態となるようです。

   脈を診ることでどの部位の筋膜の癒着があるかの特定は難しいが、
   カラダの全体的に問題が入り込んでいると推測がつくようになりました。

   これは大きな気づきとなりました。
   



posted by スズキ at 11:20| Comment(0) | 中医学診断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月20日

血圧計でわかる『脈圧』と、中医学が指す『脈圧』の違いとは?

■ 血圧計で、血圧を測ったことはありますか?

血圧の上下と脈拍数が表示されます。
上の血圧は「収縮期血圧」といい、心臓が収縮したときの血圧です。
下の血圧は「拡張期血圧」といい、心臓が拡張したときの血圧です。

心臓が拡張収縮することで、血液を全身へ送っているのです。

血圧の正常値は、一般的に最高血圧が140mmHg以下、最低血圧が90mmHg以下とされます。
それ以外の数値は「低血圧」と「高血圧」といいます。
正常血圧と高血圧の間を「境界域高血圧」と分けられます。



血圧の上下の差のことを「脈圧」といいます。
脈圧から血管の状態を知ることができます


適正な脈圧の差は40〜50mmHgです。
血圧上下の差が大きいということは、
血圧の上下のうちどちらか、もしくはその両方が平常時とは違う働きをしている可能性があります。


これが一般的に言われている『脈圧』です。

血圧計で脈圧チェックすると脈管の状態がわかる.jpg

血圧計で、先ほど私の血圧を計測してみました。
ちょっと体がだるいから異常かもとおそるおそる計測しましたが、

上が 126 で、下が 77 でした。

すると「脈圧」は 126−77 = 49 になります。

なので40〜50mmHgの間に収まっています。

ほっとしました。 


ここまでが西洋医の言う指標としての脈圧です。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


中医学にも脈診に『脈圧』があります。

ただ西洋医の『脈圧』とは概念上の違いがあります。

脈を診るときに、
橈骨動脈のなかを流れる血管内の正気をチェックします。

(※ 正気=天地人に存在する正しい気。 「邪気」と対になることも)

指先の感覚のみに頼るしかない数値にはあらわれない橈骨動脈内部の現状を見ていくのです。

脈の位置.jpg


橈骨動脈の脈管に触れ、脈を診るときに指先につたえられる情報のひとつとして、

・【平脈】 脈管が硬すぎず、さりとて軟らかすぎない状態
・【実脈】 正気が過剰にあるため脈管がパンパン
・【虚脈】 正気が虚損( 気力や体力がだんだんと弱くなっていくこと。活力がなくなっていること)しており血管がスカスカ


の3つのうち、
どれに当てはまるかを読み取ります。


中医学脈圧.png

【平脈】と呼ばれる適度な硬さと軟らかさの『バランスがとれた状態』が理想です。

バランスの取れた感覚という状態を、
言葉で伝えることが難しいものです。

脈診講座に通う前の私は、3冊ほど脈診の本を買いあさってみましたが、
結果、指先で感じるバランスと乗れた感覚という状態を感じているのかどうか。
そこまでは本に掲載してある比喩表現等で読み取ろうとしてもわかりませんでした。

ですから、硬軟の基準を知るには実際に脈診ができる人に手ほどきを受けて、
「この状態は、平脈だよ」とか
「これは正気が弱って気血が足らないから、虚脈だね」など、
実地で事例を具体的に触りながら理解するしかないと感じました。




たとえば、
ちょっと触っただけでは「実脈」のような脈管の太さを感じられても、
脈管を押し込んだら血管の内部が血や津液が足らず「スカスカ」で「実脈とは言えない」こともあります。

この場合は私でも、どうにか触ればわかりますが。。。
さらに見分ける難易度の高いものも多数、あります。。





脈の断面が太ければ『大脈』とされ、そこから細分化して識別するのは難易度が高いです。
・正気が充実
・熱が過剰(実熱)(洪脈)
・気が不足して(気虚・気脱)脈が一定の太さに収められないためにか膨張する脈もある(孔脈・散脈)←スカスカは駄目なんだね!


脈の断面が細ければ『細脈』とされ、そこから細分化して識別するのは難易度が高いです。
・血が不足している(血虚)
・血も気も不足している(気血両虚)
・湿が多く(湿滞)血液量が圧迫されて減っている脈(濡脈)



などと脈診で脈に触れても、
これはどのような脈と分類されればよいか、
脈を診てもわからないことも多々あります。

脈診力の優れた一部の先生は判別できるのかもしれませんが、たいていは至難の業。

だから問診、舌診、腹診、その他いくつもの診断基準となるものを中医学では用意してあり、
同時に他の診断法で診ていくことで、
「この脈は、〜脈だ」とわかることがあります。

他の診断法が補完があって脈診結果が導き出せることも多いのです。





もうちょっとだけざっくりとした簡易な診方をするとなれば、、、。

たとえば、脈拍を脈診で感じ取り、
その陰陽の特徴を読むだけでもいいでしょう。


陰陽の陰:一般に引っ込む感じのもの、ひっそりしたもの、遅いもの
陰陽の陽:一般に押し出る感じのもの、動くもの、速いもの


のような印象に分かれます。


まずは自分の脈を取りながら、
自分の脈拍から「陰か、陽か。またはちょうどいいか」を感じ取りましょう。

脈拍が、90回以上の場合、数脈(さくみゃく)といい、陰陽のうちの陽です。
脈拍が、50回以下の場合、遅脈(ちみゃく)といい、陰陽のうちの陰です。

それは時計を見ながら脈拍数を計測すればわかります。

ですが他は、触った際の感触が頼りです。
脈拍を診るときに脈を触った瞬間に引っ込んだ感じか押し出される感じか、
またはひっそりと動きの少なさを感じるか行動的に動くものか。

それらは「ファーストコンタクト」で、慣れれば感知できてきます。

おそらくは数名の脈診の先生がいたら、同じ結果を告げるでしょう。


ただこのような場面でも脈診講座の先生の手ほどきがなければ私にはその基準が立たずに、
いつまでたっても診断と呼べるような使い勝手の良さは感じられませんでした。

だから目の前に、中国に本場中医学を学ぶために留学された先生がおられて、
その手つきやしぐさを見せていただき、
私たち受講生の脈診結果の正誤をつたえていただくトレーニングを受けさせていただけたのは貴重な体験でした。


おかげさまで、
陰陽という「ネガティブな」とか「ポジティブな」という印象が触れてすぐ見えてきます。



人間の手先の感覚は、鋭敏な検査器具以上の働きをすると工場の熟練工の様子を見ると疑うことはありません。

元来、人間には鋭敏に状態を感じ分ける力が備わっており、
必要に応じてそれが発揮されるということなのでしょう。




脈診も、それと違いません。




  私は過半数を受講後、仕事の都合により中途で講座を辞めております。後日、機会を見て再受講する予定です。
  脈診講座は、中医学をすでに学んだ方々の受講がほとんどで、正直に言うと私には追い付いていくのがやっとです。
  丁寧な講習ですがレベルが徐々に格段に上がっていく感じで、難易度は、かなり高いと思います。
  中医学の基本全般が理解がなければちんぷんかんぷんで、絶望的。歯ごたえがありすぎです。

  でも、少しずつでもわかりだすと、人体の見え方や見える視野が変わるというのは本当です。
  わかりだすまで、愚直な勉強を頑張れる人じゃないと。
  中医学は身にならないと、痛感しました。
  恥ずかしながら、私は、いまだに身になるには至っておりません。

  ですがこれからも、また時間を見つけて中医学の基礎を学ぶ勉強をし続けます。



  脈診を専門的に学んで、施術に活かすというまではしなくてもよい方の場合は、
  ここまで細部にこだわらず、日々、自分の脈を診る習慣をもっていただくのが何よりです。

  たとえば、

  ・脈が浮いてるか沈んでるか、

  ・脈管の形状が硬軟いずれにあるか、

  ・脈拍のテンポはどうか、

  ・脈の強弱はどうか。


  この4つを注視して微差を読み取れるようになるだけで、
  中医学的な視野に立った身体内部の内科的な情報をキャッチできるでしょう。

  日頃のセルフチェックの一助となります。
  そして私どもに、いつもの脈状が変化した要項をお伝えいただければ、
  体の中でどのようなことが進んでいるかを理解する助けになります。
  するとケアするべき場所の焦点を絞ることができて施術の精度もあがります。


  なので脈を診て4つの状態を感じ分けられるようなトレーニングコース。
  これはまじめにできないものかと、考えているところです。

posted by スズキ at 20:18| Comment(0) | 中医学診断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする