2020年06月23日

首の横が緊張委縮すると腕がしびれて腕の脈が乱れる!「斜角筋」(大事な筋肉で長編になりましたm__m)

お客様の中に、
「腕がしびれるんですが・・・」という方がおられました。



しびれの症状の裏側には「痛みを感じる」ときよりも、
はるかに危険なサインが隠れているときがあります。

だから、しびれているとお伺いすると、
一瞬、ドキッとして冷静さを取り戻そうと躍起になります。



私は通常の顔で
「そうですね。しびれるんですね。
しびれの強さを表現するとどのようなレベルでしょう?
そのしびれは、いつからでしょう?
そして範囲は、どれくらいでしょう?」
など具体的な情報を極力詳しく教えてもらいます。

腕の肘から先がしびれているというときは、
指の伸筋群に関する腱鞘炎のような状態かもしれません。

それがさらに広域にわたって、
肩から肘、そしてその先までときどきしびれるんですというとき。
かなり広域にわたってしびれがあるという状態ですね。


それに私も覚えがあります。
私事で恐縮ですが、10年も前の話ですが。

施術がハードにつづいて休めなかったとき。
右手の肘から末端への手先がしびれて腱鞘炎のような状態になったことは、
幾度もありました。
それはそうなる理由がわかっています。
「オーバーワークだから、休みをとりましょう!」です。

ですがそれ以上の、不都合な状態が起こりました。。。
施術が立て込んでいて、休みの日も出張で働いてという状態のとき。
夜、寝て目覚めたら、左手が全体、しびれている。
自分の手が消えて、何かが肩からぶら下がっているがわずかにしびれを感じて、
それが自分の腕だとわかるというように。
左手が一本、まるまるマヒしてほぼ無感覚です。
手は死んだようで血の流れる暖かさを感じられないほど、冷たくなっています。

さいわい、起きて動き始めると、腕のマヒは解けてしびれに変わり、やがて普通に使える。
だから施術を休むこともなく、働かせていただいてました。
数か月も続けてしまったことがありました。


これほどまで、頑強な問題をもたらした原因の筋肉は、どこか?


脊髄から分枝した神経が腕へと向かうときに、途中でそこを強い力で圧迫を加えられていたという筋肉。
そして手への血流を止められたような止血をする腕への動脈管を圧迫する筋肉とは。


「斜角筋」です。



斜角筋です.jpg



上図は、斜角筋の筋肉の位置を表示するだけの絵です。

この絵からだけでは「なぜ、手がしびれたの?」という理由はつかめません。


{一本の筋肉だと思っていたものが、単に一本の筋肉で構成されたものではなかった}ということ。

平易なわかりやすさを重視した一般の解剖図では、
そこは描かれていないことが多いのです。
ただその程度の知識では、
施術の手技での改善個所をイメージできないままです。
そのようなグレーゾーンがあれば施術は成立してはくれません。
ジグソーパズルのピースを、そこにしか置けないという箇所にはめなければ、
身体は最適なパフォーマンスを取り戻してはくれないのです。


だから、しっかりと観察するために、
複数の筋肉で構成された一本の筋肉は、それぞれを分けてひとつずつ個別に機能を理解する。
その作業を積んでいくことが大事です。

具体的に筋肉状況をチェックすると、
一本の筋肉ではなくて、数本の筋肉で別々のものとして見えるものだが、、、
ひとつの作業を協力的に成すグループに分けると、ひとつの筋肉としておいたほうがわかりやすいだろう。
だったら、総称として『〜〜筋』のような、ひとくくりさせる筋肉名を与えようじゃないか。

というものです。




一般の方が、複数の筋肉の寄り集まった総称を持つ筋肉を、
あたかも一本の筋肉だと思って施術をしていても、治せないのはこのためです。
専門的に学ぶと数本の筋で構成され複雑な機能を発揮できるので、
その複数の筋肉で構成されたどれが問題があるかが見つけ出すことが必要です。


「斜角筋」

まさに、そのような複数の筋肉が集まったような筋肉。
その複数の筋肉は、<前斜角筋>、<中斜角筋>、<後斜角筋>、<最小斜角筋>の4つです。
それらの筋の協力体制のおかげで、次のような複雑な首の操作がかなうのです。



「斜角筋」を、詳細に観察すれば、、、

「起始」は
・前斜角筋:頚椎3〜頚椎6の横突起
・中斜角筋:頚椎2〜頚椎7の横突起
・後斜角筋:頚椎5〜頚椎7の横突起
・最小斜角筋:頚椎6〜頚椎7の横突起

「停止」は、
・前斜角筋:第1肋骨
・中斜角筋:第1肋骨
・後斜角筋:第2肋骨
・最小斜角筋:第1肋骨


「斜角筋の作用」は、

・頚部の前屈
・同じ側への側屈
・外側への動きに対して、頚椎を安定させる
・無理やりに吸気したときに、第1、第2肋骨の挙上を補助します


ただ<最小斜角筋>は、
その筋肉がある人とない人がいるということが知られています。
そこは、各人の個性ということでしょうか?
少し不思議な気がします。(なくても、いいんかい?! ^-^;)


斜角筋を右肩から見た図1.jpg

ちょっと、絵がごちゃごちゃしてわかりづらいから、
シンプルな絵を下に載せておきましょう。

斜角筋を右肩から見た図シンプル2.jpg



前斜角筋と中斜角筋と第1肋骨。
この隙間に、腕に向かう神経や動脈管が通っているんです。



なんでまた、こんな窮屈そうなところに、大事な神経や動脈を通すのかと不思議に思いますが。

四つ足で歩く動物なら、この部分は絶妙に外部からの攻撃や衝撃から守られた深奥な個所なんですね。
それが、人間が二足で立つようになったら、なんて窮屈な狭苦しいところから神経や動脈を通すんだと、
不利な状態を嘆くことになります。
4足歩行の名残が、いまも、体の中に入ってるんですね。


前斜角筋と中斜角筋と第1肋骨。
この狭い隙間のトライアングルに、
腕に向かう神経や動脈管が通っている。

の話に戻しましょう。 ^-^;

要するに前斜角筋か中斜角筋のどちらかが。
または両方共が委縮して緊張したり、
それら筋がパンプアップしていたり。
または第1肋骨が上方へと持ち上げられたり。
などの状態に陥れば、
腕に向かう神経や動脈が物理的な圧迫を受けることになります。

それにより起きたのが神経機能障害が、腕のしびれ、
動脈の血行不良を起こさせたために腕の血行不良による冷たさなどです。



その状態がひどいものとなると。
私が10年前に感じたような、
「自分の肩からわずかなしびれしかわからなくなった感覚がマヒしたものがぶら下がっている」
というようなことにもなりかねません。

ただ、私の場合、数か月間、急激に施術が忙しくなって腕や首への負担が増した状況だったので、
慢性的な腕への血流異常となるまえに手を打てたのが救いでした。
筋膜の癒着のリリースは、
3か月以上も負担が続いたような慢性期となると筋膜部の器質が変化してなおしづらくなりますが、
ですが急性期ならば速攻でリリースが可能ですので。

ちょうどいいお正月休みのときに、きれいに自力でそのような問題を改善することができました。


ですが急性期とはいいましても、オステオパシーの手技のカウンターストレインのみでは、
十分なリリースまでは至りませんでした。
それまでも長年にわたり、腕や首を酷使してきたつけがたまっていて、
そのようなダメージの下地があって、そのときの状態がおきたからです。

手技名は明かせませんが、他のオステオパシー手技に直接的に筋膜の歪曲を均す過激な痛みがでるやり方があります。
お客様には、痛すぎてできませんが、自分に対してなら5分痛みを我慢するだけだと言い聞かせて、
苦悶しながら石のように固まった筋膜の癒着部を解いた記憶があります。
リリースが病根の近場まで解けたときには、
涙がでるほどいたかったのです。


ただ慢性化した斜角筋のコリは解きにくいのです。
なぜかというと分厚い胸鎖乳突筋の下に斜角筋の上部は隠れているからです。



斜角筋は胸鎖乳突筋の下にある.jpg


こちらの最近のブログをチェックしていただいている方には、
また、来たね〜といわれそうですが。

筋肉は皮膚に近い表層筋から、徐々に奥まった筋肉と移行して骨まで至るという多層構造になっているので。

表層筋は、直接、手で触って圧をかければどのような状態かをチェックしやすいでしょう。
ただしすでに表層筋自体が硬ければ、
その奥に位置する中層筋や深層筋の状態は隠れて見えなくなっています。
なので、すでに表層筋が状態が悪いときは、
一般の方が容易にアプローチできるのは、表層筋止まりというのが妥当と思います。

施術をして経験が豊富になると、
現状のすべての立ち方や関連筋、筋の温かさや湿り気、気の状態などを複数情報を集めて
かつての施術で得られたデータに照らし合わせて推理をすることがあります。
不確定要素が人体には多いため100%その推理や推測があたることは稀ですが、
アウトラインが正解であってそれを元に描いた隠れた筋肉状態をイメージ化して、
それにもとづいてリリースをすることで的確に先へとリリースを進める力を持っています。

もちろん、隠れた筋肉をむやみにわけもわからず強圧すれば、
筋繊維がだんだんプチプチと切れて再生しないようなダメージばかりが積まれていくような。
ひどいことに必ずなりますので。


一般の方は表層筋が硬ければ、それをセルフリリースしようとするならしっかり表層筋を緩めていくのに時間をかけましょう。
そしてそれが十分解けていけば、その下の硬さを持った筋肉が頭を出していきます。

そのような地道なリリースを繰り返すと、時間はかかりますがやがてはいい感じに筋肉が柔らかさを取り戻していきます。
このような解き方を「玉ねぎの薄皮から、一枚一枚、丁寧にはがすように」ということがあります。

十分に時間をかけていけるときには、
無理な痛みを感じない程度の圧で、徐々に表層からしっかり緩めるようにすると、
とてもいい仕上がりになるはずです。







ただ、前斜角筋や中斜角筋が、すでに深刻な委縮があれば、
腕への神経や腕への動脈に組織が癒着をしているケースもあります。

その場合は不用意に触れば、多大な危険を被る可能性もありますから、
自分自身がどうであるか不安が強い場合は、
自分では解かないほうがいいでしょう。

力を使わない軽擦で、マッサージオイルを刷り込むことで筋肉の作動をよくするという程度ならばかまいません。
ですが無理な力をかけるのはやめたほうがいいでしょう。

たとえスモールサイズのベン石温熱器を持っていたとしても、
ここに不安がある方は、不用意に力を入れたアプローチは避けてください。


そのときは整形外科等の病医院で診ていただくことを優先していただくべきです。




そして昨今。
斜角筋と胸鎖乳突筋が接している筋膜部分が、完全に一体化したような癒着をしめす方が、増えています。



「スマホ首」ですね。

スマホ首.jpg

スマホをやりすぎれば、斜角筋が棘(トゲ)のような異物化が始まります。。。
OA機器を長時間使って作業なさる方々も、首が前に少し出ているようであれば、
やはり斜角筋に過度な負担がかかります。

この斜角筋。

この書き込みの最上図で観てもらえればわかるように、
筋断面は細いもので、けっしてパワーや持続力がある筋ではないのです。

その筋肉を過度につかえば、、、
それも、女性のほうがこの筋のコンディションが男性より細く弱い傾向があるので、
かなり強く斜角筋が骨化が進みやすいようです。

(線の細い男性も同様に、そのような傾向がありますのでご注意を!)



そして一度、斜角筋が骨化が進めば、どちらの施術院でもそこを適切に解いてもらえず、
そのまま苦痛のまま過ごさなければならなくなるという方々も増えているようです。
場合により、斜角筋部分をボトックス注射をすることで改善をはかるようなこともあるので、
病院に問い合わせをすることも必要にな方もでてくるでしょう。

ここは刺激を与えるのが注意を要する危険個所であるがゆえに、
私自身、長年、解きたくてもリスクが高すぎてアプローチを躊躇してきた経緯があります。

でも、そこに一筋の光を見いだせたのは、
ホットストーンを使って工夫をしていけば対処できるようなお客様もでてきた点です。
かなりそこにはノウハウを詰め込んでいるのですが、
ようやく少しずつ目鼻がついた感じです。



ですが、、、やっぱり、斜角筋をいたわるような姿勢をとるような気づかいがなければ、
いくらこちらを解かれても、非力な筋肉であるがゆえに、カンタンにまたしこり化するのです。


そのような意味でも、
立位や座位での頭や首を置く位置が客観的に合理的な場所であるかどうか。
それがわからなければ、一度、斜角筋を固める癖をつけた方は、
戻りやすいため細心の注意が必要です。




長くなりましたが、、、
最後に。

腕へ向かう動脈管が斜角筋の硬化や緊張で圧迫された場合ですが、
その際の血液はどのような動きとなるのでしょうか。

もちろん、斜角筋の圧迫部より先にいく血流は減少します。
それはそうなのですが、
斜角筋で圧迫された血液が逆流して心臓や動脈管自体に血の跳ね返りが、
内部的になんらかの負担を強いているようにイメージしています。


それは、ホースで庭の植木に散水するとき、誰かが気づかずに途中でホースを踏んづけたとき。
水道の水はホースのなかをぱんぱんに膨らませます。
そのふくらみが頂点に達したとき、ホースをつないだ蛇口がすっぽ抜け、
ジャージャー水が蛇口から流れるでしょう。
それでみんなが、何事が起きたかとびっくりするものです。

おそらくそれと同様な事態が、体内でも起きているはずです。

そして左手と心臓の位置が近接しているため、ホースは長くはありません。

それゆえ、斜角筋で圧迫された腕の動脈管は、私にはその水面下でなにが起きているか、
正確なことはわかっていないのですが、非常に強い危うさを感じるものであるのは確かです。



posted by スズキ at 15:22| Comment(0) | ホットストーン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする