鎖骨と胸骨の位置や可動など理想状態は、円滑な血液の流れと安定した感情をかなえるために必要不可欠です。
腕や肩が不用意に持ち上がり続けることで、
胸骨と鎖骨に正しい位置からズレたままに固定するクセが付き負担が蓄積してまいります。
一過性であれば取り返しも尽きますが、
長期に渡る胸骨や鎖骨が変位すれば、胸骨や鎖骨の位置ズレを固定する靭帯や筋肉が骨の硬さ以上に変質し、
容易には取り返しがつかぬ状態に陥ります。
たとえば鎖骨の左右差がでることで、体幹の左右屈を助長します。
鎖骨が上に移動し固定すれば重心が上振れしたまま固定され不安定さがあらわれます。
そして上部肋骨内の肺に不必要な緊縮状態を生み呼吸も深まりません。
鎖骨や胸骨が正しい位置にあればできる腕の操作もできなくなり、脇が甘い状態です。
広背筋が作用しづらくなるため腕力も弱くなり、それをカバーするため肩の上振れ固定がなされます。
肩を持ち上げて力を出そうとしても、力むばかりでさほど力が発力されず、さらに肩を上に持ち上げて対応しようとして肩の位置が上方へ狂います。
鎖骨の左または左右両方が上方に変位固定したなら、循環器にトラブルが起こりやすくなります。
具体的にいえば腕と頭部へと血流を送る血管が圧迫されることとなり、心臓へと逆流しようとするため関係する動脈を痛めることもありますし、
腕と頭部への血流量が減少します。
脈を診て、左右で脈の差異が大きいようであれば、鎖骨裏手にある前斜角筋と中斜角筋あたりの凝りと鎖骨とが粘着している場合があります。
そういったこともありますが、実は鎖骨と胸骨の様子を観察することで、
胸椎の前後左右捻転といった変位が疑われます。
生理的に腰椎と頚椎は変位しやすい構造ですがもとに戻すことも比較的容易です。
対して胸椎は肋骨と胸骨という胸郭の鳥かごが形成されており、
この鳥かごのような構造も左右対称で柔軟性があれば大きく拡大と縮小を示します。
これもひとつのテンセグリティ構造によるものです。
テンセグリティ体は、正常に稼働できる状態であれば、たった一部分のパーツを拡大と縮小の作業をしても、その影響は全体に広がり、全体の拡大と縮小をかなえることができます。
ただテンセグリティ構造体の特徴として、たった一部でも強力な固定がなされれば、
全体が動けなくなる性状を持っております。
この後者の状態にお客様が陥っているかどうか。
それは鎖骨の高さと内向や胸骨の左右前後等の変位を視覚的精密に調べたり、
鎖骨や胸骨が変位するにかかわる靭帯や筋肉(主に靭帯)を触って状態を確認してわかります。
お客様自身は、理想形の鎖骨や胸骨の状態を触ったことがない場合、比較対象ができないものですが、主に靭帯が鎖骨と胸骨の変位があれば靭帯の炎症痛に特有な鋭い刺されるような痛みを感じるでしょう。その痛みが強ければ、すでに鎖骨や胸骨にトラブルが内在しているでしょう。
ここまでは一般的な生理学範囲でもありますが、
整体では同時に、身体の前面と背面の影響を関係性を見抜きます。
身体上の前後で観察すれば、胸骨が胸椎の真ん前にある骨です。
胸骨の変位状態を、(胸骨柄、胸骨、剣状突起)に分けて精密な観察ができます。
この胸骨の変位状態を精密に調べることにより、
内部で起きているだろう状態を推測することができます。
胸椎内側を通る後縦靭帯の萎縮やねじりが見えてきます。
特に胸骨柄と胸骨の間にある関節が詰まりすぎにより固定された場合、上部胸椎部位に同様の変位した傾向がみられます。
施術をするものにはこの意味が何を示すか、ご存知でしょう。
胸腺にトラブルが生じて免疫低下や、
胸椎の神経根から心臓に向かう神経を圧すれば循環器にも影響があらわれることも危惧されます。
これにより体質的に抵抗力が低下した状態に固定されてしまうでしょう。
これが代謝力がよい若いうちだったり、アドレナリンが多く排出されているうちはいいが、
中高年になってもずっとこの鎖骨と胸骨の変位があり続ければ、上記したネガティブな影響が進行蓄積していったときは特にがくんと抵抗力が目減りする人も出てくるようです。
こうしたところは食養生で対処できる種類のものではありません。
それは中国古典医学書の黄帝内経で多様な治療法を述べているなかに方剤利用の薬物療法の他に、鍼灸や導引、あん摩のような手技療法ももちいて病の予防をせよということからも想像できるでしょう。
ただし鎖骨と胸骨のズレは、一般には盲点となった腕の使い方の問題も含み、そのことの徹底改善が必須です。
そして同時にスマートフォン等を持ち続けているときには適宜お風呂でスマートフォンを固定して持つ手の側の鎖骨や肩、首、前鋸筋部分等の広域をマッサージするようにしたほうがいいでしょう。
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