2025年09月17日

肩こりといっても原因は様々。原因がわかるから対処法が導き出せるのが当たり前のことでしょう。(つまり!原因が不鮮明なら対処の妥当性も下がるわけです)

テレビを観ていると、
とある40代男性俳優(妻夫木聡)が語るに
「僕は若いといわれることがあるんですけど、
いま、<肩が痛くて挙がらない>んで。
そんな若くないんです」
と、はにかみながら語っていました。

そう言われながらも、やはり甘いマスクと語り方から、
年齢よりもほんとうに若く見えます。

では、肩が痛くてという状態について、
ここでちょっと考察してみましょう。



■ 肩こりになる原因として考えられるのは ■

(1)風雪に耐えて身体が冷えたとき、寒さの邪気が入り込むとき

(2)緊張しっぱなしといった、いやな精神的負荷がのしかかったとき

(3)同一姿勢で一日中、または長時間にわたり仕事をこなすとき。またはそうした状態が長期に渡っているとき。

(4)首を斜め下方に傾けたままスマートフォンを観ながら歩行したとき

(5)五十肩、四十肩などといった腕がそもそも負担なく挙げられないとき

などなど。

(1)の風雪は体表から体内へと寒邪が侵入して、気の循環を停滞させたから。
このときの対策は、葛根湯など体表部からの発汗を促すようにして寒邪を追い払います

(2)のストレス過多では、肝気鬱といわれるような自律神経が失調する状態となり気のめぐりが停滞してしまう。ストレス性の凝りは、パンパンに膨らむ感覚となる張りが強く感じられる。
このときの対策は、停滞した気の流れを復活させて気の循環をはかるように、理気薬といった気の疎通をよくさせる生薬をとるか、そちらが配合された方剤をとるのもよいでしょう(加味逍遙散など)

(3)(4)は、同じ姿勢を長時間続けていくことは、
体内で決まった箇所の血行を悪化させるため、瘀血を体内につくりだしてしまいます。瘀血による凝りは、狭い範囲等のピンポイントに刺すような痛みがでる。永年勤続して作り出した瘀血は居座りが強くストレッチや気持ちいい運動では除去は見込めません。
このときの対策は、瘀血を除去するようかっさやオイルマッサージなど、体内に居座る瘀血を押し流すようにする。私が普段していた筋膜リリーステクニックのメインターゲットは、こうした居座る瘀血を要領よく除去を推し進める技術のオンパレードです。

(5)四十肩・五十肩は、なぜ手が上に持ち上げられなくなるのか?実は、痰と呼ばれる粘着性を持った浮腫物質が関節周囲に沈着したために起きたことです。
よく四十肩や五十肩はぶり返すことがあると言われるのもうなづけます。理学的な筋膜リリースだけを施したとしても、その関節周りに存在する粘着部分は一時的に溶かすことで動きを復活させることはできます。
ですが粘着物質は、まだ肩周辺に大部分がとどまっていたり、浮腫を作り出しやすい痰湿の体質であれば再度また新たな粘着物質を肩にまとわりつかせるのです。
そうして再発に至ります。
このときの対策は、一旦は筋膜リリースなどで対処的に肩の正常な可動を確保する対処をおこない、同時に痰湿体質といわれる脂肪のような粘着物質(痰)を体内に作り出しにくい体質へと改善をはかることです。整体による可動域の確保のみでは、原因の対策が不十分だから四十肩や五十肩は繰り返されます。そのことを理解した上で、根本原因を把握して対処することで四十肩等の繰り返される不安から逃れることができます。

ちなみに妻夫木聡さんが患っているのが、こうした肩周辺にできた粘着物質による張り付きです。
浅い張り付き方であれば、多少の痛みがともなうが、自力で動かすようにしておれば状態は改善してまいります。
ですがすでに四十肩歴が長くなって急性期をとっくに過ぎ慢性状態になって居れば、自力での復旧にさらなる悪化リスクや改善効率の悪さをともなうかもしれません。ただ施術者がなす他者リリースに頼れば、自身が目的の筋肉をしっかり弛緩させた状態でリリースが受けられるので、比較的改善効率は高まるでしょう(※施術者の力量次第です)。
またもし妻夫木聡さんが痰湿体質に分類できるようであれば、この体質の沼から抜け出すことができるよう務めることで、今後の肩にまつわる不調感から開放されることでしょう。



ここからは飛び火したお話となりますが、参考までお聞きください。
痰湿によりできた粘着性を持つ肩にまとわりついた液状のむくみが、同じ姿勢を取ることにより生じた瘀血による凝りとくっついて固まることがあります。そうなると、けっこう厄介です。
なかなかこうした状態の自然治癒によるリリースは難しいもので、改善前に身体の軸を自ら歪ませて痛みを軽減できる姿勢を探し出します。
こうした場合の身体の歪みだしは無意識に着工した対処で、そうするしかないという切迫感をともなったものです。
一旦、この状況で得られた肩や肋骨や胸椎などに入り込んだ歪みに自分からそちらを直そうということはせず、歪みを得た状態こそ痛みを避けるよい行為として定着をはかります。
そこから呼吸器や血液循環などへ不調を推し進めることがよく観られます。




このように(肩こりや肩の不調)といっても、
そうなった理由や原因は様々で、原因ごとに当てはまる適切な対処法がなされる必要があります。

なので、
もし自身が{気滞体質}であれば、緊張やストレスに弱いから要注意だねと注意ができるでしょうし、

もし自身が{瘀血体質}であれば、同じ姿勢などつ続けて血行不良を患えば瘀血を体内で作り出すから注意しようと思えるわけですし、

もし自身が{痰湿体質}であれば、利水という体内にある余分な水分を排泄するよう心配りをしてむくみをつくらないように注意をすれば幸せになれます。


こういった意味合いでも、
自分の体質がどのような体質に当てはまるかを知ることができれば、いろいろと傾向と対策が打てるようになるわけです。
逆に申せば、体質を知らなければ最適な対策が打ち手として打てないようなあずっぽうに陥りかねません。


そのように考えていただければ、
私が漢方薬局や漢方処方をしていただける病院にいかれたお客様に、
「弁証(見立て)でどういった体質だともうされましたか?」
という質問をする理由もおわかりいただけるでしょう。
東洋医学では、体質を正確に見立てることができれば、その漢方処方にいかれたときのお客様の体質状態の把握と現状との差異という変化を調べることができるようになりますから。このことは意外に思われるほど多くの情報の含みがあるもので、その後の対処に活かせる内容もあるものです。
また体質がわかれば、施術による手技のアプローチ箇所や方法も変わっていくものとなります。

それゆえに、自分の体質を知ることで、自分が不調に陥りやすい仕組みが具体的にどういったものかを理解しておくこと。
そうした東洋医学で学ぶことができる自身の身体の制御方法がわかればどういうこととなるのでしょうか。
まさにこれって、敵を知り、己を知れば百戦危うからず、だと思いませんか?


自分のなかにできた{体質のアンバランス}により起きてしまった痛みなどの苦痛の大切な役割とは、
体質が正常なバランスを再構築する仕事により対処をす本治に至る過程へといざなわれるきっかけと考えられます。
posted by スズキ at 11:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 中医学診断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック