人は、100%の力を発揮しようとしたらダメなんです。
それはどういうことかというと、
(筋出力制限)をイメージするとわかりやすいでしょう。
人間の筋肉の力を100%出そうとすると、筋肉が悲鳴をあげることがあるんです。
筋力を100%出して、次の瞬間にその100%の限度を振り切ったとしましょう。
それは筋繊維が収縮や伸張の限度を超えたことを意味しますから、
筋繊維を非常なまで萎縮させても筋繊維は使い物にならなくなり、
筋繊維を非常なまで伸張させれば音を立ててちぎれてしまいます。
つまり筋繊維にとって非常なる危険な状態が筋出力を100%出した状態なんです。
通常、脳は筋出力を30%ほど制限をかけているため上限が70%なのです。
筋出力70%以上の発揮がなされるという状態は、
脳が筋肉を見殺しにした異常事態なんですね。
あと30%の出力が許される状態だから正常な判断下では動けるのです。
ではもし100%の力を出そうとがんばっちゃったらどうなるでしょう?
結果は筋力を70%も発揮できません。
力んでしまい力を出そうといくらがんばっても出せやしないんです。
正常な脳が作用できるようになったときは、
いくら気持ちが100%の力でやれといっても、
そもそも大事な自分の筋肉・肉体を自ら破壊させる危険を避けなさいというんです。
気持ちで100%の力を発揮してがんばろうとした瞬間、
同時に強烈なブレーキを踏んで行動の阻害をしてきます。
こうした出力抑制をして身を守る反応は筋力制限ばかりにとどまりません。
私たちが仕事に取りかかるときの想いや気持ちにも通じるといわれています。
100%の力を発揮してはいけないんです。
筋肉の筋繊維が切れたり押しつぶされたりしたときに似た耐え難い苦しみが、
いきなりおそってくることを脳は知っているため強烈なブレーキを踏みます。
つまりここでも不測の事態で振り回されて心や精神が切れることがないよう、
100%の限度手前の30%を必ず余力として用意しています。
回復力を維持して持久戦で壊れないための燃え尽きないように
身を守る防衛本能に根ざした機能として人に備えられています。
でもそうした防衛行為は脳により意識できないまま操作されて、
本人は理由がわからないままブレーキを踏まれた感じを受ける。
どういった訳で出力制限がなされてるのか状況が飲み込めない。
がんばりすぎの危険がある性癖を持つ人ほど、
そうなったとき脳はときどきいいわけを始めることがあります。
『なんか、気分が乗らない〜』
『体が動きたくないと言っているんだけど(動くと動けるから不思議!)』
などのようなブレーキの踏み方は多いようですね。
100%を求めても、どうせそれができない仕組みですし。
そもそも100%の力を出そうなんて考えちゃダメなんです。
肩が張ったりこったりとブレーキが自然にかけられるだけで、
自分で自分の行動を止めようとする精神と戦っても勝てない。
100%出せたと確信した余裕のない仕事はミスやロスが積み上げられ、
その人の実力以下の結果しか得られません。
100%の力など発揮されてないという事態に陥ります。
100%の出力を強いるのは無理があるわけですから、、、
では、そのようなときの対処法は?
だったら、
自分の体感的に70%とか60%でできることだけするんです。
『その程度の余力をたっぷり残して力を出すだけなら余裕だよね〜。』
『やりすぎ、注意。まじめばかりじゃ能がない。不真面目、最高!!!』
そう自分が感じられれば出力抑制の呪縛を抜け出してます。
または自分に対して、以下の言葉掛けでもいいでしょう。
『よく頑張り続けてきたね。でもね、もうがんばらないでいいんだよ』
肩の無駄な力がふっと抜け落ちた脱力ができた物腰からは、
かえってすばらしいパフォーマンスが発揮できるものです。
特にもともとがんばりすぎタイプの人は、
6〜7割の力が発揮しただけでも存分に高いパフォーマンスがでちゃう人が多いですね。
これは英語でよく人に言うアドバイスとして
Take it easy!
という(気楽にやりなよ)というのにも通じているのでしょう。
きまじめな日本人同士では(がんばってください!)という応援側になって、
プレッシャーをかけがちなのかもしれませんね。
蛇足ですが、注意が必要なのは。
(がんばりすぎの危険がある性癖を持つ人)ではなくて(やる気や気合いが足らない)人が、
『やりすぎ、注意。不真面目、最高!』といった場合。
温和な目で
『確かにそうだね。
でもね君の潜在するすばらしいパフォーマンスを大衆が期待してますよ』とかなんとか。
どうにかいい点を見いだして、そこを増やすよう言葉を重ねるなどして。
70%の出力抑制ぎりぎりまで押し上げる圧を送れたら送るのもいいでしょう。
そうでもなければ仕事に気合いが足らないとどうなるかを学ぼうとしている人だと、
温かい目で接してあげましょう。