2023年03月03日

足部はソッカの美術解剖学ノートで、多角的によーく観察しょう。


ハーモニー体操の先生をしている方からの会話。

『ソッカの美術解剖学ノート(書籍)を手に入れて読んでいて、〈足首〉に興味があるんだ』と言われました。
私もソッカの美術解剖学ノートは、買って手元に起き続けている解剖学上のすばらしい良書。


本書は650ページにもなる大著です。
脚や足部が解説されるのは本書の末章近くにある500ページあたり。
イラストが多数ではあっても内容が濃くあらたなる発見が目白押しの本で、
私が読み終わるまで数百時間を要し一週間まるまる費やしました。
こちらのハーモニー体操の先生も最後まで目を通したのでしょう。
ていねいにこの本を読まれているんだなと感心しました。


脚は第三種てこ、足は第二種てこで力が発揮できるシステム。

足首から下にある足の第二種てことは、
つま先が支点、中足骨の前方先端〈足指が曲がるキワの膨らみ部分〉が作用点、かかとが力点です。


Screenshot_20230303-181033~2.png


馬や猫やクマ・猿などと人間の足部を比較することで、それぞれの足部の使われ方の違いを解説し、
理解を深めるのに役立てています。

外反母趾でお困りの不都合の改善を願う方や、
バレエダンサーなど足部をきわめて繊細かつ機能的に活用する必要がある方が目を通していただくと、
理解の助けになります。

私が動きの質のよさを理解するため中国武術等の動きをともなう映像を参照するとき、
まずは地面に接する足部の動きだけに冷静に着眼し続け目で追うようにします。
脚や胴や手や首、頭部はその後です。
スローモーションで動画視聴すると細やかな足部の動きが際だって見えてきて、
足の第二種てこが操作された瞬間から把握できるタイミングがあります。
アキレス腱を利かせてかかとの力点を移動させたり固定されるのですが、
そのパフォーマンスと全身の操作が合理的に連動しているのがわかります。

私自身、じつは足部の使い方が未熟でして、
施術のときに得る足部の負担が元で右の親指に外反母趾になると困られる方と同位置にたこがでてきてきて。
ちょっとがっくりするところなんです。
自己観察を行うところでは右足部のmp関節の作用点の置き方・向ける方向が悪く、
右足首前の動きがぎくしゃくしての原因でしょう。
要するに右かかとの力点が軽すぎて不安定になっているわけで思うように動けてないんです。
右足部の内向きの度合いが高すぎて右親指の正中線に向かって内側にたこができるようになっている。
自身の足部の硬化した筋や靱帯や腱をみればそうだとわかるものの、
いったん身につけた動作の悪癖は容易には拭いづらいものです。。。


右利きのものは右かかとの力点が浮いて右つま先側を支点かつ力点でもあるかのような状態になることでてこの効きが悪くなる。
左利きでは上述の右利きの逆のことが起きて左足のてこが効きが悪くなると理解してください。


これほど懇切丁寧にイラストを駆使して解説してくれる本はめずらしいというか希有な本でしょう。
私も、本書の足部のページをもっとしっかり読み込んで考察を重ねて自己復活できるようがんばりたいと思います。


posted by スズキ at 18:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 体の使い方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

自転車にぶつけられたことによる被害にあわれ転倒したときの作用、その後、継続し続けてしまったプロテクター筋が引き起こした不具合について

こんにちは。
ボディワイズの鈴木です。

数日前の施術でのこと。

詳細は申し伝えることは控えさせていただきますが、
お客様が自転車を運転中、スマートフォンをみながら自転車を高速運転していた少年に追突されたといわれます。
お客様は転倒により左側の膝や肩を強打され、そのときの打ち身による腫れはひどいものだったそうです。
それは今回の施術をお受けいただく3週間前のことです。
お客様は事故後にすぐ施術を受けようかと思ったが、現状の腫れでは施術ができないだろうと考慮し、
腫れが引くまで待ってお越しいただけたといわれます。

現状、お客様が感じられる問題は、体の右半身に強い痛みが点在して階段を上下するのもきついといいます。
右腰が痛い、右膝が痛い、右肩が張りが強く感じる。。。

施術前のチェックをさせていただくと、左右の鎖骨の高さがだいぶ異なっておられます。
そのことからも身体上の強烈なアンバランスが左右屈として内在した状態であることがわかります。

そうした硬さがある部位は、お客様には意外と感じられたようですが、右側の痛みを感じた腰や肩や膝ではありませんでした。
むしろ強く感じた右側半身はさほどの筋硬化は起きておらず、本来のお客様の体質のままの柔軟性が高い状態でした。

対して、打ち身になったところの腫れは左側半身に点在していたのですが、
そうした左側は腰や肩や膝などの痛みの不具合を感じることはないと言われました。
ですが実際にわたしがチェックしていくと、
左側の首、肩、背中、腰、膝周りなどの順に尋常じゃない硬さがみられます。


では、
どうしてお客様の不快感を感じない左側半身が硬く強い張りが入り込んでいたのでしょう。

これはときどき起こる場合もあると知られていることですが、
自転車から路上に投げ出されたお客様が左半身を下に転倒したとき、
第一波として衝撃波が体内に入り込みダメージを体内に取り込みました。
すると体は意識がある場合は本能的に第二波のダメージから身を守ろうとします。
プロテクター筋とも呼ばれる筋群(このときは左側アウター筋群)を刃をも跳ね返すほどの筋緊張をさせるようにさせます。
それはすでにダメージを受けた手負いの部分からさらに繰り返し打ち付けられたら甚大な被害は免れません。
そういったときに本能はそうした場合に自己防衛の方法として筋肉を強烈に硬化させて、
それ以降の体内への衝撃の進入を防ぐようにする機能が人間には備え付けられています。

通常は衝撃が入る難が去れば、プロテクター筋をゆるめて筋硬化のない元の状態に移行してくれるものですが、
それがあまりに突然に舞い降りた恐怖や不安といった感情の高ぶりが強くて、
そのときの記憶など後々まで継続して安全になった後にも身を守り続けろという操作が継続することがあります。
このような仕事はみんな無意識から操作されてなされますから、
本人はそのようなこととなっているとはまったく気づけません。

でも実際、施術者が転倒時に打ち付けた側の左の肩や腰や脚部外側などを触れば、
こちらのお客様の体質上は筋肉が柔軟性が高い方のはずがぎっちぎちに硬化し関節可動域が制限されて動きが悪くなっています。


結果としてお客様が主な不具合として自覚しておられた右側の筋群は左側の筋群が緊張して動けなくなった状態をカバーして一生懸命動こうとしたことによるオーバーワーク気味により起きた筋肉痛。
なので右側半身の部位を、たとえば湿布等でケアしてもなかなかいい改善結果がでなかったわけです。

そしてこのたびのこちらのお客様への施術は、
大胆な強い圧をかけるような筋膜のリリース操作は極端に避けました。
理由は、左側半身の筋硬化が起きた理由が外部からの衝撃進入を防御するためで、
わたしが強めの圧をかければ現状まだ左側半身を固めて身の安全を図ろうとする状態のお客様のプロテクター筋は、
「ほら、また衝撃がきたぞ!」とあわてふためいて、さらなる筋硬化を強いるような本能的な反応が起こります。
そうさせるのは得策ではないため、やさしいムーブをメインにリリースを起こすボウエンテクニックを利用。
するとお客様の防衛反応をうまくかいくぐって鎧となったプロテクター筋を作り出す反応をはずすことに成功。

そうした時点で、およその体全体のバランスを乱していた事故後の反射が切れて、
足を引きずって階段を上り下りされていたところから解放されました。

ちなみに、このときお客様の主訴となる右側半身の肩、腰、脚だけを解くとどうなるか。
そちらを考察してみれば、右半身の柔らかさは増し、左半身の硬さとのコントラストが際だつことがわかります。
たとえれば自動車で言えば、右のタイヤは駆動してがつんと動けるが左のタイヤは駆動部の不具合で固まり動けないまま。
そうした左右のタイヤの回転量の違いが増す状態で動き続けることで、
あらたな身体内部の不具合がでてくるおそれが予想されるでしょう。
ですからこの場合は、お客様が気づかれていない動きが悪くなるほど筋緊張をしたままになった左半身をゆるめるのが正解。
時と場合によりまして、お客様の主訴とは異なる対応をすべきときがあるという好例でしょう。






posted by スズキ at 15:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 施術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする