筋肉の作動には、主に以下の2つの神経がかかわります。
【 筋肉の長さを監視する筋紡錘 】
【 筋肉の緊張を検知するゴルジ腱器官 】
※ 他に パチニ小体やルフィニ終末器官という皮膚にあるセンサーも、施術上はみていくことになります。
打腱器で膝のお皿の下部分をパチンと叩くとぴょこんと伸張反射します。
これは筋紡錘の作用により起きる反射なんです。
膝下の腱を叩かれて腱の長さが急に外圧で変えられたときに、そのまま打たれっぱなしでは腱が損傷しかねない。
だからぴょこんとと下脚が持ち上がることで腱の急激な長さの変化に対応して腱を守る戦略が伸張反射なのです。
打腱器で叩かれるといった他動的な刺激に作用することもあるんですね。
筋膜の癒着がらみで腱の状態が悪化するなどで伸張反射が起きない場合も見受けられることがあります。
あまり生理学的にはそのようなことはないだろうといわれているものの、
そうした伸張反射の起きる量がめっきり少ない方の、関連する筋群の癒着部を緩めた後に伸張反射が回復した様子が観察できることがある。
ゴルジ腱器官は、筋肉の緊張が検知することで、筋肉が収縮しすぎても筋肉はダメージを被るわけで、
圧縮され過ぎればぐちゃぐちゃになって組織が破壊され蘇生されなくなる。
そうした線維の損傷から筋を保護する仕事をゴルジ腱器官がしています。
脳が筋緊張を緩めるよう命令を該当する筋に送るも、
ゴルジ腱器官が働かなければ、筋緊張の度合いを認識できないのです。
つまり筋肉を緩めなさいという脳のメッセージが出ても、それは無視されてしまう。
いつまでたっても筋肉が緊張しまくって硬くなりっぱなしなのです。
筋肉の状態が癒着の度合いが進行しすぎたときにはすでにゴルジ腱器官が働く働かないというレベルの問題では話が済みません。
数週間や数か月、または数年にも及ぶなど筋硬化が慢性状態になって癒着がすでに筋膜組織の状態を正常から遠くなるくだりで、
そうなるまで適切なケアがなされていかないと問題は複雑かつ深刻になるのです。
ですがそこまではいかない急性の筋緊張でゴルジ腱器官の働きが低減した状態だというとき。
たとえば、
本人は深刻な筋膜組織の炎症を受けてつらくてしょうながいという苦痛の真っただ中です。
でもその方は、しっかり筋膜組織の癒着が先月ほどに解かれていたため、
慢性癒着ではなく、ぎりぎり急性というような場合です。
このときゴルジ腱器官の筋緊張の検知できない状態に陥っているレベルなので、そこから脱させれば、どうなるかというと。
「あれ、、、さっきまで痛かったのが、消えた」
とか
「さっきまで関節可動域がめちゃくちゃ狭まってたけど、あれ?余裕で動くんだけど」
ということが現実にはっきり起きてしまうのです。
ただ、、、じつはこのゴルジ腱器官が機能低下した状態を復活させたいときに、
マッサージにより回復できるようなものも、一部あるわけですが、
それでは対応不可という場合があるんです。
筋緊張負荷が過剰にかかりすぎたため筋の長さを監視し筋緊張の度合いを検知できない状態、
つまり筋の状態を知るためのセンサーであるゴルジ腱器官、筋紡錘がただしく働かないような事態に陥った。
たとえば超多忙で緊張した状況で長時間息を抜くこともできないデスクワークが強いられるときに、
無意識下で足を過剰に踏ん張り続けて鼠径部などを強烈な凝りを作り出してしまう。
でも自分では無意識に力を入れたときにつくられた特殊な凝り方で、
なんでそれができるかという自覚がないような場合。
認めないんです。
自分が仕事が終わっても筋緊張を緩めなさいと脳からメッセージが出ていても、
筋紡錘やゴルジ腱器官が機能不全に陥って凝りを創っていっぱなしにしている、と。
中枢神経として統括する脳が、末梢神経にあたる筋の筋紡錘やゴルジ腱器官を制御できない。
ただそういった状態は睡眠時にディープな脳波がでたときに、そういった不都合を緩めるホルモンがでており、
翌日には持ち越さないということもあります。
ですがそうした自己リリースの対処を超えた負担がすでに加えられ蓄積されたならば、
自然開放だけでは筋紡錘やゴルジ腱器官の状態の復活ができなくなるほどのこともでてきます。
それが初期の筋膜の癒着がおきた状態なのです。
この状況で長期にわたる筋紡錘やゴルジ腱器官の機能が低下した状態を残したままでいれば、
最初は表層筋の筋膜の癒着がおきていただけであったものが、
徐々に中層へとのびてい深さを増していき、
採取的に骨や内臓がある深層筋膜へと癒着が進行します。
中医学では「病が裏にある」といわれた状態になるのです。
つまり筋膜が深刻な癒着状態に至る前には、
筋紡錘やゴルジ腱器官の機能低下に陥った時点が初期段階として存在しております。
この初期段階で叩くことが、最上の対処だと考えてください。
裏に入るようなところまで進行させないことができるように、
対処研究も進められています。
たとえばオステオパシー系の手技のひとつに挙げられる{ストレイン&カウンターストレイン}という専門性の高い施術法が
ゴルジ腱器官、筋紡錘の機能低下状態を活性化させるせことができる最も適した手法だと思います。
初期段階であれば、鮮やかに脳が筋肉を緩めなさいというメッセージを正常にキャッチできるよう変えて筋を緩ませる機能が取り戻せます。
他のやり方もあるのですが、理学療法士さまがこちらを学んでおられれば、
一部の筋に限られるがカウンターストレインのホームプログラムのようなものを教えられるかもしれません。
参考までに、以下の書籍にはカウンターストレインの章があり、
いくつかの代表的な筋に対応したカウンターストレインのホームプログラムが紹介されています。
系統別・治療手技の展開 改訂第3版
この手技を受けたときに「先ほどまでの不調が嘘のようだ・・・」とお客様がいうことになるわけです。
どうしても抜けなかった筋緊張が、ぷっつり糸が切れたように離れ去って消えていくのです。
狐につままれた感じといえるほど、張りや不快さが抜けて息が吸えるようになる。
無事に筋紡錘やゴルジ腱器官の機能低下から起きる悪化のループからドロップダウン。
ここで食い止めるなら、その後の進行を心配することがなくなります。
身体を若く機能的に維持していきたいなら、
これに勝る最良の手当てはないと、私たちは考えています。
筋膜の癒着が早期であるなら、その方の施術は苦痛など心配せずに、
寝てたら問題がなくなっていた。
慢性化した状態へ移行させなければ、そういう施術を選べます。
身体を改善させるためのタイミングが大事なんですね。
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