睡眠障害がでてくると、じりじりと体力が枯渇してきて気分がめげるものです。
最近は4時半にもなれば空が白んできますから、寝付く前に明るくなってしまったと気も焦ります。
そんなときの筋肉上のサインとしていくつか代表的なものをあげますね。
基本は背中に位置する
脊柱起立筋群(首の付根から仙骨の上まで伸びる背骨の両サイドにある長い背中の筋肉)
に過緊張のまま緩まない筋肉があるため、
交感神経のスイッチが寝る時間になってもOFFにできない興奮状態があるとき。
それは起立筋の硬さが強い場所をみるけることでもわかりますし、
指で棘突起の並びが不連続になった状態をつまむようにしてチェックしてもわかります。
そのときのファーストステップは、起立筋の全体を仙腸関節のリリースから丁寧にしていく。
仙腸関節のリリースをしないで起立筋を緩めても、すぐに先程までのコリが戻りますから、
長く改善状態を維持させるには仙腸関節の調整が必須なんですね。
それから起立筋群全体の1側線・2側線・3側線のコリの位置と深さを調べます。
・1側線(背骨すぐそばに沿った起立筋のライン)のコリを調べる
・2側線(背骨から1〜3センチ外方に沿った起立筋のライン)のコリを調べる
・3側線(背骨から4〜5センチ外方に沿った起立筋のライン)のコリを調べる
起立筋を、上下を貫く3本の筋肉のラインに分け、精密に状態を把握して緩めます。
1〜3側線ごとに、コリが出ればどのような内科的兆候が現れるかの別があります。
1側線は、細いワイヤーのような強さで数個の椎骨をまとめて支えるものになり、
2側線は、深部まで続く深いコリが侵入する。
3側線は、外方へ薄く広がりながら肋骨の拡張収縮の可動を制限し呼吸の質を落とします。
びっくりしたりすると興奮して背中の毛が総毛立つような状態になりますが、
それはこうした起立筋群の1〜3側線が緊張するということで反射で現れることです。
そのような状態に筋肉の筋緊張が追い込まれれば、熟睡が難しくなるのです。
このような場合、状態として数日前に過剰に背中を使いすぎただけでなったような
慢性化まではしていないようなら、
ランブルローラーのような運動器具を用いて起立筋群を緩めるエクササイズをこまめにするとよいでしょう。
数ヶ月も背中のコリを育ててしまい、2側線が深々と根を張った状態になると、
トリガーポイントといっていくつもの筋肉が一点か面で癒着する箇所が現れます。
これができるとランブルローラーで全体をローラーをかけるようにゆるめるだけでは改善が不十分。
ピンポイントのここだ!というトリガーポイントを見つけ出して、そこに複雑にからむ癒着を解除しなければなりません。
そうなると背中といった本人では手や眼で患部を認知しづらい部位でもあるため、
施術をする先生などに手助けをしていただくことも有効だろうと思います。
それかまたは遠赤外線サウナなどに入って患部を緩めてからランブルローラーのような運動器具で
患部の深部を刺激するという手もあります。
つまりいくつかのリリース方法を有機的に組み合わせて成果を引き出すことができるので、
そういった工夫をするのもよいでしょう。
ただ、なかにはこうした起立筋がユルユルにはなったが、
まだ寝ても疲れが取れないし、寝付きが悪いときもあります。
そうした場合、肺(呼吸)に関連する筋群として烏口腕筋、三角筋、前鋸筋や、
呼吸障害を起こす腹直筋や内腹斜筋・外腹斜筋・腹横筋に問題がある場合も。
これらの筋肉の状態の良し悪しをちゃんとチェックし問題あれば対処しましょう。
どれひとつとして取りこぼしてはなりません。
手抜き、厳禁です!
特に3〜5長時間にも渡る集中し緊張したデスクワークをすれば、
肩が自然に前方に巻き込むような位置で固定されるようになります。
そうなると『烏口腕筋』という筋がすでに内部で恒常的な萎縮状態を続けるよう固まり、
この筋が筋緊張を起こしたままでは眠りが必ず浅くなるか寝付けなくなるのです。
それは生理的現象としてあらわれることですから、知っていればそれを緩めることができますが、
知らなければこの部位のリリースに手を出さずに不眠状態が続くおそれがあります。
不眠症っぽいなと感じたら『烏口腕筋』。
私が施術をする際も、
お客様から不眠傾向が出て困ったと聞けば『烏口腕筋』を診ます。
するとほぼ100%この烏口腕筋が筋張ったワイヤーのように変質しているのです。
つまり烏口腕筋が緊張して萎縮しっぱなしの状態が続いてしまい、
筋繊維への血流が滞り栄養を失調し老廃物をためた内部の状態が筋膜の膜ばかりが残り、
筋繊維の筋組織が目減りした状態に陥っている状態なんです。
私がそれを見つけだし、軽くその筋の状態の柔軟性を調べるためにクリックすると、
わずか10g程度の圧でも痺れる感じの不快感で驚かれることもあります。
肺に関する筋群はリリースに痛みをともないやすい傾向があり、
烏口腕筋もそういった筋のひとつとなるのです。
ちなみに私の場合、ベン石温熱器等を用いることで、
リリースするときの不快感をかなり軽減して成果を上げることができるようになりました。
ベン石温熱器のようなホットストーンをもちいなかったときには、
神経に鋭くキーンとつんざくような痛みが出てしまうため、
そうした不快感を構わず解くことはできません。
当時はしっかり烏口腕筋のコリを解くことができず、
数回の施術のセッションに分割して少量ずつ緩めるしかなかったことを記憶します。
ただ少量ずつ解こうとして積んでいくも、お客様の日頃の烏口腕筋の使い方により、
コリの根があるままではすぐに元通りになるような量のコリをつけてしまうのです。
それもあってベン石温熱器を使って、その部位の深部にまで熱を注いで状態を改善させることができるようになって、
不眠を訴えられていた方が改善したようだといううれしい報告をいただくことがあります。
施術成果を定着させるために睡眠障害があれば大きな障壁になるため、
寝れる状態の身体であるかどうかについてチェックして対処するのが、
施術をするときにひとつのルーチンとして私は入れております。
烏口腕筋含め、睡眠障害の引き金になる筋群に問題があれば
お客様自身が特に訴えていなくても対処してます。
余談ですが、よく眠れるようにする対処のルーチンワークや、
頭部の血流をよくするためのルーチンワーク等々、
一回の施術の中でいくつかそのお客様が訴える主訴以外のことも、
状態をさらによくし安定を増すような底から支えるようなルーチンワークとして
定番にほどこしている内容が6つほど含めて対処しています。