2023年03月09日

仙骨変位は上下垂直から前後にねじり等々バリエーション豊かなのです

骨盤の歪みというと、腸骨のどちらか左右が下がったり前傾するなど、腸骨目線で変位を見つめることもあります。
たとえば右側腸骨の上前腸骨棘が下方移動して左右の腸骨のバランスがとれていない、などがその例です。
このパターンの骨盤のゆがみは一般的な健康関連の本にもよくイラスト付きで解説あるわけで見覚えあるでしょう。

ただ他にも骨盤のゆがみパターンはあるんです。
たとえば仙骨が上下に垂直シフトした場所で固定する変位パターンもあります。
腸骨間の仙骨の上方へ垂直方向へシフトした状態と腸骨間の仙骨の下方へ垂直方向へシフトした状態です。
Screenshot_20230304-135046~2.png

ここまでは施術系のテキスト等で見受けられるものでしょう。



ただそれにとどまらず腸骨の間にある仙骨が後方へシフトした状態と前方にシフトした状態で固定した場合もあります。
腸骨の間にある仙骨が前方かつ垂直下方にシフトしている場合、リリースが特に困難なことが多いでしょう。

その理由のひとつは、
仙骨から下にある尾骨が仙尾関節で前方へ曲げられて入り込むか、
さらに尾椎ごとにそれぞれ歪みがでてしまう。
そうした様子に陥りやすく、そうした際の尾椎はもろく骨折しやすいのです。

それだけではありません。
仙骨の骨が前方位置にシフトした場合、
その仙骨の実態把握が非常に困難となることが多いのです。
その仙骨上にある靭帯群が骨化した硬さに変質しもするし、
反対に仙骨の上にある皮膚層が虚脱軟化してぶよっとする。
いずれにせよこのようになれば仙骨の状態がどの深さにあって、
どのようなねじれとなるか上方または下方のシフト量はどうか?
などの正確な情報が、まったくてにはいらないといえることも。
もちろん、だいたいこんな状態だろうかという推測はできます。
ですが仙骨はいのちを失うようなリスクをもつ骨ですから、
そういった推測を信じて見切り発車で圧を不用意にかけるのは
絶対にやめるべき行為です。

仙骨が正常に位置していない割合が高いようであれば、
多くは上方下方垂直シフトや前後シフト、
それにねじれや回転などの変位が複合して混じっております。
そういった変位をかなえるには多層化した複雑な癒着が折り重なった筋膜が複数あるわけで、
どれをどの順に剥がせば安全で効率的かなど推し量ることはできないでしょう。
安全確保が必須だとしても、手探りで危険のないほどほどを解くのでは、
いつまでたっても仙骨の癒着の親玉にたどり着けずに癒着の揺り戻しが置きます。
そうならないようにお客様に立ち方や歩き方の所作ノウハウを伝えて仙骨や脊椎に負荷蓄積を
避けるような使い方をお願いするものです。
とにかく仙骨変位を起こさないためにはどう所作すべきか、
という視点でお客様ご自身に協力してもらうという感じでしょう。


そういった仙骨の実態が把握できないとき、
私「もし、骨盤部分のレントゲンとかCTとかあったら見せて!」
とお願いすること、多々、あります。

実は、最近は大型木製カッサで骨盤部のリリースがテコ入れできたお陰で
こういったお願いをすることは少なくなりました。
ですがそれ以前は、ほんとうにそういった骨盤部のレントゲン等の資料が
喉から手が出るほど欲しかったんです。ほんとうに。

posted by スズキ at 15:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 施術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

仙骨が動かないと頭に悪影響って?

後頭骨と仙骨の関係性。

カイロプラクティックのSOTやオステオパシーの頭蓋仙骨治療などを学ばれた先生方には既知のことで、
せんだってコメント (http://bodywise-note.seesaa.net/article/498234820.html#comment)で
山中さんが「頭蓋骨がガチガチ固まった石頭は危ないです。脳梗塞を起こして片麻痺になった患者さんは仙骨が前傾でロックしてます。当然頭頂骨が締まりっぱなしです。」とおっしゃっておられました。
ほんとうに、そういった傾向があることが、脳梗塞を起こされた方のお体を観れば、
現象面でそのような仙骨と頭蓋骨の状態に陥っていることを観察することとなります。
脳梗塞以外にも付け足すならば、認知症になられやすい方の傾向と当てはまるという先生もおられますね。





正常な仙骨であれば、呼吸の吸う吐くのタイミングで前後に動きます。

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仙骨の上に手をおいて呼吸をしていただくことでモニターできるでしょう。
こうした仙骨の前後に動く力が原動力として活用され、
頭蓋骨内の後頭骨が仙骨の動きに同期して前後に動きます。
仙骨が前に動けば後頭骨も前に動き、
仙骨が後ろに動けば後頭骨も後ろに、という動きの規則があるのです。
頭蓋骨内の後頭骨が仙骨の動きを無視して単独で動くことはありません。
必ず仙骨の動きに連動して後頭骨が動きます。
そしてスムースに仙骨が動くことで後頭骨の動きもありますし、
骨盤を構成する仙骨ともうひとつの骨の腸骨の動きや位置を
頭蓋骨のこめかみ辺りにある側頭骨の動きが倣って動くこともあり、
それら仙骨と腸骨の動きが順調に呼吸で稼働する量に準じて、
頭蓋骨の後頭骨や側頭骨の動きが現れます。

だから仙骨に手をおいて動きの質を観れば、
その人の頭蓋骨の動き方、位置がどのようにずれているか、そのずれの量などを推測することができるのです。

仙骨が恥骨側に近づいたまま固定しているなら、後頭骨は顔の前面へと近づいたまま固定します。
仙骨がねじれていたまま固定しているならば、後頭骨も多くの場合、ねじれが生じているでしょう。
後頭骨のねじれの様子は、胸椎等でねじれが進めば仙骨と後頭骨のねじれ方は違うこともあります。
または仙骨に恥骨側に近づき同時にねじれがあれば、それらの兆候は同時に後頭骨により起きます。

脳内では脳脊髄液という液体が生成され、脊髄神経のための栄養源として使われており、
仙骨の動きにより起きる頭蓋骨の拡張収縮が起こされたときに起きるポンプの力で、
脊髄へ向けて脳脊髄液を送り流します。

頭蓋骨内の脳は、頭部の脳脊髄液の液体をたたえた特設バルーン状プールにちゃぽんと浮いたフロー構造になっています。

仙骨の動きが理想なら、順調に脳内の脳脊髄液を脊髄へ運べれば、自律神経系もしっかり動けます。

でも仙骨の動きに制限が加えられれば、頭蓋骨内の特設バルーン状プールの脳脊髄液が胴体へと送れません。
すると頭蓋骨内に脳脊髄液が理想の限度を超えてたまりだし、そのプールは脳脊髄液でパンパンになります。
そうなると脳脊髄液が脳へと圧迫の力となってギッチギチと締め付けが始まり、
脳内に入ろうとする血液を受け取りづらくしたり、脳内で生まれた排泄すべき物質が外へと運べなくなります。
こうした脳内部へ積み重なった圧迫の過剰により脳内の血管に負荷がかかることもおこります。
この状態と高血圧に加えて精神的な強烈なストレスがくわわると、脳梗塞の引き金になりやすいとみられています。
また脳内で使い終わって排泄すべき物質も、脳圧が高まって脳内に貯まればアルツハイマー型の認知症へ向かう傾向が観られるといいます。

生理学や解剖学的なベースあっての理詰めで話がほとんどなので、
そういったベースになる知識を丁寧に解説すれば誰でもなっとくの話です。
ただ、そうした傾向があるだろうということは把握しておりますが、
わたしども施術をするものは医者ではありません。
お客様から直接的にその事案について知りたいと要望がない限り、
私どもが進んでこういった仙骨の状態はこれこれのおそれが懸念されるためよくないなど、
お話することはありません。
お客様が懸念材料を羅列されて不安なこころを誇張させるのは得策ではありませんし、
そのようなことは役分ではないと考えています。


ですが山中さんのようにしっかりした施術のこころえのある先生には、
施術により得た独自の臨床による見立てもふくめて
「こういうことって、あるよね」
「そうなんだよね」OR「えっ、マジですか!?教えてくれてありがとう」
という話がでてきます。
そうした言葉掛けをしてくれるって、うれしいんですよね。

posted by スズキ at 13:16| Comment(2) | TrackBack(0) | 施術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする