「手足の筋力は非力だから、力むのです。体幹をつかって手足を最大限活用しなさい」という理論。
手の肘から先や足の膝から先を使いこなすのは「難易度が高い」のです。
肘や膝が微塵でも力む体制であれば、
曲がったり、詰まったり、動き回ったり。
たとえばそのときは、
腕を前ならえ状態で前に出してもらい、
手首当たりを下方に向けて圧すると三角筋という屈筋がガチガチになってしまう方がおられます。
すると力を外に向かって発することはできない状態になってしまいます。
それは外に向かって力を出そうとしても、
自分の体の中に力が返ってきてしまっています。
そうなると非力です。
すると腕であれば肩や肩関節が負担がかかってその関節を取り巻く靭帯や筋肉がダメージを受けます。
首にも多大な負担が生じますね。
その腕の操作をしているならば、
施術を受けてもなかなか改善できないという人も出てきてしまうほど、
この腕の操作の仕方がうまくなければ自ら腕を使い生活する中で肩や首を緊張させ、
該当する関節や筋肉のダメージを蓄積させ続けるのです。
だったら肘からもう少しだけ肩に近い部位を圧し、
ちょっと上に腕を持ち上げてくださいというと、
強力な力をおおかたの方は発揮できるようです。
これは「肩甲骨が自然に動き出して背中側の大きな筋肉群が連動して機能」した結果です。
体幹を支える筋肉群と腕が連動したときには、
腕の非力な筋群に頼ることがなくなります。
そうか、、、肘から先は非力で使えないのか、、、。
ざんねん!!
と諦めてしまうのも、潔すぎます。
ただ肘から先の手首あたりや手のひらでも力を発揮させたいというのが、
普通の感覚を持った方の発想でしょう。
肘関節、手首関節の腕の骨部を腱の操作で、
さらに強力な力を発揮することもできるのです。
合気柔術などで技を使う際に、それを用いることがあります。
その技を受けると、
予想外の力の厚みを受けたとき、一瞬にして相手は抵抗を手放して「えっ、それって、なに?」と、
聞き耳を立てるというモードへと反応を起こしてしまうのです。
その同調作用を生み出してからであれば、たやすく相手がこちらの動きの指定に付き従ってくれる。
そのような、周囲で見ているとへんてこな操作がそのときに起こる時も。。。
そこにはけっこう高度な技があり、日夜の修練と練磨がなければ悟れないと思います。
動きのノウハウを先生に教えていただいても、それを身につけるのは自分ですし、
自分が先生が何を意図して動きの注意点を教えてくれているのかを解らなければ、
迷宮に落とし込まれたまま、出て来れなくなるような気がしてなりません。
足でも同様な作用があります。
たとえば、仰向けになっていただいて、
膝から上の部分で操作する感じで足をあげてもらうときと、
膝から下の部分(たとえば足首や足先)部分で操作する感じで足を上げてもらうとき。
第三者が膝下に少し強めの庄をかけられて、それを持ち上げようとするとなかなか持ち上がらない人が多いのです。
それが第三者により膝上に手を置いて圧されると、
相手の手をはねのけて脚が持ち上げられるのです。
そのときに観察をすれば、膝下に意識を置いて持ち上げようとすると、
足の大腿直筋のようなすねの前側の筋肉が使われています。
そして鼠径部あたりが窮屈に詰まりを感じさせられる状態に追いやられ、
足を持ち上げることを拒んでいるのです。
それが膝上に手を置いて、そこを持ち上げようとする意識をしたときは、
骨盤の一部の腸骨から動きがはじまり、ハムストリングや背中の筋肉群といった伸ばして使うとパワーが出る筋肉が働いてくれる。
その筋肉郡のパワーは、数百キロも容易に持ち上げる潜在能力を秘めたものですから、
相手の手の庄が30キロ程度なら簡単にはじき飛ばせるのが道理です。
そのような脚部の操作の要点があります。
ただそのような実験をしてみたとしても、
頭の中ではなるほどとつぶやいてみたが、
肘の使い方や膝の使い方を示唆するヒントは配ることができても、
なかなかそれをきっかけに奥へと自力で踏み入って身体的な動きの再プログラミングが起きるまではいたらないこともあります。
以前から自分がどのような手足の使い方をしているのかを客観視する必要もあります。
そしてたとえば合気柔術ならば先生が与えてくれた動きの所作の型を学ぶ上で、
なぜ、そのような操作をすることになるのかという知的な肉付けをしていかなければなりません。
その知的肉付けをしようとしなければ、
ヒントは胸にとどまり刺さり続けることなく流れてしまい、
忘れ去られてしまうでしょう。
そうなればいつもと同様な運動操作のしかたを繰り返すのみです。
一番重要なのは、
自分の頭で思考を深めるプロセスなのです。
「どうしてそうなるのか?」という課題の発見ができる人は、幸いです。
その観察は、やがて、ほかの部位の観察へと視野が広がったときに知的観察眼は層を積み上げて、
直感を持って最適化された回答を与えてくれるようになるでしょう。
「どうやったらそうできるのか?」
とは、知的観察のストックが貯まりだしたときに、
勝手に生み出されるだけのものだと、私は感じます。
お客様の中には、
常に前向きに自問自答を繰り返される方がおられまして、
長年かけていくつものブレイクスルーを起こす発見をし、
着々と成長を積み重ねる人もおられます。
身体操作に関しての自問自答とは、
自分の日頃の行いを振り返ってそこから実地で学び教訓を得ることのできる人です。
そしてそこからひらめきを得るためのプロセスです。
たとえ合気道の先達や先輩や先生がおられたとしても、
彼らがその技術を生み出す前までは、
私たちと同様な自問自答を繰り返し、
多様な研究課題の設定から発見を蓄積なさったことでしょう。
私は、基本的に人の身体的素養として備えられた力は絶大なものであり、
その絶大さは誰もが持つもの。
その視点で能力には、決定的な差などないと思います。
たとえ身体の一部が多大なダメージを蓄積していても、
疾患があったとしても、です。
そのようなつらい状態であったとしても必ず内側には、
いまも目覚めることを期待してやまない能力や機能が寝たままであって、
覚醒を待っている人が、そこにいるのです。
覚醒して、すごくなる人が、いま、私の目の前に居るんです!!!
つまるところ自問自答で微塵の知の力の血を蓄積して気づきが増やせれば覚醒するはずでしょう。
人とは、そういう存在です。
私の尊敬する尼僧の方が認知症となられて、
そのような自問自答はできるものではなく、
非常にシビアなご家族の方々の生活状況を聴くときなど。
誰もが100%、
自問で自動に高みに押し上げられるのは容易ではなく困難さがあることもわかります。。。
そう思い知るときもあります。。
私が申し上げたいのは、
いま、このブログをお読みいただいている方が、
身体操作について自問自答やフィードバックを得ようという習慣を受け入れていただければと切望しているということです。
少しだけでももちろんOKですので、ぜひ!!
私の信念として、
自問自答をして、自分を高みにステップアップさせるか、そうはしないか。
人は身体機能のルールを紐解かれて成長の喜びをいったん知ってしまえば、
自分の体を管理する、よき管理人となろうと務めるようになるのでしょう。
そのようになれる存在では、誰でもがあるのです。
ちなみに、、、。
私の母に、とある高齢者にもやさしい身体訓練法を教えてくれる講座が近くで開かれており、
そちらにいってみるようにアドバイスをさせていただきました。
現在、まだまだ体調がすぐれてはおらない健康面では弱気な気分モードでいる母ですから、
以前の元気なときは120%断っていただろうところにも通いだしました。
というのも、以前に、行ってみたら?というと、
ばっさりと「忙しいからいけないわね〜」とのお返事でしたから。
体の状態を現状を脱して脱皮したいという熱望の機が熟したのが、
からだのつらくなってしまった、今のことなのでしょう…
息子としては早めにやれば賢明だよといっても、
その言葉に真剣さが足らなかったということでしょう。
自分へ対しての不甲斐なさや一抹の悲しさを覚えるところです。
実際にその講座に一度、母がお邪魔させていただいてのこと。
なかなか奥の深いもので、初回の講座を受けてみて「?・・・?」という、
その体験の流れから自問自答を深めるまでにはいたらないようでした。
私はいま、なにをしているのか?
私はいま、なにがたのしいのか?
そしてこれでなにがよい状態へと変わっていくのか?
まったく見当がつかない様子でしたが、
でも、少しずつ通ってみようとのこと。
80代半ばからの身体訓練法の手習いです。
年齢は問題ではありません。
いつからでも初めていいのです。
ただ現状では体がつらい感覚器官がくぐもった不透明状態に陥ってから始めたものです。
そうなると身体感覚も、感度が悪くなり繊細に動きの質の善し悪しがわかりませんから。
その状態で気づきを増すのは、私であっても困難を極める状態だといわざるを得ません。。。
ですがそのような母の現状であっても、
新たな視点で自分の体と向き合ってみて身体操作の地肉を増やすことで、
やがては「自分の体はかしこいんだよ」と笑ってくれるときがくると信じています。
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