2022年02月07日

髪のチェックから見えてくるもの(髪の望診) バイアスがかかって勘違いする言葉のやり取りより、言葉なき情報の獲得ができてうその少ない望診。それは施術に役立つものです!

このブログをお読みいただきたい方:

■ 中医学の四診のなかの望診を学んでいる方

■ 円形脱毛症が気になる方



中医学診断のひとつにあげられる望診。

望み見ることで診断をするという方法です。

舌診という舌をみせていただいてチェックするのも望診の一項目とされます。



四診のなかで、望診は唯一、街中のフィールドワークトレーニングに適しております。



たとえば、望診のなかのチェック項目のひとつ、頭髪の望診を頭に叩き込んでから街に出て実践トレーニングをはじめます。


先日のこと。。。

寒さも厳しい日に武蔵小山駅周辺を歩いていたら、
薄着でさっそうと歩く10代後半ほどの若い男性を見かけました。


「おっ、靴下なしの素足でスニーカーで、トレパンの裾を膝までたくし上げてる。元気!」


そう思いました。
どのような人物であろうかと、
少し顔をよく見ようと観察してみました。


スタイルもよく特段の病の相は見て取れません。


ですが一点、気になったところがありました。

彼が私の横を通り過ぎたとき、彼の後頭部を観ることになったのです。
髪はしっかりくしで全体的に整えられてみえていましたが、
するとつむじの右横に500円玉の大きさまでなった「円形脱毛」が確認できました。

emmlei.png
まずは選択肢の項目を思い出します。

頭髪の望診には、
どのようなときにおきるのでしょうか。
脱毛原因と推測される選択の5本の枝。
そちらを私の頭に浮かべます。


すると、、、。
(中国語的な熟語が多くて申し訳ないです!さらっと読み飛ばしてください)

(1)臓腑弁証でいう心熱、心火にかかわる証(突発性円形脱毛症)

(2)臓腑弁証でいう肝陰虚証、腎陰虚証

(3)臓腑弁証でいう脾虚証

(4)おけつ証(慢性円形脱毛症)

(5)かつての外傷による傷ののこり




次のステップ


5つのなかからどれかに絞る過程です。


円形脱毛となった部位以外は、髪に勢いがある。
頭頂の薄さや両額角からの薄さなどはみえない。

もし頭頂の薄さや両額角からの薄さがあり頭髪が油状の光沢があり、フケがおおくなって脱毛したなら、
髪は血のあまりでできるものとされ、肝腎陰虚。
精血が不足して脱毛しているとされる。
ちなみに腎は水をつかさどって、老廃物をおしっこにして排泄するときに関与しています。
そして脂質代謝と相互に関連があり、腎機能が衰えていると皮脂の分泌が多くなるような異常がみえてきます。

といった傾向はなさそう。

頭髪はじゃっかん細く柔らかめであったが、乾燥気味でつやがないわけではない。頭全体は頭髪の量はあった。
これにより※気血生化の失調により気血が生産されていないわけじゃない。

※気血生化とは次のような脾の特徴を指します。
脾は生命活動を維持に必要な運化水穀作用によって、飲食物から得た栄養物質を人体に必要な気・血・津液に作り変えます。



そうやって中医学でいう頭髪の脱毛原因といえそうな選択の5本の枝を、ひとつずつ折って2本は除外することができました。




あとは私も以前に患った突発性円形脱毛症か、慢性的な円形脱毛症の2本の枝が残ります。

そのひとつ。
突発性円形脱毛症は、精神的刺激などによりココロがかき乱されて、心火が盛んになって体内に無駄な熱がこもって抜けなくなり肌や頭髪の状態が維持できなくなった状態です。


そのふたつ。
慢性化した円形脱毛症は、精神的刺激で気滞血おが生じていたことや、他の原因で血が停滞。血行が悪くなって局所的に新しい血が循環できずに頭髪づくりの栄養が切れて脱毛する状態です。



最後に忘れてはならないが、中医学での証にはあたらない(例外)があります。
円形脱毛した部位に傷を負ったことにより毛髪が生えなくなった場合も考えられます。



5本の選択肢から2つが除外できたのです。
それ以上を調べたければ、本人に、かつての負傷部位ではないのか、または慢性的な状態か突発性かをお伺いすれば、判断するためのデータがそろったため、
それぞれの場合に対してエビデンスといえるような有効な手を打つことができます。




選択肢をリストアップする段階で。
どのような原因で円形脱毛が起きているかの項目がでそろわないうちに、
施術の手を付けても、偶然に改善の道をいく可能性はゼロではないですが、
コンスタントに成績を稼ぐことができないこともあるでしょう。


選択肢から除外していい項目を判断する段階で、
各項目の内容を一定の深さで理解がなされることが必要となります。
あとは望診のみにより、正確な情報がすべてそろうことも少なくて、
望診以外の四診の項にあたる 聞診・ 問診・ 切診といった、
質問させていただいたり、触れて情報を集めるなどすることが必要。

そういった四診で集めた情報を総合判断して証をだすのはわかるが、
望診は意外に役立つんです。
問診のようなお客様とのコミュニケーションで勘違いや言葉の表現の違いなどでバイアスがかかるようなこともありません。
問診中はわかったような気になってきいていても、
相互のイメージした内容が違っていたり、
教えてほしい内容が十分伝えきれなかったり。
意外なほど勘違いを生み出すことがあります。

それが望診という言葉なき情報の獲得が可能。
ここ、実は想像以上に大事なんです。


posted by スズキ at 15:02| Comment(0) | 中医学診断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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