商店街を歩く人の靴をみれば、
皆様、違った靴を履いてますね。
ではベストフィットした靴を履いて街を歩く人は、
幾人おられることでしょうか。
地面との接触をする足裏の延長線上にある靴だからこそ、
靴と健康の相関は大きいといいます。
靴が自分の足に合うかどうかは大問題です。
・靴の中で滑って落ち着かない
・靴の重さが軽すぎる、重いすぎる
・ワイズが狭い、または広すぎる
・土踏まずのフットベッドの高さが自身の足裏にあわない
・ヒールの高さが高すぎて前方へ滑り落ちて外反母趾となる
そうなると、
地面に対して頭・首・胸椎・腰椎・仙椎といった脊椎の垂直性が乱れてしまう。
アライメントが崩れた状態です。
すると立位姿勢もO脚になったり、
脊椎が前後屈・左右屈(側弯)が現れ、
歩行するも非常に疲れます。
状態が悪化進行すれば足部や脚部、腰部や首といった全身に凝りを作る原因となります。
歩行時に膝で足を持ち上げざるを得ず、一歩ごとに体幹全体が前後左右斜めにブレます。
こうした靴を履かれておられれば本人も体調不良を患ってつらい。
そして施術を丁寧にしても、そうした靴を履いて帰り道を歩けば速攻で身体のバランスが崩れるのもつらい。
それではお客様にしてみても、施術を受けるために貴重な費用やお時間を投資したはずが、
十分なもとが取れた感じがしないでしょう。
そうしたこともあって、あまり勝手なことをしてはよろしくありませんが、
お客様が施術をする前に部屋で着替えをなさっているとき、
私がお客様の靴を揃えて置き直すような際に、
(靴およびインソールの形状、重さ、靴底の削れ具合)などを観させていただいております。
よほど体に合わないときのみ、
「もしかしたらいま履いておられる靴により姿勢に悪影響がでてるかもしれませんね」
と指摘させていただくことがございます。
ただ実際のところ自分にあった靴選びは、どれほど難しいことか!!
以前、フットファンクションというフットベット(インソール)の専門家が書いた本を手に入れたり、
そちらの先生の数万円以上の映像教材を手に入れて学びました。
理学療法士の先生なら直接、こうした専門家の先生のセミナーに通えるのですが、
私にはそこはできませんので、ドイツ製コンフォートシューズの店に入り浸って話を聞いて。
そしてフットベッドを制作するキットをからだはうすから買い、
自身の靴や身内の靴用のフットベッドを作成していました。
ただお客様にその技術を提供することにはハードルがあといくつか飛ぶ必要があるため、
自身の研究課題のひとつとして、いくつかの知識と経験値を高めた時点で終了しました。
フットベッド用パーツを精密に削ってお客様の足にフィットさせるには
数十万から数百万のグラインダー等で削り出さないとなりません。
簡易にDSISシリーズというフットベッドのパーツを組み合わせてというやり方もありますが、
それを実際に自作したり、または某整骨院様でフットベッドを作るところに足を運んで作成し、
1年間様子を観てカスタマイズを途中経過でお願いしつつ試用したが思ったほどの成果がえられず。
かつては私の勉強の目的もあって、
私が知り合いの同業の整体師さんに、フットベッドを材料費だけで作ってあげたこともあった。
ですがいまは、そうした熱も冷めておりまして。
他に熟練した靴職人か、
またはかつての昭和大学整形外科フットベッドを作成していただけるようなところにて
お客様が足を運ばれお世話になることがなにより。
そのような結論を得ました。
実際、このフットベッドの研究に資材費研究費一式で40万円ほど私費を投入しており、
他の施術研究との兼ね合いからこれ以上はできなかったのです。
そんなこんなで、相応の研究はしてみたものの、
先日、知人がシューズがどうしても合わなくて歩いていると疲れるし骨盤も歪みだすと訴えてきます。
じゃ以前得たフットベッドの研究成果から歩行時に左にブレたり足を置くパターンから
左右それぞれ特徴を観て土踏まずのそこを上げることとヒールカップ、
そしてエッジへブレを補正させる2〜3のパーツがあればうまくいくだろうと推察。
かつて複数枚買ったフットベッドのパーツがどうかとみたら、
使わないまま経年劣化しており腕を振るうこともままならず。
しかたなく市販のインソールを試しましょうと勧めました。
ただ最近、体の状態が鋭敏になってきた方だったため、
現状の靴のままではあまりにしんどいと訴えられます。
新たな靴を買う方向へ。
私が勧める靴はダサいといわれて却下され調査対象にもならず。
そこで近場の靴屋さんに試し履きをさせてもらって、
気に入る靴を知ることからはじめようということに。
当然のように2〜3件の靴屋さんを観て歩くつもりでいました。
ところが一軒目の靴屋で、
いろいろ試し履きしたがまぁまぁはあるが、いまいちしっくりせず。
私にも立位姿勢の骨盤の前傾度合いからのねじれ、
そして歩行時の足の運行上の乱れが目に映ります。
個人的に靴選びの難しさは嫌っていうほど体験していますから、
飛び込みで入った靴屋なら、
こんなものだと思いました。
平静とした感じです。
一通り相応なコンフォートなシューズを試し履きし終えました。
最後にたまたま私の身内が履いていたヨネックスの靴に似た靴を見つけ、
「これ、どう?」と試し履きを促す。
私の内心は、奇跡でも起こらない限り、
他の靴と同様程度のフィット感だろう。
そう考えてましたら、
試し履きした瞬間になにかのスイッチが入ったかのように、
靴を履いたときの垂直性の乱れがほぼ消えて目に映ります。
その靴を履いた瞬間、その知人の足がすらっと長く見えて、
不思議そうに眺めて私もあっけにとられていました。
え、素晴らしい景色じゃないですか!?
歩いてもらうと、左右の足のでかたが美しく等距離に足が接地され、
知人の重心位置が大腰筋の上端の付け根で安定していることがわかる。
歩幅も粒ぞろいで膝や股関節、腰に対して負担が消えているようです。
歩く様子が楽しそう。
そのヨネックスの靴にはデザイン違いで同じ型番で同じ靴のサイズの靴があり、
別の靴もそうした奇跡の履き心地だろうと当然のように思うわけですが。。。
それぞれの靴はヨネックスの卵を落として割れないインソールはまったく同じ。
デザイン違いの靴皮には厚みや伸長などの微妙な差が生じているようですが微差かと思う。
ただ実際に試し履きしたら、同型式の靴がその他大勢の靴と同様かそれより多少良い程度。
私はそれを観て、これほどの差がどこから出たかが信じられず頭が混乱しました。
確かにこうした微差が違いを出すとは伺ったことはありましたが、
眼の前でみせられては狐につままれる感じです。
靴は、同じ型番でも個体差があって、
その人にあつらえられたような靴もあって。
強運が確率的に希少な偶然を引き寄せたものなのでしょうか。
私が知人用にフットベッドをカスタマイズして用いてもらったとしても、
これほど明らかな奇跡が起こせる自信はございません。。。
知人は嬉々として、
「いままで自分が履いてきた靴って、どれひとつとして合ってなかったことがわかった!!」
とおっしゃっています。
いままで自分にあった靴を探してきた果てに得た気付きでしょう。
いままで8キロほどの散歩で疲れはてギブアップしてきたようですが、
これなら今までの疲れの半分以下で済みそう。
旅行等、よく歩くときには助かりますね。
すでに日常生活で履いてみて、そうした実感を得られているようです。
奇跡の靴は、生活をうるおし健康を約束してくれる大事なアイテム。
そうしたことを改めて感じました。
後日談として、
ヨネックスのシューズが大変気に入った知人は、
「あなたもヨネックスを履くべきだ」と自信たっぷり勧めてくれる人になりました。
私はミドリ安全の安全靴を愛用しており無骨でデザイン性皆無です。
この安全靴は試し履きせずにAmazon通販で買っていて、
実は自分にベストフィットしているとは言い難い履き心地なのです。
せめて試し履きをして靴を買うことにしよう。
そしていつか自分に合った奇跡の靴と出会えたらと切望しています。
今回はとてもいい勉強をさせていただきました。