ここ数日、人体について勉強になりました。
ひとつは【咳嗽〈がいそう〉】の人のワークです。
咳嗽とは、ごほんっごほんの《咳》のことです。
一分に5回、10回の咳が連発し止まりません。
本人も当惑しながら、激しい咳の連発です。
私がみても痛々しく、くたびれ果ててしまっておられました。
ウイルスや細菌に感染した咳ならわかりやすい。
安静に体を休め免疫力の出番。
でもそうした咳とは違うようです。
全身の熱は感じますが咳をしすぎた運動のせい、
リンパ節の熱、肝臓や腎臓部の熱はありません。
脈を見れば左と右では、
左が沈脈ですが、右が健康な平脈で正常です。
ただすこし食物摂取がしづらい影響も見えます。
ワークベッドに横たわると咳は収まるどころか徐々に激しくなり、
当人の体力消耗も著しくなっています。
食事をしたとき胃に強い違和感があり、
痛みで横になるしかないそうです。
数日続き、困っていた様子です。
先だってボウエンテクニック講習会で再学習したやり方により、
それにてだいぶ凸凹した背中の凹凸が消えて平坦になっていた。
リラックス状態に向かっているのは確か。
だが、咳嗽は一向によくならず激しく咳き込まれます。
医者に行こうも鎮静しない。
こういった臨床は、各人、症状の発生原因は異なります。
・胃の不調がある(胃の下部が下垂し平べったくなり胃内停水も)
・胸の真ん中あたりに違和感がある《本人談》
・喉を触れると扁桃の位置がずれて声帯隔膜が緊張している
・咳嗽の引き金となる横隔膜に緊張があらわれている
その他の条件を総合して考えて、
私の頭が《見える化》作業をはじめます。
直接は喉の奥にある声帯隔膜へ異常な刺激が届けられて咳をする。
でも胃と横隔膜は接し横隔膜部位に障りを起こして咳がでるので。
口、気管、肺、横隔膜、胃、という順の下に行くほど強い筋肉群。
体の前面真ん中を通るフロントライン上におかしなところがある。
そうした絵を脳内に描きつついくつかの筋膜の癒着部をリリース。
でも、なかなか正解にたどりつけず苦戦。
結果、肝臓や大腸などの裏手に隠れた右の大腰筋の上端に強い硬結化した腱部分があらわれた。
この部位はみぞおちが狭く閉じて触れることが拒まれて非常に探りづらく、
ふにゃりとした胃に覆われ、そして胆嚢等の裏手に隠れている部分でして。
大腰筋上端の硬結化した部位にたどり着いてそれを発見するまでの前段階、
その処理が大変手間がかかりました。。。
その部分をゆるめたころから、咳が半減し落ち着きを取り戻したようです。
眠りに就かれたようなのでそのまま30分ほどいてもらいました。
後日、咳は時おりでるものの日常的範囲におさまり普通に生活できているとのこと。
これは胃経の経筋や流注をイメージし見える化した図を描けましたので、
その図式を元に対応することができた例です。
正確な見える化した図を描くための素材集めに筋肉群を緩めていき、
経絡と多層化した筋膜が肌感覚で実感できたときに解が描けました。
ただ正直に言えば、絶対の確証があるようなレントゲンやCTなどの
検査機器で画像診断では映らない筋肉・腱・靭帯等の軟部組織をあつかうため、
推測や憶測のオンパレード。
少しでもお客様から考えを導くヒントをもらおうと、
結構、しつこく、
「そうなんですね、なるほど!
で、・・・他にはなにか気づいたことありませんか?」
とより多く深くお話をしていただけるよううながします。
お客様の判断で、自分の状態を表現するのには言う必要はないと考えている事柄が、
私の方につたわったとき見える化した図式のパズルが完成することがよくあります。
言う必要がないという信念を持つことを話すきっかけが偶然に訪れるのには
大変に時間がかかるときもあります。
そういうところは、いつまでたっても重要課題ですね。
で、話をもとに戻させていただきます。
激しい咳嗽の連続で体力消耗が著しい状態が長期続けば生活運営にも関わります。
〈8週間を過ぎた咳は慢性咳嗽といいます〉
あまり時間をかけることができない事案となります。
もしも私が経絡という筋肉連鎖を知る勉強をしてなければ、
脳内でお客様の状態を見える化した図が描けませんでした。
「申し訳ありません。私では対処ができませんので、他へいかれたほうがいいです」
と伝えるしかなかったでしょう。
経絡の勉強を流注部分や経筋もあわせて丁寧にすることって、
ほんとうに大切だと実感している次第です。
そして私は経絡図や経絡や経穴の本も読みましたが、
私の脳では本からはさっぱり経絡線の流れる深さや位置がピンときませんでした。
正直言えば、経絡治療がつかいものにならなくて独習は無理だとあきらめてました。
本当にそんな感じで落胆するしかなかったのでした。。。
ですが〈Acupuncture Master〉という
日本語表記対応の3Dで経絡・経穴の理解を深められるアプリを使いだしてから一転。
私の頭に経絡線の通り道が体表から体内まで収まりだして、
このたびの施術でえがいた見える化した図が描けるようになってきました。
日がな一日、〈Acupuncture Master〉でぐりぐり経絡モデルを回転、拡大縮小させて眺めます。
経絡の位置があたまにスッと入って無理なくイメージでき始めた時点で、
今回の咳嗽のお客様の見える化した図が描けるようになってきたようです。
もちろん中医学の基礎知識(中医学の基礎知識って百科事典)が、
頭に収まっていて手を出せるようなことも多々あります。
経絡の応用は、そうした基礎の上に立つものです
〈Acupuncture Master〉だけ観てればOKですとは言い難いのですが。。。
ですがそうした中医学基礎知識を臨床で運用するには、
やはりこの〈Acupuncture Master〉が学習の支えとなりました。
(胃経ー人体皮膚部分を透明に表記し経筋を示す図ー)
私が〈Acupuncture Master〉で見て記憶していた図です。
胃経経筋の一部は腹部と喉までつながりがあることがわかります。
腹部の内部の引き連れる筋肉の緊張が、喉部位まで影響することがわかります。
今回は喉内部を下方に引き落とす作用をする腹部内部等にトラブルがあります。
喉や気管の問題ではないため、その部位に刺激を加えて緩めると、
さらに腹部の喉等を下方に引き下ろす力の影響が増して咳が更に酷くなります。
注意すべき点でしょう`
腹部内の喉や気管、声帯隔膜に影響する影響をとりのぞくのみで
快方いたしました。
見える化した図はプラモデルを制作するときの手順が具体的にかかれた書面のようなものです。
終着点を押さえ続けながら複雜な作業をどの手順で作って積み上げるかを割り振っていきます。
〈Acupuncture Master〉の3D図モデルの男性を、見える化する段階でベースとしてでてきます。