臓腑の経気として、
臓腑の気が足らないとき。
体外より気を取り入れて補うことができる経穴を【兪穴】といい、背中側にあります。
気を取り入れる機能を果たす経穴です。
兪穴は対応する五臓六腑の病変に応じて反応してくれるので、
施術家にとってまっさきに覚える重要ポイントにあたります。
対して胸腹部にある兪穴に対応する【墓穴】という経穴があります。
経絡の気が集まる場所であり、五臓六腑の病変に応じて、
適した気を補う補法を施したり、
過剰な気を取り除く瀉法を施します。
兪穴も墓穴も五臓六腑の病変に対処できる経穴となるわけです。
そういったこともあり、お客様にて五臓六腑に不安定なところがあるなら、
まずは兪穴をみていき、つぎに必要あれば墓穴をみていきます。
そうすることで安定的な成績を残せるようになっていくのです。
ひとつ自分で自分の墓穴や兪穴を刺激するときに問題があるとすれば、
墓穴は胸腹部にあるため自分ひとりでも取穴が容易ですが。
兪穴は背中の膀胱経という起立筋上にありますから目と手が届かない。
それもあって兪穴の調整は私も誰かにお願いしています。
こうしたことは経絡をもちいていくための基礎知識です。
兪穴(陽穴)気の入口
↓
墓穴(陰穴)気のたまるところ
兪穴と墓穴の対応は以下の通りとなります。
【兪穴】 【墓穴】
肺兪 → 中府
大腸兪 → 天枢
胃兪 → 中脘
脾兪 → 章門
心兪 → 巨闕
小腸兪 → 関元
膀胱兪 → 中極
腎兪 → 京門
厥陰兪 → 膻中
三焦兪 → 石門
胆兪 → 日月
肝兪 → 期門
そして側臥位で背中側の兪穴上に刺激を与えるとき、
私はすべてのことではありませんが、
該当する墓穴部分に手を当てています。
それは側臥位で背中から腹方向へ圧をかけるときの
固定や安定のためという点もあります。
他にもより優れた意味合いがあります。
たとえば、
兪穴の肺兪を刺激するときに
墓穴の中府を押さえて刺激をいれています。
するとあてずっぽうにお客様の身体の前に手を添えたときには起きないような
順調なリリースがかなえられてまいります。
もともと、いま、私が行っている側臥位での手技は、
他流の先生から真似たものではなく自身で試行錯誤して作り込んでいるもので、
そちらの過程で兪穴と墓穴を同時刺激することによるリリースの促進作用に気づきました。
ただ厥陰兪と膻中の取り合わせですが、
男性の場合は、厥陰兪と膻中を正確に手を置くことでことのほか安定的にリリースできる。
ただ膻中は女性ではバストに手が当たるため玉堂という膻中よりちょっと上の経穴で代用。
施術効果を十分発揮させられるかどうかの判断で本位ではありませんが、
臨機応変に対応する必要が出てまいります。
時として「そこにこだわって何になる!?」という程度の成果向上の工夫のもありますが、
この兪穴と墓穴の同時刺激による気の補法では、だいぶ成果がでているようです。
ただこの工夫は鍼灸師のお客様にしてみたときに、指摘されるかと思いきやスルーされて、
そのときにことさらに
■ 私:
「ここが兪穴で、ここが対応する墓穴ですから〜
・・・・・。
ね、対応する墓穴以外のところに手をおいたときと正確に墓穴に当てたとき、
体内の気の通りの強さが変わるでしょ!?」
■ 鍼灸師お客様:
「あっ、おもしろいっすね!
熱心に作り込んでるんですな〜
気づいてみたら、大違いだったんだ!!」
と、工夫したところに気づいてほしくアピールさせていただいたときがあります。
ただお客様が側臥位では、単にうつぶせ寝や仰向け寝の姿勢の5〜8倍ほどの気を施術者はつかう。
気を使うというのは注意力と体力の消耗いう意味と気をイメージで通すというふたつにまたがります。
リリースのときにお客様への刺激の送りでは、
施術者が手指でのリリースでは肋骨の骨が傷つく恐れが出てきます。
同時に激痛によりリリース成果を実感できることもないこととなる。
それを回避できるように安全性と効率や効果を引き上げる複数の道具を組み合わせて用いています。
それらのツールを独自に4〜5年ほど使い込んできて、
年季が積まれたことで手に馴染んで匠に使えて成果があらわれてきております。
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