ご存知の方も少なくはないかと思われます。
日本語訳では<整骨療法>という名称で翻訳されることもございますが、
この名は実態を的確に表しているようには思われません。
オステオパシーを創始なさられたアンドリュー・スティル博士。
スティル博士の著書、『オステオパシーの哲学』の第一章のオステオパシーを学ぶものが解剖学をどう学び取ってほしいか解説した項があります。
その概要を部分抜き出させていただきます。
『解剖学(骨、靭帯や筋肉、軟部組織、その他)を記述』された本などから学びます
→次に、『記述された解剖学要素全般と血液が通る血管やリンパ管など体液が通るすべての器官』を観察します。
→次に、『生理学』と呼ばれる解剖学の別の分野に入ります。血液やその他の生命維持に必要な体液がどのよううに作られるか、そして、これらの体液が心臓や肺に送られて、浄化や適切な処置を経て、全身に循環するために心臓に入り、人体全体の栄養と生命維持をもたらすのかを学びます。
これらの動脈は顕微鏡の助けを借りて、もっとも細いものを観察することができます。
このような学びの中に『組織学』の部屋が入れ子としてあります。
→次に、生理学で説明されたことを深く理解するために『基礎化学』を学びます。化学とは、原子や分子上でおきる変化を学ぶことで、特にここでは物質の結合の法則を学ぶことになります。
簡単に述べれば
『記述解剖学』→『解剖学に沿った実体観察』→『生理学に組織学』→『基礎化学』
の手順で学びを深めてまいります。
スティル博士はこうした一連の学習は分割されたものではなく、
すべては『解剖学』の一分野として考えてくださいといいます。
[巨視的な目]で観察する目を養いつつ、(『記述解剖学』・『解剖学に沿った実体観察』)
[ミクロの目]で観察する目も養います。(『生理学に組織学』・『基礎化学』)
本書での面白い例えですが、
にわとりには、骨もあるし、筋肉もあるし、砂肝もあるし、・・・それぞれで構成されている。
そしてにわとりとは、それらのどの一部が抜けていてもにわとりとは呼べないものとなるといいます。
もっともなお話に聞こえますが、分割して組織を扱うこともできるが、
それらはすべてが統合され構成された上で成り立っているものだといいます。
一部の組織が乱れても全体の構成が乱れて異常をきたしてしまうといいます。
そうした視点で考察することで、
[異常と正常の違いと仕組み]が見えてきます。
正常を理解して異常を見抜くことができるようにします。
たとえば頸部の一部に左右屈のトラブルが生じることで、
脊椎も左右屈を意図的に取り入れることで全体の構成のバランスを維持します。
頸部の乱れが脊椎全体の乱れを生む発端としてわかると、
頸部の乱れを補正すればそれ以外の乱れも自然に補正されるようなことが起こります。
オステオパシーを手技のやり方を解説した本は邦訳本も日本のドクターが書いた本も多々出版されています。
私もそうした本を読ませていただきながら研鑽を積んでまいりました。
たとえば『靭帯性関節ストレイン』『カウンターストレイン』
『マッスルエナジーテクニック』『頭蓋仙骨療法』
『内臓マニピュレーション』『スティルテクニック』その他。
上述したそれぞれのテクニックを把握した上で、
クライアントの身体課題への最適な手技を選択します。
そうすることで対処可能な守備範囲は広域になってまいります。
そうした手技をスティル博士の『オステオパシーの哲学』を思い起こしながら学ぶなら、
大きな成果が期待できる手技として活用することができるものです。
私のことで恐縮ですが、
手技療法は色々と学びましたが、
たとえばオステオパシーを学ぶときには、
創始したスティル博士の著書に触れて先生の思想を初手にして、
その後の派生した専門性の高いテクニックを学ぶようにしてまいりました。
一貫して、人体の構造を扱い、スティル博士の説かれた解剖学の目で観ていきたいと考えておりました。
(ですが結果は構造的な把握に視点は偏ってしまいましたことを、いま、反省をしております)
対して今の『中医学』。
中医学で弁証論治から導き出した体質の改善という視点は異質です。
中医学をベースにした薬膳も、そうなります。
ただ中医学から学ぶ過程で、
オステオパシーのスティル博士の学習過程から取らせていただけましたら、
以下の、
『記述解剖学』→『解剖学に沿った実体観察』→『生理学に組織学』→『基礎化学』
のところの
『生理学に組織学』→『基礎化学』
といったところに、
気血津液の過不足から生じる体質のおさまりどころがあるような気がしております。
『記述解剖学』→『解剖学に沿った実体観察』 といったところが、
ざっくりいって人体の力学的な釣り合いを視点として吟味する構造体としての把握となり、
『生理学に組織学』→『基礎化学』といったところは、
ざっくりいって人体の血液などの液の循環について詳細に吟味することとなるのではと考えます。
そう考えると手技をしてきた私の実体験としてアプローチの傾向は
『記述解剖学』→『解剖学に沿った実体観察』が主なテリトリーとしていたと考えています。
身体の前後左右上下のバランスの変位を是正する構造体のリバランスがメインでありました。
身体動作の精緻さの追求なども、身体の連動連鎖を構造的にとらえた流れから学んでました。
あとは臨床上必要に迫られて独自のアプローチを複数生み出してきましたが、
ベースは上述の主なテリトリーの範囲内でのことだと言えるでしょう。
対して『生理学に組織学』→『基礎化学』といったところは、
脈診は学び多用して気血の流れを考慮して施術をさせていただくこともございましたが、
気血津液にどれくらい足したり引いたりといった操作はできていませんでした。
クライアントがどの体質にあてはまるか(気虚体質や血虚体質など)、
それは複数にわたるか、
そしてそれぞれの体質状況の軽重はどうあるのか(気虚体質が重く影響し血虚体質は軽いなど)、
そういう理解を具体的に把握することまではできておらず、
施術上でそうした体質をどう改善するかという視野に欠けていたといえるでしょう。
私の施術は筋膜の癒着をリリースするところですよと、申していたところかすると、
中医学的な体質改善を望んできたとおっしゃられるお客様も少ないと思います。
ですが、現在はそこに悔いを感じており、申し訳ない気持ちとなっております。
中医学上の見立ては、
だいぶんオステオパシー含め西洋医学にはない分野に軸を置くよう私の目に映るところもあります。
ですが『生理学に組織学』→『基礎化学』の把握とアプローチを中医学の薬膳や処方が受け持って
そこに対しての成果を出すノウハウがたくさん蓄積しているようであれば。。。
スティル博士がおっしゃられた解剖学、
『記述解剖学』→『解剖学に沿った実体観察』→『生理学に組織学』→『基礎化学』
の全体をとらえる流れを掌握するには貴重な学びとなるように考えられます。
同時に、こうした→『生理学に組織学』→『基礎化学』の視点が育つことで、
筋肉、靭帯、骨、臓器等の外枠と生理学的な血液等の関与する流れも噛み合って理解できるようになりました。
次期、施術をさせていただく機会を持てれば。
できることであれば
巨視的な目とミクロの目を併せ持った把握から、
お客様と接したいと願っております。
身体構造上のあきらかなトラブルがあるならば、
皮膚の内側を通る血液や気の流れが乱れるのは
部分と部分が歯車のように構造的な関わりを持って現れます。
身体構造と気血津液の両面を把握してアプローチができたら、
双方が噛み合うきっかけを探索できるのではないでしょうか。
いまだにそこは私には妄想の段階を出ることがありませんが、
『身体構造全体と気血津液の両面を把握してアプローチ』と
相互に様子を観ながら加減して歯車を回したら自然であろう。
そんな感じ、しませんか?
最後に、アンドリュースティル博士著書『オステオパシーの哲学』は、
私にとって何度読んでもすばらしいと実感する本です。
Kindle版もありますし、
ネット上で検索すればPDFでダウンロードできますし、
下記のサイトでもお読みいただくことができます。
関心がございます方がおられましたら、ぜひ!!
Early American Manual Therapy
https://www.mcmillinmedia.com/eamt/files/still2/st2cont.html
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