このブログをお読みいただきたい方:
■ 人体と自然とのかかわりを感じたい、自然派志向の方?
■ 効く薬膳や漢方薬の、四季の陰陽バランスを微調整する理由を知りたい方
日本の四季。
春、夏、秋、冬。
そのときどきに気温の高低、湿度の乾燥と湿り気などが変わってきます。
たとえば冬の乾燥しやすいときもあれば、梅雨の湿ったときもあります。
自然の囲みの中で、その影響を受ける私たちの体は、
あたかも<大自然のなかにある小自然>といえます。
つまり冬の時期の大自然が乾燥したときには、小自然の人体内部も乾燥中です。
そして梅雨のじめじめした大自然のなかでは、小自然の人体内部はじめついてます。
そのように環境と人体内部の世界は密接に関係しあっています。
冬の乾燥する時期に肌が乾燥することが出てきます。
人体内部の環境は体表の皮膚にあらわれます。
体の中に異常があると、それは経絡のつながりを通して皮膚の部分に現れます。
その現れを分析することが中医学の診断法のひとつにもなっています。
すると薬膳で生薬をつかうときには、いつものままのレシピに、
適量の潤いを増すための追加の生薬を足すことがあります。
梅雨の湿り気が強いときには体内の状態もじめじめしているわけです。
大自然(自然環境)=小自然(人体内部環境)ですからね。
ただ余分な湿り気があることが災いとなることもあります。
すると薬膳で生薬をつかうときには、いつものままのレシピに、
適量の湿り気を排泄させるための追加の生薬を足すことがあります。
私どもの街中のバーミヤンとかでは、
薬膳料理をだすとうたっているわけでもないからそこを期待するのは酷ですが、
中医学の知識が身についた薬膳料理をつくる調理人には、
このようなところに気を配るものもおられるといいます。
おそらく中国や韓国等の宮廷内で働いた調理人には、
そのような気配りがあったのかもしれませんね。
私たちもそれに真似て、
四季の気候変動と体内の状態変動は同様と見て、
機敏に陰陽のバランスを乱すような寒熱や乾湿などの過不足を、
食でコントロールしてみるよう心がけていくことをお勧めします。
ただし、上記のルールは一般法則。
例外も考慮に入れなければなりません。
たとえば食す人の体質が強い陰性状態で津液過多であれば、
冬の乾燥している時期だからといって湿潤させるような生薬を加えてあげることはありません。
理由は、すでにその方の内部環境が陰に強く傾いている状態で、さらに湿潤させて陰を加算しては悪くなる一方。
そのときには体質を考慮して乾燥を促す生薬を用いることで陰陽のバランスがいいところへ落ち着けるように調整します。
だから大自然の環境の状態を下敷きとして考慮しつつ、小自然の内部を把握して陰陽バランスの落としどころを観るのが基本。
それだけでいいのでしょう。
また知識を付加させるとすれば、、、。
通常のドラッグストアにあるパッケージされた漢方薬は、
四季の変化にあわせた寒熱や乾湿などの過不足のようなちょい足しとかちょい増し、ちょい削りができませんが、
漢方薬局でいちから調合していただける場合には、漢方薬での処方でも同様なことがなされることがあります。
なぜ、こんな面倒なことをするかというと、、、。
答えは単純。
漢方薬局等にお世話になる身体の状態が弱っているときは、
繊細な陰陽バランスの調整がなおのこと必要な状態だからです。
人体内部の乱れた陰陽バランスは四季や日々の気候変動や環境変化に影響を受けつつ、
その上にダメージが加算された状態です。
患者様の体質がわかって乾湿や寒熱の過不足をちょい足し、ちょい減らし。
そこが漢方薬局さんの腕の見せ所なのかもしれません。
※ 陰陽 「熱」と「乾」が<陽> 「寒」と「湿」が<陰> です。