2022年04月10日

結合組織のカテゴリーで、筋組織のリリースの筋膜リリースと、支持組織のリリースとは違ってきます


数日前のこちらのブログにて。
細胞外マトリックス(=細胞外基質)について、ざっくりと中医学でいう瘀血(おけつ)目線で、話をさせていただきました。


2022年04月06日
細胞外マトリックス内のコラーゲン線維の水分量減少により枯れることでおきる異常により起きる体内のミクロシーンで生じる課題と、ベン石温熱器をもちいたアプローチにより感じた改善の手ごたえ。
http://bodywise-note.seesaa.net/article/486319966.html



細胞外マトリックスについては、民間医療国家資格をおもちの先生はテスト範囲内の内容ですから当然ご存知のことです。
だから私のブログ内の描き方に、瘀血(おけつ)目線という色を付け過ぎじゃないのと違和感を感じられたことでしょう。

『結合組織』を分類すると以下のようにわけることができます。
上皮組織、筋組織、神経組織、そして支持組織。


筋膜リリースによるアプローチ手技は、筋組織の異常という点において改善するテクニック。
筋肉→筋繊維→筋原線維が対象ですね。


細胞外マトリックスについて考察すると、それは支持組織に含まれます。

支持組織」 生物体を 一定 の 形 に支持し維持させる組織のことです。
分類化すれば以下の4つにわけることができます。
・線維性結合組織、
・軟骨組織、
・骨組織、
・血液・リンパ


です。

> 「支持組織」 生物体を 一定 の 形 に支持し維持させる組織

といわれると、まっさきに骨組織と軟骨組織といった、身体を立てるときにもちいられる柱のようなものだけをイメージするかもしれません。
それら骨組織や軟骨組織ももちろん支持組織です。
ですが、たとえば精肉店の鮮度が高い切り出された肉は、ぷりぷりの立体感を持っています。
その肉には骨でささえられてはいないのですが一定の大きさがキープされています。
それが常温で長期に放置されれば、肉の内部にある血液が抜け、リンパ液などもドリップとして出てしまうと、
その肉全体のかさが減って小さくなります。
そのことからも血液やリンパが、その生物体を一定の形に支持する役割を持つことがイメージできるでしょう。
先日の私のブログでは中医学の瘀血(おけつ)目線をご理解いただければと、この支持組織のひとつとしての血のところに焦点を当てられればと。

あとは線維性結合組織のなかの分類のひとつとして皮下組織に存在する疎性結合組織。
疎性結合組織の断面の絵をご覧いただいたことがある先生方ならご理解いただけましょう。

マクロファージやリンパ球、マスト細胞、形質細胞、脂肪細胞、線維芽細胞、などなどが液内に浮かび、
そのなかをコラーゲン線維や細胞線維、弾性繊維があります。

コラーゲン線維や細胞線維、弾性線維が疎性結合組織にかかわる大切な一定の形に支持する役割を発揮します。
こちらのコラーゲン線維や細胞線維、弾性繊維に、なんらか恒常的な圧迫や代謝異常による血液の減少などの悪影響が及ぶことで、
これら生物体内部の組織を立体化させるコラーゲン線維や細胞線維、弾性線維の支持への機能を低減させるようになります。

そうした結果が、本来はやわらかくしなやかな軟部組織のはずの体のその部分が、
質的に骨やそれ以上の硬さに変質している状態が見受けられる場面がみられます。
特にこれは皮下組織としても浅部位以上に深部に非常なる異常な硬質化が現れてしまうため、
本人は無自覚でそこに骨があると感じるものの、
実際は疎性結合組織内部のコラーゲン線維や細胞線維、弾性繊維が液を失ってミクロの世界で張り付いて癒着が進んできていた。
そういうケースがあります。




実は私どもが、どうやって解けばいいのか?!と必死に探索し研究し、頭を悩ましていたのは、これら疎性結合組織の凝りのことです。

筋膜リリースといっておきながら、いまさら筋膜が課題じゃなかったといわれても、複雑な気持ちになるかもしれません。

ですがリリース上の難易度の高さは疎性結合組織のほうがはるかに難しく、そして体内を立体化させて支持をおこない、
血管やリンパ管などの脈管等の管系の通り道を確保するには疎性結合組織の状態が良好でなければならない点をみても、
こちらは健康面、それも基礎的な体質を大きく揺るがすようなものとなりえる影響を持っていると考えられています。

多方面の筋膜リリーステクニックの勉強をして筋膜の解き方の方法を学んだ末にそちらを駆使してもどうしても解けない。
そういった部位が目につきだしたときから、

「これっていったいなに?
 筋膜の癒着とは言えないだろう異様な組織とばけたものがあるのだが。。。
 解剖生理学的には、どういった体内組織で、それがどのような変わりがあってこうなったのだろう?」

というように、ひとつの扉を開けば、気づけばさらに奥にひとつ扉を見つけたようなもの。
おそらく疎性結合組織のリリースがしやすくなった後でも、この奥にまた扉を見つけるのだと思います。

ではなぜ、「疎性結合組織のリリース」というのがしようとしていた仕事でここ最近の研究課題だったんですが、
筋膜リリースと呼び続けてきたかといえば。
それは柔整等の国家資格をお持ちの先生は、
私の話を進める前後のニュアンスで「筋膜リリースといっても、それって疎性結合組織のリリースじゃないの」と、
呼び名ではなく内容を咀嚼し把握して判断していただけていたようです。

なので、一部の専門の方々であればイメージを共有しやすいため、
ダイレクトに専門用語が会話中にはいって短い会話で内容が通じます。

たとえば
「支持組織のダメージの起こりが影響して〇〇になっています。
 だから、その対応に50度弱の熱を12〜20分ほど使って。状態変化の様子を見よう」
「それ、いいね。変化がなければ、腱の繊維に沿ってのずり圧を適量回数加えて筋膜の様子と細胞外マトリックスの相関を観察すればいい」


という話になります。
微妙にわけがわかりづらいように感じられますが、だいたい経験値や基礎知識の共通部が同レベルだとわかれば、
会話内容が具体的かつ詳細に変わっていくものです。

ですから結合組織のリリースという大枠にある、
筋組織のリリースという筋膜リリースと呼ばせていただいているところに、
支持組織のリリースを含めてしまった言い方は、
テスト問題の解答では( ✖ )です。



ただ、
整体院等のホームページなどは、
現状でおからだに不都合な痛みや不快感があって、
そちらをどうにかしたいという気持ちがってみるものです。

すると見た覚えのない専門的な言葉が、多数出れば出るほど、瞬時に読む気も失せるそうです。
たとえ簡潔な短文解説を載せて説明してもすっきり正確な理解がえられませんから、
限りなくグレーな印象が残るため使う側が注意をしなければならないでしょう。
端的に言えば、専門家同士なら別段構いませんが、
そうでなければ専門用語が重ねられれば理解が浅くなり読む気がしなくなります。
すると目的をもって書いて知らせたかったブログが読んでいただける方の数が削り取られてしまいます。。。

その道は、進んでみても誰も幸せになりませんから。
そういった場合、確信犯的にお客様の既知の知識になぞらえて似たものに例えることがあります。

今回の支持組織の変質した状態を筋膜が癒着した状態といっていたのも、その習いとなります。


ちなみに。
私は結合組織のことを「ボディナビゲーションムーブメント」という本のなかから概要を知り、
そこにあった細胞と細胞外マトリックスのことについて分類された内容に関心を持ちました。


こちらの本はお客様からお贈りいただいた本です(T先生、多謝です!)
結合組織について書かれた本を片っ端から読み漁って。
そして結合組織の性質や特徴、特性などの詳細がわかってきた時点で、
筋膜の癒着は筋膜リリースの各種ある優れた手法のリリーステクニックで対応できるが、
支持組織の各線維の場合はもともとが筋膜の癒着にもそれを呼ぶ引き金にはなっているし、
相互に関係性や関連性が見出せるものの、解き方は別ものだと了解したほうがいいと感じました。

ねじをしめるときのドライバーには、プラスのねじにはプラスのドライバーを使うべきだしマイナスのねじにはマイナスのドライバーを使う。
そうすることと大差ない考えです。
プラスのドライバーでマイナスのねじをしめようとしても、うまくいきません。

なので支持組織の、特に疎性結合組織と血管・リンパといった支持組織のリリースといえるようなアプローチには、
それらの特質や特徴を理解した上で、そのねじ山の型にあったドライバーを持ってくるべきだと考えました。
筋組織のリリースアプローチにもちいたときの、そのねじ山の型にあったドライバーを流用するのにはうまくいきません。


現状、私もまだ支持組織の特徴をより深く・具体的に把握するという途中ですが、
ベン石温熱器等のその支持組織のリリースをかなえるツールのおかげで、
リリースの幅や経験によってそこでの施術でのとらえ方やリリースへの応用という内容が徐々に見えてきたと感じています。




課題として、いま私の頭を悩ましているのは、アフターフォローの施術として予約を受けておりましたときには、
一日に一人だけという対応人数に限定したため、施術時間も長く当てたということもありましたが、
精神的にも肉体的にも発力や集中により疲労がのしかかる施術を以前の一日に3名の受付にすれば。
そこに必然的に研究上のブレーキとまではいきませんが、いままでのような自由には動けません。。

そして筋膜リリースは、すでに
ある程度、要領がわかっているもので短時間での対処で上げることができますが、
支持組織のリリースは、もとよりそれの解き方の参考書があるわけではないため、
一から自分で模索しているところで。
筋膜リリースの10倍以上の労がかかる。


それでもアフターフォローの施術の一日一名だからやってこれたものだったのが、
通常の状態に戻さなければ、仕事の継続がいくつかの点で難しくなります。。。

施術の技術を見つけ出す仕事は進んできましたが、
その施術の技術を提供させていただくための応用はこれから。

お客様ごとに身体状況が大幅に違っておりますから画一的なルーチンを作ることは私にはできません。

どのような点を重視して、正規の施術の流れを作り出すか。
どこに落としどころを見出していくか。。。
いままでのアフターフォローの施術の特別な施術の時間や密度、徹底さからえられた成果を目の当たりにして、
そのときにおこなっていた施術の深部への広まりを、一回ごとの施術で塗り替えられてきた。

これからの正規の施術を2時間の施術時間を一コマで用意させていただきたいと考えていますが、
筋膜リリースは技ありのことができるものの、
支持組織のリリースは超時間が労力や手間がかかります。

手順を徹底的に見直して無駄を省くこともしていくことは大切ですが、
お体の状態が不安定さがある方では、筋膜リリースの手技では体質が変わるには時間がかかりますし対応できないところがあることがわかってきました。
せっかく支持組織のリリースを作り上げてきたので、
フルでこちらで対応を全力でしたいところですが、超時間がかかる。
いままでのコロナ禍でのアフターフォローの施術として予約の条件のままとはいかず、
そこをどう使っていけばいいのか。


私には、ここが、いま。
けっこう強いストレスになっています。。。




ただ、3年前のコロナ禍となる前の正規施術受付をしていた施術は、
支持組織のリリースの難解さから壁に弾き飛ばされていたときでした。
いまはそのときから比べ進展できたことも大きく、
これからのお客様へ、コロナ禍で研究してきた独自に工夫した施術を届けたいという気持ちを強く持っております。







最後になりましたが、
専門家の先生ならば、当然にお知りになられていることですが、
もし一般の方で結合組織ってなんぞや?!と好奇心がわいた方がおられれば。
ネットで映像を探したら、以下の解説がわかりやすく感じました。
お時間がありましたらご参照いただければ幸いです。


【結合組織の分類】密性結合組織、疎性結合組織、脂肪組織、細網組織
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posted by スズキ at 07:07| Comment(0) | 施術研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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