マルマ療法というアーユルヴェーダというインド由来の療法があいます。
全身に分布するマルマと呼ばれる治療点があり、
マッサージや指圧、アロマ療法により状態の改善を促します。
「改訂アーユルヴェーダとマルマ療法」
という私がマルマ療法のメインテキストとしている本には、
マルマの治療点には、種類、大きさや位置、制御するものや、
解剖学的構造、そして損傷に関する特性等が解説しあります。
マルマの多くは急所ともなりえるような人体部位です。
ですから慎重に対処する法を学び手技等を施していきます。
急所と呼ばれるような場所は、
生命活動に重要な意味を持つ繊細で壊れやすく、
全身への影響がでてくるレベルの神経や血管、または靭帯、骨その他がかかわる場所。
そういったところが強いダメージを与えられるか徐々にダメージを蓄積するに至りバランスを崩すと
体調上、かんばしくない状態に陥ってしまうことがあります。
靭帯や骨(関節)に問題がでれば運動器として動きに制限や痛みが生じることも。
たとえば腕が上がらないとか腕を後ろに引こうとすると鋭い痛みが走るなど。
神経や血管などに問題も起こりますが、靭帯や骨組みなどが理想の位置からずれていき、
本来は圧迫するはずのない神経管や血管・リンパ管に圧迫がなされて情報や血液・リンパ液などの流れが停滞する。
そのような状態を効率よく引き起こすような要所があり、
そこをマルマと名付けられました。
なのでそのマルマの損傷や障害を受けた場合にはどういった対処をすればいいのかな?
という方法を教えるのがマルマ療法といえるでしょう。
実は、マルマポイントは、経穴のような360経穴越えのような膨大な記憶しなければならない専門療法と比べれば、
比較的、覚えなければならない分量も多すぎないし、直感的に以前から「この部位は重要そうだ」と臨床で感じた点が、
まんま、マルマポイントだったというところも多々存在するため、認識するのはさほど難しいものではありませんでした。
唯一難しすぎだろ、と音を上げるのは、マルマポイントの名前がインドの言葉で何度目にしても覚えられない。 ^-^;
ただそのようなマルマポイントを刺激するにも、
インド人のような実証と虚証でいえば、熱性の実証の多いインドの民と、日本の方々の体質上の状態とは似ても似つきません。
インド人におこなう対処法のままを日本に持ち込んでも、うまく改善成果が表せられないところがでてくる。
そういった民族上の体質の違いが傾向として大きな差異がある場合、
現地の治療のノウハウをそのまま持ってきましたというのでは
実情にそぐわないという点が散見されるところがでてきてもおかしくありません。
日本人全体の平均的な体質上の陰性度の高まりは増すばかりなため、
10年前の日本人には効いたが現代の日本人には効かないこともある。
そういった本などに記してある内容が、そのまま真実を表さないこともあるので、
特に対処法の施術のしかたには実用にあわせるようなアレンジをしていく必要があります。
たとえばカクシャダラー・マルマという靭帯(種類)部のマルマ。
おおよそ通常は施術者が手指でのマッサージによりほどくこともできたような部位ですが、
施術上の手技のやり方では鍛えてきた私でも、
このカクシャダラー・マルマへの手掌等によるマッサージは効かない方がお客様におられました。
結果的に、棒状かっさを使って、こちらのカクシャダラー・マルマの靭帯をリリースすることができました。
棒状かっさを使った梃子を利かせるやり方です。
この手技、通常、てこを使った圧法は、普段に感じ取ったことがありえない圧感の刺激により、
お客様の本能が未体験の圧に痛い等の反応を起こすよりも、
「えっ?なに、なに、この刺激の圧って、すんごい不思議なんですけど」というモードに入れて、
施術をやりやすい流れに持っていくことができます。
ただこのお客様。
相当に我慢強いお客様だという認識が私の中にあるものの、
カクシャダラー・マルマを棒状かっさを利用して梃子を活かしたずり圧をかけたとき。
今までにないような激痛を感じたとおっしゃられていました。。
そこについては私自身、通常、痛そうだというところは前もって、
「ごめんなさい、痛みがここ、でやすいんです。痛かったら、すぐ言って。別のやり方に変更することもできるから」
といいながらリリースを進めていきます。
別のやり方をすると、現状のやり方の5〜6倍は時間も手間もかかるので、現状のやり方で通せればという本音はありますが、
ですがここで嫌な恐怖の痛みのトラウマをたくさんつくって持って帰ってほしいと思っているわけではありませんから。
ちなみにカクシャダラー・マルマ。
脇の肋骨全体(特に上位肋骨1〜5ほど)の上側への位置を持ち上げてしまって、
肋骨の形状が拡張収縮率が悪くなっている人には痛みが出やすい傾向が見受けられます。
・・・カクシャダラー・マルマを棒状かっさを使って解かれたお客様の肋骨。
激痛を乗り越えられた結果、今までにないような肋骨全体を軽めの圧で押して動くようになっていました。
ここの部位がアプローチを思い切ってする前は、鎧のような硬さに陥りがちな胸郭の状態でしたから。
さすがはカクシャダラー・マルマと棒状かっさのコンビネーション。
おそらくこの組み合わせでなければ、こちらのお客様のカクシャダラー・マルマ部位の硬化が著しすぎて、
私の手、手のひら、等の特別なムーブを多用する圧だから並みの操作ではないのだが、それでも効かない。
そのような私の手、人の手では、本当にリリースが困難な部位。
というのもこの部位の上部肋骨が前方へと誇張し拡張したまま固まり、上体としては肋軟骨の部位の胸肋靭帯の出っ張りと、
それに対して胸骨の位置の奥まった部位に隠されるようになった狂い。
そこに手指での圧は、容易に骨折の恐れがあるので、そういった硬さになった骨折させやすい手指での圧はかけられない。
そうなると、実は、第1種てこというてこをきかせた圧は、力のモーメントを計算に入れて支点を固定し、
その上で私が力を出す力点は大きなモーションが許され、
お客様にあたえる力の作用点では精密な動きに転化することができます。
これが十分な強さを持った安定的な圧を作り与えられる利用価値の高さと、
力点で大きく動かして表現した内容が、精密に作用点の動きに転じてリリースの精度をあげられ、
危険も回避することができるメリットがあります。
このてこによる手では解けないほどの骨化が進んだといってしまいたくなるような組織に対しても
十分な負けないパワーを持って対抗できるという点も重要ですが、
それ以上に、圧をかけるときの押し引きの操作が逆転するため、そこの感覚を慣らす訓練は必須なものの、
これほど絶妙にイメージ通りに想定したままの絵を描くことができるなんて!
という様子のことが可能となります。
おそらくこの度のお客様の激痛、、、そこは、まったく私の未熟なゆえの痛さが私が想定した範囲を超えたものだった点は、
反省すべきだと痛感しております。
ですがその激痛が隠されていた部位は深部の芯に根付いたもので、
手掌では触れ切れることがなかったところでした。
すでにかなり多くの回数、丁寧過ぎるほど丁寧に、時間、労力、すべてをつぎ込んでのセッションをしてきたので。
そして昨今、棒状かっさを使ったてこをいかしたリリース。
こちらをマルマ療法にもちいるとどういったメリットがあるかを調べるため、
自分自身にてこを使った圧をかけようとして練習はしています。。。
が、自分自身に向かって梃子をかける圧を作るのって、、、
人間の手の構造上、自分の脚部や腹部には可能ですが、他はほぼ無理のような気がしております。
かなり工夫しても、うまくいかず。
そこのところは、おそらくマルマに棒状かっさを使った梃子は、興味深いと思うのですが。
なかなか研究が進まないで困ってるところです。
ただカクシャダラー・マルマは、自分にもできた部分で、どんな人体の反応が起こるかとか、どれほどの強さで肋骨の部位に当たり損傷させるかなどの強さ具合は確認して、要領がわかったのでお客様にもちいたのですが。
循環器の様子に問題があられる方の場合、なんらかこの部位に即した特別な緊縮が炎症を強くともなった形で持っているのかもしれないと推測いたしました。
あまり他の先生がなさってないことをやろうというのは、
難しさもあります。
同時に、現状の壁を突破できる力として、結果が見えてくることもあります。
ただ、棒状かっさを使った梃子でてこ圧をかけるときに、初手では軽擦にとどめおいて様子を見たほうがいい場合があると感じました。
重ね重ね、そのお客様には痛い思いをさせてしまい恐縮いたしております。
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