2026年01月06日

痰湿体質の考察(痰湿を湿・水・飲・痰に分けてそれぞれにあった対処を考えてまいりましょう)


健康なカラダは体内で液体(血液・津液)を停滞または停留させることなく、つねに循環していることが求められます。


血液が停滞したり止まれば)どうなるでしょうか?
組織の壊死が起こり、これは一大事だと本人も自覚します。
血液の停滞や停止部位が体表であれば変色著しく初期は血の気が引いて白色化し、
さらに進行すれば静脈血の色が皮膚に浮き出します。
組織の神経に痛みからしびれ、そして麻痺へと移り変わっていきます。
ゆえに血液が循環しているかどうかはわかりやすいのです。

筋膜リリースの施術をしておりますと、
お客様が血行不良となって組織神経の麻痺が進む等の感覚器官の異常を診ることがあります。
多くは筋膜の癒着が関節や経絡上に作られている場所を走行する動脈というチューブの圧迫が見受けられます。
動脈のチューブをむんずと踏みつけて血行を阻害する状態を筋膜癒着部を解放することで改善を図ることができます。
体表近くの骨格筋は容易く施術で取り除ける筋膜の癒着も、
体内奥の深層筋となれば取り除く操作は容易ではないため手間暇がかかるのです。

血行を阻害する状態を生薬や漢方で対応するやり方もありまして、
状態がゆるい方からきつい方へと3段階の対処法があり、
和血、行血、破血と徐々に強い対処法があります。
和血剤となる生薬や食薬は瘀血体質の方の健康維持のため定期的に摂られることもいいのですが、
血瘀という病理物質を強制的に取り除く破血剤は継続利用はしづらく慎重な利用計画が求められるでしょう。
たとえば漢方では血府逐瘀湯等のいくつかありますが使いわけは専門の医師や漢方薬局でお尋ねください。
生薬では莪朮や紅花などであり、血行が不良化した組織にがん細胞がいつく理から、
瘀血体質の方は専門家にて分量を厳密に計算の上、用いるように指導を受けるとよいでしょう。
ちなみに私は紅花(こうか:べにばな)を中華街の食材店で買って薬膳茶に少量いれています。
きれいな紅色が着色され気分よく血行の改善も見込まれるため愛飲しております。
紅花は血行を阻害する血瘀を破壊するほどの強い生薬であるため、
分量を間違えれば出血傾向がある方や怪我で出血した際に止血がしづらい状態に陥ります。
ゆえに妊婦や生理前や生理中の女性は服用は禁忌と考えてください。
なので小さじ以下の少々の量ならば薬にもなりますが、
大さじ一杯の量は毒にもなるといった様子です。



で、、、ここからが本題です。
対して(津液が病理物質化して停滞したりすれば)どうなるでしょうか?
やはり津液の循環が滞れば症状としてあらわれるのです。
ですが血流のように見た目で皮膚が変色したり感覚神経の機能不全に陥るようなこともない。

ひっそりと隠れたまま症状の重症度が上がりますから本人は自覚が難しいことでしょう。
・体全体や頭部などが重だるい、
・動くにも動きづらい気分となり行動制限が起きる、
・湿度が高まった雨のときや梅雨の時期に体調が悪化する、
・むくみがある、
などといった比較的わかりやすい状態が見えることもあります。
体内で停滞した痰湿とよばれるような津液より粘る液体となった病理物質(痰湿)があると、
痰湿が気血の流れを阻害します。
血の流れに痰湿が乗って身体の様々な部位に運ばれて、
運ばれた先でトラブルを引き起こしてしまうのです。


ただ痰湿が居座る期間が長ければ
本人的にこうした時期が長期にわたって続くとこれが当然と受け入れてしまい
痰湿体質による体調不良だと考えられずに、
自分は通常こういうものだと思い込み改善をする手立てを打たない傾向があります。

人は自分の感じた体験は理解できますが、
他者の身体に乗り移って体感できはしないため
他人も自分と同様だろうと早合点していることがよくあるからでしょうか。
他の痰湿体質の方々の存在を聞いて『自分はそれよりかはまだいい』と思う。
そこから改善へのステップに展開がしづらい様子です。


ちなみに津液が病理物質化していく症状の度合いによりネームがかわります。
軽いものから重いものへと並べますと。

 湿 < 水 < 飲 < 痰 

定義として『新版 東洋医学概論』をお読みいただければ湿から痰までの特徴が
かなり明瞭に述べられております。

ただ臨床上では湿・水・飲・痰のそれぞれを明確にわけられる判断基準がなくて、
『これは湿だな』とか『これこそ痰だぞ』といったわけ方は成り立たないようです。
ですが実際に臨床で多くのお客様の体を触る機会をえてわかることがあります。


新版 東洋医学概論』の湿・水・飲・痰を定義づけした項目を記します。


a. 湿

湿とは、津液が生理的な機能を失い、全身に広がって停留した希薄な状態の水液のことである。湿が発生する原因には、臓腑の機能失調や水分の過剰な摂取などが挙げられる。

湿が体内に停留すると、身体の重だるさ、浮腫、下痢などの症状が起こる。 湿によって起こった症状は、多湿や降雨などの環境要因で増悪することが多い。


b. 水

水とは、湿より濃密な状態で停留した水液のことである。水と湿は臨床上、 明確に区分できず、出現する症状が同様であるため、水湿として論じられることが多い。


c. 飲

飲とは、水よりさらに濃密な状態で停留した水液のことである。腹部、胸脇部・皮膚などに停留することが多く、停留する部位により腹鳴・動悸・喘息・ 浮腫など固有の症状が起こる。


d. 痰

痰とは、湿・水・飲が凝集して、固形物に近い状態になったものである。痰は、気・血の流れに沿って全身に移動し、身体のあらゆる場所で症状を起こすが、比較的上半身の症状が多い。特徴的な症状として、咳嗽・動悸、眩暈、頭痛,意識障害、精神障害などがある。その他、食欲不振,皮膚疾患・運動障害・腫瘍など多様な症状が起こる。



------------------

なので、
身体の重だるさ、浮腫、下痢などの症状が起こり、
多湿や降雨などの環境要因で増悪する場合には
まださらさら感がある【湿】の状態にあることが想起されます。

もし頭痛や動悸、めまい、意識障害、食欲不振、皮膚疾患、運動障害や腫瘍があるとおっしゃられれば、
体内に生成された痰湿の状態は固形化した【痰】の状態であろうと想起いたします。


こうしてみていただければなんとなくお察しいただけることでしょう。
さらさら感がある【湿】と固形化してしまったた【痰】とでは、
対処法は変わるんじゃないだろうかと。


もし水道の下水配管に数年分のぬめりが溜まった場合は、
100円均一にある下水管の汚れを炭酸の泡で溶かすタブレットを入れれば浄化できますが、
数十年も放置されてぬめりが固形化した下水管にはそれでは効果があまり期待できません。
それと同様な対処法の違いがあることは体内の痰湿の状態差による対処も当然のことです。

なので正しく痰湿体質として体内の津液がどういうレベルまで病理物質化が進んでいるか、
【湿】なのか、【水】なのか、【飲】なのか、【痰】なのかをわけて理解し対処することが必要です。



私がボディワークでお客様の体をチェックしてきたとき、
【湿】なのか、【水】なのか、【飲】なのか、【痰】なのかを臨床経験上見分けており、
この方はなかなか体質が変わりづらいのではないかと感じることがあります。
その場合を思い起こしてみると痰湿体質をお持ちの方で、
なおかつ湿からさらに悪化レベルが上がった粘りが強まる痰に近いものが
体内に生成されていることを感じ取ってのことでしょう。
私の個人的感覚のことで説明が難しいものですが、
【湿】なのか、【水】なのか、【飲】なのか、【痰】なのか、
お客様に接触して皮下の液の流れや冷え方や上半身のこわばりの様子、
そしてあとは御本人の肩から首、頭に感じる不調感およびみぞおちの腹鳴や
重だるさやむくみ感、低気圧時の体調不良化、
胃の冷えによる具合の悪さからくる食欲不振などの傾向から、
血の流れが阻害して起きているもの以外のトラブルを実感していました。

かつて対応させていただいたリリースが大変だった方と、あっさりOKとなった方との違いの様相を私の頭と手は記憶しておりますから。

それらの情報を総合して改善しやすいとかなかなか大変だろうと出力してくれたのだと思います。

そして痰湿体質の
【湿】なのか、【水】なのか、【飲】なのか、【痰】なのか、
という分別法があると知った時点で、
あのお客様は湿だったとかあのお客様は痰だったのだろうかと、
わけて考えることができるようになったと思います。
同時にわけて対処しなければ効率が悪くもありますが、
気血で様々な場所に運ばれる痰の対処は筋膜リリースでは難しいことが、
改めて痛感するところです。
痰の生成のしくみを理解して対処できるところはありますから、
対処ができないとは申しませんが、
すでに痰として固形化した物質が体の各所に散在していたなら。
そうした痰を狙い撃ちして対処することは難しいという意味です。
そこはむしろ、痰湿を取り除く漢方薬や生薬または食薬の利用をするか、
利用をあわせていく必要があろうかと思われます。


痰湿体質の改善では湿のレベルでも相当な改善期間が必要といわれており、
ましてや痰のレベルの体質改善にはいわんやです。
こうした情報は、お客様自身もご理解いただいたうえで、
施術院や漢方や薬膳の食薬などを適切に選択して用いるべきだと思います。


【関連する記事】
posted by スズキ at 12:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 中医学診断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック