先月の施術のときからも、左肩の挙上が痛みによりつらくなっているというお客様。
お忙しくハードな仕事をなさっておられるお客様です。
それがもとで何らかの左腕の引手を強くし続けて凝りの状態が仕事後にも継続し、それが長期化して耐えていたのでしょう。
先だってもベン石の温熱器やオステオパシーやカイロプラクティックの手技を用いて、
課題となる患部やその患部に関連する部位に対してアプローチをおこないました。
広く多様な手技を学ぶものですが、特に肩の挙上のしづらさなどは頻出する症例です。
そうなると高いレベルまで対応できるように訓練し経験値も積まれています。
ですが問題の癒着部の根が、深部まで進み過ぎると対処が難しくなってくるのです。
肩甲骨の真裏や上部肋骨へとすでに貼りついて固定しており、
腋下の神経がいくつも外へとはじき出されてしまう状態です。
こういった腋下の神経がピーンと皮膚の表面から緊張して張り出すような状態で無理して動かせばどうなるでしょう。
シンプルな結果ですが、腋下の橈骨側のラインにつながる神経は物理的にすでに状態悪く弱化していますから、
ムリをしすぎたならば損傷しかねない。
動かしていくことでほどけるような四十肩と、動かして過剰な負担を強いたら悪化するものとがあり注意が必要です。
【 腋下のリリースについて 】
腕を持って動きによりリリースを加える
オステオパシーのマッスルエナジーの手技と、
オステオパシーのカウンターストレインなど。
安全で効果的な手技がありますので、
私がこのような対処をするときにはまっさきに施すものです。
ただ上部肋骨部の肋間筋が緊張委縮しており、肩関節の関節の間が詰まり固定しているとき、その他の問題があれば、
そちらを丁寧に正常化させる手順を先行して対応しておかなければ成果は薄いのです。。
これらほとんどは炎症があるなら触られれば、たとえ弱く触られただけでも激痛を感じるような部位です。
そしてその部位の扱い方を知らないままさわるなら容易に腫れ上がり、状態悪化が促進されるものとなります。。
そういった危険があるところは、誰もが本能で触りたくないというストッパーがかかっていますので、
積極的な対処を自らすることができず、徐々にかまたは加速度的にそのような場は悪化が進むのです。
それもまたお客様自身が、深く奥まで自分でそれらの部位をリリースしようとはしづらいものとなっているわけです。
あと注目しておかなければならないことは、
腋下の形状は複雑な起伏があるということ。
圧をかけるようなマッサージ等でも難易度が非常に高い部位と言えるでしょう。
たとえばこのような場所を小型スティック状のベン石温熱機で加熱して凝り部分をゆるい状態にします。
ベン石の温灸器としてのパワフルさは科学的なデータで検証されており、その力を最大限に引き出します。
そして超音波と加熱により痛覚を抑えることで施術を進めることができるわけです。
昨日のお客様の施術について、話を元に戻しましょう。
ベン石温熱機を温灸器として90秒から180秒ほど適温で熱して当てることで、
この段階でリリースが完了する方も多いわけですが、
患部の状態が混乱し複雑化しすぎていれば改善していく量は多くとも、
これでは納得できないという残りがでてくるわけです。
そういった複雑な難しい芯の凝りが残ったところは、それが自動的に治癒までいくようにはなりづらいようです。
ときに勝手に治ったという人がいても、それは痛まないよう逃げる動き方を無意識に学び対処するようになった、
というだけのことが多く、そうした状況でも凝りの状態は進行して圧痕のような根がさらに張っていっています。
やっかいな、非常にやっかいなものです。。。
どのように対処すればいいのだろう。
こちらのお客様に、
4週間後にこちらのお客様から次回の施術予約をいただいておりました。
私が、このようなやっかいさがはびこっている状態だとわかったため、
私から次回の予約を少し早めにいれてくれませんかとお願いされたかたはいないと思いますが。。。
元々、ボディワイズでは次の施術のご予約を、施術終わりのときに頂戴する習慣が皆無なのでして。^-^;
予約をいただけたらありがたいというのも、だいぶ、勇気のいることでした。
大変ありがたいことに、こころよくご予約をいただき、
私はそれまでに具体的な対応できるやり方を見つけ出す課題が得られたのです。
自分が急性副鼻腔炎にて、施術のとき以外は、ひたすら横になっていたりセルフリリースをしていたときで、
なかなか思うようにアイデアがまとまらない。
副鼻腔炎にて呼吸が浅くなり思考を深めたりまとめるための神社仏閣への転地することができなかったので。
思うほど集中ができなくて、身体はぐでっとしながらも頭の中では相当にあせりました。。
刻々と次回のご予約までのときが迫ってきます。
通常は、第一案、第二案、第三案というように、
複数の対策案を作成して臨機応変に施すのです。。
そのようなことができて切れ味がいい成果を普通の顔でさっさとやり遂げているのです。
前回はベン石温熱機をエフェクティブに、通常ならなされない複数本の温熱器を同時に特攻経穴といわれるような対処に優れた部位に当て、
凝り固まって代謝が阻害された患部の「寒」を改善し、
注熱の量により神経の緊張がほどいて筋肉の凝りをほどいていきました。
とにかく、別のものとは違う人体にマッチした施術道具だからできることを、
私の持つ経験上の知恵をフルに活かして対応したのです。
ただ前回の施術で徹底しておこなったことの同じ事を繰り返すのは歓迎できません。
そうすることで、たぶん、解き進めることの幅は増すでしょうが、三歩進んで二歩下がる。
難易度が非常に高い場合はそれでも仕方がないところがありますが、
お客様がなさっておられる仕事のハードなペースを私が把握していますので。
俯瞰して中途に解けた場合は、その解けた緩んだ部分を強力な緊張で再度固められてしまう恐れがあるのです。
特に腋下の神経の張りだしが一本ならまだしも、4枝にもなっているなら腕のそこから遠位の神経が把握すべき部位は、
おおよそ正常に機能しづらい状態に陥っておりまして。。。
そういったときは「これは黙っていたら、無意識かつ無条件に固めるだろう」と判断すべき条件があるわけです。
そこで新たな手がないかを、考えていたんです。
副鼻腔炎ダメージにあえぎつつも枕元にメモ帳とペンを置いて出てきたアイデアを30ほど書き出していました。
いつもなら出てきたパッションをともなうアイデアは、メモしなくても頭に焼き付いて消えはしないのですが、
休息が必要な状態ではそうはいかないものです。
そして早い話、ベン石温熱機とゼロプロマッサーを効果的にもちいることで、深層に潜り切った患部の快方に向かうようにアイデアをまとめていきました。
ベン石の温熱器の加熱とゼロプロマッサーの振動を交互に加える。
我ながらよく思いついた。
想定した結果は十分叩き出すことができました。
複雑に断層化した筋膜が歪曲しながら癒着をしています。
ベン石温熱機をかけるだけでは、その部位のかたまった患部への熱刺激は入りづらい。
ダイナミックな刺激というより温灸のようなじわりと90秒で3センチかそれ以上の奥へと熱を運べるものの、
熱しただけでは絡み切ったほどけづらい筋膜を持った筋繊維の群れは変化に乏しいと思えたのです。
そこでゼロプロマッサーという刺激圧を巧みに可変させることができる機器を使い、
患部の芯に対して振動をあたえて揺さぶりをかけるというやり方を考え付きました。
腋下の炎症が進んで軽く摘ままれても激痛で悲鳴がでる状態ですし、
そのことはお客様自身は他者に触られてはじめて認識できるのですが、
そういったところにもちろんゼロプロマッサーでズドドドドッと振幅する振動圧かけられれば痛みに悲鳴がでます。
たとえばそれは腫れあがった打撲部を、バンバンと叩かれたらたまったもんじゃありません。
それに耐えられないのは当たり前のことです。
なのでゼロプロマッサーをかける手前の段階でベン石温熱機で加熱して緊張した神経をすんなり落ち着かせる超音波を効かせるのです。
それからゼロプロマッサーをかけたら、案の定、無痛化したわけではないのですが、
お客様にとって痛みに耐えられる状態にゼロプロマッサーの炎症か所への刺激振動の負担が減りました。
そしてゼロプロマッサーをかけるすぐ横にお客様の身体にベン石温熱機を当て続ける。
ベン石温熱機を当てて温灸効果で患部が緩んだところにゼロプロマッサーの刺激でダイナミックに凝りの根が揺さぶられ複雑に絡まったものがほどけだしていきます!
以前からベン石温熱機を使った施術は、他の石や施術グッズを用いたときと比べて痛み具合が激減することを熟知していましたから、
そのような性質を有効に引き出して使い倒したわけです。
そうしてお客様の腋下の奥の奥まで絡まって硬結の根が出ているポイントをさぐりほどき、
一定量解けたら手の挙上をお願いして状態の確認をしながら、
さらに、さらに、状態の改善を上乗せしていきました。
通常の知られたリリースポイントだけでも胸鎖関節や鎖骨下、肩鎖関節周囲、烏口突起下の癒着、三角筋深部の骨化等々、数えればだいぶあるのですが。
肩甲骨と肋骨の間の癒着と大円筋・小円筋と肩甲挙筋と後部斜角筋と僧帽筋の癒着といった、
手先では物理的に触りえない箇所がぎっちりへばりついていての状態です。
そうなるとベン石温熱機を使っての熱刺激だけでは、その部位の形状が起伏が激しく密着が困難ですし、
熱刺激が届くよりもさらに先が骨のように固まっているので。
それで前回の私のお客様への施術では癒着の激しい深部が取り切れなかったのです。
だったらベン石温熱機を使って圧をかけて振動させていけばというアイデアも出るが、
腋下という非常に狭く起伏ある患部ではそのような圧はかけられないし、
単純に想像していただければわかるでしょうがベン石という硬度の強い石をガンガンと振動とともに炎症部位に押し当てられたくはない。
間違いなく、硬化度の高い石と凝りが当たれば激痛になるんでできない。
それがゼロプロマッサーの場合、身体に触れる部分は【ゴム製】なので、当たりがソフトに抑えられています。
ベン石温熱機で下処理しなければ、ソフトに抑えられたとしても激痛で絶対に耐えられないものです。
通常なら腋下の奥の奥などは激痛過ぎてリリースすることなど不可能です。
私が、この状態で他動的にムリな操作を受けたら一生恨みます。ちょっとしたトラウマどころの話じゃない激痛です。
それはこの部位が手や首のほうへわたる神経や血管、それに心臓を取り囲む肋骨部といった命にも係わる部位であり、
ムチャなことをさせて大変なことが起きないようにするために本能的に仕込まれた急所だからです。
それもベン石温熱機の下処理が済んだら、ゴム製のヘッドでの刺激は、明らかに患部にやさしい。
もちろん症状の起きている背景を時系列で想定して、凝りの起きた状態を具体的に見て、凝りの層状ミルフィーユを見いだせていなければ、
どんなステキな施術の補助道具を持っていてもそれは無意味なことでしかないのですが。
それを見抜いて、それに対しての最適な施術用具があれば、素晴らしい成果が得られますね。
ただ、施術用具も単品では不十分で、
複数の施術用具を有意味的につなげて絶妙な連携をさせたときに、
あらたな可能性が開けるのだ。
そういう、一歩、重要な前進ができたと思います。
実際は処々の想像していない事態もおきて対策を打つときに、副鼻腔炎にあえぐ自分の身を用いて繰り返し研究したわけで。
それでラフなアイデアから詰め将棋の詰めを容赦なく行うことで、ああなればこうするといった想定の手をつくして駆け上れたわけです。
そのときのリアルな状況は、痛く悲惨なシーンの連続で決して他人には見られたくないものでありましたが、
これもまた私にとって、内科系の疾患に身を置いたことにより健康への考えを深めるいい教訓となりました。
私の11月の時期は、
お恥ずかしいことですが、私自身が患者で、内科的な症状の発症から自身でそれを変える手を手探りで追究し続けていました。
そこでもかなり難易度の高い適切に効果が絶対にでるはずと腑に落ちるところまで自分の状態を診て、試行錯誤をしつつ変えてきました。
それと同時並行で、試行錯誤をしてきた4週間かけての課題でして。
課題と言えば聞こえがいいですが、お客様に次回の予約を一ヶ月以内にといったお願いをして自分に宿題を課したのです。
それもあって昨日の施術後に、お客様の腕の挙上状態は大きく改善変化しておられる状態を確認することができました。
腋下の異常な神経の張り出しも消えていて、これならお客様自身が肩を回して可動を促したり、
セルフリリースのため腋下を適宜マッサージするようにしても問題はない。
役目をはたすことができ、ほっとしてます。
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